6月20日の米国マーケットサマリー:株大幅安、ドル上昇、債券下落
6月20日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3218 1.3295 ドル/円 97.50 96.45 ユーロ/円 128.86 128.22 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 14,758.32 -353.87 -2.3% S&P500種 1,588.19 -40.74 -2.5% ナスダック総合指数 3,364.64 -78.57 -2.3% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .32% +.02 米国債10年物 2.41% +.06 米国債30年物 3.50% +.09 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金 (ドル/オンス) 1,286.20 -87.80 -6.39% 原油先物 (ドル/バレル) 95.40 -2.84 -2.89%◎NY外国為替市場
ニューヨーク外国為替市場ではドルが全面大幅高の展開。米金融当局が緩和縮小が近づいていることを示唆したため、ボラティリティが1年ぶりの高水準となり、キャリートレードで損失が発生した。
ドルは主要16通貨全てに対して上昇した。ドイツ銀行のG10・FXキャリー・バスケット指数 は昨年10月以来の低水準となった。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が前日、景気が回復を続ければ年内に金融緩和の規模を縮小し始める可能性があると発言したことが背景にある。対ドルでの主要31通貨のうちインド・ルピーは今月に入って4.8%安と、最も下げがきつい。同国中央銀行はルピー防衛で市場介入を実施したとみられている。
イートン・バンス・マネジメントのポートフォリオマネジャー(ボストン在勤)、エリック・スタイン氏は電話インタビューで、「市場は『考えるのは後回しにしてまず行動する』モードにあるようで、ドルが大幅高となり、キャリートレードの解消が起こっている」と指摘した。
ニューヨーク時間午後2時14分現在、ドルは対ユーロで0.6%高の1ユーロ=1.3220ドルと、5月9日以来の大幅高となった。対円では1.6%上昇して1ドル=97円96銭。円は対ユーロで1%安の1ユーロ=129円48銭。
◎米国株式市場米株式相場は下落。S&P500種株価指数は2011年以来で最大の下げとなった。米金融当局が刺激策の段階的縮小を示唆したほか、中国での流動性逼迫(ひっぱく)の悪化で世界的に株価が下落。米国市場もこの流れを引き継いだ。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前日比2.5%安の1588.19。ダウ工業株30種平均 は353.87ドル(2.3%)下げて14758.32ドル。
ウェルズ・キャピタル・マネジメントの投資担当チーフストラテジスト、ジム・ポールセン氏は「動きが非常に激しいことから、様子見姿勢が広がっている」とし、「買い手は出口に急いではいないが、落ちるナイフを進んでつかもうともしていない」と続けた。
この日はMSCIオールカントリー世界指数が3.4%安と、下落率は1年7カ月で最大。アジア株は4.1%下げ、欧州株も3%下落した。中国金融市場では、指標となる短期金利が過去最高水準に上昇した。中国人民銀行(中央銀行)が資金不足に対処するリバースレポ取引を手控えていることが背景。
◎米国債市場米国債市場では10年債利回りが1年10カ月ぶり高水準に上昇した。この日はドイツからニュージーランドに至るまで世界的な債券安となった。バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が前日、2014年の年央に債券購入を終了する可能性を示したことが影響した。
高リスク資産が売られ、高利回り水準が投資妙味を押し上げると、利回りは上げ幅を縮小した。前日の市場ではバーナンキ議長が記者会見で「入手するデータがこの経済予測と大まかに一致すれば、年内に購入ペースを緩めるのが適切だと委員会は現在のところ見込んでいる」と説明すると、利回りは2011年以来で最も上昇した。ブルームバーグがまとめた調査によると、資産購入額は9月の会合で200億ドル縮小すると予想されている。午後に実施されたインフレ連動債の入札は需要が平均値を下回った。
CRTキャピタル・グループの国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「バーナンキ議長の発言から緩和縮小が議題に上っていることが明らかになった」と指摘。「量的緩和の先行きを考慮して株式の買いが大量に手じまわれたため、米国債の売り浴びせはわずかながらも抑制された。しかしバーナンキ議長の発言の影響で、米国債市場の弱気センチメントは当分続く可能性が高い」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後2時52分現在、10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.43%。一時は2.47%と、2011年8月8日以来の最高を付けた。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格はこの日、5/8下げて94 3/32。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場は大幅下落。2010年9月以来の安値となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が前日の記者会見で、景気回復次第では緩和策を年内に縮小する可能性があるとの認識を示したことが引き続き手掛かり。
同議長は、景気が当局の予想通りに回復を続ければ、年内に債券購入の規模を縮小し始め、2014年半ばに終了させる可能性があると語った。ドルは主要6通貨に対して約1週間ぶりの高値となり、米10年債利回りは22カ月ぶりの高水準をつけた。商品相場は全般に下落した。
サクソ・バンク(コペンハーゲン)の商品戦略責任者、オーレ・ハンセン氏は「市場は緩和縮小が実際に始まるまで待っているわけではない」と指摘。「当局の緩和縮小や名目利回りの急上昇、ドルの堅調で金はかなり圧迫されている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比6.4%安の1オンス=1286.20ドルで終了。引け後の電子取引では一時1275.60ドルと、2010年9月21日以来の安値をつけた。
◎NY原油先物ニューヨーク原油先物相場は7カ月ぶりの大幅安。中国に成長減速の兆しが出たことと、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内に債券購入ペースを緩め始める可能性を示唆したことが響いた。
中国の製造業活動を測る民間の購買担当者指数(PMI)は、活動縮小ペースが速まっていることを示した。この日の中国金融市場では資金が逼迫(ひっぱく)し、指標となる短期金利が過去最高に達した。バーナンキFRB議長は19日、年内に債券購入ペースの縮小を開始し、景気動向次第では来年年央に終了する可能性があると示唆した。
トラディション・エナジー(コネティカット州スタンフォード)の市場調査ディレクター、アディソン・アームストロング氏は「中国の製造業が下降線をたどっているのは明らかであり、資金逼迫は悪化しつつある」と指摘。「売り浴びせの最初のきっかけは前日のバーナンキ議長の発言だ。中央銀行が流動性供給を続けるとの見方を根拠に商品相場が堅調を維持していたことが、この反応から分かる」
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物7月限は前日比2.84ドル(2.89%)安の1バレル=95.40ドル。昨年11月7日以降で最大の下げとなった。7月限はこの日が最終取引。事実上の中心限月となった8月限は3.34ドル下げて95.14ドル。
更新日時: 2013/06/21 05:43 JST