◆交際男、暴力団に捜査情報
家宅捜索が行われた今年3月、鈴木美穂容疑者が所属していた静岡地検沼津支部=19日午前、沼津市御幸町で
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交際相手に捜査情報を漏らしたとして、静岡県警捜査四課は十九日、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで、静岡地検の検察事務官鈴木美穂容疑者(30)=富士宮市小泉=を逮捕。同法違反(そそのかし)の疑いで、同居していた建設業鈴木明容疑者(38)と、同市大岩、暴力団幹部の無職坂井誠容疑者(39)を逮捕した。
県警によると、鈴木美穂、鈴木明の両容疑者は「事実はあった」と容疑を認め、坂井容疑者は否認している。
美穂容疑者の逮捕容疑は、二〇一〇年十二月下旬、坂井容疑者が所属する暴力団組員による詐欺事件の捜査の端緒や求刑予定に関する情報を、携帯電話のメールを使って坂井容疑者に送り、漏らしたとされる。
明、坂井両容疑者は美穂容疑者に情報を教えるようそそのかしたとされる。
捜査四課によると、美穂容疑者が漏らしたのは富士宮署が一〇年十二月、組員の男ら四人を摘発した交通事故に関する保険金詐欺事件の情報。美穂、明容疑者は五〜六年前から交際しており、現在も同居。婚姻関係はない。二人は坂井容疑者とも知り合いだった。
捜査関係者によると、美穂容疑者は〇三年に静岡地検に採用された。県警は三月、二人が同居する富士宮市の自宅や当時勤務していた静岡地検沼津支部を捜索。自宅からは組員が関与した〇八年当時の逮捕監禁事件の逮捕状のコピーなどが見つかった。明容疑者の所持品の中には、美穂容疑者が書いたとみられる捜査情報のメモもあった。
<検察事務官> 検察官の仕事を補佐する国家公務員。業務は(1)捜査や公判で検察官をサポートする捜査公判部門(2)法律手続きのチェックや証拠品の保管を担当する検務部門(3)総務や会計を担当する事務局部門−の三つに分かれる。検察官とは違い警察官への捜査指揮はできない。法務省によると、ことし3月現在、全国に約9千人いる。
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