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発明の名称 廃水処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2005−87789(P2005−87789A)
公開日 平成17年4月7日(2005.4.7)
出願番号 特願2003−321269(P2003−321269)
出願日 平成15年9月12日(2003.9.12)
代理人
発明者 松本 和彦
要約 課題
非生分解性の水分散性ポリマー含有廃水を効果的に分解して環境負荷を低減する手段を提供すること。さらには、廃水基準を満たすレベルまで環境負荷を低減する手段を提供すること。

解決手段
水分散性ポリマーを含有する廃水に電解質を添加し、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理することを特徴とする廃水処理方法。さらに電解処理水に生分解処理を施す2段階廃水処理方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
水分散性ポリマーを含有する廃水を、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理することを特徴とする廃水処理方法。
【請求項2】
水分散性ポリマーを含有する廃水に電解質を添加し、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理することを特徴とする廃水処理方法。
【請求項3】
廃水に添加する電解質が解離して塩素イオン又は次亜塩素酸イオンを放出する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の廃水処理方法。
【請求項4】
水分散性ポリマーを含有する廃水が、塗装工程から生じる塗装廃液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃水処理方法。
【請求項5】
水分散性ポリマーを含有する廃水が、有機高分子系感光材料及び銀塩写真感光材料の製造・使用工程で排出される水分散性ラテックスポリマーを含む廃液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃水処理方法。
【請求項6】
電解処理を行なった後さらに生物処理を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の廃水処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は産業廃水の処理方法に関するもので、より具体的には生分解が困難なラテックス粒子を分散状態で含有する各種の廃水、特に塗装廃液、感光性有機高分子材料の製造・使用工程の廃液、写真感光材料の製造工程廃水の浄化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に有害な揮発性の有機溶剤を実質的に用いることなく、塗布によって耐水性のポリマー皮膜を形成できる水溶性ラテックスなどの水分散性ポリマーは、水性塗料として、またフォトレジストやその他の有機高分子系感光材料の感光層形成成分として、或いは銀塩写真感光材料の構成層の添加剤として、使用量が増加している。これらの水性分散液を使用した後の廃液は、有機溶剤を殆ど含まないとは言っても、ポリマー分散液であって生分解性に乏しく、また易分解生化合物に変化させることも困難であり、実際的な廃水処理手段が欠如している。
【0003】
従来、塗装工場等から排出される塗装廃水は、塗装廃水に先ず凝集剤を添加して塗装廃水中に含まれる塗料などを凝集分離(浮遊又は沈殿)させて除去し、次いで、必要に応じてこの凝集分離処理水を好気下に生物処理する方法が一般的に行なわれている。これらの処理によって分離除去された沈殿物などのスラッジは産業廃棄物として処理されるが、沈澱物の分離用のフィルターの目詰まりが多く、凝集剤の使用分だけスラッジ量が多くなり、さらにその焼却処理では多くのエネルギーを必要とするため、地球温暖化の点から問題があった。
また上記処理方法では、塗装廃液中に含まれるアミンやメラミンなどの低分子量成分(分子量約1000以下)を分離除去あるいは分解することが困難であった。
この問題点を解決するために、この種の廃水の処理に電気分解を利用することが提案されている。しかしながら、電気分解には陽極にアルミニウム電極を用いるので、アルミニウム電極が電気分解の過程で消耗してしまうために、極板の交換作業が必要となる。また、廃水の種類によっては、電極板にスラッジが付着したり、電気分解槽に沈殿物が発生したりして、廃水処理効率を低下させることとなっていた。そしてそのために、結局は人手による電気分解槽の清掃、装置のメンテナンス作業の増大、操作コストの点で必ずしも満足なものではない。
【0004】
その解決のために、特許文献1では、電気分解槽などへのスラッジの付着、沈殿物の発生、それらに起因する廃水処理効率の低下を抑止できる向流複数群の電極配置を採用した電解処理方法を開示している。しかしながら、この開示技術の効果は認められるが、アルミニウム電極の使用に伴う不溶解性沈澱による分解不完全や電解槽汚染などの満足な解決手段とはなっていない。
電解処理に伴う上記欠陥を解決するために、特許文献2では、電機分解処理したメラミンなどの含有廃水をさらに生物処理する方法が提示されている。この方法は、生物処理との組合せによって分解率は向上するが、なお下水道条例に係る一般排水基準を満たすには不十分なレベルである。
特許文献3には、電解処理の際に電極を導電性セラミックとして被処理物の分解率が向上することを開示している。
上記したように、耐水性のポリマー皮膜を形成できる水溶性ラテックスなどの水分散性ポリマーを含有する廃水の処理に対して電解処理の導入を含めて多大の技術開発が行なわれてきたが、なお、この種のCODが高く、浮遊物が分解されず、かつ生分解され難い廃水を、環境にインパクトを与えないレベルまで処理するには,困難が伴う状況にある。
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次ぎの文献がある。
【特許文献1】特開2002−18444号公報
【特許文献2】特開2003−181458号公報
【特許文献3】特開平11−114307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した背景から行なわれたものであって、したがって、本発明の目的は、非生分解性の水分散性ラテックスポリマー含有廃水を効果的に分解して環境負荷を低減する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的の達成手段を探索する過程で、電解質の存在下、ダイヤモンドを陽極に用いて廃液に電解を施すと顕著に分解率が向上することを見出し、この発見に基づいてさらに検討を加えて下記の本発明に到達することができた。
【0007】
(1)水分散性ポリマーを含有する廃水を、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理することを特徴とする廃水処理方法。
(2)水分散性ポリマーを含有する廃水に電解質を添加し、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理することを特徴とする廃水処理方法。
(3)廃水に添加する電解質が解離して塩素イオン又は次亜塩素酸イオンを放出する化合物であることを特徴とする上記(2)に記載の廃水処理方法。
(4)水分散性ポリマーを含有する廃水が、塗装工程から生じる塗装廃液であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の廃水処理方法。
(5)水分散性ポリマーを含有する廃水が、有機高分子系感光材料及び銀塩写真感光材料の製造・使用工程で排出される水分散性ラテックスポリマーを含む廃液であることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の廃水処理方法。
(6)電解処理を行なった後さらに生物処理を施すことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の廃水処理方法。
【0008】
本発明の廃水処理方法の特徴は、廃水への電解質の添加と導電性ダイヤモンド電極の陽極としての使用とを組み合せて水分散性ポリマー含有廃水の電解処理を行なったことであり、この組み合わせ処理によって、廃水中への不溶解性沈澱の生成が抑止され、顕著に分解率が向上して環境負荷を低減することが可能となることである。
電解質は、水中で解離して電導度を高めるイオン解離性の化合物を指しているが、この中でも塩素化合物及び次亜塩素酸化合物が有効である。電解質の効果は、イオン解離によって溶液抵抗が減少することが電解効率を高め、さらに後者の塩素化合物や次亜塩素酸化合物が酸化触媒としても寄与しているものと推定される。
この電解質・ダイヤモンド陽極の組み合せ電解処理によって非生分解性化合物は極めて低レベルまで低減され、実質的に生分解可能レベルに至るが、さらに電解処理の後に生分解処理、特に活性汚泥処理を行なうことにより、下水道条例に係る一般排水基準を満たすレベルまで浄化されて、下水道利用が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
廃水への電解質の添加と導電性ダイヤモンド電極の陽極としての使用とを組み合せることによる、本発明の水分散性ポリマーを含有する廃水の処理方法によって、ポリマー由来の沈澱生成が抑止され、廃水を効果的に分解して環境負荷を低減できる。さらに電解処理後に生分解処理を行なうことによって一般排水基準を満たすレベルまで浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに具体的に詳述する。
本発明の廃液処理方法の対象である水分散生ポリマーを含有する廃水は、塗布によって耐水性のポリマー皮膜を形成できる水溶性ラテックスを含有する水性塗料、フォトレジストやその他の有機高分子系感光材料の感光層形成成分、或いは銀塩写真感光材料の構成層の添加剤などに由来する製造廃液や洗浄廃水である。
【0011】
塗装廃水には、例えば各種塗装ラインや鈑金工場における塗装ブース水や、塗料製造時の工業廃水、水溶性塗料廃棄物などが挙げられる。フォトレジストやその他の有機高分子系感光材料の感光層形成層に由来する廃液は、高密度集積回路や印刷配線回路の製作などのマイクロファブリケーション過程で生じる水溶性有機高分子を溶解状態及び分散状態で含む現像(レジスト現像)廃液や水洗廃水であり、銀塩写真感光材料の製造過程では、感光層用の水分散塗布液で、水溶性ラテックスポリマー分散物や親水性高分子化合物などが低分子量有機、無機化合物と共に含まれた廃水である。これらの廃水は、前記したようにCODが高く、浮遊物が分解されず、かつ生分解され難い点で共通の課題を抱えており、以下化の本発明の具体的態様が適用される。
これらの廃水は、通常、沈殿物 1〜1000g/リットル、CODMn 1,000〜50,000mg/リットル、TOC 1,000〜50,000mg/リットル、BOD 1,000〜50,000mg/リットル、TN 30〜10,000mg/リットル、有機溶剤1〜10,000mg/リットルを含有する。ここで、CODMnは化学的酸素要求量、TOCは全有機体炭素量、BODは生化学的酸素要求量、TNとは全窒素量を夫々意味する。有機溶剤としては、例えば水溶性のエーテル系又はアルコール系の溶剤が挙げられる。
【0012】
[電解酸化処理]
本発明の方法による水分散性ポリマー含有廃水の電解酸化処理について述べる。
<電解質の添加>
本発明では、導電性ダイヤモンド陽極の使用とともに電解質を被処理液に存在させることが発明の要諦となっている。
本発明における電解質は、一般的な通念の電解質であり、水中で解離して電導度を高めるイオン解離性の化合物を指していて、いずれの電解質であってもよい。好ましい電解質は、入手し易さや安全性の面からアルカリ金属、アルカリ土類金属及び周期律表のIII族金属元素のハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫酸塩、過硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩(重炭酸塩も含む)、蓚酸塩、リン酸塩(第1,第2及び第3リン酸塩)が挙げられる。より好ましい化合物としては、アルカリ金属のハロゲン化物及び硫酸塩であり、中でもアルカリ金属の塩化物及び硫酸塩が最も好ましい。最も好ましい化合物は、イオン解離したアニオンとそれが電解酸化された酸化型との間で(次亜ハロゲン酸イオンの場合はアニオンとその還元型との間で)廃水中のCOD負荷物質の酸化に対する電子授受メディエーターとして作用することが考えられる。
電解質の添加量は、廃水1リットル当たり0.01〜10mol/Lが好ましく、より好ましくは0.1〜1mol/Lである。
【0013】
<陽極>
本発明では、導電性ダイヤモンドを陽極用電極物質として使用することを特徴の一つとしており、これによって水分散性ポリマー含有廃液の電気分解を効率良く行なえる。本発明において"導電性ダイヤモンド電極”とは1MΩcm未満の電気抵抗率を有するダイヤモンド電極を意味するが、誤解の恐れのない限り“導電性”を省略して記すこともある。
本発明の電極物質であるダイヤモンドは、粉末ダイヤモンドを基体であるチタン、ニオブ、タンタル、シリコン、カーボン、ニッケル、タングステンカーバイド等の板、打抜き板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等の表面に後述の方法により被覆して構成してもよく、また板状のダイヤモンドをそのまま電極として使用しても良いが、コスト面から前者を採用することが望ましい。前者におけるダイヤモンド被覆層を本明細書では、ダイヤモンド層と記す。又密着性の確保と基体の保護とを目的として基体とダイヤモンド層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層の材質としては基体を構成する金属の炭化物や酸化物が使用できる。基体表面は密着性と反応面積増大に寄与するため研磨しても良いし、逆に粗にしてもよい。又電極物質としてダイヤモンド以外に少量の他の電極物質を含有していても良い。基体はダイヤモンドの集電体としても機能し、ダイヤモンド板を使用する場合には、別に集電体を用意してダイヤモンド電極への給電を行う必要がある。
【0014】
ダイヤモンド層の基体表面への形成方法としては、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法、PVD法などが開発されている。次に代表的な熱フィラメントCVD法について説明する。炭素源となるアルコールなどの有機化合物を水素ガス中等の還元雰囲気に保ち、炭素ラジカルが生成する温度1800〜2400 ℃に維持する。このとき電極基体を、ダイヤモンドが析出する別の温度(750 〜950 ℃)領域に設置する。水素に対する好ましい有機化合物ガス濃度は0.1 〜10容量%、供給速度は反応容器の寸法にも依るが0.01〜10リットル/分、圧力は15〜760 mmHgである。ダイヤモンド微細粒子は通常0.01〜5μm程度の粒径を有し、本発明では前記条件により前記基体上にダイヤモンド粉末を蒸着させて、厚さ0.1 〜50μm好ましくは1〜10μmの厚さのダイヤモンド層とする。この厚さは基体への電解液の浸入を防ぐために好適な厚さである。生成するダイヤモンド層に良好な導電性を付与するためには原子価の異なる元素を微量添加(ドーピング)することが必要で、例えばリンや硼素を1〜100000ppm 、好ましくは100 〜10000ppm 程度含有させる。この添加物の原料化合物としては毒性の少ない酸化硼素や五酸化二リンなどが好ましい。
【0015】
十分な電導性を付与するためのドーピングには、プラズマ増強CVD(PECVD)ダイヤモンド蒸着法を利用することが好ましい。ドーピングされた電極の製作方法の詳細は、例えば、Ramesham, Thin Solid Films ,229巻 (1993) 44〜50頁に記載されている。PECVDダイヤモンド層は、マイクロ波プラズマにより活性化したメタン及び水素ガスの混合物から製造したホウ素ドーピング化多結晶質ダイヤモンドである。この方法によるダイヤモンド層の蒸着は当業者によく理解されている(例えば、Klages, Appl.Phys. A56巻 (1993) 、513〜526頁を参照)。
【0016】
熱フィラメントCVD(HFCVD)法(Klages, Appl.Phys. A56巻 (1993) 513〜526頁 を参照)により製造したダイヤモンド層は、 Advanced Technology Materials.Inc., 7 Commerce Drive, Danbury,CT 06810、米国から市販されている。
ダイヤモンド電極の製法としては、特開平8−225395号公報段落0007に記載されている真空チャンバー内での化学蒸着法も好ましい。
【0017】
導電性ダイヤモンド電極材料の最も重要な性質の1つは電気伝導性である。十分な電導性がなければ、目的とする電解を進めるのに必要な電圧が過度となり、経済的に実行不可能になる。ドーピングを施さないダイヤモンド電極は、ドーピング剤不純物が存在しないために大きなバンドギャップ(5.5eV) を有し、むしろ絶縁体に近い。陽極の説明において前記したように、ドーピング剤不純物、例えば、ホウ素を適切なレベルで取り込むことにより、合成ダイヤモンド粒子及びダイヤモンド層の電導性を調整することができる。ダイヤモンドに電導性を付与するために用いられるドーピング剤の種類は、前記のホウ素に限らず、例えば、米国特許第5,162,886号に記載されているような他の元素、例えば、リチウム、ベリリウム、窒素、リン、イオウ、塩素、ヒ素及びセレンを含むことができる。中でも、ホウ素のドーピングは、20mΩcm未満の抵抗率を作り出すために好ましい。ドーピング化ダイヤモンドにおける、一般的に好ましいホウ素濃度は、100〜10000mg/Lである。
【0018】
好ましい電極は、100Ωcm未満の抵抗率、及び100mA/cm2 の電流密度で電圧降下は1V未満となる厚さのダイヤモンド層を有する電極である。このような電極であれば、適当な電流密度で、抵抗加熱から生じる電力損が僅かな状態で機能する。最も好ましい電極は、0.1Ωcm未満の抵抗率を有し、電流密度1A/cm2 で、電極での電圧降下が0.1V未満となるような厚さを有する電極である。
【0019】
<陰極>
陰極としては、電解の休止期間中に腐食を起こさないよう十分の耐蝕性と通電性を持つものならいずれの材料でも良く、例えば炭素電極や種々の金属電極などが使用可能である。中でもステンレスが好ましく、白金、ダイヤモンド、銀も好ましい。陰極・陽極を対にした形、陰極を両側から陽極が挟むサンドイッチ構造の形、あるいは陰極と陽極とを交互に配した多数枚配列構造などの適切な形が選択される。陰極の形状は、線状、棒状、板状などのいずれであってもよいが、板状及び棒状が好ましい。
【0020】
また、本発明の一態様として、陰極にも導電性ダイヤモンド電極を用いることができる。また、両極に導電性ダイヤモンド電極を用いる場合には、極性を反転させながら電解を行うことも電極を正常な状態に維持するために好ましい。すなわち、電解槽の陰極面上には、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの水酸化物等が付着するため、定期的なスケール除去が必要である。スケールの付着を防止するために、電極の極性をごく短時間反転する考案(特開平3?109988号、特開平5−4087、特開平6−63558等)が報告されている。これらの方法を用いると、電解槽の陰極面上に付着物を、電極の極性を逆転させることによりつまり前記水酸化物等の付着面を陽分極させることによりカルシウムイオン及びマグネシウムイオンとして被処理水中に再溶解させて電極から除去しながら電解反応が可能である。反転の間隔と時間は、両極の形状が同じであれば、格別の規定は不要である。
【0021】
<電解槽の構造>
本発明においては、電解槽の構造は公知の各種の構成で用いることができる。すなわち、単一室セルであってもよく、又は陽極と陰極が膜で仕切られた分割セルであってもよい。最も簡単な実施態様は、単一室セルである。単一室セルでは、陽極と陰極を隔てるバリヤーがなく、したがって溶質は陽極と陰極間を移動するのに制限を受けない。
【0022】
2室セルにおいては、イオン交換膜、ミクロろ過膜、半透膜、多孔性膜、などの通電性隔膜を陽極と陰極の間に挿入し、この隔膜はあるタイプのイオン種のみを陽極液から陰極液へ又はその逆方向へ通過させることができる。膜の機能は、陽極液と陰極液が混合することなく電気的中性を保持することである。また、適当な膜を用いれば、その膜を通過して移動するイオンの性質を制御することができる。
【0023】
しかしながら、2室セルにおいては、膜の耐久性が限られているので、ファウリングを生じないように適切に交換するなどの管理が必要である。
【0024】
単一室セル及び2室セルの使用についての先の記載が与えられた場合、簡易という立場は、単一室セルの使用が好ましい。しかしながら、隔膜の適切な管理とプロセス管理が可能ならば、より好ましい形態は2室セルである。
【0025】
本発明における電解酸化は、バッチ方式、再循環方式、連続方式のいずれの方式を用いても良く、廃液処理の規模や処理の程度に応じて、適宜最も都合がよい方式を選択できる。
【0026】
好ましい電極間間隙は、0.1mm〜50mmの範囲内であり、最も好ましい状態は電極間間隙が0.5mm〜20mmの範囲内にある。
【0027】
本発明における水分散性ポリマー含有廃液の電解酸化は、電流密度が1mA/cm2〜10A/cm2、流速/セル体積比が0.001〜1000であり、電極表面積が顕微鏡により測定した幾何学的電極表面と等しいか、又はそれより大きく、とくに幾何学的電極表面の1〜5倍の表面積であることが好ましい。しかしながら、さらに好ましい状態は、電流密度が20mA/cm2〜2A/cm2 の範囲であり、流速/セル体積比が0.01〜50であり、本発明の最良形態は、電流密度が50mA/cm2 〜800mA/cm2 であり、流速/セル体積比が1〜20の範囲であり、電極表面積が、顕微鏡で測定した幾何学的電極面積の少なくとも2倍の場合である。
【0028】
[生物処理]
本発明では、水分散性ポリマー含有廃水を導電性ダイヤモンド電極を陽極とする電解装置で電解した後、さらに生物処理を施すことによってさらに発明の効果を高めることができる。以下、生物処理について説明する。
【0029】
<廃液の希釈>
電解酸化処理が施された廃液は、微生物の生育に適した濃度へ希釈が行われる。好ましい希釈倍率は、COD負荷物質の濃度にもよるが、本発明の方法による電解酸化処理済み廃水の最も一般的な場合であるCODが1000〜3000程度の廃水の場合は、5〜100倍、より好ましくは5〜30倍の希釈倍率の希釈が施された後、生物処理される。また、希釈は 電解酸化処理を施した後が好ましいが、希釈してから電解酸化処理を施すことも可能である。
いずれにしても、通常汎用の生分解処理では、一般的には30〜200倍程度の希釈が必要であるが、本発明の方法では、低希釈の廃液でも生物処理が効果的に進行してCODが減少する。
なお、希釈倍率は、[(希釈後の被処理液の容積)/(原被処理液)]の容積を指す。
【0030】
<廃液のpH調製>
電解酸化処理が施された廃液は、酸あるいはアルカリを加えることで、微生物の生育に適したpHに調製される。微生物の生育に適したpHは、その微生物によって異なるが、通常、5.0〜9.0の範囲であり、6.5〜7.5が好ましい。
pHは、微生物に供される前に、pHを調製されてもよいし、生物処理槽に電解液を供した後に、pHを調製しても良い。生物処理中にもpHが変動する場合は、自動調整装置と連動させながら処理することが好ましい。
【0031】
<生物処理の形態>
生物処理の方法としては、汎用公知の好気性生物処理を適用できる。すなわち、一般的な活性汚泥法のほか、ラグーン法、散水濾床法、回転円板法等、好気性微生物を非処理液に含有させて曝気あるいは空気や酸素に接触させる方法であれば本発明の生物処理に用いることができる。現像所において廃液処理を行うには、廃液流入系と汚泥の分離・返送系と処理済み廃液排出系を備えた曝気槽からなるコンパクトなバイオリアクターが好ましい。これらの生物処理のより具体的方法については「廃水処理プロセス、設計理論と実験法」W.W.エッケンフェルダー、D.L.フォード著、松井三郎訳 技報堂出版および「生物学的水処理技術と装置」、化学工学協会編、培風館に記載されている。
本発明に特に好ましい生物処理方法は、微生物を担体に 担持・固定化させた形態で行う処理方法である。固定化処理の中でも、包括処理が特に好ましい。担持・固定化処理は、微生物濃度を高めることができて、かつ微生物の流出を防止できるので、処理槽の容積当たりの処理能力が高められるので、好都合である。
【0032】
・担持・固定化方法
本発明の微生物固定化担体の製造方法において、微生物の 担持・固定化方法としては、担体から生分解菌が流出しないように固定される方法ならばその種類、形式を問わない。具体的な 担持・固定化法としては、例えば、微生物が付着して生物膜を形成するような担体を用いる付着生物膜法、担体と培地を混合して微生物を培養する担持培養法、水不溶性の担体に微生物を結合させる担体結合法、減圧下で担体の孔隙内に微生物を封入する方法、2個以上の官能基を持つ試薬によって菌体内に架橋を形成させて固定化する方法、微生物を高分子のゲル内部や皮膜などに閉じ込める包括固定化法、さらに結合手段により共有結合法、物理的吸着法、イオン結合法及び生化学的特異結合法などと分類される担体結合法が知られているが、本発明には、これらの公知の方法を用いることができる。中でも、付着生物膜法及び包括固定化法が好ましく,とりわけ包括固定化法が優れている。
【0033】
付着微生物膜法の特徴は、微生物を高濃度化することができ、処理効率を向上させることができる。また、通常は系外に洗い出されてしまうような増殖速度が遅い菌を系内に留めることができる。また、微生物が安定して棲息できる状態に保てることも特徴としてあげられる。
【0034】
包括固定化法の特徴は、菌体を高濃度に保持できるため、処理効率を向上させることができ、増殖の遅い菌を固定化できる。また、pH、温度等の条件変化に対する耐性が広く、高負荷状態にも耐えることができる。包括固定化法としては、アクリルアミド法、寒天−アクリルアミド法、PVA−ホウ酸法、PVA−冷凍法、光硬化性樹脂法、アクリル系合成高分子樹脂法、ポリアクリル酸ソーダ法、アルギン酸ナトリウム法、K−カラギーナン法等、微生物を閉じ込めることができ、系の中で微生物の活性を維持しつつ、物理的強度が大きく長時間の使用に耐え得るものならば種類を問わない。
【0035】
包括固定化法の代表例としてアクリルアミド法を用いた微生物固定化ゲルの調製法について説明する。固定化ゲルは、架橋剤(例えば、N,N'−メチレンビスアクリルアミド)を含有したアクリルアミドモノマー溶液と細菌(MLSS 20,000mg/L程度の濃縮菌体)とを懸濁し、重合促進剤(例えば、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)、重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)を添加し、3mm径の塩化ビニル製チューブ等の成型形に入れ、20℃で重合し、重合終了後、成型形から押し出し、一定の長さに切断して得られる。固定化ゲルの表面の細孔は、細菌より小さいため、包括固定化した細菌はリークしにくく、内部で増殖し、自己分解する。廃液中の汚染成分のみが細孔よりゲル内部に入り込み、内部の細菌により処理される。
【0036】
これらの固定化法のより具体的な方法については、「生物触媒としての微生物」100頁、福井三郎著(共立出版、1979),「微生物固定化法による排水処理」須藤隆一編著(産業用水調査会)、稲森悠平の「生物膜法による排水処理の高度・効率化の動向」,水質汚濁研究, 13巻,9号(1990),563−574頁、稲森悠平らの「高度水処理技術開発の動向・課題・展望」,用水と廃水, 34巻,10号(1992),829−835頁 などに記載されている。
【0037】
・微生物担持用担体
次ぎに、微生物担持用担体について説明する。
微生物担持用担体としては、微生物の活性を維持しつつ、物理的強度が大きく長時間の使用に耐え得るものならば、いずれの公知材料をも使用できるが、有用微生物の効果的な担持という点から、担体表面に微生物が強く吸着するもの、微生物を微小孔隙中へ侵入させることにより保持力を高めることができるような多孔性のもの、ミクロ粒子が凝集して実質的に吸着あるいは吸蔵表面を増大させたものが望ましい。
また、膨潤性の担体材料は、微生物が利用できる空間が広い点では、好ましい材料ではあるが、微生物を 担持・固定化した後、長期に亘って安定に使用するためには、物理的な強度が必要であり、その点では非膨潤性の担体材料を用いることが好ましい。非膨潤性であっても後述するようなサイズ効果や形状効果を利用して利用空間を維持させることができる。
また、被処理水と担体とが激しく相対運動する微生物処理環境においては、担体の物理的強度が特に重要であり、さらに活性汚泥槽のように担持担体が流動する流動床の場合には、比重の制御ができることが必要で、シリカなどの比重制御剤を用いて比重値を約1.1程度に調整するので、この点からも物理的強度が大きいことが好ましい。
【0038】
これらの理由から、本発明に好ましい担持用担体としては、具体的には、セルロース、デキストラン、アガロースのような多糖類;コラーゲン、ゼラチン、アルブミンなどの不活化蛋白質;イオン交換樹脂、ポリビニルクロライドのような合成高分子化合物;セラミックスや多孔性ガラスなどの無機物;寒天、アルギン酸、カラギーナンなどの天然炭水化物;さらにはセルロースアセテート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、光硬化性樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなどがあげられる。また、リグニン、デンプン、キチン、キトサン、濾紙、木片等などの天然物も利用できる。
中でも、上記した好ましい要件に特に適合する材料としてポリプロピレン及びポリエチレンで代表されるポリオレフィン系の合成高分子化合物材料が好ましい。
これらの材料は、市販されており、例えばバイオステージ(ポリプロピレン製、筒中プラスチック工業(株)製)、ゼビオバイオチューブ(ポリエチレン製、ゼビオプラスト(株)製)などを挙げることが出来る。
【0039】
好ましい担体の形状としては、ほぼ球状、ほぼ立方体状、ほぼ直方体状、円筒状あるいはチューブ状であり、なかでも製造し易いほぼ球状、あるいは比面積を大きくできるほぼ直方体状又はチューブ状であることが好ましい。担体の製造方法としては、既知の任意の方法を用いることができる。例えば微生物と担体物質(又はその前駆体)の混合溶液を不溶解性液体中に滴下して液体中で液滴を固化させて微生物 担持担体粒子の分散物を作る方法、微生物と担体物質(又はその前駆体)の混合溶液を低温化、ゲル化剤や固化剤の添加などの方法で固化させた後、固化体を適当なサイズに裁断して微生物を 担持した直方体粒子を得る方法、微生物と担体物質(又はその前駆体)の混合溶液を押し出しノズルから不溶解性液体中に注入して液体中で固化させて微生物 担持担体の糸状の固化物を得てこれを適当に裁断して円筒状粒子を作る方法、またこのときの押し出し成形のダイを環状として円環状(チューブ状)の微生物 担持担体粒子を得る方法を挙げることができる。
【0040】
担体粒子の大きさは、外径0.1〜70mm、好ましくは0.5〜40mm、より好ましくは1.0〜10mmであり、粒子サイズが大きければ比面積が少なくなって非効率となり、小さいとすぐに分解・消滅して 担持体の意味をなさなくなる。したがって、適用対象に応じて好ましいサイズが選択される。
【0041】
・微生物
生物処理に用いる微生物に付いては、生物処理が微生物を固定化しない一般的な形態で行う場合も固定化してコンパクトな装置で行う場合も、本質的に同じであるので、ここでは方式に関係なく説明する。
本発明の方法では、一般的に難分解性である水分散性ポリマー含有廃水を電解処理下廃水を通常用いられている活性汚泥を用いて処理することができる。微生物は順化処理が行われるので、活性汚泥中の微生物の履歴・由来などは問わない。また、水分散性ポリマー含有廃水の発生する作業場の廃水貯留槽の沈澱を含む土壌や排水系の終末処理場の汚泥なども微生物の順養の好適な対象とすることができる。
【0042】
・栄養物
本発明において、微生物を 担持・固定化して用いる態様では、該微生物用の栄養物を供給してやることが、 担持・固定化される微生物の増殖を促進して速やかに該微生物が優先的に生育する環境が確立されるので、好ましい。また、廃水処理装置の稼動中に微生物の活性が低下した場合にも栄養物の供給により賦活してやることが好ましい。
栄養物としては、炭素、窒素、リンを含むものが好ましく、微生物の生育に適した培養液などが挙げられる。培養液としては、例えば、肉汁、酵母エキス、麦芽エキス、バクトペプトン、グルコース、無機塩類、ミネラルなどが適当な割合で混合したものが良く用いられているが、微生物の種類に応じて適当な配合比のものを選べば良い。また、本発明に用いる栄養物としては、上記の培養液以外にも有機、無機栄養物を適当に含むものであれば、どのようなものでも利用可能である。例えば、自然界より採取した、あるいは培養を加えた任意の微生物を乾燥、粉砕し、粉砕微粉体を栄養物として用いてもよい。
さらに、生分解菌として働く微生物を活性化する特定の共存微生物を用いることもできる。この共存微生物は、それ自身が生分解菌として働く微生物の栄養源となったり、その共存微生物が分泌する物質が生分解菌として働く微生物を活性化する成分を含んでいたりする。好ましい微生物としては、いわゆるEM菌として市販されている微生物混合体や光合成細菌が挙げられる。とりわけ、ロードシュードモナスキャプスラータ(Rhodepseudomonas capsulata)やチオバチルスデフィニトリカンス(Thiobacilluse definitricans)をはじめとする光合成細菌が好ましい。
【0043】
・その他の調整条件
微生物処理の温度は、微生物の活動に適した温度であることが必要で、3〜50℃、好ましくは10〜45℃、より好ましくは18〜40℃である。この温度に維持するためには、状況に応じて温水を撒布又は注入するなどの加温を行なってもよい。また、寒冷地などでは、熱伝導体をバイオリアクターに装備して熱源からの伝熱あるいは直接の通電によって加温することもできる。熱伝導体としては、金属、セラミックスなど熱を伝えることができる物質であれば材質は問わない。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
SBRラテックスを固形分として10%含む感光材料塗布液の廃水に、電解質としてNaClを5g/Lとなるように添加溶解し、ポリマー分散液廃水として用いた。
次いで、三井物産プラントより購入した陽極、陰極共にダイヤモンド電極装着の電解セルと廃水タンクを配管で繋ぎ、廃水を1L/minで循環しながら、10A/dm2の電流密度で電解した。
【0045】
(比較例1)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積のSUS316に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例1と同様に電解を行った。
【0046】
(比較例2)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積の白金蒸着チタン電極(田中貴金属工業より購入)に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例1と同様に電解を行った。
【0047】
(比較例3)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積の二酸化鉛電極((株) 昭和鉛鉄)に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例1と同様に電解を行った。
【0048】
いずれの電極の場合も、それぞれの電極面積は、70cm2であり、極間距離は15mm、廃液はスターラーで撹拌しながら、電流を7Aとして、15時間電解酸化処理を行った。
また、電極間の印加電圧は、各々、ステンレス電極対 3.5V、白金蒸着チタン電極対 5V、二酸化鉛電極対 4.5V、導電性ダイヤモンド電極対 6Vであった。
【0049】
上記電解後の被処理液を、水酸化ナトリウム粒でpH6.5に中和し、CODMn(JIS法(JIS K0102、工業排水試験方法)に定められているマンガン法)を、平沼全自動測定装置 COD−1500を用いて測定した。
【0050】
【表1】


【0051】
電解前後のCODMnは表1の通りであり、ダイヤモンド電極を用いることで、COD負荷成分を著しく低いレベルまで除去することができた。
【0052】
(実施例2)
家庭用水性ペイント(アクリルラテックス含有)を固形分濃度1%になるように希釈し、電解質としてNaClを5g/Lとなるように添加溶解した液を試料廃水として用い、実施例1と同じ条件で電解を行った。
電解後、スラッジを濾別し、ろ液を10倍に水希釈して、活性汚泥(MLSS(活性汚泥浮遊物)4500mg/リットル)にて、処理温度23℃、pH7.5、水理学的滞留時間(HRT)48時間の条件下で連続曝気して活性汚泥処理を行った。生成する酸を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、曝気槽内をpH6.6以下にならないように保った。活性汚泥処理装置は、市販の理化学試験用の恒温水槽の曝気装置などの付属機器を取りつけて用いた。馴養した活性汚泥を用いた生分解試験開始後2週間目の処理水を採取して生物処理試験後の廃水試料とした。
【0053】
使用した汚泥としては、都市下水端末処理場の返送汚泥を溶存酸素量(DO)を0.1〜3mg/Lに保つよう、空気を曝気槽にはpHコントローラー(東京理化製)を設け、硫酸または水酸化ナトリウムの添加により槽内のpHを8.5±0.1に保ちながら馴養した活性汚泥を用いた。栄養液と電解処理済み廃水との混合比は、9:1でスタートし、汚泥の状況を見ながら順次電解処理済み廃水の比率を増やして3週間の連続運転の後全量を電解処理済み廃水として得た。
得られた廃液のCOD(上記過マンガン酸法)、SS濁度を分析した。
KMnO4による酸素消費量(CODMn) はJIS K0102に準拠した方法で、平沼全自動測定装置 COD−1500を用いて行った。また、SS濁度は、セントラル科学製、SS濁度計ST.100を用いて行った。
【0054】
(比較例1)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積のSUS316に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例2と同様に電解及び生物処理を行い、得られた処理廃液のCOD測定を同様に行なった。
【0055】
(比較例2)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積の白金蒸着チタン電極に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例2と同様に電解及び生物処理を行い、得られた処理廃液のCOD測定を行なった。
【0056】
(比較例3)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積の二酸化鉛電極に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例2と同様に電解及び生物処理を行い、得られた処理廃液のCOD測定を行なった。
【0057】
処理前後のCODは下表2のようであり、ダイヤモンド電極を用いて電解処理することで、活性汚泥処理により効率よくCODが除去できることが分かる。
【0058】
【表2】


【0059】
(実施例3)
自動車用水性塗料(ポリエステル/メラミン硬化型、固形分15%)試料中の初期CODMn 6000mg/L、TOC 5500mg/L、TN 2000mg/Lであった。尚、CODMnは前述の方法で測定し、TOC、TNは島津製全有機体炭素計TOC−VCHとTN(全窒素)ユニットTNM−1を用いて測定した。
上記塗料を実施例2と同様の電解処理及び活性汚泥処理を行なった後、CODMn、TOC、TN、電気分解処理及び生物処理後に濾過分離された合計スラッジ量を測定した。
【0060】
(比較例1)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積のSUS316に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例3と同様に電解及び生物処理を行い、実施例3と同様の測定を行なった。
【0061】
(比較例2)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積の白金蒸着チタン電極に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例3と同様に電解及び生物処理を行い、上記同様の測定を行なった。
【0062】
(比較例3)
上記電解セルの電極を陽極陰極共に、同一面積の二酸化鉛電極に置き換えた電解セルを組み立てて、実施例3と同様に電解及び生物処理を行い、上記同様の測定を行なった。
【0063】
【表3】


【0064】
本発明方法によれば、塗装廃水処理によって生じるスラッジの量を低減させ、しかもメラミンなどの全窒素成分も容易に除去できることが、表3より明らかである。




 
 


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