財務省が19日発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9939億円の赤字となった。赤字は11カ月連続で、5月としては過去最大。金融緩和による円安で携帯電話や燃料の円建て価格が上がり、輸入額が膨らんだ。輸出数量の減少率が縮小するなど円安のプラス面も出始めたが、負の影響が先行している。
赤字額は市場予想の平均値(1兆2000億円)を下回った。5月は大型連休で生産が落ち込むこともあって、単月の赤字額としても過去3番目。11カ月連続の赤字は第2次オイルショックで原油価格が高騰した1979年7月~80年8月以来の長さだ。
輸入額は前年同月比10%増の6兆7615億円。数量指数でみると2.4%減ったが、外貨建て取引の基準となる公示レートの平均値が5月は1ドル=99円27銭と前年同月比23.4%の円安・ドル高となったことで金額が膨らんだ。外貨建て取引の比率は輸入が8割と輸出の6割を上回る。為替が円安に振れると輸入額の膨らみの方が大きくなり、短期的には貿易収支も悪化しやすい。
輸出額は前年同月比10.1%増の5兆7676億円だった。オーストラリア向けの軽油など鉱物性燃料のほか、中国・韓国向けのプラスチック製品の原材料、韓国・台湾向けの電子部品が伸びた。輸出は数量ベースで4.8%減と前年割れが続くが、減少率は3カ月連続で縮小しており、落ち込みは和らぎつつある。
地域別の収支を見ると、米国は4271億円の黒字となった。消費の持ち直しで自動車や灯油の輸出が伸びた。
一方、中東向けは1兆369億円の赤字で、赤字額は前年同月に比べて12.2%増えた。アラブ首長国連邦(UAE)から原油輸入が膨らんだ。
中国との貿易赤字も4099億円と34.5%増えて、5月としては過去最大になった。スマートフォン(スマホ)のほか、衣類や電子部品の輸入が大幅に増えたことが背景。日本車の販売不振で車の輸出が落ち込んでいることも一因となった。
欧州連合(EU)の収支も887億円の赤字と5カ月連続の赤字となった。イタリアの医薬品やドイツのディーゼルエンジンの輸入が伸びている。
赤字、円安
日経平均(円) | 12,901.31 | -113.27 | 21日 前引 |
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ユーロ/円 | 128.71 - .76 | -1.01円高 | 21日 12:03 |
長期金利(%) | 0.875 | +0.040 | 21日 10:55 |
NY原油(ドル) | 95.40 | -2.84 | 20日 終値 |
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