茶殻由来の堆肥および堆肥化方法
- 【要約】
【課題】 茶殻から短時間で堆肥を製造する技術を提供する。
【解決手段】 茶殻からカテキン類を抽出除去し、カテキン類が除去された後の茶殻を用いて堆肥化を行う堆肥の製造方法。好ましい態様として、80〜90℃の純水を用いる複数回の抽出操作により茶殻からカテキン類を抽出除去する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶殻からカテキン類を抽出除去し、カテキン類が除去された後の茶殻を用いて堆肥化を行うことを特徴とする堆肥の製造方法。
【請求項2】 80〜90℃の純水を用いる複数回の抽出操作により茶殻からカテキン類を抽出除去することを特徴とする請求項1の堆肥の製造方法。
【請求項3】 少なくとも70%のカテキン類を抽出除去することを特徴とする請求項1または請求項2の堆肥の製造方法。
【請求項4】 カテキン類が除去された茶殻から得られることを特徴とする堆肥。
【請求項5】 カテキン類が除去された茶殻を含有することを特徴とする堆肥化原料。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物を再利用する技術分野に属し、特に、茶殻から堆肥を製造するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】茶は、古くから嗜好飲料として多くの人に愛好されており、近年は、各個人や家庭内などで茶を煎じて飲用に供するだけでなく、予め煎じた茶飲料が缶やペットボトルなどに充填されて広く市販されている。その結果、多量の使用済み茶葉(茶殻)が発生し、その処理が問題視されるようになった。
【0003】当初は単に廃棄されていた茶殻も、最近は、堆肥の原料の1つとして再利用されるようになっている。茶殻から製造される堆肥は、良質の肥料として、例えば、いちごの栽培等に使用されているが、この茶殻由来の堆肥は堆肥化するのに時間がかかるのが難点であり、茶殻の一層の有効利用を図るためには、短時間で堆肥化することのできる技術が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、検討を重ねた結果、使用済みの茶葉(茶殻)から更にカテキン類を除去したものを堆肥化原料として用いることにより、通常の茶殻をそのまま使用する場合に比べて、堆肥化が著しく促進されることを発見し、本発明を導き出した。
【0005】かくして、本発明は、茶殻からカテキン類を抽出除去し、カテキン類が除去された後の茶殻を用いて堆肥化を行うことから成る堆肥の製造方法を提供するものである。また、本発明は、別の態様として、上記のごとき方法によって製造される堆肥、すなわち、カテキン類が除去された茶殻から得られる堆肥を提供する。本発明は、さらに別の態様として、上記のごとき堆肥の製造方法に使用される、カテキン類が除去された茶殻を含有する堆肥化原料を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に従えば、カテキン類を抽出除去した後の茶殻を用いて堆肥化を行うことによって短時間で堆肥を製造することができる。これは、従来のように使用済みの茶葉をそのまま使用する場合はその中に残留する多量のカテキン類の抗菌作用により堆肥化時の菌の働きが遅くなっていたのが、カテキン類を予め除去しておくことによりそのような不利益が解消されるためと考えられる。
【0007】ここで、本発明に関連して用いる「カテキン類」という語は、別名「タンニン」とも呼ばれ緑茶の苦味・渋味成分を構成するポリフェノールを総称するものであり、具体的には、狭義のカテキン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン)の他、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビンなどを指称する。本発明は、このようなカテキン類を多く含有する緑茶の茶殻からカテキン類を抽出除去して堆肥化するのに適用されるのが好ましいが、紅茶やウーロン茶などの他の茶からの茶殻を用いて同様に堆肥を製造する場合にも適用することはできる。
【0008】本発明に従い茶殻からカテキン類を抽出除去するには、茶殻を前処理することなくそのまま、または乾燥後微粉砕したものを溶媒で抽出する。抽出溶媒としては、純水(脱イオン水)の他、エタノールやアセトニトリルなどの有機溶媒を用いることもできるが、後の処理を考慮すると純水を使用するのが好ましい。抽出温度は50〜90℃とするのが好ましく、特に80〜90℃が好ましい。抽出時間および抽出回数は特に限定されるものではないが、一般に、抽出率の向上には抽出時間よりも抽出回数の寄与が大きく、比較的短時間の抽出操作を複数回行うのが好ましい。したがって、コストや操作性を考慮した好ましい抽出条件の1例として、90℃の抽出温度で10分間の抽出を3回実施することが挙げられるが、この条件に限定されるものではない。
【0009】本発明に従えば、上記のような抽出操作によりカテキン類が除去された茶殻を用いることにより堆肥化の時間が短縮される。カテキン類の除去率(抽出率)は特に限定されるものではなく、茶殻から予めカテキン類が除去されている程、後の堆肥化が促進されるが、実際の堆肥化工程を考慮すれば、茶殻から少なくとも70%(重量%)のカテキン類が除去されていることが好ましい。したがって、本発明に関連して用いる「カテキン類が除去された茶殻」とは、カテキン類の一部が除去された茶殻、一般的には、カテキン類が少なくとも70重量%除去された茶殻を指称する。カテキン類は、既知の分析法、すなわち、農林水産省茶葉試験場制定の酒石酸鉄試薬を用いる「茶の公定分析法」(食品衛生検査指針1978参照)に従い比色分析することにより測定することができる。
【0010】本発明においては、カテキン類を除去した茶殻が堆肥化に供される。この堆肥化(コンポスト処理)は、特に限定されるものではなく、一般に、堆肥化原料を適当な含水率に保つことにより、微生物を増殖させることによって進行させる。さらに、市販の微生物を投入することによってその過程を加速し発酵不全を減らすこともできる。堆肥化は一般に好気性条件下に行われるが、EM菌を用いる嫌気性条件下に行うこともできる。また、発酵に関わる微生物の他、微生物の増殖や働きを促す成分(米糖、アミノ酸、動植物エキス等)、微生物担体(吸着剤:多孔質鉱物、バーミキュライト、石灰等)、植物にとっての肥料成分(窒素、燐酸、カリウム等)、酵素などを混入することもできる。
【0011】
【実施例】以下に本発明の特徴をさらに具体的に示すため実施例を記すが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。下記の表1に示すような各種条件で、純水を用いて茶葉(前処理せず)からカテキン類(タンニン)の抽出除去を行った。なお、使用した茶は、「やぶ北茶」と呼ばれる緑茶(静岡県島田市のハラダ製茶株式会社製)である。
【0012】
【表1】【0013】なお、カテキン類の抽出率は次の式による。
抽出率(%)=100×〔無抽出茶葉のカテキン類の量(試験No.1)(g)−抽出茶葉のカテキン類の量(g)〕/〔無抽出茶葉のカテキン類の量(試験No.1)(g)〕。
表1に示すように、90℃、10分、3回抽出の条件(試験No.4)で、茶葉中のカテキン類(タンニン)の量の95%以上を抽出液に回収できる。また、抽出率の向上には、抽出時間より抽出回数の寄与が大きいことが確認された。
【0014】次に、以上のようにしてカテキン類(タンニン)が充分に抽出除去された試験No.4の茶殻(以下、検体Bと称する)を原料として堆肥化試験を行った。比較のために、従来の普通の茶殻に相当するものとして試験No.2の茶殻(以下、検体Aと称する)についても同様の堆肥化試験を行った。
【0015】すなわち、それぞれの茶殻に、下記の表2に示すような割合で酵素「アースラブ」(養豚場の屎尿から製造されたもの、(有)アースラブ・ニッポン製)を混入攪拌後、家庭用生ごみ処理機にて毎日攪拌を行いながら、その減容化(容量と重量の減少)の程度を観測することにより堆肥化の進行を確認した。
【0016】
【表2】【0017】減容化の観測は30日間行い、30日後に「アースラブ」を10リットル追加混入し、更に6日間観測した。この茶殻減容化試験の結果を図1に示す。図1から理解されるように、カテキン類が抽出除去された茶殻(検体B)を用いると、カテキン類が殆ど除去されていない茶殻(検体A)に比べて減容化が著しく堆肥化が迅速に進行する。
【0018】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明に従いカテキン類が除去された茶殻を用いると、従来法に比べて短期間に堆肥化を行うことができ、堆肥化のためのスペースを節減し且つ回転効率が上昇するので、きわめて経済的に堆肥を製造することができる。
- 【公開番号】特開2003−55074(P2003−55074A)
【公開日】平成15年2月26日(2003.2.26)
【発明の名称】茶殻由来の堆肥および堆肥化方法
- 【出願番号】特願2001−247714(P2001−247714)
【出願日】平成13年8月17日(2001.8.17)
【出願人】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100087675
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 知
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