日本ツアー選手権第1日、10番で豪快なティーショットを放つ松山英樹。左後方は石川遼=茨城・宍戸ヒルズCC
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◇日本ツアー選手権<第1日>
▽20日、茨城・宍戸ヒルズCC(7402ヤード、パー72)▽雨、気温21・8度、風速1・1メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽126選手▽観衆4242人
全米オープンで10位に入った松山英樹(21)=東北福祉大=がライバルとの直接対決第1ラウンドを制し、国内メジャー初制覇へ好発進した。石川遼(21)=カシオ=との注目の新旧主役対決を1イーグル、4バーディー、1ボギーの67で回り、80と大きく崩れたライバルを制して2位タイ発進。石川は124位タイで最下位。第2日も同組で回る。首位は韓国の24歳、趙〓珪(チョ・ミンギュ)で、2位に2打差の7アンダーの65。
体の大きな松山が、のっしのっしとフェアウエーの真ん中を闊歩(かっぽ)する。10ヤードほど離れて藤本、一番後ろに石川が続く。この光景が、ほぼ18ホール続いた。松山と石川の通算6度目の直接対決。全米オープンで世界の強豪を相手に闘い、国内ではここまで5戦2勝と今季のツアーを張ってきた主役が、同年齢のライバルに貫禄を見せつけた。
圧巻の幕開けだった。ティーグラウンドのスタンドに「全米オープン最終日くらいの多さ」と松山もびっくりのギャラリーが詰め掛けた1番では、いきなりドライバーで10ヤードほどのアドバンテージを取り、ピン上7メートルのフックラインを読んでバーディー。この先制パンチで勢いをつけた。2番は1打目をOBにした石川を尻目に、フェアウエーからの残り230ヤードを3Iでピン手前1メートルに乗せてイーグル。その後もショットの安定感は抜群で、フェアウエーを外してもリカバリーのうまさを発揮して、大きなけがになるのを防いだ。
過去5度の直接対決は、2勝2敗1引き分けだった。学生スポーツとしてのゴルフを優先してきた松山と、高校を卒業後すぐにプロに転向した石川との間には、交流はほとんどない。それだけに、今回の同組ラウンドはファンの話題を集めた。ところが、松山は周囲が騒ぐほどには意識していなかったという。「プレー中は自分のことに集中していたので、(石川のプレーは)少ししか見なかった。あまり調子が良くないのかなと思った。何度か言葉を交わしたけれど、どんなことかは忘れた。普通のことだったので」とあっさり。
ギャラリーからかかる声は石川の方が多かったが、それも1イーグル、4バーディーでボギーは1つという、すきのない強さのせいか。ツアープロだけが出られるこの大会は、昨年までアマチュアだったので初めての出場。コースは2週前に下見ラウンドをしただけ。18日に米国から帰国し、19日はショットとパットの練習だけだったので、いわばぶっつけ本番だった。それでも当然のように攻略するところは、世界標準の実力者ならでは。
第2日も石川との同組ラウンドだが、周囲の関心は「どこまでスコアを伸ばすか」に移っている。この大会で勝って5年のシード権を確保できれば、目標である米ツアー進出の大きな足掛かりとなる。 (大西洋和)
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