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屋久島〜世界自然遺産登録に至る経緯

国割岳西麓にみる植生の垂直分布

千尋の滝と花崗岩
高地のヤクザサ帯

1.推薦理由

 屋久島は中心部に九州の最高峰宮之浦岳(1936m) をはじめとする高峰が聳える山岳島であり、世界的 な動植物の移行帯に位置する湿潤気候下の高山として、生物地理的に特異な環境下にあり、かつ年間 4,000〜10,000mmもの多雨に恵まれていること等から、樹齢数千年のヤクスギをはじめとして極めて特殊 な森林植生を有しています。海岸付近のガジュマル、アコウ等の亜熱帯植物から、タブ、シイ、カシ等の 暖帯、モミ、ヤマグルマ等の温帯、更にヤクザサ、シャクナゲ等の亜高山帯に及ぶ植生の垂直分布が顕著 にみられ、また、多くの固有植物、北限・南限が自生していること等特異な生態系を構成しています。特 に本地域の傑出した自然の特徴として、樹齢数千年に及ぶとされる直径3〜5mにも達するヤクスギがあげ られ、老齢の巨樹林は、生態的にも、かつ形態的にも世界的に貴重な天然林と考えられています。さらに 当地域には、アカヒゲ、アカコッコ(危急種)等絶滅の恐れのある動植物が生息、自生しています。

2.登録に際しての評価

 屋久島の全面積の約2割に相当する10,747haが自然遺産地域として登録されています。
当該地域は、国立公園や森林生態系保護地域の一部のほか、原生自然環境保全地域と国指定の天然記念 物(屋久島スギ原始林)の全部が重複しており、海岸線近くの亜熱帯的な要素を含む照葉樹林帯から、 山岳部のスギ林帯、ヤクシマダケ草原帯までが含まれています。屋久島の世界遺産登録に当たっては、 登録当時、ユネスコ世界遺産センターのドロステ所長は、「自然遺産としての屋久島の価値は、多くの 人たちが暮らしていながら、すぐれた自然が残されていることにある。」と語っています。

3.登録に係る保護制度

  • 原生自然環境保全地域
  • 国立公園地域
  • 特別天然記念物
  • 森林生態系保護地域

4.登録までの経緯

1992年3月13日 条約の国会提出を閣議で決定
1992年6月30日 国(政府)、条約受諾書をユネスコヘ送付
1992年10月1日 屋久島を世界遺産委員会へ推薦
1993年5月16〜18日 IUCN(国際自然保護連合)現地調査
1993年6月25日 世界遺産委員会がビューロー会議開催
IUCNが屋久島の登録を勧告すべき旨のレポートを提出
1993年8月11日 世界遺産事務局長から会議結果が送付
世界遺産委員会への推薦決定
1993年12月6〜11日 世界遺産委員会開催(コロンビア・カルタヘナ)
屋久島、白神山地が自然遺産として、法隆寺の仏教建造物、姫路城が文化遺産として世界遺産リストに登録された
(正式登録日 12月11日)
1995年9月 環境庁、林野庁、鹿児島県等関係機関からなる屋久島世界遺産地域連絡会議発足
1995年11月 屋久島世界遺産地域管理計画策定
1996年4月 環境庁屋久島世界遺産センター開所
1997年10月18〜20日 IUCNによる管理状況調査
1998年10月 世界自然遺産登録5周年記念シンポジウム開催(於 屋久島)
1998年12月 世界自然委員会開催(於 京都)
2000年5月 世界自然遺産会議開催(於 鹿児島市、屋久島)
2005年10月 第2回世界自然遺産会議開催(於 青森市、白神山地)


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