スポンサード リンク
生ごみの処理方法及び生ごみ処理用粉砕機
スポンサード リンク
- 【要約】
【課題】 本発明の課題は、省スペース化が容易であり大量の生ごみの処理に適していると共に、生ごみを、下水道や浄化槽施設に投入したとしても負荷が少ない、環境に優しい液状物に分解する、生ごみの処理方法を提供することにある。
【解決手段】 主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化させる工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、(1)当該粉砕及び液状化する工程において生ごみ1重量部に対して水0.5〜10重量部を投入すること、及び/又は(2)当該好気的分解工程前の液状物のBODが15000ppm以上であること、及び当該液状物のBODが3000ppm以下となるまで分解を行う、ことを特徴とする生ごみの処理方法。
スポンサード リンク
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化する工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、当該粉砕及び液状化する工程において生ごみ1重量部に対して水0.5〜10重量部を投入すること、及び当該液状物の生物的酸素要求量が3000ppm以下となるまで分解を行うことを特徴とする生ごみの処理方法。
【請求項2】 主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化する工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、当該好気的分解工程前の液状物の生物的酸素要求量が15000ppm以上であること、及び当該液状物の生物的酸素要求量が3000ppm以下となるまで分解を行うことを特徴とする生ごみの処理方法。
【請求項3】 主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化する工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、当該粉砕及び液状化する工程において生ごみ1重量部に対して水0.5〜10重量部を投入すること、当該好気的分解工程前の液状物の生物的酸素要求量が15000ppm以上であること、及び当該液状物の生物的酸素要求量が3000ppm以下となるまで分解を行うことを特徴とする生ごみの処理方法。
【請求項4】 処理後の液状物中の浮遊性粒子量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の生ごみの処理方法。
【請求項5】 当該好気的分解工程後に、更に浮遊物除去工程を備えた請求項1〜4いずれか1項に記載の生ごみの処理方法。
【請求項6】 処理後に残る固形物の乾燥重量が処理前の生ごみ重量の5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の生ごみの処理方法。
【請求項7】 当該好気的分解工程が複数に区分された区画において行われることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の生ごみの処理方法。
【請求項8】 円周方向に複数の粉砕刃が設けられた回転軸及び該回転軸を正・逆いずれにも回転可能な駆動部とを備えた破砕機、撹拌翼が設けられた回転軸及び該回転軸を回転させる駆動部とを備えた撹拌粉砕機、並びに複数の回転軸を有しており、該各回転軸に対して略直交に複数の丸鋸状歯板が設けられており、かつ隣接する歯板の間隙が10mm以下である微砕部及び該回転軸を回転させる駆動部とを備えた微砕機、とを含む生ごみ処理用粉砕機。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生ごみの処理方法に関し、詳しくは好気性微生物を利用して水中で生ごみを分解する生ごみの処理方法に関する。更に当該方法に好適に用いられる生ごみ処理用粉砕機にも関する。
【0002】
【従来の技術】生ごみの処理方法としては、焼却処理、コンポスト(堆肥)化処理やいわゆるディスポーザ方式によるもの等が広く知られている。
【0003】このうち、焼却処理に関しては、生ごみの水分含有量が多いために焼却効率が悪く、助燃剤を必要とする等の問題点がある。更に最近では生ごみ等の食品廃棄物であっても、焼却するとダイオキシンが発生することもわかっており、環境への悪影響も懸念されている。
【0004】また、コンポスト化に関しては、その原料となるべき生ごみの内容が日ごとにかわるためにコンポストの品質にもバラツキが生じやすく、また、大量に処理しようとすると広大な敷地を必要とし、更には大量の生ごみが発生する場所は往々にして都市部であるのに対してコンポストの需要は農村部であるという需給地のずれ等の問題もあり、その利用は限定的である。
【0005】さらに、近年、欧米を中心として、いわゆるディスポーザ方式、つまり一般家庭の台所などから出る生ごみを厨房流し台水槽の排水口下に設置したディスポーザで粉砕して排水と共に流出させる方式が普及しつつあるが、わが国では、かかる方式は下水道施設への負荷が大きいとして、使用の自粛が要請されている。そのため、ディスポーザ方式における下水道施設等への負荷を軽減する方法として、例えば、特開平8−24891号公報、特開平9−192624号公報、特開平11−138138号公報、特開平11−319788号公報等に開示されているように、ディスポーザを用いて生ごみを粉砕した後に、更に微生物を利用して水中で分解させることにより処理する方法も提案されているが、ディスポーザを用いたこれらの方法では、生ごみの粉砕工程において非常に大量の水を必要とするため、特にホテル、レストランや、給食センター、惣菜工場等、大量の生ごみが発生する場合には、処理のために非常に大きなスペースが必要になるという問題点がある。
【0006】そこで、特に大量の生ごみを少ないスペースで処理ができ、かつより環境への影響が少ない、生ごみの処理方法が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記した従来技術の問題点を解消し、省スペース化が容易であり大量の生ごみの処理に適していると共に、生ごみを、下水道や浄化槽施設に投入したとしても負荷が少ない、環境に優しい液状物に分解する、生ごみの処理方法及びこれに好適に用いられる生ごみ処理用粉砕機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するための手段として、本発明では、主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化する工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、当該粉砕及び液状化する工程において生ごみ1重量部に対して水0.5〜10重量部を投入すること、及び当該液状物の生物的酸素要求量(以下BODと称する場合がある)が3000ppm以下となるまで分解を行うことを特徴とする生ごみの処理方法、及び、主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化する工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、当該好気的分解工程前の液状物のBODが15000ppm以上であること、及び当該液状物のBODが3000ppm以下となるまで分解を行うことを特徴とする生ごみの処理方法、を提供する。更に、主として水の存在下において生ごみを粉砕及び液状化する工程と、主として好気性微生物を利用して当該液状物を好気的分解する工程とを有する生ごみの処理方法であって、当該粉砕及び液状化する工程において生ごみ1重量部に対して水0.5〜10重量部を投入すること、当該好気的分解工程前の液状物のBODが15000ppm以上であること、及び液状物のBODが3000ppm以下となるまで分解を行うことを特徴とする生ごみの処理方法、を提供する。
【0009】さらに、円周方向に複数の粉砕刃が設けられた回転軸及び該回転軸を正・逆いずれにも回転可能な駆動部とを備えた破砕機、撹拌翼が設けられた回転軸及び該回転軸を回転させる駆動部とを備えた撹拌粉砕機、並びに複数の回転軸を有しており、該各回転軸に対して略直交に複数の丸鋸状歯板が設けられており、かつ隣接する歯板の間隙が10mm以下である微砕部及び該回転軸を回転させる駆動部とを備えた微砕機、とを含む生ごみ処理用粉砕機、をも提供する。
【0010】また、本発明では処理後の液状物中の浮遊性粒子量(以下SSと称する場合がある)は1000ppm以下であることが好ましく、好気的分解工程後に、更に浮遊物除去工程を備えているのが好ましい。更に、処理後の固形物の乾燥重量が処理前の生ごみ重量の5重量%以下であるのが好ましく、更にまた、当該好気的分解工程が複数に区分された区画において行われるのが好ましい。
【0011】
【作用】本発明は、比較的少量の水の存在下において、生ごみを非常に微細に粉砕し、速やかに液状化することにより高濃度の有機物を含有する液状物を得、これを酸素の存在下において有機物を消化し最終的には二酸化炭素や水にまで分解する好気性微生物の分解能力を利用して好気的分解することにより、当該含有有機物量を下水道施設等へ投入したとしてもあまり負荷をかけない程度にまで低減させるものである。
【0012】好ましくは、分解処理後の液の浮遊物や、未分解物や微生物の死骸等の固形物をかき取り機やフィルター等を用いて除去することにより、下水道施設等へ投入したとしてもあまり負荷をかけない程度にまで、浮遊性粒子の量を低減させるものである。
【0013】更に好ましくは、本発明の工程中、最も時間を要する好気的分解工程を複数の区画に区分して、各区画を、順次、分解対象である液状物が経過するようにすることによって各区画における分解レベルを段階的に変化させ、もってBOD低減の効率化(分解速度及び分解率の向上)と連続運転とを可能とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明は下記例により限定されるものではない。
【0015】図1は、本発明の実施の一形態の生ごみの処理方法及びそれに用いられる装置を概念的に示した説明図である。
【0016】まず生ごみを、投入口1から前処理槽2に投入し、さらにここに所定量の水を投入する。
【0017】「生ごみ」としては、一戸建家屋、集合住宅等における通常の一般家庭の台所から廃棄される野菜屑、料理残等の生ごみ、ホテル、レストランや、給食センター、惣菜工場等において業務上発生する生ごみ等、発生場所や内容にかかわらずあらゆる種類の生ごみを含み、本発明はこれら全ての生ごみに適用することが可能である。特に、本発明は省スペース化に優れており、また分解工程を複数の区画に区分すること等により連続運転も容易となるため、業務用の生ごみのように大量の生ごみが定常的に発生する場所において好適に用いることができる。
【0018】また、投入水量は、生ごみ1重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜8重量部、より好ましくは2〜6重量部であり、従来のディスポーザのような粉砕機に比較して、少量の水で生ごみの粉砕を行うため、大量の生ごみの処理を従来に比べて非常に少ないスペースで効率的に行うことができる。投入水としては、通常の上水(水道水)の他、厨房や洗面場、風呂場等からの生活雑排水等、各種の水を用いることができる。更に本発明による処理の結果として得られる清澄液を再利用することも好ましい。もちろん、これら各種の水を適宜、混合して用いることもできる。
【0019】前処理槽2では、後の好気的分解工程における好気的分解が速やかに進行するよう、水中で生ごみを十分微細に粉砕・撹拌し液状化する。水を用いた生ごみの粉砕手段としては従来からディスポーザがよく用いられてきているが、特に業務用の生ごみには、野菜屑や魚のかぶと等の比較的大きく固いものや、たけのこの皮、枝豆の皮等の繊維質のものや、長ねぎの皮や昆布等の長形状のもの等、従来のディスポーザでは粉砕が必ずしも容易ではないものも多く含まれる。また、上記のとおり従来のディスポーザを用いた場合には、粉砕には大量の水が必要となり、省スペース化に適さない。従って、これら多種雑多な生ごみの各成分のいずれをも、比較的少量の水を用いて十分に粉砕ができるような粉砕手段を備えているのが好ましい。かかる粉砕手段の好ましい例として、図1及び図2〜4に記載のような破砕機3、撹拌翼粉砕機4及び微砕機5とを含む生ごみ処理用粉砕機を挙げることができる。
【0020】破砕機3は、円周方向に複数の破砕刃3−1が設けられた回転軸及び該回転軸を正・逆いずれにも回転可能な駆動部とを備えている。破砕刃3−1は比較的厚く、刃先が鋭く、かつSUS等の硬い材質で作られているのが好ましく、また、回転軸方向にも同様の破砕刃が複数列設けられているのが好ましい。また、本破砕機3を設置する際には、回転軸を略垂直、略水平いずれとすることもできる(図1及び図2には回転軸が略垂直の場合を示している)。このような破砕機は特に比較的大きく固いものを破砕するのに適している。
【0021】撹拌翼粉砕機4は、撹拌翼4−1が設けられた回転軸及び該回転軸を回転させる駆動部とを備えている。撹拌翼粉砕機4は液を渦巻状に巻き込みながら撹拌翼4−1で粉砕するものである。撹拌翼4−1は回転軸に沿って上下に移動可能とすると、投入物量に応じて撹拌翼を上下させることによって効果的な撹拌粉砕を行うことができるので好ましい。また、撹拌翼4−1は複数設けても良い。このような撹拌翼粉砕機4は各種の生ごみの粉砕に用いられる。
【0022】微砕機5は、複数の回転軸を有しており(図1及び図3には回転軸が2つの場合を示している)、該各回転軸に対して略直交に複数の丸鋸状歯板5−1が設けられており、かつ隣接する歯板の間隙が10mm以下である微砕部及び該回転軸を回転させる駆動部とを備えている。微砕機5は、丸鋸の歯を重ねたような構造をしており、各歯板5−1の間隔を10mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下と狭くすることにより、撹拌翼粉砕機では巻きついてしまい、粉砕が容易でない長形状のものや繊維質のものの微砕化に好適に用いられる。材質はSUS等の硬いもので作るのが好ましい。また、本微砕機5を設置する際には、回転軸を略垂直、略水平いずれとすることもできる(図1及び図3には回転軸が略垂直の場合を示している)。
【0023】これらの粉砕手段によって、投入生ごみを好ましくは平均粒径10mm以下に、より好ましくは5m以下に、更に好ましくは3mm以下に粉砕しつつ、投入水と共に撹拌を行うことにより液状化を進める。
【0024】なお、本発明における「液状」には、生ごみ由来成分が完全に可溶化しているものの他、それらが一部不溶状態で残っている、懸濁状、野菜ジュース状やいわゆるスラリー状のものも含むものである。
【0025】なおまた、本粉砕及び液状化工程においては、生ごみ自身に元々付着する好気性微生物等によって、粉砕及び液状化と並行して、一部、好気的分解が進む場合もあるが、本発明における「主として…生ごみを粉砕及び液状化する工程」とは、かかる場合も本工程に含まれることを意味するものである。
【0026】このようにして得られた液状物は、送液ポンプP1によって調整槽7へ移送される。この際、更にポンプP1と調整槽7との間にディスポーザ6を配し、これによって当該液状物に含まれる不溶分等をより微細に粉砕(磨り潰し)することが好ましい。この場合、既に前記前処理槽2において粉砕、液状化を図っているため、ディスポーザには新たな水を供給する必要はない。
【0027】調整槽7−1では、好気性微生物を含んだ培養液(培養液槽7−2)、微生物のえさとなる糖蜜等を含んだ調節液(調節液槽7−3)及び要すればアルカリ水溶液等のPH調整液を、当該液状物の量、それに含まれる生ごみの量やその内容に応じてそれぞれ適量添加する。
【0028】ここで、「好気性微生物」としては、当該液状物を好気性下において分解できるものであればその種類は問わず、また一部に嫌気性微生物が含まれていてもかまわない。このような微生物として特に好ましいものとして、「EM菌」として知られる有用微生物群やGRAS菌等がある。生ごみ自身に元々付着する微生物も利用可能である。
【0029】PHの調整は、調整槽7−1に備え付けたPH測定器(図示せず)を用いて、当該微生物の分解最適PHとなるよう調整する。この際、PH調整液を入れた槽の弁を当該PH値に基づき自動制御することにより、調整槽7−1のPHを自動的に調整するようにすることもできる。分解最適PHは微生物の種類にもよるが、EM菌の場合、好ましくは5〜7、より好ましくは5.5〜6.5である。PH調整に用いるアルカリとしては、好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0030】生ごみを比較的少量の水で粉砕、液状化するというここまでの一連の工程により、BODが15000ppm以上、好ましくは18000〜70000ppm、より好ましくは20000〜50000ppm、という高濃度の液状物が得られる。このような高濃度のものを得る手段としては、例えば、特開平8−24891号公報に記載されているように、一旦、大量の水を用いてディスポーザで粉砕した後に改めて濃縮する方法もあるが、そもそも濃縮すること自体、エネルギー的にみて不利であるのに加えて、このような濃縮は非常に長時間を要する上、濃縮装置も特に大量の生ごみを処理する場合には非常に大規模なものとなるため好ましくない。
【0031】なお、BODはJIS−K0102−21に従って測定する。但し、不溶分のろ過は行わずに測定する。
【0032】次いで、当該液状物は送液ポンプP2によって分解槽8へ移送される。
【0033】分解槽8は複数の区画に区分されているのが好ましい(図1には4区画に区分されている場合を示している)。区画数は、分解工程における滞留時間や微生物の分解能力、さらには設置スペース等によっても左右されるが、通常、好ましくは2〜10区画、より好ましくは2〜7区画、更に好ましくは3〜5区画である。複数の区画を設けることにより、処理効率が高まると共に、連続運転が容易となるため、業務用の生ごみのように大量の生ごみが定常的に発生する場所には特に好ましい。
【0034】各分解槽には撹拌機8−a〜8−d及びヒーター(図示せず)が設けられている。撹拌機8−a〜8−dにて当該液状物と微生物との接触機会、及び液状物中への空気中の酸素の取り込みを十分に確保するよう随時撹拌を行うことにより、好気性微生物による分解を促進する。また、酸素の供給及び撹拌は、各槽中に曝気装置を設けて、エアコンプレッサー9から連続的にあるいは間歇的に空気を供給することにより行うこともできる。更にヒーターにて、微生物が液状物の分解を行うのに適当な温度に当該液状物を維持する。この際の温度としては、微生物の種類にもよるが、EM菌の場合、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30〜40℃、更に好ましくは33〜38℃である。
【0035】また、ある一の槽から次の槽への移送は、移送ポンプを用いることももちろん可能であるが、オーバーフローによるのが設備が簡便・安価に製造できるため好ましい。更に、周囲への臭気発生を防止するために分解槽を密閉系とし、槽内を陰圧として発生した臭気ガスを消臭装置(図示せず)へ導くのが好ましい。なお、消臭装置は分解槽だけでなく、調製槽にも設置するのが好ましい。
【0036】(各)分解槽における好気的分解により、当該液状物はBODが3000ppm以下、好ましくは2500ppm以下、より好ましくは2000ppm以下となるまで分解処理される。分解槽における分解時間、つまり分解槽での滞留時間は、分解工程前の液状物のBOD値、添加する微生物の分解能力、量、分解槽の槽数、温度、撹拌具合、供給酸素量等の各種要因により左右されるが、通常は好ましくは1〜20日間、より好ましくは3〜15日間、更に好ましくは5〜10日間である。
【0037】なお、本好気的分解工程においては、撹拌や添加した培養液中に含まれる嫌気性微生物等によって、好気的分解と並行して、残存する未可溶化物の粉砕及び液状化が更に進む場合もあるが、本発明における「主として…好気的分解する工程」とは、かかる場合も本工程に含まれることを意味するものである。
【0038】分解処理が完了した液は、最終の分解槽から送液ポンプP3によって、少量ずつ浮遊物除去貯留槽10に移送される。
【0039】浮遊物除去貯留槽10は、かき取り機(図示せず)を備えた分別槽10−1及び清澄液貯留槽10−2とをフィルターを介して設けた構造となっており、更にかき取り機に隣接して乾燥機11が配されている。
【0040】分別槽10−1上の浮遊物は、かき取り機により除去後、隣接の乾燥機11に投入され、乾燥される。一方、液中の未分解物や微生物死骸等の固形物はフィルタを介して除去される。フィルタの有効径としては、好ましくは100〜3000μm、より好ましくは300〜1500μm、更に好ましくは500〜1000μmである。
【0041】浮遊物及び未分解物等が除去された清澄液は清澄液貯留槽10−2に移送される。当該清澄液のSSは、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下である。なお、SSの測定は環境庁告示第59号付表8の記載に準じて、アドバンテック(株)製浮遊性微粒子測定キット等を用いて行う。
【0042】得られた清澄液は、BOD及び好ましくはSSが非常に低減されているため、このまま公共の下水道や浄化槽施設に投入したとしても負荷が非常に少ない。そのため、前述したとおり本発明の処理用水として再利用することもできる。また、更に当該液に水で希釈する等の簡易な適切な処理を行うことにより、その負荷をより低減することもできる。
【0043】更に本発明では、生ごみの粉砕及び液状化を十分に行い、かつ分解を効果的に行っているため、分解処理後に残る固形物の乾燥重量が処理前の生ごみ重量の好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下となる。
【0044】あるいは、好気的分解工程前のBODが高く、従って有機物を高濃度に含有していることから、分解時間を調整すること等によって、好気的分解処理によって得られた液を上記浮遊物及び未分解物等の除去を行わずにそのまま液肥として利用することも可能である。
【0045】以下に本発明の実施例を図1を参照として更に詳細に説明する。
【0046】
【実施例】ホテルの厨房から出された生ごみ(残飯、野菜屑(たけのこの皮、枝豆の皮、長ねぎの皮を含む)、魚介類(魚のかぶとを含む)、肉類等を含む)100kg/日、水道水200リットル/日及び清澄液からの再利用水300リットル/日を毎日定時に前処理槽2に投入し、前処理槽2に備えられた破砕機3、撹拌翼粉砕機4及び微砕機5を用いて粉砕及び液状化した後、更にディスポーザ6を用いて磨り潰すことにより液状物を得た。
【0047】調整槽7−1において、得られた液状物にEM菌を含んだ培養液、糖蜜等を含んだ調節液を添加すると共に、水酸化カリウム水溶液を添加して液状物のPHを6に調整した。この段階で液状物は野菜ジュース状となっており、そのBODは、25000ppmであった。
【0048】この液状物を4区画に区分された密閉された分解槽8のうちの1次分解槽に移送し、順次、オーバーフローにより2次、3次、4次と移送していき、分解槽全体として平均滞留期間7日間をかけて分解処理を行った。この際、各槽は撹拌機にて連続的に撹拌を行った。また、各槽の温度はヒーターにより約35℃に維持した。
【0049】その後、分解が完了した液を4次分解槽から少量づつ浮遊物除去貯留槽10へ移送し、浮遊物及び未分解物等を除去した。この際に用いたフィルタの有効径は850μmであった。
【0050】得られた清澄液のBODは2000ppm、SSは600ppmであった。また、分解後に残った固形物の乾燥重量は処理前の生ごみ100kgに対して平均1kgであった。
【0051】
【発明の効果】本発明は、少量の水を用いて生ごみの粉砕及び液状化を行うため、大量の生ごみの処理を従来に比べて非常に少ないスペースで効率的に行うことができる。
【0052】さらに好気的分解工程前の液状物のBODが非常に高いにもかかわらず、処理後のBODは低く、かつ好ましくは処理後の液状物中のSSも低いため、当該清澄液はこのまま公共の下水道や浄化槽施設に投入したとしても負荷が非常に少なく環境にも優しい。
【0053】さらにまた、好気的分解前の液状物のBODが高く、従って有機物を高濃度に含有していることから、分解時間を調整すること等によって、分解処理によって得られた液を上記浮遊物及び未分解物等の除去を行わずにそのまま液肥として利用することも可能である。
- 【公開番号】特開2002−66526(P2002−66526A)
【公開日】平成14年3月5日(2002.3.5)
【発明の名称】生ごみの処理方法及び生ごみ処理用粉砕機
- 【出願番号】特願2000−263299(P2000−263299)
【出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
【出願人】
【識別番号】591107034
【氏名又は名称】液化炭酸株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100062007
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 義雄 (外3名)
- ※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。