ルポ:国立デザイン美術館 日本らしさ保存を 三宅さんら「つくる会」、アイデア発表

毎日新聞 2013年06月20日 東京夕刊

 「国立デザイン美術館」設立を求める動きが本格化している。中心は世界的デザイナーの三宅一生さん(75)と国立西洋美術館館長の青柳正規さん(68)が結成した「国立デザイン美術館をつくる会」。アイデアを募ると共にサポーターを募集。国に対して積極的に働きかけていく考えだ。

 三宅さんは2003年にデザイン美術館の設立を呼び掛ける文章を朝日新聞に寄稿。これがきっかけで07年、三宅さんらがディレクターを務める「21_21 DESIGN SIGHT」が東京・六本に開設された。21_21を拠点に企画展を開催する中で、国内のデザイン作品を系統立てて収集・保存する「アーカイブ」の重要性を痛感。昨年9月、思いを同じくする青柳館長と「つくる会」を設立した。

 昨年11月、都内で行われたシンポジウムで三宅さんは「戦後の日本は多くの優れたデザインを生み出した。東日本大震災以降、日本は『沈みゆく太陽』と言われているが、私たちにはデザインという知的財産がある」と指摘。「独自のアーカイブづくりは過去と現在、未来をつなぎ、社会を活気づける」と呼び掛けた。プロダクトデザイナーの深澤直人さんやグラフィックデザイナーの佐藤卓さんらも登壇し、活発な意見が交わされた。

 今年4月下旬、仙台で開催された第2回シンポでは「こんなデザイン美術館をつくりたい」をテーマに、専門家や市民から寄せられたアイデアが発表された。地方を巡回する移動型美術館▽教育機能の充実▽資金提供を一般に呼び掛けるクラウドファンディングの利用−−など多彩な意見が挙がった。「日本独自の色をデータベース化すべきだ」という指摘も説得力があった。

 興味深かったのは既存の施設を結んで活用する「ネットワーク型」の提案が目立ち、建物を新築する「ハコモノ型」は少なかったことだ。進行役を務めた五十嵐太郎・東北大教授(建築史)は「派手なモニュメントは求めない時代の空気を感じる」と分析した。

 今後の活動について青柳さんは、夏までに議員連盟をつくり「予算獲得に力を尽くす」と説明。「最短5年はかかる」と見る。「国の財政が厳しい中、実現には多くの国民の賛同が必要。粘り強く活動したい」。理解を深めてもらうため、引き続きシンポの開催やデザイン美術館をテーマにした展覧会を計画している。【永田晶子】

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