- [PR]
国際
粉ミルク業界再編 中国当局大ナタ127社→10社に
【上海=河崎真澄】中国の乳幼児用粉ミルク業界で当局主導によるメーカー再編が始まる。中国には127社の中小メーカーがひしめくが、当局はメーカー間の買収や合併による統廃合を促し、2年内に売上高が20億元(約320億円)を超える大手10社に集約させる方針だ。2008年に起きた有害物質メラミン混入事件以後、国産品離れが続く中で、メーカーの規模拡大によって安全性や信頼性を確保する狙いがある。
農村部も含む中国全体の粉ミルク市場で国産品のシェアは50%に満たず、都市部では20%と低い。3歳までの乳幼児は4800万人いるが、民間調査で「子供に国産粉ミルクは飲ませたくない」との回答が67%に達し、安全性は二の次、という中国メーカーへの不信感が浮き彫りになった。
中国紙、新京報などが20日までに伝えたところによると、再編は中国工業情報化省が主導する。国内の粉ミルク生産量は年間約60万トンで同3万トン以上の大手は伊利集団など3社のみ。再編第1弾として、乳業大手の蒙牛乳業が、中小の雅士利を114億香港ドル(約1440億円)で買収することで基本合意した。両社とも香港に上場している。
メラミン混入事件後、日本製など外国製人気が高まったが、中国では輸入品の粉ミルクにかかる関税が最高で40%にものぼる。このため、自由貿易港の香港で外国製品を買いあさり、手荷物で中国本土に持ち込んで高値転売する運び屋が横行。一方で香港が品不足に陥り、反中感情に火を付ける一因ともなった。
このため香港政府は今年3月、粉ミルクの中国への持ち出しを旅客1人あたり2缶(1・8キロ)に限定したが、香港に接する広東省深●(=土へんに川)では旅客が持ち出した外国製品を買い集め、各地で売りさばく新手の運び屋が登場するなど香港も巻き込んだ社会問題が続いている。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]