BiS テラシマユフラストインタビュー「primal.」-靴擦れした両足で立ってたんだ-[13/05/21 20:36]

Check

BiS加入前は地下アイドルでの活動を行い、2011年7月に新メンバーとして登場。破天荒と呼ばれるBiSの中で優等生担当としてキレのあるダンスと表情豊かなヴォーカルでプー・ルイと共にBiSのリードボーカルを任され、ダマシ企画の仕掛け役に回ることもあれば、自らの趣味でもあるゆるキャラを積極的に掘り下げ、時に大胆に時に思わせぶりな振る舞いでファンを翻弄し、BiSの中心メンバーとして活躍してきたテラシマユフ。ワキサカユリカの脱退を乗り越え、さらなる飛躍を期待させた両国国技館ワンマンライブからほどなく飛び込んできたテラシマユフ脱退のニュースはBiSファンの間に大きな動揺をもたらした。衝撃の発表以降は自らの脱退については語らずにライブや映画撮影などいつもと変わらぬ様子でBiSとしての活動を行ってきたテラシマユフへインタビューを決行。最後のライブとなる5月26日渋谷club asia「BiS4」を前に、脱退を決めた理由、BiSでの活動、自らの葛藤、そしてBiS研究員たちへの想いを語ってもらいました。
テラシマユフの言葉から浮かびあがってくるBiSそしてアイドル像とは？「真面目なアイドルまじめにアイドル」を貫いたBiSの優等生のラストインタビューです。

脱退までの経緯

INMUSIC: ユフさんがBiSの脱退を最初に意識したのはいつ頃ですか？

ユフ: 最初に意識したのは赤坂ブリッツワンマン前の内紛かな？ワンマンで一応決着になったんですけどその後もラジオとか雑誌とかでその話が出たり...自分の知らないところでどんどん話が大きくなってる気がして。仕事としてやってるならしょうがないなと思ってたんですけど気にはしてたから...。そうしたら年末の名古屋ワンマンの時からライブ中に具合が悪くなるようになっちゃって。その頃からですかね。

INMUSIC: IDOL騒動の時と違って内紛の時はユフさんは完全に戸惑ってましたもんね。

ユフ: IDOL騒動の時は結論まで分かってやったし全員が情報を共有してたんですけど、内紛の時はBiSの中でも事情を知ってる子と知らない子がいたり温度差があって...。

INMUSIC: 内紛の時は研究員さんたちもすごく大人しかったですしね。

ユフ: 「釣り」だと思ってあまり乗れなかった人もいたかもしれないですね。「一回嘘ついちゃうとダメなんだな」って思いました。ファンの人ももう触れてほしくない空気が出てたように思うんですけど、でもその時BiSにはそれくらいしか話題がなかったから。アルバムの話をするなら内紛のことも言うしかなかったり、100kmマラソンの話をする時もそこから話をしなきゃいけないとか。止めたくてもなかなか止められなかったのかなって。私もみっちぇるもわっきーも内紛をやるのを知らなかったメンバーは乗るか乗らないかって言うよりただ巻かれるしかなかくて、その中で自分がどう振る舞うかしかなかったから、それでずっとモヤモヤましたね。

INMUSIC: 最初に思ったのが内紛の時として、最終的に辞めるのを決めたのは両国国技館のあと？

ユフ: いや、国技館の前です。国技館はわっきーのためのライブにしたかったからそこまでは発表せずに。国技館でわっきーと一緒にいなくなる？とかもあったんですけど色々あって5月になりました。

BiSでの活動を振り返る

INMUSIC: ではBiSでの活動を振り返る話を聞かせて欲しいんですが、ユフさんのこれまでの活動の中で特に印象にに残ってることってありますか。

ユフ: 恵比寿リキッドのワンマン（2011年）まではあまり主体的じゃなかったと言うか、ついて行くのが精一杯な感じはあったんですけど、年が明けてからはちょっとずつ自分がどう動いていけばいいかを考えられるようになってきたかな。

INMUSIC: リキッドの頃かその少し前ぐらいからなのか、ユフさんは目覚ましく変わりましたよね。

ユフ: そうですか？でもちょうどその頃ぐらいがBiSを本気で頑張ろうと思った時期だったかもしれないです。

INMUSIC: ユフさんにとってBiSの思い出の曲と言うと？

ユフ: 曲は「gugigi」が思い出に残ってますね。「My Ixxx」は3人がレコーディングしたものに私の声を付け足しで入れさせてもらった曲だったんですけど「gugigi」は最初からレコーディングできたし、歌い方についての松隈さんのディレクションが決まってきたのがその曲だったかな？「My Ixxx」の時は本当に好きに歌っていいよって感じだったんですけど「gugigi」は「もっとセクシーに」とかしゃくる時のタイミングを教えてもらったり。BiSで自分の声を活かすにはどうしたらいいかを考え始めた曲ですね。

INMUSIC: 他に印象的だったことはありますか？

ユフ: IDOL騒動のことは色んなところで話してるけど、この時に「ゆふぃすとさんって良い人が多いんだな」って思いました。あの時は渡辺さんや私に対して怒ってるファンの人もたくさんいて...分かってやってたことなのでそれに傷ついたりはしなかったんですけど、でもその中でゆふぃすとさんは沈黙を貫いてくれたと言うか、こじらせたりしないでじっと見守ってくれてたから。

INMUSIC: 確かにゆふぃすとさんはずっとそのスタンスですよね。

ユフ: （脱退を前にした）今もそうなんです。内紛の時もゆふぃすとさん達がもっと荒れたら状況は変わったかもしれないけど、そうすると私も同じ気持ちでいるように映ってしまうこともあるじゃないですか。ゆふぃすとさん達は私が黙ってる時は一緒に黙ってくれててくれるし何をつぶやけばさりげなくRTしてくれる、みたいな。こう言う人に応援してもらえてよかったなって思ってます。

INMUSIC: ゆるキャラ界隈のことは？

ユフ: ゆるキャラは趣味だったので（笑）でも、こんなに色んな人が仲良くしてくれるとは思わなかった。最初の頃は本当に一人で全部やってたから。アポ取りとかも。「BiSです」って言ってもみんな知らないじゃないですか。それでもみなさん本当に良くしてくださって。取材の後もライブに来てくれたり...いい人達に巡りあえました。

INMUSIC: BiSの活動はユフさん性格やそれまでやってきたことと合ってるものでしたか？

ユフ: それは絶対合ってなかったと思いますよ。でも合ってないなりに合わせようとか。合ってないところをどう上手く使えばいいかを考えるきっかけになったかな。

INMUSIC: BiSのために自分自身を変えようと意識したことはありました？

ユフ: 変えようって気持ちがあったとしたらユケさんが辞めたタイミングかな。でも「変えよう」と言うよりは「変えずにどうやっていくか」を頑固に考えてたかもしれない。BiSで売れたいと思ってたけどBiSに飲まれないようにしようとも思ってて。一緒に頑張るけどそれで自分を見失なわないように、と言うか。全裸にならないとかもそうなんですけど、ここはできないけど他で頑張れることは？って意識しながら活動してたかも。

INMUSIC: その意味で言うとユフさんはBiSのバランスを取ってたと思いますよ。突っ走っていくBiSの中にユフさんみたいな反対側のポジションの人がいることもBiSが盛り上がった理由の一つなのかなと。

ユフ: ...分かんない。もしかしたら足を引っ張ってただけかも。ただプー・ルイさんや渡辺さんが目指してたところではお役に立てなかったかもしれないけど、私を応援してくれる人の中にはBiSの売り方だけじゃなく私のやってることやキャラクターを見てファンになってくれた人もいた気がするから、BiSの名前を広められるようにやってきたことはちょっとだけ結果になったのかな？と思ってて。

INMUSIC: BiSの活動は歌うのはもちろん、映画に出たり、歌詞を書いたり色んな活動があったと思うんですがその中でユフさんにとって一番やれてよかったと思うことは何でしょう？

ユフ: 遠征...？遠征に初めて行った時に東京のファンの人が遠征についてくるじゃないですか。あれにもすごくびっくりしたし向こうで見てくれる人がいることにもびっくりした。出待ちとか入り待ちとかにも「なんでまだいるの!?」ってイチイチびっくりしてた（笑）そう言うのはすごくありがたいなって思ってましたね。一人では行けない場所に行って色んな人に会えたし。

アンチが一番多かったメンバー、テラシマユフの人物像に迫る

INMUSIC: ユフさんは話を聞いている時に受ける印象と一般的なイメージに差があるように思うんです。ユフさんはファンも確かに多かったですが、たぶんこれまでのメンバーの中でアンチも一番多かったんじゃないかと。

ユフ: そうなんですよ。嫌われやすいんです。

INMUSIC: IDOL騒動の時は「BiSを乗っ取ろうとしてる」なんて話も出たりして。前の内紛の時の単独インタビューではそのギャップを埋めようとを一生懸命伝えたつもりだったんですが、今もあまり変わってないのかなって。

ユフ: なんでですかね。乗っ取ろうとしてるように見えたんですかね。

INMUSIC: 他の人に対する強いライバル心とか、時にはその人を蹴落としてまで自分が上がっていく...。それが普通だと思ってる人が多いと思うんですよ。特に芸能界的な所だと。なのにそれを表に出さないのは裏で何かやってるんじゃないか？って思われてしまうのでは。

ユフ: こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないんですけど順位とかにあまり執着してなくて...「GET YOU」のリリースイベントぐらいからそのことをすごく意識したと言うか。あの時はドロシーさんもBiSも頑張って「10位以内に」って言ってるその熱の中についていけてなくて...。自分もバタバタ倒れて全然パフォーマンスもできてなかった時期だから...こんな状態を見せてそれでもCD何枚も買ってもらうのが申し訳ないな、ってことをずっと考えてたり。「こんなにボロボロになってるんだからせめて結果ぐらいは...」って思った人もいたと思うんですけど私はとにかく申し訳なくて...。あとちょうど辞めるかどうかを悩んでた時期でもあったので友達に相談したら「BiSだったらこの先国技館よりももっと大きなことができるかもしれないけどそれでいいの？」って言われたんですけど、逆に言うとその時の私にはそれくらいしかなかったんですよね。BiSにつなぎ止めてるものが。もちろん売れたいしこの仕事も長くやっていきたいけど、自分には言っているほど情熱がないのかな？って思っちゃったり...。

INMUSIC: それってユフさんが地下ドルとして活動してた頃から思っていたことですか？

ユフ: いや、その時の方がもっと上に行きたいって思っててました。楽しかったけど焦りもすごく感じてて。だからつばさのオーディションも受けてたんですけど...。もちろん大きい所でやれば気持ちいいし、国技館ワンマンもKAWAii!! MATSURiの東京体育館もすごく楽しかったんですけど、そこに行くまでに誰かが辞めなきゃいけないとか、他の人達を蹴落とすとかになっちゃうんだったら、ちょっと遠回りしてでもそうじゃない道から...って思っちゃったかな。

INMUSIC: BiSの場合は極端にそれをやったり、そのまま表に出すから見ている側も本人にもインパクトが強くなっちゃうんだと思うんですが、競争があると言うこと自体は理解できてますか？

ユフ: 理解はできるしAKBの総選挙もすごいと思うけどAKBみたいに人気のあって票が集められる子が表に出れますとか...でも、それとは違うところもあったから...。それが分かってて応援してくれてるゆふぃすとさんは大変だな、申し訳ないなって。

INMUSIC: おそらくどれだけ話したとしてもきっと「いや、でも本心は...」みたいに言われちゃうんでしょうね。きっと。

ユフ: そうなんですよ。でも、たぶん分かってくれる人は分かってくれるから...。

INMUSIC: その誤解されやすさについてはユフさんの自己完結型と言うか、自分で整理させて次に進んでいくっていう性格にもあるんじゃないかと思うんですが。

ユフ: 相談したり助けを求める相手がすごく限られてるから。そうじゃない人にはあまり表に出さないのがいけないのかな、って思うんですけど。

INMUSIC: その辺りは自分でも感じたりしてる？

ユフ: でも、そうしないと余計に誤解されちゃうこともあるじゃないですか。インタビューとかでも自分が衝動的にガーって喋っちゃってそれが記事になってから「アレはそんなつもりじゃなかったんだけど」みたいなことはちょっどどうかと思うし。ちゃんと自分で完結してから出さないとより多くの人に迷惑をかけたり、嫌な思いをさせると思うので、それはこう言うお仕事をするなら考えなきゃいけないことなのかな、って。やっぱり世の中に出るものだし、BiSを知ってる人はまだ限られてるから日本全国を敵に回すなんてことはないと思うけど研究員さんは絶対にその記事を読むじゃないですか。一番分かって欲しい人達は必ず読んでくれるからその人達に心配をかけたり余計な憶測をさせないようにしなくちゃいけないなって。

INMUSIC: でも、それって裏表ありませんか？衝動的に言ってしまったことで真意が伝わらないのとは逆に煮詰めすぎてしまったことで本意を歪めてしまうこともあるような気がするんですが。

ユフ: ...どう言ったらいいんだろう。一度出してしまったこと後から変えることはあると思うし私もすごくあるんだけど、もしも最初に出したものに不安があったり嫌な気持ちになってる人がいそうであれば、その人に対しては説明すべきだと思うんですよ。あの時はこうだったけど、今はこう思ってるからごめんね。もう大丈夫だよ、とか。でもインタビューやブログとかだったりすると自分の思いだけがポンポン出るから、そういう時はやっぱり慎重にならなきゃいけないんじゃないかなって。言えないこともあるし、言いたくないこともあるから...。

INMUSIC: ユフさんはあまり人の悪口を言ったりするのが好きじゃなさそうですよね。

ユフ: 親とか仲のいい友達とかには言うこともありますよ。でもBiSの中で何かがあった時にそれを表に出しちゃうと...BiSは一応アイドルだから、それを傷つけるようなことはしちゃいけないなって思うんですよね。

BiS研究員への想い

INMUSIC: ユフさんにとって研究員さんってどう言う人達でしたか？

ユフ: すごく好きですけど...どう言う人って？

INMUSIC: 地下ドルの活動をしている時からファンの人はいたと思うんですけど、あとイベントとかでも他のアイドルのファンを見るじゃないですか。そう言う人達とBiSを応援してくれてる研究員の人たちの違いと言うか。

ユフ: すごく不思議な人たちだなって。だってアイドル現場はいっぱいあるし、もっとかわいいグループもいるし。曲がかっこいいってすごく言ってもらえるけどそれならバンドもある訳だし...なんでBiSに？って思うことが結構多くて。あとなんでBiSを見続けてくれるのか？それは加入した頃から私にとってはずっと謎で。だってBiS応援するのは大変だし。色んなことあるから...。途中まで足を突っ込んじゃったから逃げられないって言うのはあるのかな。最後まで見なきゃみたいな。BiSを応援してくれる人ってBiSが全裸になったから好きとか、ケンカをしたから好きっていうんじゃないじゃないですか。色んなことがあっても頑張ってくれるBiSが好きだって言ってくれる人だから。知るきっかけとして色んなプロモーションがあったけどBiSに魅力を感じてくれるのがそこだけじゃない人が多いからから、残って見てくれてる人って。だから...ファンだけど、戦友みたいな感じです。

INMUSIC: 研究員さんはBiSと一緒に歩んでる感じがするんです。BiSの中で起きることに研究員さんたちも同じように痛みを感じたり苦しい思いをしてるから大人な対応ができたり、冷静でいられたり、事件が起きても戻ってきてくれる人たちなのかな、って。

ユフ: すごいそれは思うんです。私はゆふぃすとさんと一番喋ったり絡んできたからその人たちを見ててすごい思うのは本当に優しいんだなぁって。でも一番キツい時とかそろそろヤバいなって時は何かしらアクションを起こしてくれるじゃないですか。色んな事を共有してるから分かってくれるのかな？ってすごい思って。...でもそれっていいのかな？ってちょっと思うんですよ。追体験とか一緒に体験できるのは貴重だしありがたいけど、ここ半年ぐらい私は心配しかかけてなかったから...分かってくれる人だからこそちゃんとできないと、体調も気持ちも整えてやれないとみんな巻き込んじゃうのかな？って思ってて。

INMUSIC: みんな、って言うのは？

ユフ: 応援してくれる人...。例えば24時間イベントとかの感じはすごく幸せな一体感じゃないですか。ああ言う一体感なら研究員さんとBiSの関係ってすごくいいと思うんです。楽しいこととかやり切った達成感を目の前で共有できるからすごくプラスに働くんですけど、内紛以降のような感じだと近すぎるからお互いに辛くなっちゃうって言うのを感じてて...。私は一応アイドルとして仕事するならあんまり人を辛くさせるのは違うんじゃないかな、って思って。だから一回自分を立て直すためにも離れた方がいいかなって。もちろんBiSから離れた私についてきてくれるかどうかは分からないけど、もしあと1年ぐらいBiSを続けたとしてその間ずっと「今日もゆふちゃん倒れた」みたいなことが続くのは何のために応援してもらってるのか分からないから...。

テラシマユフからラストメッセージ

INMUSIC: ではユフさんからメンバー、スタッフ・関係者、あと研究員さんたちへのメッセージをお願いします。

ユフ: メンバーにはただただ今後も頑張ってください。お騒がせしてすみません。渡辺さんや関係者の人にもお世話になったのに途中で辞めて迷惑かけてしまって申し訳ないです。またご縁があったらよろしくお願いします、と。研究員さんへはとりあえず26日まで楽しみましょう。ゆふぃすとの方へは...BiSが終わってもつながりましょうって書いてください（笑）前にOTOTOYさんのインタビューで「辞めたら、研究員さんと会いたくない」って言ったのが使われてて...確かにそうは言ったんですけど、上手く伝わってなかったみたいで。その時は「芸能活動＝BiS」みたいに思っていたので「芸能人でなくなったら研究員さんに会いたくない」って意味だったんですね。アイドルじゃなくなって...例えば街でスーパーで買い出ししてた時に研究員さんとかに会っちゃったら「アイドルとして追っかけてた子が特売品買ってるよ」みたいな姿を見られたら切ないかな、と思って（笑）そうはならずに終わりたいなって。この後自分が何かをやるってことになっても。追っかけてもらっているうちは「アイドルとファン」の関係で会いたいし、そうじゃなくなったらよっぽどのことがない限りは...って言う気持ちだったんですよね。応援してもらってたままで終わりたいし...そう言うつもりで言ったんですけど、「ゆふちゃんBiS辞めたらもう俺達なんかに会いたくないって」みたいな感じになっちゃった人がいるから「そう言う意味じゃないです」って言うことを改めてここで伝えておきます。