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発明の名称 分解性高吸水性複合体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−212899(P2001−212899A)
公開日 平成13年8月7日(2001.8.7)
出願番号 特願2000−24305(P2000−24305)
出願日 平成12年2月1日(2000.2.1)
代理人 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平
【テーマコード(参考)】
3B029
4C003
4C098
4F100
4G066
4L055
【Fターム(参考)】
3B029 BA12 BA18 BD21 
4C003 AA12 AA23 AA25 HA04
4C098 AA09 CC02 DD05 DD23 DD30
4F100 AA01A AH02A AJ04A AJ06A AK01B AK46A AR00A AT00B BA02 DE01A DG01A DG02A DG06B DG10B DG12B DG13B DG15B EA061 EH312 EJ862 GB66 JB10A JB20A JC00 JC00B JD15 JD15A JM10A YY00A
4G066 AB06D AC02B AC26B AC35B AE06B AE20B AE20C BA03 BA05 BA16 BA36 CA43 DA11 DA12 DA13 EA05 FA12 FA21
4L055 AG45 AG46 AG80 AG93 AG94 AG98 AH50 AJ01 BE07 BE09 EA10 EA40 FA20 GA26 GA46
発明者 入里 義広 / 樋口 長二郎 / 石徳 武 / 鈴木 磨
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 吸収体層(A層)を支持体層(B層)上に積層してなる分解性高吸水性複合体であって、前記吸収体層(A層)が架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)表面の少なくとも一部をミクロフィブリル状セルロース(a−2)により被覆した複合体を含んで構成され、前記支持体層(B層)が分解性支持体層であることを特徴とする、分解性高吸水性複合体。
【請求項2】 前記分解性支持体層の少なくとも一部が生分解性支持体層である、請求項1に記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項3】 前記分解性支持体層の少なくとも一部がコンポスト内分解性支持体層である、請求項1〜2のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項4】 前記コンポスト内分解性支持体層が、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、コンポスト(堆肥)のイノキュラム(接種材料)100重量部(ウェット状態)に仕込み、40日間、58℃で処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、該分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質を有する、請求項3に記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項5】 前記分解性支持体層の少なくとも一部が土中分解性支持体層である、請求項1〜4のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項6】 前記土中分解性支持体層が、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、圃場の地下300mmに6月間埋設処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、該分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質を有する、請求項5に記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項7】 前記架橋ポリアミノ酸粒子が、(1) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、20〜200倍である吸水能、(2) 生理食塩水を1分間吸収させた吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、10〜150倍である吸水能、(3) 103kPa(20g/cm )の荷重下での生理食塩水の吸水量が乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、および(4) 生理食塩水を飽和吸収したゲルに3000Gの遠心力を10分間負荷した後に保持できる保水量が、乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものである、請求項1〜5のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項8】 前記架橋ポリアミノ酸が架橋ポリアスパラギン酸である、請求項1〜7のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項9】 前記ミクロフィブリル状セルロース(a−2)がセルロース又はセルロース誘導体である、請求項1〜8のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項10】 前記ミクロフィブリル状セルロース(a−2)がパルプを摩砕及び/又は叩解して得られたものである、請求項1〜8のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項11】 前記ミクロフィブリル状セルロース(a−2)が微生物代謝により得られたものである、請求項1〜8のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項12】 前記分解性支持体層が分解性高分子を含んで構成される層である、請求項1〜11のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項13】 前記分解性支持体層がウエブ、シート、及び、フィルムからなる群から選択された少なくとも一層を含んで構成される層である、請求項1〜11のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項14】 前記ウエブが織布、編物、不織布、及び、紙からなる群から選択された少なくとも一つである、請求項13に記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項15】 前記分解性高吸水性複合体が、(1) 生理食塩水20mlを吸収させたときの吸収速度が、0.1〜50ml/sec・cmである吸水能、(2) 生理食塩水を吸収させたときの飽和吸収量が、0.1〜5g/cmである吸水能、(3) 生理食塩水20mlを103kPa(20g/cm )の荷重を負荷させながら吸収させたときの吸収量が、0.05〜4g/cmである吸水能、および(4) 生理食塩水を飽和吸収させた後に111kPa(1ton/m )の荷重を負荷させたときの逆戻り排水量が0〜7g/cmである吸水能、のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものである、請求項1〜14のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【請求項16】 吸収体層(A層)を支持体層(B層)上に積層してなる分解性高吸水性複合体において、前記吸収体層(A層)が、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)表面の少なくとも一部を、ミクロフィブリル状セルロース(a−2)により被覆した複合体を含んで構成され、前記支持体層(B層)が分解性高分子を含んで構成される分解性高吸水性複合体の製造方法であって、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)、ミクロフィブリル状セルロース(a−2)、および水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液を前記支持体層(B層)にキャストし、乾燥することを特徴とする、分解性高吸水性複合体の製造方法。
【請求項17】 前記水混和性有機溶媒が、炭素原子数1〜6のアルコール、グリコール、エーテル、及び、ケトンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項16に記載の分解性高吸水性複合体の製造方法。
【請求項18】 表面の少なくとも一部がミクロフィブリル状セルロースにより被覆されていることを特徴とする、架橋ポリアミノ酸系樹脂。
【請求項19】 表面の少なくとも一部がミクロフィブリル状セルロースにより被覆されていることを特徴とする、分解性高吸水性複合体用架橋ポリアミノ酸系樹脂。
【請求項20】 請求項1記載の分解性高吸水性複合体からなることを特徴とする、衛生用品。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分解性高吸水性複合体に関する。詳しくは、パルプレスの構造により極めて薄型でありながら使用時は優れた吸収特性を発現し、廃棄時には水洗トイレへの廃棄、コンポスト処理、埋め立て処理等により容易に処理でき、処理後は生分解される、地球環境に優しい分解性高吸水性複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】[使い捨て衛生用品の技術的背景]使い捨て衛生用品は、尿、血液、経血、汗等の体液を効率的に吸収できるように設計された用品であり、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁用パッド、母乳パッド、医療用アンダーパッド、手術用アンダーパッド、ペット用シート等に使用されている。
【0003】このような衛生用品は安価で手軽に利用できるといった利点から、世の中に広く普及しているにもかかわらず、その使用後の廃棄処理には大きな問題がある。すなわち、そのような問題とは、排泄物が付着した紙おむつ、体液が付着した生理用ナプキン等の使用済み衛生用品を一般の廃棄物と同時に廃棄していることである。
【0004】[使い捨て衛生用品廃棄物処理の技術的背景]一般に、使い捨て衛生用品は、使用後に廃棄することを意図してつくられたものである。使用後は廃棄され、一般の可燃性ゴミとして焼却処理されているのが現状である。
【0005】例えば、使い捨て紙おむつの廃棄方法は、使い捨て紙おむつ全体で廃棄物を包み込むようにおむつを丸め、さらに、丸めた状態の紙おむつをテープファスナー等で留めて、ゴミ箱等に廃棄し、収集されたこのようなゴミは、焼却処理されるのが一般的である。
【0006】しかし、紙おむつでくるんだ排泄物を短時間でもゴミ箱等に保存するのは、悪臭や衛生上の問題があり好ましくない。また、室外においても、例えば、公園などで使い捨て紙おむつがゴミとして放置される等、環境衛生上の問題が生じている。
【0007】一方、使用時の排泄物が便であったときの廃棄方法は、使い捨て紙おむつの使用者あるいは介護者により、使用者から紙おむつをはずし、便のような排泄物の固形部分を紙おむつから取り除いてトイレに流した後、他の部分を一般ゴミとして処理する方法が一般的であるため、非常にその操作は煩雑である。また、かかる処理は、通常、使い捨て紙おむつを便器につけて流し落とすことにより行っているため、軟便等の粘着している便はおむつから剥がしにくく、便は完全に除去されないまま、処理される場合が多い。したがって、おむつから便を剥がすような操作は、処理者の手を汚す場合があり、このような場合は、使い捨てでないおむつと比較して、使い捨て紙おむつの本質的なメリットが減じられることとなる。
【0008】また、かかる処理時には使い捨て紙おむつが、トイレの水を吸収して重くなったり、液垂れを生じるという不都合があるほか、誤って紙おむつをトイレに流してしまい、配水管が詰まる原因となる不都合もある。
【0009】また、女性が用いる生理用、おりもの用のナプキン、おむつ等の吸収パッドは、使用後はゴミ入れや、トイレ内に配置されている汚物入れに紙に包んで捨てられている現状である。
【0010】しかしながら、捨てられた後、ゴミとして処理されるまでに時間が経過する間に、異臭を発生して不快感を与えたり、また、非衛生的となる場合もあった。
【0011】さらに、公衆トイレ等において、水洗便器に水と共に流してしまい、配管の詰まり等のトラブルの要因ともなっていた。
【0012】[使い捨て衛生用品廃棄物の焼却処理の技術的背景]使い捨て衛生用品廃棄物は、不織布又は多孔性成形ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルム材料からなるトップシートと、ポリエチレンからなるバックシート、パルプ中に吸水性樹脂を分散させた吸収コアを中心として構成される。これらの材料において、特に、バックシートは防水性を維持するために、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂や合成繊維が一部に用いられているため、分解性を有しない。これらを埋め立てなどの廃棄処理を行っても、いつまでも分解せずに残存する。同様に、水洗トイレに流した場合、配管等への詰まりがない場合でも、それらの廃棄物等は終末処理場等で分解せずに残存することなる。そのため、これらの廃棄物は多量に存在するにもかかわらず、焼却処理により処理せざるを得なかったのが現状である。
【0013】すなわち、上記衛生材料の使用済みの廃棄物は、重量換算では、全廃棄物中の数%を占めるが、これらの使い捨て衛生材料は、分解性を有しないため、使用後の廃棄が問題である。
【0014】従来の技術における問題点としては、例えば、これらの廃棄物を焼却炉で処理する方法では、焼却の対象である合成樹脂や合成繊維は燃焼熱が大きく、高温になるため焼却時に発生する熱による炉材を損傷するほか、排気ガスが、地球の温暖化や酸性雨の原因となることも指摘されている。
【0015】一方、焼却炉からのダイオキシンの発生の原因は、炭素分、塩素分を含む物質を、低温で不完全燃焼することによって生じることが指摘されている。特に、紙おむつの廃棄物は、炭素分と塩化物の塩を含み、蒸発潜熱が大きくて燃えにくい水分を多量に含むため、局所的に、又は、全体的に、焼却炉の焼却温度を高温とできないことがあり得る。
【0016】ダイオキシン発生の抑制の観点からは、紙おむつ構成材料そのものが、ダイオキシン発生の直接的な原因ではないとしても、廃棄される段階においては、紙おむつは塩を含んでおり、焼却炉内の温度が、一時的に下がり得ることから、その廃棄方法の見直しが必要であると思われる。
【0017】また、埋め立て処理する方法では、紙おむつ廃棄物を構成している非分解性のプラスティックは、容積が嵩張り、腐らないため地盤が安定しない等の問題がある上、特に国内においては、首都圏を中心として、埋め立て用地が少なくなってきたことが大きな問題となっている。
【0018】かかる問題に対して、衛生材料の構成材料の一部を、分解性材料にする提案がなされている。例えば、特表平5−505318号公報では、バックシートをジオキサンベースとする重合体からなるフィルムを用いることが提案されている。しかし、構成材料の一部のみが分解されても、他の材料が分解しない限りは廃棄処理の根本的解決にはならず、却って、分解しない成分の蓄積等が問題になることが予想される。
【0019】[使い捨て衛生用品の薄型化の技術的背景]吸収体製品に用いられている水分や体液を吸収する吸収体主成分としては、従来よりフラッフ状木材パルプと、いわゆる高分子吸収体(以下「SAP」と略称する。)との組合せから成り立っている。しかし、近年、物流の効率化、小売店々頭での棚効率の向上のため、さらには、省資源化のために、従来の比較的嵩張る吸収体製品に対して、薄物化、コンパクト化への社会的要請が大となってきた。
【0020】コンパクト化、薄物化の手段としては、SAPとパルプの組合せにおいては、パルプに対して2〜10倍ほど高い吸水能力を持つSAPの比率を上げ、パルプの比率を下げれば、薄く、コンパクトになり、究極的には、SAP100%の構造をとれば、最大限に薄物化、コンパクト化を追求できるはずである。
【0021】ところが、SAPの比率が高くなるほど、水の吸収の際に、SAPの特性に基づく、いわゆる、「ゲルブロッキング現象」が起こり、吸収体製品が計算どうりの効率では機能しなくなるため、従来の技術では、SAP/パルプ=1/1程度の構成が限界とされており、SAP/パルプ=(3/1)以上=3以上、さらには、SAP比率を上げて、SAP100%に近いパルプレス構造をとることは、極めて難しい技術課題となっている。
【0022】ここで、「パルプレス」という用語は、この分野で一般的に適用されている概念にしたがって、SAPとパルプの比(SAP/パルプ)が、1以上のものを総称するものとして使用される。
【0023】もちろん、パルプレス構造に関しては、従来から種々の挑戦がなさている。例えば、直接紡糸やアクリル酸系繊維の部分加水分解等により、繊維状、ウエブ状のSAPシートをつくる方法、アクリル酸等のモノマーをウエブに含浸させて、それを紫外線あるいはエレクトロンビーム等で重合させて、ウエブ状の吸水性ポリマーを作る方法、又は、セルロース等の不織布をカルボキシメチル化したのちさらに部分架橋してシート状の吸水性ポリマーを作る方法等の様々な試みがなされてきた。
【0024】しかしながら、素材のコストの問題、および多大な設備投資額等により、工業的、経済的に成功した例は報告されていない。
【0025】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であり、生理用品、紙おむつ、母乳パッド、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダーパッド、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラルフォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等の幅広い分野に使用されている。
【0026】また、その薬品徐放性を利用して、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の用途にも期待されている。
【0027】さらに、その親水性を利用して湿度調整材、電荷保持性を利用して帯電防止剤等への応用も期待されている。
【0028】[吸水性樹脂に関する先行技術]このような衛生材料に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−84304号公報、米国特許4625001号公報)、澱粉−アクリロニトリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−43995号公報)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特開昭51−125468号公報)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の加水分解物(特開昭52−14689号公報)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許0068189号公報)、カチオン性モノマーの架橋体(米国特許4906717号公報)、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(米国特許4389513号公報)などが知られている。
【0029】ところが、これらの吸水性樹脂は架橋部分の分解が起こり、水溶性樹脂とはなるが、主鎖は全く分解性を有しない、又は、一部のみしか分解しないため、使用後の廃棄が問題となる。特に、ポリアクリル酸は、分解できるのは、7量体までで、8量体以上のオリゴマーやポリマーは、全く生分解性を有しないことが報告されている。(J.E.Glass and G.Swift Eds.,“Agricultural and Synthetic polymers:Utilization and Biodegradability”,American Chemical Society,Washington,D.C.(1990年),M.Shimao,H.Saimoto,Y.Taniguchi,N.Kato,C.sakazawa:Appl.Environ.Microbiol.,46巻,605〜頁(1983年),S.Matsumura,S.Maeda,S.Yoshikawa,N.Chikazumi:J.Jpn.Oil Chem.Soc.(YUKAGAKU),39巻,1245〜頁(1990年)等)すなわち、これらの樹脂は分解性に乏しく、水中や土壌中では、半永久的に存在するので、廃棄物処理における環境保全の観点からは、非常に問題である。例えば、紙おむつ、生理用品等の衛生材料に代表される使い捨て用途の樹脂の場合、それをリサイクルすれば多大な費用がかかり、焼却するにも大量であるため地球環境への負荷が大きい。また、架橋ポリアクリル酸樹脂を含む廃棄物を埋設処理した場合、土壌中でCa2+等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層を形成すると報告されている(松本ら、高分子、42巻、8月号、1993年)。しかし、このような層は、そのもの自体の毒性は低いとはいわれているが、自然界には元来全く存在しないものであるので、長期に亘るそれら樹脂の土中への蓄積による生態系への影響は不明であるので、その使用には慎重な態度が望まれる。
【0030】同様に非イオン性の樹脂の場合、コンプレックスは形成しないが、非分解性のため土壌中へ蓄積するおそれがあり、その使用にも慎重な態度が望まれる。
【0031】さらに、これらの重合系の樹脂は、人間の肌等に対して毒性の強いモノマーを使用しており、重合後の製品からこれを除去するために多くの検討がなされてきたが、完全に除去するには困難を伴うことがある。特に工業的規模での製造では、より困難を伴うことが予想される。
【0032】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背景]一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解性ポリマーが注目されており、これを吸水性樹脂として使用することも提案されている。
【0033】このような用途に使用されている生分解性を有する吸水性樹脂としては、例えばポリエチレンオキシド架橋体(特開平6−157795号公報等)、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体(米国特許4650716号公報)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体などが知られている。
【0034】この中でポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアルコール架橋体は、特殊な菌のみしか、生分解することができないので、一般的な条件では、生分解性は遅かったり、もしくは全く分解しなかったりする。さらに分子量が大きくなると極端に分解性が低下したり、非分解性となる。
【0035】また、カルボキシメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、デンプン架橋体等の糖類架橋体は、その分子内に強固な水素結合を多く含むために、分子間、ポリマー間の相互作用が強く、そのため分子鎖が広く開くことができず、吸収能は高くなく、衛生用品中の吸水性ポリマーとしては不向きであった。
【0036】[ポリアミノ酸系吸水性樹脂の技術的背景]一方、ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生分解性を有するために地球環境にやさしく、生体内に吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが明らかにされているので、人に対してもやさしい素材である。
【0037】[使い捨て衛生用品に対する要望]すなわち、使い捨て衛生用品の薄型化と廃棄物の処理に対する要望は高く、その処理法も含めた新規の使い捨て衛生材料の出現が強く要望されていた。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題の一つは、上記した従来の技術における問題点を解決し、生分解性を有する分解性高吸水性複合体を提供することである。
【0039】また、本発明の課題の一つは、吸収特性に優れ、衛生材料等に使用した場合に薄型である分解性高吸水性複合体とその製造方法を提供することである。
【0040】さらに、本発明の課題の一つは、本発明に係る分解性高吸水性複合体の廃棄物の処理法を提供することである。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0042】即ち本発明は、以下の[1]〜[20]に記載した事項により特定される。
【0043】[1] 吸収体層(A層)を支持体層(B層)上に積層してなる分解性高吸水性複合体であって、前記吸収体層(A層)が、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)表面の少なくとも一部をミクロフィブリル状セルロース(a−2)により被覆した複合体を含んで構成され、前記支持体層(B層)が分解性支持体層であることを特徴とする、分解性高吸水性複合体。
【0044】[2]前記分解性支持体層の少なくとも一部が生分解性支持体層である、[1]に記載の分解性高吸水性複合体。
【0045】[3]前記分解性支持体層の少なくとも一部がコンポスト内分解性支持体層である、[1]〜[2]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0046】[4] 前記コンポスト内分解性支持体層が、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、コンポスト(堆肥)のイノキュラム(接種材料)100重量部(ウェット状態)に仕込み、40日間、58℃で処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、該分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質を有する、[3]に記載の分解性高吸水性複合体。
【0047】[5] 前記分解性支持体層の少なくとも一部が土中分解性支持体層である、[1]〜[4]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0048】[6] 前記土中分解性支持体層が、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、圃場の地下300mmに6月間埋設処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、該分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質を有する、[5]に記載の分解性高吸水性複合体。
【0049】[7] 前記架橋ポリアミノ酸粒子が、(1) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、20〜200倍である吸水能、(2) 生理食塩水を1分間吸収させた吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、10〜150倍である吸水能、(3) 103kPa(20g/cm )の荷重下での生理食塩水の吸水量が乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、および、(4) 生理食塩水を飽和吸収したゲルに3000Gの遠心力を10分間負荷した後に保持できる保水量が、乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものである、[1]〜[5]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0050】[8] 前記架橋ポリアミノ酸が架橋ポリアスパラギン酸である、[1]〜[7]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0051】[9] 前記ミクロフィブリル状セルロース(a−2)がセルロース又はセルロース誘導体である、[1]〜[8]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0052】[10] 前記ミクロフィブリル状セルロース(a−2)がパルプを摩砕及び/又は叩解して得られたものである、[1]〜[8]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0053】[11] 前記ミクロフィブリル状セルロース(a−2)が微生物代謝により得られたものである、[1]〜[8]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0054】[12] 前記分解性支持体層が分解性高分子を含んで構成される層である、[1]〜[11]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0055】[13] 前記分解性支持体層がウエブ、シート、及び、フィルムからなる群から選択された少なくとも一層を含んで構成される層である、[1]〜[11]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0056】[14] 前記ウエブが織布、編物、不織布、及び、紙からなる群から選択された少なくとも一つである、[13]に記載の分解性高吸水性複合体。
【0057】[15] 前記分解性高吸水性複合体が、(1) 生理食塩水20mlを吸収させたときの吸収速度が、0.1〜50ml/sec・cmである吸水能、(2) 生理食塩水を吸収させたときの飽和吸収量が、0.1〜5g/cmである吸水能、(3) 生理食塩水20mlを103kPa(20g/cm )の荷重を負荷させながら吸収させたときの吸収量が、0.05〜4g/cmである吸水能、および(4) 生理食塩水を飽和吸収させた後に111kPa(1ton/m )の荷重を負荷させたときの逆戻り排水量が0〜7g/cmである吸水能、のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものである、[1]〜[14]のいずれかに記載の分解性高吸水性複合体。
【0058】[16] 吸収体層(A層)を支持体層(B層)上に積層してなる分解性高吸水性複合体において、前記吸収体層(A層)が、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)表面の少なくとも一部を、ミクロフィブリル状セルロース(a−2)により被覆した複合体を含んで構成され、前記支持体層(B層)が分解性高分子を含んで構成される分解性高吸水性複合体の製造方法であって、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)、ミクロフィブリル状セルロース(a−2)、および、水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液を前記支持体層(B層)にキャストし、乾燥することを特徴とする、分解性高吸水性複合体の製造方法。
【0059】[17] 前記水混和性有機溶媒が、炭素原子数1〜6のアルコール、グリコール、エーテル、及び、ケトンからなる群より選択される少なくとも一種である、[16]に記載した分解性高吸水性複合体の製造方法。
【0060】[18] 表面の少なくとも一部がミクロフィブリル状セルロースにより被覆されていることを特徴とする、架橋ポリアミノ酸系樹脂。
【0061】[19] 表面の少なくとも一部がミクロフィブリル状セルロースにより被覆されていることを特徴とする、分解性高吸水性複合体用架橋ポリアミノ酸系樹脂。
【0062】[20] [1]記載の分解性高吸水性複合体からなることを特徴とする、衛生用品。
【0063】
【発明の実施の形態】本発明の分解性高吸水性複合体の特徴は、構成材料が生分解性を有するために分解性を有するだけでなく、吸水能、薄型化の機能発現はもとより、より効率的に分解を促進するために構造上にも崩壊しやすいように工夫を施したものである。
【0064】すなわち、本発明の分解性高吸水性複合体は、〈吸収性〉、〈崩壊性〉、〈分解性〉、〈薄型〉を兼ね備えた複合体である。
【0065】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0066】(1) 分解性高吸水性複合体の構造本発明は分解性高吸水性複合体に関するものであり、吸収体層と支持体層とを含んで構成される。
【0067】本発明の分解性高吸水性複合体の吸収体層は、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)表面の少なくとも一部をミクロフィブリル状セルロース(a−2)により被覆した複合体を含んで構成される。また、支持体層(B層)は、分解性支持体層である。
【0068】本発明の分解性高吸水性複合体は、その機能発現を妨げない範囲において、必要により、食塩、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン粉末等の無機化合物、キレート剤等の有機化合物、さらに酸化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香料、消臭剤、顔料等を添加しても構わない。これらの添加剤が含有される場所は、吸収体層、支持体層のいずれであっても構わない。また、必要に応じて、消臭、脱臭機能を有する材を含有しても構わない。また、菌の繁殖を抑える抗菌材を含有することもできる。
【0069】さらに、周縁部にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を塗布し、周縁部における尿等の滲みによる漏れを防止しても構わない。
【0070】以下に、分解性高吸水性複合体の吸収体層を(2)に、支持体層を(3)に説明する。
【0071】(1−1) 分解性高吸水性複合体の分解性本発明における分解性高吸水性複合体の分解性なる語は、吸水性複合体の使用後の廃棄物が、廃棄物処理によって、分解することを意味する。
【0072】具体的には、生分解性、コンポスト内分解性、土中分解性を挙げることができる。但し、これら以外にも、本発明の分解性高吸水性複合体の機能発現を妨げない範囲において、これ以外の内在された特性を廃棄処理に利用することができる。例えば、高温分解性、酸化分解性、還元分解性、加水分解性、アルカリ分解性、酸分解性等が挙げられる。
【0073】また、機械的手段による攪拌、混合、破砕、細断等の処理を併用させたり、前処理として行うことにより、分解をより効率化することもできる。
【0074】生分解性とは、構成材料が、自然環境中、又はコンポスト等の人為的に制御された条件の下で、微生物、菌、酵素等のバイオ(生体)によって分解され、安全な低分子となることをいう。
【0075】コンポスト内分解性とは、コンポスト中において、微生物、菌、酵素等のバイオ(生体)によって分解され、安全な低分子となるこという。
【0076】その好ましい形態とは、例えば、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、コンポスト(堆肥)のイノキュラム(接種材料)100重量部(ウェット状態)に仕込み、58℃で40日間処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質である。
【0077】土中分解性とは、土中等に埋設される等の処理を施されたとき、土中において微生物、菌、酵素等により、バイオにより、生物学的に分解され、高分子が低分子となる性質をいう。
【0078】その好ましい形態とは、例えば、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、圃場の地下300mmに6月間埋設処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質である。
【0079】(1−2) 分解性高吸水性複合体の好ましい吸収能本発明の分解性高吸水性複合体は、吸収体として吸水能に優れていることが必要である。特に、荷重下での吸水量が大きく、荷重下での保水力が大きく、吸水速度が速いことが好ましい。
【0080】例えば、衛生材料は各種の体液を充分吸収できなければならないが、本発明では、体液の標準として生理食塩水を用いて、吸水性樹脂の吸水能を表わす。
【0081】すなわち、本発明の分解性高吸水性複合体は、以下のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものであることが好ましい。
(1) 生理食塩水20mlを吸収させたときの吸収速度が、0.1〜50ml/sec・cmである吸水能。
(2) 生理食塩水を吸収させたときの飽和吸収量が、0.1〜5g/cmである吸水能。
(3) 生理食塩水20mlを103kPa(20g/cm )の荷重を負荷させながら吸収させたときの吸収量が、0.05〜4g/cmである吸水能。
(4) 生理食塩水を飽和吸収させた後に111kPa(1ton/m )の荷重を負荷させたときの逆戻り排水量が0〜7g/cmである吸水能。
【0082】さらには、以下のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものであることがさらに好ましい。以下の吸水能を有するものがさらに好ましい。
(1) 生理食塩水20mlを吸収させたときの吸収速度が、1〜50ml/sec・cmである吸水能。
(2) 生理食塩水を吸収させたときの飽和吸収量が、1〜5g/cmである吸水能。
(3) 生理食塩水20mlを103kPa(20g/cm )の荷重を負荷させながら吸収させたときの吸収量が、0.5〜4g/cmである吸水能。
(4) 生理食塩水を飽和吸収させた後に111kPa(1ton/m )の荷重を負荷させたときの逆戻り排水量が0〜5g/cmである吸水能。
【0083】これらの性能に上限はなく、(4)を除いて高い数字を示すものが好ましいが、実際に分解性高吸水性複合体を製造できる範囲において、以上の数字範囲が好ましい形態となる。
【0084】本発明の好ましい形態として、これらの値に上限を設けるが、本発明の分解性高吸水性複合体を衛生材料として使用する場合、本発明の分解性高吸水性複合体と構成が同じであるならば、それ以上の性能を有する分解性高吸水性複合体を使用できないわけではない。
【0085】(2) 分解性高吸水性複合体の吸収体層本発明の分解性高吸水性複合体の吸収体層(A層)は、架橋ポリアミノ酸粒子(a−1)表面の少なくとも一部をミクロフィブリル状セルロース(a−2)により被覆した複合体を含んで構成される。
【0086】本発明における、ミクロフィブリル状セルロースにより表面の少なくとも一部を被覆した架橋ポリアミノ酸粒子(以下、架橋ポリアミノ酸複合体と呼ぶ)を(2−1)に架橋ポリアミノ酸粒子を(2−2)、ミクロフィブリル状セルロースを(2−3)に説明する。
【0087】本発明における分解性高吸水性複合体は、一重の構造のみならず、多重の構造をとることもできる。特に吸収層を重ねた構造をとったり、吸水性樹脂の濃度勾配を持たせることにより、吸収能力を強化することができる。
【0088】架橋ポリアミノ酸複合体の存在位置は、特に限定されず、効率よく体液等を吸収できる構造であれば、吸収体層の上層、中層、下層の何れであっても構わない。その分布の状態も特に限定されず、対象とする液体の量と注入部分に応じて、効率よく分布されることが好ましい。効率化するためには、予め架橋ポリアミノ酸粒子の分布を偏在させることもできる。また、架橋ポリアミノ酸複合体は、その性能が十分に発揮できるように分散して分布させることもできる。
【0089】水の拡散をより効率化するために、吸収紙、拡散紙を使用することができる。吸収紙、拡散紙についても、限定されないが、通常、セルロースを主体とした紙が好ましい。また、拡散を効率化するためにパルプと混合しても構わない。
【0090】(2−1) 架橋ポリアミノ酸複合体の構造本発明において、架橋ポリアミノ酸複合体は、ミクロフィブリル状セルロースにより表面の少なくとも一部を被覆した架橋ポリアミノ酸粒子であり、薄型の機能を発現できる重要な要因の一つである。
【0091】すなわち、架橋ポリアミノ酸複合体は、架橋ポリアミノ酸粒子をコア部分とし、ミクロフィブリル状セルロースをシェル部分とする、コア−シェル構造をとるところに特徴がある。
【0092】以下、コア−シェル構造を有する架橋ポリアミノ酸複合体の詳細について説明する。
【0093】[語「粒子」の概念]本出願の明細書において用いる「粒子」なる語の概念には、これらの語が高分子化学において一般的に有する概念を完全に包含するが、必ずしも等価ではない。本出願の明細書において用いる「粒子」の走査電子顕微鏡的形態の態様に関しては、球状の態様のみならず、例えば、ラズベリー状又は金米糖(こんぺいとう、ポルトガル語のconfeito)状の多くの突起を有するような態様、赤血球状の偏平な態様、ラグビーボール状の回転楕円体様の態様、大腸菌状の紡錘形様の態様、雷おこし(浅草名物の菓子)状の多孔質な態様等をも包含する。本出願の明細書において用いる「粒子」なる語の概念には、例えば、ポリマーエマルジョン、ラテックス、ポリマーサスペンジョンを構成するような平均粒子直径1nm〜10μm程度のマイクロスフィアのみならず、平均粒子直径10μm〜100mm程度の粒子をも包含するが、本出願に係る発明においては、平均粒子直径100μm〜25mm程度の粒子が一般的な態様である。
【0094】このように、本出願の明細書において用いる「粒子」なる語は、これらの語が高分子化学において一般的に有する概念と、必ずしも等価ではないのであるが、本発明に係るポリマーの不均一な系の本質的態様について屡々言及するに当たり便宜的に用いるものとする。
【0095】[高次粒子]本発明において、粒子は一次粒子であっても、高次粒子であってもよい。すなわち、複数個の一次粒子の集合体又は凝集体である二次粒子であっても、複数個の二次粒子の集合体又は凝集体である三次粒子であっても、複数個の三次粒子の集合体又は凝集体である四次粒子であっても、さらには、高次粒子であっても、合目的的であれば特に制限されない。
【0096】[コア/シェル構造を有する粒子]本出願の明細書において用いる「コア」、「シェル」及び「コア/シェル」なる語は、これらの語が高分子化学において一般的に有する概念を完全に包含するが、必ずしも等価なものではない。例えば、本発明に係る「コア/シェル」粒子に関しては、「コア」が少なくとも部分的に「シェル」に包まれている態様を包含する。このように、本出願の明細書において用いる「コア」、「シェル」及び「コア/シェル」なる語は、これらの語が高分子化学において一般的に有する概念と、必ずしも等価ではないのであるが、本発明に係るポリマーの不均一な系の本質的態様について屡々言及するに当たり便宜的に用いるものとする。
【0097】なお、高分子化学においては、一般的に、「コア」なる語は、「核(core,center,nucleus)」、「芯(core,center)」及び「種(seed)」なる語と等価に用いられ、「シェル(shell)」なる語は、「殻(shell,skin,husk)」、「鞘(sheath)」及び「おおい(robe)」なる語と等価に用いられる。
【0098】したがって、本出願の明細書において用いる「コア」なる語については、「核(core,center,nucleus)」、「芯(core,center)」及び「種(seed)」なる語と同等に用いることもできる。同様に、「シェル」なる語については、「殻(shell,skin,husk)」、「鞘(sheath)」及び「おおい(robe)」なる語と同等に用いることもできる。
【0099】[粒子の構造]コア/シェル構造の態様としては、例えば、以下の(1)〜(7)を挙げることができるが、これらの態様のみに限定されるものではない。
【0100】(1) コア粒子表面が、シェルで覆い尽くされた、典型的なコア/シェル型の態様。
【0101】(2) コア粒子表面上にシェルが一部堆積し、完全には覆い尽くされていない構造の態様。
【0102】(3) シェルにより、複数のコア粒子が封じ込められた、断面がサラミソーセージ状の、いわゆる、サラミ構造の態様。
【0103】(4) コア粒子が中空粒子である態様。
【0104】(5) コア粒子が、多孔質粒子であって、シェルを構成する樹脂により、多孔質粒子の空隙が充填されていない態様。
【0105】(6) コア粒子が、多孔質粒子であって、シェルを構成する樹脂により、多孔質粒子の空隙の少なくとも一部が充填されている態様。
【0106】(7) コア粒子が、多孔質粒子であって、シェルを構成する樹脂により、多孔質粒子の空隙の少なくとも一部が充填されることなく、コア相/空隙相の界面が被覆されている態様。
【0107】本発明の粒子は、実質的に目的とする機能が発現できれば、シェル相が一層であっても、多層であっても構わない。
【0108】本発明の粒子のコア/シェル構造は、コア部分とシェル部分が完全に分離した構造であっても、シェル部分がコア部分に浸透した状態であっても構わない。目的を発現できるように設計できる。また、コアとシェルの構造の間に気相を含有させても構わない。
【0109】本発明に係る分解性高吸水性複合体において、ミクロフィブリル状セルロースは、第一に、水分に安定であると同時に、第二に、架橋ポリアミノ酸粒子の吸収性を阻害しないような結合材として働き、架橋ポリアミノ酸粒子を主成分とした2次構造化を果たしている。
【0110】また、本発明において、架橋ポリアミノ酸粒子を所定の位置に拘束するネットワーク構造は、いわゆるミクロフィブリル状セルロースによって構成される。このミクロフィブリル状セルロースは、一般的には、平均直径が2.0μm〜0.01μm、平均長が、0.01μm〜0.1μmの極めて細い繊維状物であって、架橋ポリアミノ酸粒子が水を吸収したときに、その膨潤によって直ちに構造が崩壊するのを防止することができる耐水性をもち、しかも、水の浸透性、架橋ポリアミノ酸粒子の膨潤性を阻害しないような性質を有する。
【0111】ここで特記すべきことは、ミクロフィブリル状セルロースは、ソルベーション(束縛水)として水と結合する、極めて強固な水和性を有するということであり、この水和性により、含水媒体中に分散されると水和して、大きな粘性を示し、安定に分散状態を保持する性質を示す。なお、本発明において、「ミクロフィブリル状セルロース」という用語は、強い水和性を示す繊維状物を総称するもとのして使用され、場合によっては平均直径が2.0μmを超えるものも使用可能であり、また、いわゆるミクロフィブリル状セルロースとミクロフィブリル状セルロースとの混合体であってもよい。
【0112】図1は、分散液中のミクロフィビリル状セルロース(S−MFC)濃度と、その粘度との関係を示す一例である。図1から、低濃度でも高い粘度特性をもっていることがわかる。またこのミクロフィビリル状セルロースの分散液は構造粘性を示し、シェアをかけることによって流動配向を示し、粘度が下がるが、シェアを下げるとともに復元する。従って、このミクロフィビリル状セルロースの分散媒体中に架橋ポリアミノ酸粒子を添加分散すると、低シェアの分散状態では、ミクロフィビリル状セルロースのネットワーク構造の中に架橋ポリアミノ酸粒子が安定に取り込まれて、高濃度の架橋ポリアミノ酸粒子を安定に分散することができる。またポンプ等で搬送する場合には、粘度が下がって輸送しやすくなり、シート成形後、分散媒体が除去され乾燥状態に至ると、ミクロフィビリル状セルロース相互が自己接合してプラスター状になって架橋ポリアミノ酸粒子を安定に結合、固定することができる。
【0113】したがって、このミクロフィビリル状セルロースの分散媒体中に架橋ポリアミノ酸粒子を分散すると、高濃度の架橋ポリアミノ酸粒子を安定に分散することができ、分散媒体が除去される過程では、強固に自己接合してプラスター状になって、ネットワーク構造を形成し、架橋ポリアミノ酸粒子を包み込んで機械的に包囲すると同時に、ミクロフィビリル状セルロース相互がイオン的な水素結合効果により結合し、架橋ポリアミノ酸粒子を確実に保持する。
【0114】(2−2) 架橋ポリアミノ酸粒子本発明の分解性高吸水性複合体に使用される吸水性樹脂は架橋ポリアミノ酸粒子に特定される。
【0115】使用される架橋ポリアミノ酸は、特に限定されず、ポリアミノ酸の一部を架橋したものが使用できる。本発明に使用されるポリアミノ酸の基本骨格は、アミノ酸が脱水縮合したポリペプチドから成る。アミノ酸成分の具体例としては、例えば、20種類の必須アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。
【0116】また、ポリアミノ酸は他の単量体成分を含む共重合体であってもよい。共重合体の単量体成分の例としては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等が挙げられる。
【0117】また、多価アミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等が挙げられる。
【0118】共重合体である場合は、ブロック・コポリマーであっても、ランダム・コポリマーであっても構わない。また、グラフトであっても構わない。
【0119】これらの中で、生分解性に優れたホモポリマーである、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジンを基本骨格とした方が好ましく、高い吸水性を有するポリアスパラギン酸及びグルタミン酸を基本骨格とした場合が好ましく、さらに工業的生産に適したポリアスパラギン酸が特に好ましい。
【0120】本発明の分解性高吸水性複合体に使用される架橋ポリアミノ酸の側鎖構造については、置換基がないポリアミノ酸残基であっても、ポリアミノ酸残基が誘導されたペンダント基を含むものであっても構わない。ポリアスパラギン酸の場合、単純にイミド環を開環した構造でカルボキシル基を持つ基であるが、他の置換基を導入しても構わない。
【0121】例えば、単純にイミド環を開環した構造でカルボキシル基を持つ基、リジン等のアミノ酸残基、カルボキシル基を有するペンダント基、スルホン酸基を有するペンダント基等がある。ここで、カルボキシル基、スルホン酸基の場合は、塩となっていても構わない。カルボキシル基の対イオンとしては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等がある。
【0122】また、酸性ポリアミノ酸の場合、カルボキシル基、もしくは側鎖基は、ポリマー主鎖のアミド結合に対して、アスパラギン酸残基の場合は、α位に置換されていても、β位に置換されていても構わず、グルタミン酸残基の場合は、α位に置換されていても、γ位に置換されていても構わない。
【0123】共重合体の場合、ポリアスパラギン酸及びその共重合体の場合は、アスパラギン酸もしくは共重合体単量体のアミノ基等と、アスパラギン酸のα位のカルボキシル基と結合した場合がα結合であり、アスパラギン酸のβ位のカルボキシル基と結合した場合がβ結合である。
【0124】ポリアスパラギン酸の場合のα結合とβ結合は特に限定されず、その結合様式は、特に限定されない。α結合のみであっても、β結合のみであっても、混在していても構わない。
【0125】本発明のポリアミノ酸の基本骨格と側鎖部分の結合部分は特に限定されない。酸性ポリアミノ酸の場合、アミド結合、エステル結合、チオエステル結合である。またカルボキシル基の場合は、水素原子が結合した形でも、塩を構成しても構わない。カルボキシル基の対イオンとしては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等がある。
【0126】本発明に使用されるポリアミノ酸は架橋体である。本発明の基本骨格と架橋部分の結合部分は、特に限定されない。酸性ポリアミノ酸の場合、アミド結合、エステル結合、チオエステル結合である。これらの架橋部分及び側鎖部分は、無置換でも、置換していてもよい。
【0127】置換基としては、炭素原子数1〜18の分岐していてもしていなくてもよいアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、アラルキル基、置換していてもよいフェニル基、置換していてもしていなくてもよいナフチル基、炭素原子数1〜18の分岐していてもよいアルコキシ基、アラルキルオキシ基、フェニルチオ基、炭素原子数1〜18の分岐していてもよいアルキルチオ基、炭素原子数1〜18の分岐していてもしていなくてもよいアルキルアミノ基、炭素原子数1〜18の分岐していてもしていなくてもよいジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜18の分岐していてもしていなくてもよいトリアルキルアンモニウム基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、スルホニル基、スルホン酸基、ホスホン酸基及びこれらの塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0128】これらポリアミノ酸系樹脂の基本骨格、架橋部、側鎖部は特に限定されず、吸収コアに含まれる吸収性樹脂として十分な吸水能を発揮できるものであれば、製造法によらず、いずれの樹脂も使用することができる。
【0129】架橋ポリアスパラギン酸としては、製造法によらず、様々な方法で製造された樹脂を使用することができる。例えば、ポリコハク酸イミドを多価アミンによりその一部を架橋し、残りのイミド環をアルカリ等で加水分解する方法、アスパラギン酸、ポリアスパラギン酸とリジン等を混合し、重合しながら架橋する方法、ポリアスパラギン酸と多価アミンを混合し、高温において脱水縮合する方法、ポリアスパラギン酸を多価グリシジル化合物と反応させる方法、ポリアスパラギン酸の水溶液にγ線を照射する方法等が挙げられる。これらの方法で製造された樹脂は、吸収コアに含まれる吸収性樹脂として十分な吸水能を発揮できるものであれば、製造法によらず、いずれの樹脂も使用することができる。
【0130】これらの樹脂は2種類を混合して用いても構わない。また、生分解を有する他の吸水性樹脂である架橋多糖類を併用して用いても構わない。さらに必要に応じて衛生用品の生分解性を損ねない範囲で、生分解性を有しない吸水性樹脂を併用しても構わない。
【0131】本発明の吸水性樹脂の使用量は、吸収を目的とする体液の種類、量により大きくかわり、使用用途によっても変わってくる。一般的には、シート1mあたり1.0〜500gが好ましく、10〜200gが特に好ましい。
【0132】本発明に使用する架橋ポリアミノ酸系樹脂の形状は、不定形破砕状、球状、粒状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール状、微粉末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等種々のものが使用でき、用途によって好ましい形状を使用できる。また、繊維状基材や多孔質状や発泡体あるいは造粒物であってもよい。これらの架橋ポリアミノ酸系樹脂の粒子径は特に限定されないが、使用用途によって変わってくる。
【0133】例えば、紙オムツ用の場合は、速い吸収速度とゲルブロッキングが起こらないことが望まれるので、平均粒子直径は、70〜1000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましい。
【0134】本発明の衛生用品に用いられる架橋ポリアミノ酸系樹脂は、吸水能に優れていることが必要である。特に、非荷重下での吸水量が大きく、荷重下での吸水量が大きく、荷重下での保水力が大きく、吸水速度が速いものである必要がある。例えば、衛生材料は各種の体液を充分吸収できなければならないが、本発明では、体液の標準として生理食塩水を用いて、吸水性樹脂の吸水能を表わす。
【0135】すなわち、本発明の衛生用品に、吸水性樹脂として使用される架橋ポリアミノ酸粒子は、以下に吸水能を有するものが好ましい。
(1) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、20〜200倍である吸水能、(2) 生理食塩水を1分間吸収させた吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、10〜150倍である吸水能、(3) 103kPa(20g/cm )の荷重下での生理食塩水の吸水量が乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、および、(4) 生理食塩水を飽和吸収したゲルに3000Gの遠心力を10分間負荷した後に保持できる保水量が、乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものである。
【0136】さらには、以下に吸水能を有するものがさらに好ましい。
(1) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、30〜200倍である吸水能、(2) 生理食塩水を1分間吸収させた吸収量が乾燥ポリマー単位重量当たり、20〜150倍である吸水能、(3) 103kPa(20g/cm )の荷重下での生理食塩水の吸水量が乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、および、(4) 生理食塩水を飽和吸収したゲルに3000Gの遠心力を10分間負荷した後に保持できる保水量が、乾燥ポリマー単位重量当たり、5〜150倍である吸水能、のいずれかの吸水能を少なくとも一つ有するものである。
【0137】これらの値に上限はなく、高い数字を示すものが好ましいが、実際に架橋ポリアミノ酸系樹脂を製造できる範囲において、以上の数字範囲が好ましい形態となる。
【0138】本発明の好ましい形態としてこれらの値に上限を設けるが、本発明の衛生材料としてそれ以上の性能を有する樹脂を使用できないわけではない。
【0139】(2−3) ミクロフィブリル状セルロース本発明において使用されるミクロフィブリル状セルロースは、セルロースあるいはセルロース誘導体をミクロフィブリル化処理することにより得られる。例えば木材パルプを磨砕および高度叩解することにより、図2に示すような過程を経て得られる。このミクロフィブリル状セルロースは、MFC(ミクロフィブリレイテッドセルロース)と呼ばれ、よりミクロフィブリル化の進んだものは、S−MFC(スーパーミクロフィブリレイテッドセルロース)と呼ばれる。
【0140】また、ミクロフィビリル状セルロースは微生物の代謝によって得ることもできる。一般的には、酢酸菌ザイリナム(Acetobactor Xylinum)等の、いわゆる酢酸菌を適当な炭素源を含む培地で撹拌培養して粗ミクロフィビリル状セルロースを生成させ、次いで精製することにより得られる。このミクロフィビリル状セルロースは、BC(バクテリアセルロース)と呼ばれる。
【0141】また紡糸性を有するセルロースの銅アンモニア溶液、アミンオキサイド溶液、セルロースザンテート水溶液、あるいはジアセチルセルロースのアセトン溶液等を剪断応力下で凝固させて得られる、いわゆるフィブリル状の物質をさらに離解して得られるミクロフィブリル状の物質も使用することが可能である。
【0142】好ましくはミクロフィブリル状セルロース(a−2)はセルロース又はセルロース誘導体であり、さらに好ましくは、パルプを摩砕及び/又は叩解して得られたもの、あるいは、微生物代謝により得られたものである。
【0143】これらのミクロフィビリル状セルロースの詳細については、特公昭48−6641号公報、特公昭50−38720号公報等に記載され、また商品名「セルクリーム」(旭化成(株)製)、商品名「セリッシュ」(ダイセル化学工業(株)製)等として市販されているが、とくに本発明に適するものは、保水値が250%以上のS−MFCおよびBCである。
【0144】(3) 分解性高吸水性複合体の支持体層本発明の分解性高吸水性複合体の支持体層は分解性支持体層であり、分解性高吸水性複合体がシート状の構造体として構築されるための支持体としての働きを有する。さらには、支持体層自身が吸収されるべき液体の拡散を促す働きを持たせることもできる。すなわち、支持体層は物理的サポートや、拡散の媒体として働く。
【0145】本発明の分解性高吸水性複合体の支持体層は、その構成材料としては、分解性を有するものであれば特に限定されないが、分解性高分子を含んで構成されるものが好ましい。
【0146】以下、分解性高吸水性複合体の支持体層の構成材料を(3−1)に、分解性高吸水性複合体の支持体層の構造を(3−2)に説明する。
【0147】(3−1) 分解性高吸水性複合体の支持体層の構成材料本発明における分解性高分子は生分解性を有する高分子材料である。係る材料は、非溶融性の材料と溶融性の材料に分けられる。
【0148】非溶融性の材料の具体例としては、例えば、パルプ、木綿、羊毛、再生セルロース繊維、溶剤紡糸セルロース繊維等が挙げられる。パルプの具体例としては、例えば、木材からのバージンパルプ、古紙等から回収したパルプが挙げられる。
【0149】溶融性の材料の具体例としては、例えば、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエステルアミドが挙げられる。脂肪族ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリグリコシド、ポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシカルボン酸)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−3‐ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3‐ヒドロキシブチレート、ポリ−3‐ヒドロキシカプロレート、ポリ−3‐ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3‐ヒドロキシオクタノエート、及びこれらとポリ−3−ヒドロキシバリレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレートとの共重合体のようなポリヒドロキシアルカノエート、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート及びこれらの共重合体のように二価アルコールと二価カルボン酸との縮合物、さらにそれらを二価イソシアナート化合物で鎖延長したウレタン結合を有するもの等が挙げられる。脂肪族ポリエステルアミドの具体例としては、例えば、ε−カプロラクトンとε−カプロラクタムの共重合体等のラクトンとラクタムの共重合物が挙げられる。
【0150】(3−2) 分解性高吸水性複合体の支持体層の構造本発明の分解性高吸水性複合体の支持体層は、(3−1)で挙げた材料を用いた構造体である。
【0151】支持体層の構造としては、例えば、無サイズ紙、不織布などの透水性多孔シート、セロファン、ビニロンフィルム、PVAフィルム、熱可塑性フィルムでフィルム製造時に微細連通孔をもつように発泡加工したもの、無機物または高融点の核発生剤を添加して延伸加工して微細連通孔を形成したもの、生分解性プラスティックとパルプとの混抄紙、紙と不織布との複合体、サイズ紙や不織布にビスコースによってセルロース膜を形成させたもの、セルロース膜に微細な孔を形成させたもの、生分解性プラスティックからなるプラスティックフィルム又は多孔性フィルム、金属箔、その一部または全部が生分解性プラスティックの不織布、レーヨン、パルプなどの繊維に、生分解性プラスティックを含浸または混入した不織布、生分解性プラスティックからなる不織布等が挙げられる。
【0152】これらの中で、分解性支持体層が、ウエブ、シート、及び、フィルムから構成されるものであるものが好ましい。ウエブの中では、織布、編物、不織布、及び、紙等が好ましい。さらに工業的生産を考慮すると、不織布が特に好ましい。不織布については(3−3)においてその詳細について説明する。
【0153】(3−3) 分解性高吸水性複合体の支持体を形成する不織布不織布はASTMでは、「繊維同志を接合物質によって接合したウエブ、あるいは、マット状の構造を持つ布状物質」と定義され、また、日本不織布工業会では、「乾式ウエブの機械的、熱的あるいはそれらの組み合わせにによる処理により構成繊維を結合、接着して作られたもので、製織、編織、縮じゅうなどの方法によらない布状のもの」と定義しているが、本発明においては、さらに広義な意味である「天然あるいは人造繊維ステープル、あるいは連続フィラメントが接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合されら布状物質」として定義する。
【0154】その製造方法は特に限定されず、各種の方法が使用できる。例えば、水を媒体として用いず、紡績用カードあるいはガーネットその他の装置により繊維シートを形成する方法である乾式法、水あるいは結合材を含有した液中に原料繊維を分散させ、抄紙機を利用してシート状にする方法である湿式法、繊維を形成すると同時に不織布を作る直接法が挙げられる。
【0155】乾式法は、原料繊維を開綿機にかけてほぐし、あるいは混綿機で配合し、これを薄いシート(ウエブ)にする工程と、得られたウエブを接合する工程により構成される。
【0156】ウエブ作成は、カードあるいはガーネットで作られる平行配列ウエブを交差して折り畳んで作る交差配列ウエブ、開綿された繊維を空気流により吹き飛ばして、有孔円筒(コンデンサ)上に均一に分散集積(air−lay)させて作るランダム配列ウエブが挙げられる。亜硫酸パルプや綿リンタ等の短い繊維を用いて接着剤を用いることなく、不織布を作成しても構わない。
【0157】ウエブの接合方法は、接着剤による方法と機械的接合法がある。接着剤による方法は、合成樹脂溶液あるいはエマルジョンを用いる、浸漬法、ロール法、泡末法、プリント法、スプレー法と、合成樹脂粉末を用いる方法と、繊維を結合材として用いる方法がある。機械的接合法は、ニードルパンチ法とステッチ法がある。
【0158】湿式法は、熱可塑性樹脂から作られた微小な不規則な細枝状のバインダー(fibrids)を湿潤したパルプのような状態で、通常の繊維と混ぜてスラリーとし、抄紙機でシート化し、加熱してバインダー(fibrids)を溶融して接合する方法と、マルチセルラセルフボンディングビスコースレーヨン等を多種繊維と混合して水中にスラリーとし、湿式でマットを作り乾燥する方法がある。また、フィブリル化した繊維も同様な方法に使用できる。また高圧の水流によって交絡させるスパンボンド法も湿式法に分類される。
【0159】直接法には、スプレーファイバー法とスパンボンド法がある。
【0160】スプレーファイバー法は、原料高分子物質を溶液あるいは熱溶融して紡糸ノズルから噴射させ、ノズルの周囲から噴射される空気流により吹き飛ばされて、切断された繊維を形成し、コンベアのスクリーン上に集積され、きわめて細い繊維から成るランダムマットを形成させるとき、紡糸筒に静電気を与えて均一に分散させる方法である。
【0161】スパンボンド法は、紡糸ノズルから溶融紡糸されたフィラメントを、吸引ゼット中に導き、圧搾空気流により延伸されるととに下方に送り、吸引ゼットに与えた静電気によりフィラメントが帯電して均一に開繊され、下方の受器に均一なランダムウエブを形成する方法である。
【0162】本発明の衛生用品に用いられる不織布の材料となる原料繊維は生分解性を有する高分子材料であるほうが好ましい。その例については、例えば、(3−1)で挙げた溶融性高分子材料とグリセリン等の有機溶媒、酸化防止剤からなる。さらに、具体的な例としては、ポリカプロラクトン/ポリブチレンサクシネート/グリセリン/酸化防止剤からなるホットメルト接着剤を挙げることができる。
【0163】(4) 分解性高吸水性複合体の製造方法本発明の分解性高吸水性複合体の製造方法は特に限定されないが、その好適な方法を例示する。
【0164】その方法としては、(4−1)架橋ポリアミノ酸粒子、ミクロフィブリル状セルロース、および、水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液を、支持体層にキャストし、乾燥する方法、と(4−2)架橋ポリアミノ酸粒子を支持体層に散布し、その上にミクロフィブリル状セルロース、および、水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液をキャストし、乾燥する方法、とがある。
(4−1)架橋ポリアミノ酸粒子、ミクロフィブリル状セルロース、及び、水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液を、支持体層にキャストし、乾燥する方法前記方法は、架橋ポリアミノ酸粒子の膨潤を抑制し、かつ、セルロースあるいはセルロース誘導体から得られる水和性を有するミクロフィブリル状セルロースを水和分散できる、水混和性のある有機溶媒と水との混合溶媒からなる分散媒体中に、前記架橋ポリアミノ酸粒子および前記ミクロフィブリル状セルロースを分散させ、得られた分散液から前記架橋ポリアミノ酸粒子および前記ミクロフィブリル状セルロースを前記混合溶媒から分離し、ついで脱溶媒したのち乾燥させる方法である。
【0165】本発明においては、前述のような架橋ポリアミノ酸複合体の製造に当たり、ミクロフィビリル状セルロースの分散媒体中での架橋ポリアミノ酸粒子の分散挙動および脱溶媒後のミクロフィビリル状セルロースの挙動を巧みに利用している。すなわち本発明の架橋ポリアミノ酸複合体は、ミクロフィビリル状セルロースが安定水和分散する、水混和性のある有機溶媒と水との混合溶媒からなる分散媒体中に、前記架橋ポリアミノ酸粒子および前記ミクロフィビリル状セルロースを分散させ、得られた分散液から前記架橋ポリアミノ酸粒子および前記ミクロフィビリル状セルロースを前記混合溶媒から分離し、ついで脱溶媒した後、乾燥させることによって得ることができる。この結果として、架橋ポリアミノ酸粒子が90%以上含有するような典型的なパルプレスの分解性高吸水性複合体を得ることができる。
【0166】まず、ミクロフィビリル状セルロースの分散液を調製するためには、比較的高濃度のミクロフィビリル状セルロースの水分散液を調製してこれを母液とする。この母液としては、高濃度になるほど製造装置はコンパクトになるが、一方、高粘度になるために取り扱いが難しくなるので、10%以下、好ましくは5%〜1%の水分散液が用いられる。このミクロフィビリル状セルロースの母液を有機溶媒と水との混合溶媒に加えて、所定のミクロフィビリル状セルロース濃度とそれに伴う粘度を持ったミクロフィビリル状セルロース分散液を調製する。架橋ポリアミノ酸粒子の混合添加手段としては、上述のミクロフィビリル状セルロース分散液の中に架橋ポリアミノ酸粒子を分散させる方法が一般的である。
【0167】本発明に使用される有機溶媒は、水と相溶性のあるもので架橋ポリアミノ酸粒子をあまり膨潤させないものであれば原則使用可能であり、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、グリセリン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジメチルスルホキサイド等から挙げられる。
【0168】これらの中で、乾燥時に揮発しやすく、安全性の高いものが好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルコール、グリコール、エーテル、ケトンが好ましい。
【0169】この有機溶媒と水とからなる混合溶媒にミクロフィビリル状セルロースおよび架橋ポリアミノ酸粒子を分散させることにより、ミクロフィビリル状セルロースのネットワーク構造が形成されて架橋ポリアミノ酸粒子を組み込み、安定分散状態を確保し、その後に混合溶媒が除去されたときは、ミクロフィビリル状セルロースの持つ物理的な絡合構造と、ミクロフィビリル状セルロース同士の安定な水素結合の形成により、3次元的な構造が形成されるものと推定される。
【0170】有機溶媒と水との混合比は、ミクロフィビリル状セルロースのネットワーク構造化を可能にし、かつ架橋ポリアミノ酸粒子の吸水をできるだけ抑制する範囲に設定される。有機溶媒としてメチルアルコール、エチルアルコールおよびアセトンを用いた場合について、各有機溶媒の濃度と架橋ポリアミノ酸粒子の吸収比との関係を測定した結果を図3のグラフに示す。図3から、エチルアルコールおよびアセトンの場合には、その濃度が50%以下になると架橋ポリアミノ酸粒子の吸収比が急激に増加していることが分かる。メチルアルコールの場合には、60%以下になると架橋ポリアミノ酸粒子の吸収比が急上昇するので、有機溶媒が多い方が扱いやすい。一方、ミクロフィビリル状セルロースを水和させて、安定分散させるためには、混合溶媒中の水の含有量は多い方が有利である。したがって有機溶媒/水の混合比は、90/10〜40/60の範囲が適当である。なおこの比率は、使用される有機溶媒と、用いる架橋ポリアミノ酸粒子の性質により多少変化する。場合によって安定領域を広くするために3成分溶媒系を採用する場合もある。例えば、PGA/エタノール/水の三溶媒系である。
【0171】この混合溶媒中での架橋ポリアミノ酸粒子とミクロフィビリル状セルロースとの共存分散状態における、架橋ポリアミノ酸粒子とミクロフィビリル状セルロースの各分散濃度と、架橋ポリアミノ酸粒子とミクロフィビリル状セルロースの濃度比についてより詳しく説明する。架橋ポリアミノ酸粒子の濃度は、系の搬送方法によっても異なるが、取り扱いの容易さから、60%以下、好ましくは50%〜5%の範囲から選択される。ミクロフィビリル状セルロース濃度は、架橋ポリアミノ酸粒子の結合力と分散安定性に影響される。良好な分散安定性を保つためには0.2%以上が必要であり、好ましくは0.3%〜1.0%である。
【0172】このような濃度でミクロフィビリル状セルロースを含有する混合溶媒は、前述のように良好な分散安定性を示し、長時間静置した後にも、相分離を起こし難い。実験の結果によれば、ミクロフィビリル状セルロース濃度が高くなるにしたがって分散安定性が良好になり、0.3%では1時間経過するまで相分離は起こらず、0.5%では65時間後にも相分離は認められなかった。この良好な分散安定性は、塗布時の操作を容易にするばかりでなく、架橋ポリアミノ酸粒子をミクロフィビリル状セルロースが万遍なく包囲して安定に分散できることを実証するものであり、この形状が、本発明の分解性高吸水性複合体の優れた吸水性の基幹をなすものであると推測される。
【0173】架橋ポリアミノ酸粒子に対するミクロフィビリル状セルロースの割合(MFC/架橋ポリアミノ酸粒子×100(%))は、その値が大きくなると強度が上がるが、紙状になって固くなってくるので、20%以下が望ましい。また0.3%以下では十分な結合力が得にくい。この結合力の評価は、表面強度の測定法に用いられるセロファンテープ法を援用して行うことができ、その結果からみるより好適な範囲は5%〜0.5%である。
(4−2)架橋ポリアミノ酸粒子を支持体層に散布し、その上にミクロフィブリル状セルロース、及び、水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液をキャストし、乾燥する方法本製造法において、ミクロフィブリル状セルロース、及び、水及び/又は水混和性有機溶媒を含んでなる懸濁液は、乾燥し溶媒を除去すると架橋ポリアミノ酸粒子を被覆し結合するので、被覆結合材と呼ぶ。
【0174】架橋ポリアミノ酸粒子の散布方法としては、バイブレーター付き滑り台、スクリュータイプフィーダー、グリッドロール等による散布、或いは静電塗装のような静電気を利用した方法等が挙げられる。
【0175】シート状支持体上に散布された架橋ポリアミノ酸粒子の一部は、シート状支持体生地の網目に絡んで固定されるが、大半の架橋ポリアミノ酸粒子は固定されない状態にある。この状態でも最終的には被覆結合材によって固定されるため問題ない。しかし、製造時、架橋ポリアミノ酸粒子を固定した方が架橋ポリアミノ酸粒子のこぼれによるロスや、ズレによる架橋ポリアミノ酸粒子の片寄りも少なく、より望ましい。
【0176】具体的には、架橋ポリアミノ酸粒子の仮固定方法としては、例えば、第1層のシート状支持体と高吸水性樹脂粉末の間には樹脂粉末の動きを固定する性質を有する固定剤を塗布することにより達成される。
【0177】つまり、例えば、架橋ポリアミノ酸粒子がシート状支持体に付着する程度の少量の水を、シート状支持体上に部分的或いは全面に架橋ポリアミノ酸粒子がシート状支持体に一時的に固定できる。
【0178】本発明で用いる固定剤は、水の代わりに、架橋ポリアミノ酸粒子を膨潤させないエチレングリコール、プロピレン、グリコール等のアルコール類またはその水溶液を用いることもできる。また、架橋ポリアミノ酸粒子の固定強度を高めるためにミクロフィブリル状セルロースの被覆結合材の分散液を用いることもできる。
【0179】また、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ヒドロキシアルキルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の粘着性水溶液、若しくはポリ酢酸ビニルエマルジョンのようなエマルジョン型接着剤を塗布すれば、架橋ポリアミノ酸粒子をシート状支持体にしっかりと固定することができる。但し、上記接着剤は透水性を阻害する恐れがあるため、その使用量は自ずと制限され、接着剤固形分換算で2.0g/m2 以下であることが望ましい。または当該接着性水溶液にミクロフィブリル状セルロースを配合して用いれば、透水性を損なうことなく架橋ポリアミノ酸粒子の固定強度を更に高めることができる。
【0180】被覆結合材は、透水性を有しており、しかもシート状支持体を折り曲げたり、伸縮しても、散布した架橋ポリアミノ酸粒子の移動や脱落が起きないようにしっかり固定する目的で用いられる。
【0181】即ち、本製造法で使用されるミクロフィブリル状セルロースを主要成分とする被覆結合材はミクロフィビリル状セルロース同志の物理的な交絡に加え、極めて強い水素結合で結着するため、ミクロフィブリル状セルロースのネットワーク構造が形成される。つまり、このネットワーク構造により個々の架橋ポリアミノ酸粒子表面のほぼ全域を当該ミクロフィビリル状セルロースで被覆するのではなく、図4に示すように、当該ミクロフィビリル状セルロースが架橋ポリアミノ酸粒子の上表面を覆いかくすように塗布することにより、当該ミクロフィビリル状セルロース層が形成され、架橋ポリアミノ酸粒子をシート状支持体に固定することができる。また乾燥時には極めて薄いネットワーク構造が弱まり、架橋ポリアミノ酸粒子の膨潤を阻害せずに極めて良好な透水性を有する。
【0182】被覆結合層の形成方法としては、ミクロフィブリル状セルロースの分散液を架橋ポリアミノ酸粒子の上面にスプレー散布、またはカーテン塗装する等の方法が挙げられる。同時に減圧装置を用い、架橋ポリアミノ酸粒子の散布面と異なるシート状支持体面を吸引しながら分散液を散布または塗装すると、分散液は架橋ポリアミノ酸粒子の上表面に止まらず架橋ポリアミノ酸粒子間及びシート状支持体へも分散され、架橋ポリアミノ酸粒子のシート状支持体への固定が強固になる。
【0183】上記の被覆結合材をコーティングした後、仮固定に用いた溶媒、ミクロフィビリル状セルロースの分散液として用いた水または有機溶媒を乾燥等の方法で除去することにより、複合体中に架橋ポリアミノ酸粒子が70重量%以上含有するような典型的なパルプレス分解性高吸水性複合体を得ることができる。(架橋ポリアミノ酸粒子)/(架橋ポリアミノ酸粒子+被覆結合材)は90重量%以上となる。特に水を用いた場合には水量が少ないとはいえ、架橋ポリアミノ酸粒子が吸水膨潤するのでできるだけすばやく水を除去する必要があり、5分間以内で乾燥することが望ましい。
【0184】また、被覆結合材をコーティングした後、シート状支持体を被覆結合層面に重ねて積層し、乾燥してもなんら差し支えない。
【0185】また、被覆結合材を架橋ポリアミノ酸粒子の散布位置の近傍でスプレー散布した場合、架橋ポリアミノ酸粒子と被覆結合材との層形成が明瞭に峻別できず、それぞれが濃度勾配を持った層となるが、そのような層形成であってもなんら差し支えない。
【0186】本発明の分解性高吸水性複合体は、架橋ポリアミノ酸粒子を被覆結合層が全面に形成されたものでもよいし、ストライプ状、或いは島状にパターン形成された形状のものでもよく、その使用目的や使用形態に応じて形状を選択すればよい。特に本発明の方法によれば、特開平11−034200号公報(特願平9−192159号)に記載の製法と比較して、パターン状に成形するのは極めて容易である。
【0187】架橋ポリアミノ酸粒子がストライプ状に形成された分解性高吸水性複合体は、例えば、図5のように、移動するシート状支持体の上面に、架橋ポリアミノ酸粒子の仮固定用の溶液をストライプ状に塗布した後、多数の散布口をシートの移動方向に対して直角に配列してある架橋ポリアミノ酸粒子散布装置より散布することによって製造することができる。ここでは、分解性高吸水性複合体は、架橋ポリアミノ酸粒子の仮固定用の溶液を島状に塗布した後、上記の散布装置によって架橋ポリアミノ酸粒子を、次いで被覆結合材を間欠的に散布することによって製造することができる。(4−3)その他の添加成分架橋ポリアミノ酸粒子、ミクロフィビリル状セルロース共存分散系に対して、他の成分の添加の可否について説明する。本発明において、重量なポイントの一つは、如何に架橋ポリアミノ酸粒子を高濃度の状態で取り扱うかにある。ミクロフィビリル状セルロースと架橋ポリアミノ酸粒子の結合効率を考えると、架橋ポリアミノ酸粒子とミクロフィビリル状セルロースの2成分系で望ましいが、より系の粘度安定性をさらに高めるための増粘剤としてのCMC等の添加や、過乾燥による硬化を防ぐため可塑剤としてのポリエチレングリコールやグリセリンの添加も場合によっては必要になる。また、上記分散系の中に木材パルプスラリーや合成繊維の分散スラリーを添加することも可能であるが、これらの添加は分散の安定性を阻害し、ミクロフィビリル状セルロースと架橋ポリアミノ酸粒子の結合効率も低下させることになるので、必要最小限度に留めるべきである。(4−4)より具体的な製造方法つぎに混合溶媒中にミクロフィビリル状セルロースおよび架橋ポリアミノ酸粒子を分散させた分散液から複合体を形成する方法について図面を参照して説明する。いわゆるスラリー状の上記分散液から複合体を形成する方法としては、例えば、図7の過程に示すように、スラリーから溶媒を分離して得られるブロック状物を乾燥後、粉砕して粒子状にすれば、架橋ポリアミノ酸粒子の表面がミクロフィビリル状セルロースで被覆された、図8(a)に示すような球状の、あるいは図8(b)に示すようなフレーク状の粒状体が得られ、スラリーを例えばネットで作った型に注いで固液分離したのち乾燥すれば、用いた型に応じてペレット状、棒状、筒状、波板状等の3次元構造の形状賦形複合体が得られ、また連続的に薄膜を形成し、乾燥すればシート状の分解性高吸水性複合体が得られる。このようにして得られた複合体は、水分含有によって可撓性を示すようになるため、シート状の分解性高吸水性複合体を、例えば、エアレイド法によって繊維類とともにマット状に成形し、これに湿分を与えてプレス、乾燥することにより、シート状に再成形することも可能である。
【0188】以下、とくに汎用性の高い、分散液から直接シート状に成形する方法について詳しく説明する。前述のようなミクロフィビリル状セルロースのネットワーク構造は、その内部に架橋ポリアミノ酸粒子を安定かつ強固に保持した状態を保ちながら、極めて薄い層に成形することを可能にする。すなわち、ミクロフィビリル状セルロースおよび架橋ポリアミノ酸粒子を分散媒体に分散させた分散液を、適当な平面上に流延し、ミクロフィビリル状セルロースおよび架橋ポリアミノ酸粒子のみからなるシート状の分解性高吸水性複合体を形成することができる。この形態の分解性高吸水性複合体層10を図9(a)に示す。図9(a)において、符号11はミクロフィビリル状セルロース、12は架橋ポリアミノ酸粒子をそれぞれ示す。好適な実例では、70倍の顕微鏡写真からスケッチした図9(b)に示すように、各架橋ポリアミノ酸粒子は、微細なミクロフィビリル状セルロースによって完全に包み込まれているとともに、隣接する架橋ポリアミノ酸粒子との間でミクロフィビリル状セルロースで絡合された、ミクロフィビリル状セルロースのネットワーク構造に取り込まれている。
【0189】分散液を適当なシート状支持体上に流延した場合には、分散液の乾燥後に、シート状支持体と分解性高吸水性複合体層とからなる分解性高吸水性複合体が得られる。とくにシート状支持体として多孔質な不織布を使用した場合には、その多孔質度に応じて分散液の一部が不織布の繊維間の空間に入り込み、分散液の乾燥後に、図10(a)および顕微鏡写真からスケッチした図10(b)に示すように、シート状支持体13と分解性高吸水性複合体層10とが両者の接合面で絡み合った構造の複合体となる。この不織布の好ましい多孔質度は、見掛比重で示すと0.2g/cm3 以下、さらに好ましくは0.01〜0.1g/cm3 である。なお、この場合の不織布の構成素材としては、液の浸透性の問題から、コットン、レーヨン、木材パルプ等の親水性素材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成繊維を親水性化処理した素材を用いることが望ましい。特にミクロフィビリル状セルロースがS−MFC、BCの場合には、物理的な交絡に加えて、水素結合性が極めて強いため、セルロース系の基材を用いると、乾燥時にはさらに強く安定結合する。また湿潤時には極めて良好な浸透性も示す。支持体となる不織布の形状としては、多孔質なカード乾式、スパンボンド等の不織布類に加えて、表面起毛不織布、ポンディングの弱いカードウエブ、あるいは開繊トウなどのシート状素材も使用可能である。
【0190】また、図11に示すように、図10に示した構造において、シート状支持体13と対向して、分解性高吸水性複合体層10に接するように別のシート材料を接合することもできる。この別のシート材料として、液体不透過性のシート材料を使用すれば、図11の分解性高吸水性複合体は、単独で、トップシート、吸収体およびバックシートからなる吸収体製品の機能を持たせることもできる。
【0191】さらに図10の構成において、シート状支持体の全表面にわたって分解性高吸水性複合体層を設けることもできるが、所望のパターンで部分的に設けることもできる。例えば、図12に示すように、シート状支持体13の一方の表面のみに、所与の幅を有する帯状の形態で複数の分解性高吸水性複合体層10を所定間隔で設け、隣接する分解性高吸水性複合体層10の間で山折りと谷折りに折り畳んだ、断面ジグザグ状とすることができる。このような構成の複合体は、平坦なものと比較して、単位面積当たりに存在する分解性高吸水性複合体層10の容積が大きくなるので、より大きい吸収能力を発揮する。あるいは図13に示すように、ジグザグ状の山を一方向に大きく倒した場合には、単位面積当たりに存在する分解性高吸水性複合体層10の容積をさらに大きくすることができる。また図14に示すように、平坦な中央部を挟んでその両側に、互いに反対方向に傾斜した山部を設けることもできる。
【0192】また、このようなジグザグ構造は、架橋ポリアミノ酸粒子が吸収体製品として使用される際に吸収による膨潤を容易に行わせるための、自由で充分なスペースを提供することにもなる。
【0193】図15は、本発明にしたがって構成された分解性高吸水性複合体の一例を示す斜視図である。この分解性高吸水性複合体は、弾性体からなるシート状支持体13の一方の表面に、所定の間隔で相互に平行に延びる帯状に、分解性高吸水性複合体層10を配置し、その上に波形の液体透過性不織布14を配置して、この液体透過性不織布14の各谷部において、液体透過性不織布14とシート状支持体13とを結合部15において結合した構造を有し、したがって各分解性高吸水性複合体層10は、シート状支持体13と液体透過性不織布14との間に形成されたチャンネル16内に収容されている。
【0194】このような構成の分解性高吸水性複合体は、例えば生理用ナプキンあるいはオムツのような吸収体製品において、分解性高吸水性複合体層10の長さ方向と直行する方向に大きい伸縮性をもち、かつ優れた吸水性をもつ複合体として有利に使用することができる。この場合、液体不透過性不織布14が身体に接する側として使用され、液体は、まず液体不透過性不織布14により吸収、拡散され、ついで分解性高吸水性複合体層10に吸収される。吸水量が増大するにしたがって分解性高吸水性複合体層10の体積が膨張するが、これはシート状支持体13と液体不透過性不織布14との間に形成されたチャンネル16内に位置しているので、自由な膨張が許容される。
【0195】図16は、本発明の分解性高吸水性複合体の応用例を示す。図16において、符号21で示す液体不透過性シートは、液体不透過性で、適度な柔軟性を有するもので、この液体不透過性シート21に、高吸水性複合シート材料22が重ね合わされている。そしてこの両者は、所定の間隔で配置された互いに平行に線状もしくは帯状に延びる多数の結合部23において相互に結合されている。結合部23は、液体不透過性シート21と高吸水性複合シート材料22とを、所定の幅で通常の手段、例えばヒートシール、高周波接合等で熱融着することにより形成されている。
【0196】互いに隣接する2つの結合部23,23間において、高吸水性複合シート材料22の長さは、液体不透過性シート21の長さよりも長く、したがって各結合部23,23間では、高吸水性複合シート材料22のたるみにより、液体不透過性シート21との間にチャンネル24が形成されている。
【0197】高吸水性複合シート材料22は、ポリプロピレン(P.P.)あるいはポリエチレン(P.E.)のようなポリオレフィン系のスパンボンドあるいは乾式不織布のようなシート状支持体13の一方の表面に分解性高吸水性複合体層10を支持させて得られる図10に示した構造のもので、この分解性高吸水性複合体層10が液体不透過性シート21と対面する側に置かれている。
【0198】このような構成を有するシート状製品は、多量の液体を吸収した状態でも、安定してシート状の形態を維持する自己保形性にきわめて優れている。
【0199】つぎに、本発明の分解性高吸水性複合体を製造するのに適した装置について図面を参照して説明する。
【0200】図17において、符号31はイオン交換水を貯留するタンク、32はミクロフィビリル状セルロース母液を貯留するタンク、33はアセトンを貯留するタンク、34はSAPを貯留するタンクをそれぞれ示す。タンク32から取出されたミクロフィビリル状セルロース水分散母液は、撹拌器を備えた混合器35に導入され、タンク31から取出された水で混合器35内で希釈されたのち、ポンプの作用で、つぎの撹拌器を備えた混合器36に導入される。この混合器36には、タンク33から取出されたアセトンが導入されており、この混合物が、ポンプの作用で、つぎの撹拌器を備えた混合器37に導入される。混合器37には、タンク34から粒状SAPが導入されており、ここでミクロフィビリル状セルロース、有機溶媒、水およびSAPの混合分散液が形成される。
【0201】一方、不織布のような適当なシート状支持体13は、ロール38から巻き出されたのち、成形部40に導かれる。この成形部40は、ベルトコンベア41と、このベルトコンベアのベルト上に位置するノズル42を備え、このノズル42に、前記の混合器37から混合溶媒がポンプの作用で供給されるようになっている。シート状支持体13は、ベルトコンベア41に導かれて所定の速度で走行する間に、その表面上にノズル42からの混合分散液が塗布される。ノズル42としては、シート状支持体13上に設けられるべき分解性高吸水性複合体層のパターンに応じて適当な形状のものが設けられる。
【0202】成形部40には、さらに1対のローラからなるロールプレス43が設けられており、混合溶媒が塗布されたシート状支持体13をプレスすることにより、混合溶媒に含有されている溶媒をスクイーズし、分離された溶媒は、ポンプの作用で混合器36に戻される。
【0203】シート状支持体13は、成形部40を出たのち、次の乾燥部50に送られる。この乾燥部50には熱風が供給され、1対の加熱ロール51,52を備え、シート状支持体13およびこれに塗布された混合溶媒は、この加熱ロール51,52の周面に沿って搬送される間に乾燥される。
【0204】この乾燥部50を出たのち、1対のプレスロール61,62からなる圧縮部60で圧縮され、シート状支持体13上に分解性高吸水性複合体層が設けられた製品が得られる。図18は、図17に示した工程に、アセチルセルロースからミクロフィブリル状セルロースを製造する工程を組み合わせたものである。この工程においては、タンク31aにアセテートドープ、タンク32aに凝固液、タンク33aにアセトンがそれぞれ収容され、タンク31a、32aから取出されたアセテートドープおよび凝固液が、アスピレータ式等の適当なフィブリル化装置39に送られ、ここでフィブリル化が行われる。ミクロフィブリル状セルロースは、混合器35aで開繊され、より細かいミクロフィブリル状セルロースとなってスラリー化されたのち、混合器36aで、タンク33aからのアセトンと混合され、ついで次段のタンク(図示せず)でSAPと混合される。以下の工程は、図17に示した工程と同様である。
【0205】再び図17において、成形部40において、シート状支持体13に混合分散液を塗布する別の装置の例を図19に示す。図19において、符号44は、混合分散液を収容する上面解放の槽を示し、この槽44内に、周面の一部が混合分散液中に浸漬された状態で、水平な軸を中心として回転可能な浸漬ロール45が配置されている。また1対のロール46,47が、それぞれ浸漬ロール45と平行な軸を中心として回転可能に設けられている。一方のロール46は、浸漬ロール45の周面に圧接されているとともに、例えば図20に示すように、多数のリング状の溝46aを周面に有しており、平坦な表面をもつ他方のロール47との間のニップに、混合分散液を塗布すべきシート状支持体13が通過するようになされている。
【0206】槽44内に収容されている混合分散液は、その中を移動する浸漬ロール45の周面に自身の粘性で付着し、ついで溝付きのロール46を介してシート状支持体13に転写される。したがってシート状支持体13の表面には、図21に示すように、相互に平行な多数の帯状に混合分散液層48が形成されることになる。なおロール46に形成される凹凸のパターンは任意に設定することができ、このパターンに対応したパターンでシート状支持体13に混合分散液を塗布することが可能である。
【0207】(5) 分解性高吸水性複合体廃棄物の処理方法本発明の特徴の一つは、本発明で製造した分解性高吸水性複合体の廃棄物の処理法を提案することにある。本発明の分解性高吸水性複合体の特徴は、構成材料が生分解性を有するために分解性を有するだけでなく、より効率的に分解を促進するために、構造上にも崩壊しやすいように工夫を施したものである。
【0208】本発明の分解性高吸水性複合体の廃棄物は、分解性高吸水性複合体の特性に応じて廃棄処理が可能である。その方法は、特に限定されず、分解性高吸水性複合体の特性を生かせる方法であればいかなる方法も採用できるが、一般的に広く利用できる方法が好ましい。
【0209】その好適な方法は、分解性高吸水性複合体の生分解性を利用する方法である。例えば、生分解性中のコンポスト内分解性を生かす方法であるコンポスト処理、土中分解性を生かす方法である埋設処理を挙げることができる。但し、これら以外にも、本発明の分解性高吸水性複合体の機能発現を妨げない範囲において、これ以外の内在された特性を廃棄処理に利用することができる。例えば、高温分解性を利用する高温熱処理、特定の薬品を用いて化学的に処理する方法である。例えば、酸化剤を用いて酸化分解性を利用する酸化処理、還元剤を用いて還元分解性を利用する還元処理、水と加水分解を促す触媒等を用いて加水分解性を利用する加水分解処理、アルカリを用いてアルカリ分解性を利用するアルカリ処理、酸を用いて酸分解性を利用する酸処理等が挙げられる。
【0210】また、機械的手段による攪拌、混合、破砕、細断等の処理を併用させたり、前処理として行うことにより、分解をより効率化することもできる。
【0211】(5−1) 分解性高吸水性複合体廃棄物をコンポスト処理する方法本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物をコンポスト処理する方法は、分解性高吸水性複合体が持つコンポスト内分解性を発現することにより実施できる。すなわち、コンポスト中において、微生物、菌、酵素等のバイオ(生体)によって分解され、安全な低分子となることを意味する。
【0212】その好ましい形態は、例えば、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、コンポスト(堆肥)のイノキュラム(接種材料)100重量部(ウェット状態)に仕込み、40日間、58℃で処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質である。
【0213】本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物をコンポスト処理する方法は特に限定されないが、一般的には、発酵バクテリア、発酵菌等を利用する方法が取られる。詳しくは、発酵菌、バクテリアを繁殖させ、好気性分解を利用して、生ゴミを発酵させて堆肥コンポスト(堆肥)化する。
【0214】[コンポスト処理の原理]本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物のコンポスト処理は、例えば、紙おむつ等に使用した分解性高吸水性複合体廃棄物単独にて処理しても、他のコンポスト化される、生ゴミとともに処理しても構わない。本発明では、一般的な生ゴミとともに処理する場合を中心に説明する。
【0215】生ゴミは、その重量の90%は水分であり、残りは高分子系に属する物質からなり、その主成分元素はC、H、O、N、Sである。また、その他、P、Ca、Fe、Zn、K、Na等の無機質を含む。これらの中の高分子成分は一般に生息している微生物が作り出す分解酵素によって菌体外で低分子成分に分解され、無機質は再び微生物の栄養塩として利用される。本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物についても、その重量の90%以上は水分であり、残りは高分子系に属する物質からなり、その主成分元素はC、H、O、N、Ca、Na等からなる。
【0216】低分子化された各種の物質は菌体に吸収されて、呼吸系へ利用される。この過程で菌体はCOを発生する。そうして、この際、菌体は高エネルギー化合物を合成するとともに、水分を放出する。
【0217】この高エネルギー化合物は微生物増殖の活力源として利用されるが、この繰り返し工程で低分子成分はCOと水に分解され、極端な場合、生ゴミは消滅し、後にはN、P、Ca、Kなどの元素や無機質のみが残されることになる。
【0218】すなわち、生物酸化→合成→自己酸化の工程によって多量の放熱が行われることになる。例えば、グルコースの好気性代謝反応、硝化菌によるアンモニアの酸化分解等が起こる。これらの発熱で生ゴミ中の水分は放出されることになる。
【0219】[コンポスト処理の方式]本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物のコンポスト処理の方式は、特に限定されず、一般的な処理の方式を利用することができる。
【0220】例えば、自然分解方式、乾燥減量方式、人工的微生物利用方式等が挙げられる。これらの中で、人工的微生物利用方式が発酵・分解の速度が速いので好ましい。
【0221】自然分解方式は、生ゴミ類を自然の土壌中に存在する各種のバクテリアを用いて、ゆっくりと発酵・分解させる方式で、特別な発酵促進のための発酵菌の添加、空気吹き込み、加熱装置などを使用しないものである。特別な発酵装置を使用しないために、原料水分率を60%前後に調整するほうが好ましく、悪臭対策を施す方が好ましい。
【0222】本方式は、家庭生ゴミ処理において、半地下式、2重槽式等にて行われる。自然の菌体利用だけでなく、人工的に育成した種々な好気性菌体等を混合添加することもできる。本方式の発酵条件は、この添加菌体に適するように設定し、建家、発酵槽、切り返し設備を自動制御にする方が好ましい。
【0223】乾燥方式は、生ゴミに含まれる90%以上の水分を乾燥によって除去する方式である。本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物の乾燥化には、電熱ヒーター、温風、蒸気等を用いることができる。乾燥も攪拌によるもの、回転ドラムを使った直接加熱や間接加熱などの方式が採用できる。
【0224】本方式では、水分調整材として、乾燥生成した堆肥そのものを利用することもできる。
【0225】本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物を含む被乾燥物(乾燥された製品)は、その利用法、廃棄方法については特定されない。堆肥化そのものの生産ではなく、乾燥ゴミを生産し、処分は焼却又は埋め立てとする方法も採用することができる。このことは、ゴミの減量と埋立地延命策のために役立つ。さらに、乾燥された製品は、これに発酵促進用菌体などを添加・発酵させ堆肥化することもできる。このように、乾燥方式はコンポスト化のみが目的ではなく、生ゴミの減量、減容化を一義とすることができる。
【0226】人工的微生物利用方式は、人工的に育成した種々の菌体、バクテリアを複合させた好気性発酵・分解材を用いるようにした方式であり、本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物のコンポスト処理法として特に好ましい。
【0227】本方式において、意図的に添加する微生物、菌体、バクテリアは特に限定されないが、土壌中に存在するバクテリアであるトーマス菌、硝化菌、人工的なEM菌などにいくつかの放線菌などを添加したものが使用される。また、本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物を発酵させ、成熟させたコンポスト中の微生物、菌体、バクテリア等を使用することは好ましい。これらの菌体を有効に働かせるには、適切な温度管理、pH管理、水分調整、酸素量、栄養塩などの調整することが好ましい。この環境保持のため、必要に応じて、加熱温度、攪拌、水分調整をコンピューター制御することもできる。
【0228】本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物の場合は、一次発酵をこの方式で行い、二次発酵以降は装置外の適当な場所で処理しても構わない。
【0229】[コンポスト処理の運転条件]コンポスト処理は、菌体等を使用するので、これらの菌体を有効に働かせるには、適切な温度管理、pH管理、水分調整、酸素量、栄養塩などの調整する必要性がある。この環境保持のため、必要に応じて、加熱温度、攪拌、水分調整をコンピューター制御することは好ましい。
【0230】コンポスト処理における、高速かつ高品質なコンポストを得る運転条件としては、材料と空気の接触効率を高めて常に空気(酸素)を確保し、かつ、発酵分解生成物質(COガス、水蒸気等)の揮散を良くする、材料を微生物の生息に好適な含水率と温度に保持する、材料を細粒化、均質化し、比表面積を増やして微生物の生育効率を高めること等が挙げられる。以下にこれらの好ましい形態について記す。
【0231】本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物を発酵前に、含水量、粒度、有用微生物等を好ましいコンポスト処理の条件に調整することが好ましい。
【0232】コンポスト処理の原料としては、塊状のものは微生物との接触面積が小さいので、好ましくなく、必要に応じて、粗破砕、破砕、細断、裁断、細粒化等の前処理を行う。コンポスト処理については、系内の水分を制御する必要がある。特に堆肥化の過程で発熱により水分が蒸発するので、水分管理が必要である。
【0233】一般的に、コンポスト化において40〜60%の含水率が好ましい。特に、60%前後であることが好ましい。これより水分が少ないと生物が活動しにくくなり、分解が遅くなる。逆に、水分が過剰の場合、堆肥原料間の隙間に水が充満した状態となり、酸素が十分浸透しなくなるため好気性分解が阻害される。この場合、十分に酸素を供給できる装置を備えていれば、水分過剰でも構わない。
【0234】コンポスト処理の水分調整には、表面積を広くして空気との接触を良好にするため、オガコ、バーク、稲ワラ、モミガラ、乾燥オカラ等を水分調整用の原料として使用することが好ましい。また、熟成して水分が減少した堆肥も水分調整剤として使用することができる。
【0235】コンポスト処理は、好気性分解によって行われるので、十分な酸素の供給が必要である。酸素の供給が不十分であると嫌気性となり、悪臭の発生、分解速度の低下、発熱不足等を引き起こし、低温のため殺菌もできなくなる。
【0236】酸素の供給は、空気を供給して行われることが一般的である。空気の供給は、水分の蒸発が促進されない程度に行うのが好ましい。また、堆肥原料に対して均一に供給し、嫌気性の部分が生じないようにする方が好ましい。
【0237】高温にて有機物が分解されているときは、酸素消費量が大きいため、有機物1kg/当たり40〜60リットルを供給する方が好ましい。
【0238】コンポスト処理は適当な温度にて行う必要がある。系内の温度が下がる場合、人工的方法を用いて加熱してやる場合もある。発酵温度が高いと有機物の分解速度が速くなり病源菌も死滅するので好ましい。
【0239】連続式堆肥化では温度が三段階に上昇する。第一段階では40〜50℃、第二段階では60〜65℃、第三段階では75℃に達する。温度上昇の各段階の間に多少の遅滞期があったり、直接連続的に上昇する場合もある。遅滞期の発現とその期間は、初期の微生物の種類によって左右される。微生物の数が多いほど、温度上昇は早期に起こるので好ましい。また、分解進行中の堆肥の一部を返送添加することは、植種を行い反応を進行させるので好ましい。原料が少ない場合、発熱より放熱が多くなるので、発酵槽を保温する方が好ましい。
【0240】コンポスト処理は適当な栄養源が必要である。コンポスト処理中の栄養源が不足している場合は栄養源を添加してやる方が好ましい。特に、窒素分やリン酸分等が不足する場合がある。これらの栄養分としては、特に限定されないが、動物性残渣、家畜糞尿等が挙げられる。
【0241】コンポスト中の菌体による発酵は炭素と窒素の比率であるC/N比によって左右される。堆肥化はC/N比が35程度まで可能であるが、16程度が好ましい。
【0242】コンポスト処理は適当なpH条件にて行う必要がある。堆肥化反応の初期にはpH5.0〜6.5が好ましい。原料のpHが5以下の場合は、弱いアルカリ等によって中和する方が好ましい。例えば、消石灰を多量に含む下水処理汚泥等を添加する方法が取られる。また、アルカリ性の高いものは、弱い酸等で中和する方が好ましい。例えば、堆肥化の過程で発生する二酸化炭素により中和する。
【0243】コンポスト処理は、例えば有害重金属等の有害物質の混入を防ぐ必要がある。
【0244】[コンポスト処理のための付属設備]コンポスト処理を行う際に、必要により、分別機、脱臭装置等の装置を備え付ける。
【0245】コンポスト化の原料は、不均一性、異物混入をしないものが好ましいので、磁力選別機による金属片除去、風力選別機による紙、プラスチィック片の除去がなされている。
【0246】堆肥化は一次発酵にて、強力な悪臭発生があり、生ゴミ中の水分も発熱により蒸発し、乾燥化が進行する。この後、二次発酵で徐々に水分蒸発が進む、二次発酵は屋根のある建家などでゆっくりと1〜3ヶ月かけて処理する必要がある。
【0247】コンポスト処理においては、このように悪臭が発生するので、脱臭装置を備え付けたものが好ましい。例えば、適切な悪臭吸着剤、マスキング剤、オゾン発生器等をつけて脱臭を行う方法がある。
【0248】脱臭方式としては、燃焼方式、化学反応方式、オゾン分解方式、活性炭吸着方式、微生物分解方式(土壌方式)等があり、発生する悪臭はアンモニア、アミン、メルカプタン等を除去する。
【0249】廃プラ、紙類を原料とするゴミの減容設備ごみの固形燃料化設備を併用しても構わない。
【0250】[コンポスト処理の方式]生成したコンポストの処理は特に限定されるものではなく、家庭用、事業用は特に限定されず、いずれにおいても使用できる。
【0251】家庭用コンポスターの構造は特に限定されず、様々な構造のものが使用できる。例えば、底の無い逆バケツ状であり、土中に埋めて用いる埋め込み式、容器を二重構造にし、容器上部で発酵させ、発生する液肥等を容器底部に溜まるようにした2重構造式、及び、可動部分等を備え付けたヒーター加熱方式、乾燥方式、攪拌方式等が使用できる。攪拌は、手動式、電動式何れであっても構わない。
【0252】家庭用コンポスターの場合、強制排気用ファン、脱臭装置等の可動部分を備え、自動で処理を行えるタイプが好ましい。
【0253】コンポスト処理時間は、コンポスト化の目的にもよるが、例えば、家庭用の場合、速く処理したい場合は3〜4時間となり、良質のコンポストを得たい場合は1〜2日間以上にて処理する方が好ましい。
【0254】処理量についても特に限定されないが、生ゴミ減量を目的とした場合、投入量の1/3〜1/10程度以下まで減容できるものが好ましい。
【0255】事業用のコンポスト処理装置も特に限定されず、様々な構造のものが使用できる。例えば、固定槽型、移動層型、落し戸型等の攪拌機付設式、かき上げ板型、攪拌破砕軸併用型等の回転円筒式、単層型、多段型等の横軸回転式、横形槽単層型、竪型槽単層型、多段型等の横軸回転式等の固定攪拌軸式、ショベル攪拌型、回転バケット型、横軸攪拌型、縦軸攪拌型等の移動攪拌軸式が挙げられる。コンポスト・プラント処理プロセスは、特に限定されないが、分別収集生ゴミ→破砕処理→前処理→発酵処理→製品貯蔵→製品コンポストなるフローにて行われるのが一般的である。
【0256】バッチ式、連続式、及びこれらの組み合わせの何れであっても構わない。
【0257】処理装置の大きさも限定されず、処理する量に応じて適宜決めればいい。
【0258】(5−2) 分解性高吸水性複合体廃棄物を埋設処理する方法本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物を埋設処理する方法は、分解性高吸水性複合体が持つ、土中分解性を発現することにより、実施できるものである。すなわち、土中等に埋設される等の処理を施されたとき、土中において微生物、菌、酵素等のバイオ(生体)によって分解され、安全な低分子となることを示す。
【0259】その好ましい形態とは、例えば、分解性高吸水性複合体1重量部(乾燥状態)を、圃場の地下300mmに6月間埋設処理したとき、分解性高吸水性複合体の処理後乾燥重量が、分解性高吸水性複合体の処理前乾燥重量を基準として、0〜50重量%となる性質である。
【0260】本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物を埋設処理する方法は特に限定されないが、一般的には決められた埋立地に埋設する方法が取られる。埋立地は、特に限定されず、遮断型処分場、安定型処分場、管理型処分場のいずれでも構わないが、生ゴミ等を処分する管理型処分場において処理する方が好ましい。
【0261】処分場は、必要により、処分場の上部は屋根で覆ったりして雨水流入防止措置を施したり、外周仕切設備、腐食防止工、地滑り防止工、沈下防止工、遮水工を施すことができる。さらに、子供、人等の進入を防ぐ囲い、開渠、擁壁、えん堤等を設置することができる。
【0262】また、浸出液が発生する場合は、集水設備、浸出液処理設備を付設した方が好ましい。さらに、有機物が腐敗して発生するメタン・ガスによる火災を防止するために、メタン・ガスを収集する設備・装置、それを燃焼させる設備・装置等を備えることが好ましい。
【0263】本発明の分解性高吸水性複合体廃棄物は、同時に生ゴミ、木材、紙等の分解性を有する廃棄物又は材料とともに処理しても構わない。これらの廃棄物の上に土等により覆いを施すことができる。
【0264】(6) 分解性高吸水性複合体を使用した衛生用品の廃棄物処理方法本発明の分解性高吸水性複合体を使用した衛生用品の廃棄物処理方法は、他の構成材料が生分解性材料である場合は、(5)で説明した廃棄物処理法にて処理することができる。この場合、他の構成材料もまた、分解しやすいようにすることが好ましい。
【0265】衛生用品の廃棄物は、目的とする吸収された体液等を含んだものをいう。本発明の処理を行うために必要に応じて前処理を行うことができる。例えば、乾燥処理、殺菌処理、細断化処理等が挙げられる。特に、細断処理は、生分解性していく速度が速くなるため有効な前処理である。また、病院等で使用した場合など、病原菌等に対する対策として殺菌処理を施すことは有効な方法である。
【0266】本発明の生分解性材料から構成される廃棄物の処理方法は、特に限定されない。これらの処理により、衛生用品の全構成要素の重量の50〜100%が生分解性をすることが好ましく、70〜100%生分解することが特に好ましい。また、トップシートあるいはバックシート等が非生分解性の材料でできている場合は、それらを分離回収後、残りの全重量の70〜100%が生分解する方が好ましく、80〜100%分解する方がより好ましい。
【0267】本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品の廃棄物は、コンポストで処理したとき、早期に生分解し、安全な低分子化合物となることが好ましい。例えば、実用的には、40日間で、全重量が処理する前の重量に対して0〜50%になることが好ましい。さらには3週間で全重量が処理する前の重量に対して0〜50%になることがより好ましい。
【0268】本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品の廃棄物の埋設処理の方法は特に限定されず、一般的に用いられる方法を用いることができる。
【0269】本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品の廃棄物は、埋設処理したとき、早期に生分解し、安全な低分子化合物となることが好ましい。例えば、実用的には、埋設処理したとき、6ヶ月間で全重量が処理する前の重量に対して0〜50%になることが好ましい。
【0270】(7) 分解性高吸水性複合体の応用本発明の分解性吸収性複合体は、単独で種々の形態、例えば粉末状、粒子状、ペレット状、シート状もしくは任意の形状の三次元構造物等の形態に成形することが可能であるが、不織布のような任意のシート状支持体をベースとしてその上にシート状に成形することもできる。
【0271】その使用用途は、特に限定されない。例えば、生理用品、ナプキン、紙おむつ、失禁パッド、母乳パッド、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダーパッド、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラルフォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽培植生シート、種子テープ、流体播種用媒体、結露防止用農業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資材、電子機器、光ファイバー等のシール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0272】これらの中で多量の水を吸収したり、漏れることが好ましくない用途には、好適に使用することができる。例えば、生理用品、ナプキン、紙おむつ、失禁パッド、母乳パッド、医療用アンダーパッド、ペット用シート、携帯用トイレ等のトイレタリー用品、育苗用苗床、水耕栽培植生シート、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤等が挙げられる。さらには、生理用品、ナプキン、紙おむつ、失禁パッド、医療用アンダーパッド、ペット用シート等のトイレタリー用品等が特に好ましい。
【0273】(8) 分解性高吸水性複合体の衛生用品への応用本発明は分解性高吸水性複合体は、吸収体として衛生用品の構造の一部として使用できる。
【0274】衛生用品の構造は特に限定されず、一般の衛生用品に使用されている構造を取ることができる。本発明の衛生用品の構造は、使用する衛生用品の種類、形状、スタイルに応じて大きさを選択できる。これらは一般的に、トップシート、バックシート、吸収コアからなることを基本とする。
【0275】本発明の分解性高吸水性複合体は、吸収コアとして使用できる。もちろん、トップシート及び/又はバックシートを本発明の分解性高吸水性複合体により兼ねることができる。
【0276】本発明の分解性高吸水性複合体を衛生用品として使用する場合、必要に応じて上記以外の必要なパーツを含んでいても構わない。例えば、紙おむつ用品としては、上記パーツ以外に、ウエストギャザー、モレ防止ギャザー、インナーレッグギャザー、アウターレッグギャザー、フロンタルテープ、粘着剤、マジックテープ、ファッスンテープシステム、リリーズテープシステム、ベルクロなどのメカニカルファッスニングシステム、液拡散層等が挙げられる。
【0277】また、本発明の分解性高吸水性複合体を衛生用品に用いた場合、衛生用品は必要に応じて、トップシート及び/又はバックシートがない構造もとることができる。すなわち、本発明の衛生用品に不可欠な要素は吸収コアであり、それを含んだ衛生用品であれば、他のパーツについては特に限定されず、様々なパーツを組み合わせて衛生用品を構築できる。
【0278】さらに、一つのパーツで同時に2以上の機能を持たせる場合も構わない。例えば、吸収コアに拡散機能を持たせることができる。また、トップシート層/アクイジッション層、エンドキャップ/ウエストギャザー、リリーズテープ/ファッスンテープのコンポジット化、トップシートとサイドシート及びインナーレッグギャザーなどの複合化、バックシートと吸収体とが複合されたフィルムレスの複合化等が挙げられる。
【0279】本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品は、一重構造のみならず、多重構造をとることもできる。特に吸収コアを重ねた構造により吸収能力を強化することができる。これらは、衛生用品全体の構造のみならず、各パーツの構造についても多重構造となっても構わない。例えば、ティッシュ層/パルプ層/吸水性樹脂層を垂直的に組み合わせた構造のみならず、これらを組み合わせて多層構造にすることができる。
【0280】本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品は、使用される衛生用品の特定の種類、形状またはスタイルに関して特定されず、一般に使用されているものが選択できる。すなわち、本発明は、廃棄処理を深く考慮した衛生用品の特定の材料の選択に関するものである。特に吸水性樹脂として高性能を有する架橋ポリアミノ酸系樹脂を用いることにより、衛生用品として優れた特性を発揮でき、その廃棄物の処理方法として新規の方法を提示するものである。
【0281】例えば、衛生用品の種類として、子供用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用ナプキン、タンポン、パンティーライナー、生理用シーツ、失禁用パッド、医療用血液吸収体等が挙げられる。本発明の衛生用品は、その種類に関して特に区別されず、吸収体としての機能を必要とする何れにも使用できる。
【0282】また、生理用品の形状についても特定されず、例えば、紙おむつの場合、パンツ・タイプ、パッド・タイプ、メカニカル・ファッスン・システム・タイプ等を例としてが挙げることができる。
【0283】同様に本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品の使用のスタイルについても区別されるものではない。
【0284】さらに、本発明の分解性高吸水性複合体を用いた衛生用品の大きさについても、特に限定されず、使用する衛生用品の種類、形状、スタイルに応じて大きさを選択できる。
【0285】(9) 分解性高吸水性複合体の効果本発明で得られる分解性高吸水性複合体を組み入れた吸収体製品の特徴、性能についても要約説明しておく。本発明の分解性高吸水性複合体を吸収体製品に用いると、第一に、使用前でも使用時でも、非吸水状態では極めて薄くコンパクトな構造を持ち、架橋ポリアミノ酸粒子が強固に固定、安定化されているため、たとえ折り曲げや伸縮が働いても、架橋ポリアミノ酸粒子が移動することはなく、架橋ポリアミノ酸粒子の脱落、構造の破壊も起こりにくい。
【0286】第二に、吸水時には架橋ポリアミノ酸粒子が90%以上のパルプレス構造にもかかわらず、ミクロフィビリル状セルロースの親水性とその物性形態の故に、吸収速度が早くしかもブロッキングを起こさないことである。
【0287】第三に、吸水後もミクロフィビリル状セルロースのネットワークによりゆるやかに膨潤ポリマーを把持し、脱落を防ぐことである。
【0288】第四に、使用後の廃棄時の特性である。本発明の吸収体は過剰の水に接した場合、静置状態では安定であるが、シェアをかけると直ちに離解する性質があるので、フラッシャブルな商品設計に適している。またミクロフィブリル状セルロースはセルラーゼ活性が極めて高く、土中埋設により短期間で構造がバラバラになる。
【0289】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重量部」を意味する。
【0290】本発明では、(1)樹脂の吸水能の測定、(2)分解性高吸水性複合体の吸水能の測定、(3)分解性高吸水性複合体の生分解性の測定、について行なった。
【0291】(1) 樹脂の吸水能の測定実施例中の樹脂の吸水能は、生理食塩水を対象とし、平衡膨潤吸水量、吸水速度、荷重下での吸水量、保水量について行った。
【0292】(1−1) 樹脂の平衡膨潤吸水量の測定樹脂の平衡膨潤吸水量はティーバッグ法を用いて測定した。すなわち、樹脂約0.1部を不織布製のティーバッグ(80mm×50mm)に入れ、過剰の対応する溶液中に浸して該樹脂を1時間膨潤させた後、ティーバッグを引き上げて1分間水切りを行った後、多量のティッシュペーパーに余分な水を吸収させた後、膨潤した樹脂を含むティーバッグの重量を測定した。同様な操作をティーバッグのみで行った場合をブランクとして、膨潤した樹脂を含むティーバッグの重量からブランクの重量と樹脂の重量を減じた値を、樹脂の重量で除した値を吸水量(g/g−樹脂)とした。なお、生理食塩水は0.9重量%塩化ナトリウム水溶液である。
【0293】(1−2) 樹脂の吸水速度の測定1部の樹脂を用いて、ウォーターディマンド法により20部の生理食塩水を吸水させ、水が無くなったところを終点としその所用時間を測定した。
【0294】(1−3) 樹脂の加重下での吸水量の測定1重量部の樹脂を用いて、250kPa(1.5kg/cm )の荷重下をかけて、ウォーターディマンド法により吸水させ、1時間後の荷重下での吸水量を測定した。
【0295】(1−4) 樹脂の保水量の測定1部の樹脂を用いて、平衡膨潤吸水させたゲルを遠心分離器内にいれ3000Gの遠心力を10分間かけ、保水量を測定した。
【0296】(2) 分解性高吸水性複合体の吸水能の測定分解性高吸水性複合体の吸水能は、生理食塩水と人工尿を対象とし、飽和吸水量、吸水速度、荷重下吸水量、リウェットについて行った。
【0297】(2−1) 分解性高吸水性複合体の吸水速度の測定分解性高吸水性複合体の吸水速度の測定は、被吸収液20mlを吸収する吸収速度を測定した。
【0298】(2−2) 分解性高吸水性複合体の飽和吸水量の測定分解性高吸水性複合体の飽和吸水量の測定は、ウォーターディマンド法により吸水させ、1時間後の吸水量を測定した。
【0299】(2−3) 分解性高吸水性複合体の荷重下吸水量の測定層体の荷重下吸水量の測定は、103kPa(20g/cm )の荷重下、ウォーターディマンド法により吸水させ、1時間後の吸水量を測定した。
【0300】(2−4) 分解性高吸水性複合体のウェットバックの測定分解性高吸水性複合体のウェットバックの測定は、ウォーターディマンド法により吸水させ、飽和吸収したものに、111kPa(1ton/m )の荷重をかけたときの逆戻りした液を多量のティッシュペーパーに吸わせて、その重量を測定した。
【0301】(3) 分解性高吸水性複合体の生分解性の測定実施例中の分解性高吸水性複合体の生分解性は、作成した分解性高吸水性複合体を用いて、コンポスト中の生分解性、埋設による生分解性、水中における生分解性について測定を行った。
【0302】(3−1) 分解性高吸水性複合体のコンポスト中での生分解性の測定吸収パッドのコンポスト中の生分解性の測定は、コンポスト法により行った。コンポスト法は、ASTM D−5338.92の応用であるISO CD 14855に準じて行った。すなわち、まず試験サンプルに、800部のイノキュラムに加え、58℃において40日間生分解を行い、吸収パッドの分解度合いを目視により観察した。また、非分解物が残存している場合は、取り出した分解残渣の重量を測定し、元の構成材料に対する重量変化を分解率(%)で表わした。
【0303】(3−2) 分解性高吸水性複合体の埋設による生分解性の測定吸収パッドの埋設の生分解性の測定は、試験サンプルを地中から30cmのところに埋め、6ヶ月間生分解を行い、吸収パッドの分解度合いを目視により観察した。また、非分解物が残存している場合は、取り出した分解残渣の重量を測定し、元の構成材料に対する重量変化を分解率(%)で表わした。
【0304】(3−3) 分解性高吸水性複合体の水中における生分解性の測定分解性高吸水性複合体の水中における生分解性の測定は、培養液(culture solution, デュボス媒質)を調製し、これを用いて試験管中で試験を行った。なお、前記培養液の組成を以下に示す。オートクレーブ中で120℃で10分間これらを攪拌し、溶解させた。
【0305】セルロース分解微生物(microbes)の調製分解(decomposition)試験デシケーター中で1日以上乾燥して恒量となった分解性高吸水性複合体と標準セルロース繊維を裁断し、それぞれ0.5gを上記溶液100mlを含む300mlフラスコに入れ、そこへ500mlの水を注ぎ、2週間時々内容物を振りながら培養した。
【0306】培養(cultivation)後、それぞれのフラスコの内容物を洗い出し、直径1μmの貫通穴(perforation)を持つ直径47mmのグラスフィルター上に吸引・ろ過し、105〜110℃で2時間乾燥後、デシケーター内で乾燥し、重量を測定した。分解率は[(Wk0−Wk1)/W0][Ws1(W0/(Ws0−Ws1))]
で表わす。
【0307】[化合物製造実施例1]リジンメチルエステル・2塩酸塩7.2部とリジン・1塩酸塩22.6部を蒸留水40部に溶解し、苛性ソーダ7.8部を少しずつ加えて中和し、リジン水溶液を調製した。一方、窒素気流下、分子量9.6万のポリコハク酸イミド100部を400部のDMFに溶解し、リジン水溶液を加え、室温で1時間攪拌後、撹拌を止め、20時間反応した。反応物を刃付き攪拌翼がついたミキサーに移送し、蒸留水400部とメタノール400部を加え、8000rpmにおいて5分間ゲルを細断し、さらに27重量%苛性ソーダ水溶液129.7部を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに2時間攪拌後、7重量%塩酸水を用いてpH=7になるまで中和した。中和後さらにメタノール300部を加え、沈殿物を60℃で乾燥すると、吸水性ポリマー143部が得られた。さらにサンプルミルを用いて粉砕し、100〜500μmに分級した。
【0308】この樹脂の吸水能について測定したところ、平衡膨潤吸収量は58倍であり、生理食塩水に対する吸水速度は1分間において27倍であり、加重下での吸水量は23であり、保水量は28倍であった。
【0309】[化合物製造実施例2]ヘキサメチレンジアミン3.0部を、DMF40部に溶解し、苛性ソーダ7.8部を少しずつ加えて中和し、リジン水溶液を調製した。一方、窒素気流下、重量平均分子量15.3万のポリコハク酸イミド100部を、DMF400部に溶解し、この溶液にリジン水溶液を加え、室温で1時間攪拌後、撹拌を止め、20時間反応させ、架橋ポリコハク酸イミドのゲルを得た。この架橋ポリコハク酸イミドのゲルを、刃付攪拌翼を具備したミキサーに移送し、蒸留水400部とメタノール400部を加え、8000rpmにおいて5分間ゲルを粉砕した。
【0310】さらに、樹脂の膨潤度を3〜100倍の範囲内に保ちつつ、この中に、27重量%苛性ソーダ水溶液129.7部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌し、その後7重量%塩酸水を加えてpH7となるように中和した。中和終了後、さらにメタノール300部を加え、沈殿物を60℃で乾燥し、吸水性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸系樹脂125部を得た。
【0311】この樹脂の吸水能について測定したところ、平衡膨潤吸収量は64倍であり、生理食塩水に対する吸水速度は1分間において28倍であり、加重下での吸水量は28倍であり、保水量は35倍であった。
【0312】(実施例1)
ミクロフィビリル状セルロース(MFC)分散液の調製S−MFC(特種製紙(株)製)のゲル状の3.0%水分散体を母液として、これにエチルアルコールとイオン交換水を加えて、エチルアルコール/水比が70/30、S−MFC濃度がそれぞれ0.2%、0.5%、1%の3水準のS−MFC分散液を用意した。
【0313】S−MFC/架橋ポリアミノ酸粒子共存分散液の調製上記3水準のS−MFC分散液50mlに、化合物製造実施例1にて製造した架橋ポリアミノ酸粒子の60〜100メッシュ区分け品を10g添加して、スラリー状のS−MFC/架橋ポリアミノ酸粒子分散液を調製した。
【0314】S−MFC/架橋ポリアミノ酸複合体の形成上記分散液を攪拌しつつ、グラスフィルターを用いてアスピレーター減圧により脱溶媒した後、不織布上に塗布し、50℃で減圧乾燥を行った。
【0315】乾燥後の複合体は大豆状の塊となった。これをそれぞれメッシュの細かい金巾に包んで木槌で叩いて粉砕し、メッシュ区分40〜60の部分を区分して吸水性テストを行った。
【0316】使用した架橋アミノ酸粒子の吸水量と粉砕処理したS−MFC/SAP複合体の吸水量を表1に示す。
【0317】
【表1】

吸水量においてほとんど変化しないことが観察された。
【0318】(実施例2)
ミクロフィビリル状セルロース濃度と分解性高吸水性複合体の特性の関係ミクロフィビリル状セルロース分散液の調製・バクテリアセルロース(BC)母液の調製固形分濃度30%のBC(B.P.R.社製)をイオン交換水に溶解して、固形分濃度1.2%の母液を調製した。攪拌はミキサーを用いて2時間行った。
【0319】・BCのエチルアルコール/水混合溶媒分散液の調製所定量の母液をとり、それにエチルアルコール、イオン交換水を加えて、0.02%〜0.80%のBC分散液を調製した。
【0320】・BC/架橋ポリアミノ酸粒子共存分散液の調製0.02%〜0.80%のBC分散液50mlに架橋ポリアミノ酸粒子を5g添加して、BC/架橋ポリアミノ酸粒子分散液を調製した。この分散液はBC濃度が低い場合には架橋ポリアミノ酸粒子の沈殿物を形成したが、濃度が高くなると安定になった。系の条件を合わせるためにミキサーで攪拌しつつ、系の安定を維持した。
【0321】
【表2】

BC/架橋ポリアミノ酸複合体の形成上記分散液を減圧装置に連結されたブッフナー漏斗(内径11cm)にろ紙、基材不織布(二村化学製TCF403、見掛比重0.07g/cm3 )を重ね、その基材不織布上に20mlの粘稠な分散液をすばやく注ぎ、減圧により脱溶媒した後、熱風乾燥させて複合体とした。
【0322】分解性高吸水性複合体の吸水量、保水量の評価上記分解性高吸水性複合体を十分な量の生理食塩水中に30分間浸漬後、JIS K−7223に準じて吸水量、保水量を測定し、その値を架橋ポリアミノ酸粒子含有量に換算したところ、表3のような結果が得られた。
【0323】
【表3】

(実施例3)図19に示した塗布装置を備えた、図17に示す製造装置を用いて、分解性高吸水性複合体を製造した。使用材料は下記のとおりである。
(1)ミクロフィビリル状セルロース:S−MFC(特種製紙社製)
(2)架橋ポリアミノ酸粒子:化合物製造実施例1にて製造したもの(3)混合溶媒 :メタノール/水系
(5)シート状支持体2層構成スルエアーサーマルボンドウエブ40g/m2 、目掛比重0.06の不織布で下記の構成を持ったものを用いた。
【0324】
上層:レーヨン(4d×51mm) 25g/m2 下層:ポリ乳酸スパンボンドウェブ 15g/m2上記シート状支持体13を10m/minの速度で走行させながら、その上層表面に上記(4)の成分の混合分散液を幅5mmの間隔をおきながら約10mm幅で連続塗工した。その後、ロールで圧縮して溶媒を除去した後、熱風乾燥した。得られた分解性高吸水性複合体は表4のような特性を持っていた。
【0325】なお、得られた分解性高吸水性複合体の保水量をJIS K−7223に基づいて測定した。その結果、架橋ポリアミノ酸粒子1g当たり40.2gの保水量を示し、ブランクとほぼ同等の数値が得られた。
【0326】また、コンポスト中での生分解性試験の結果、分解率は95%と非常に良好であった。さらに埋設による生分解性試験の結果、分解率は60%と良好であった。
【0327】(実施例4)市販の汎用超薄型紙オムツをブランクとし、このオムツからテッシュを含む吸収体部分を取り除き、代わりに本発明の分解性高吸水性複合体を備えた吸収体を組み込んでサンプルを作製した。
【0328】このサンプルに組み込んだ吸収体は、以下の手順で作製された。まず、上記の実施例3で得られた分解性高吸水性複合体を図25に示す形状および寸法で切り取った。一方、約90g/cm2 のテッシュ付きパルプマットを準備し、これに家庭アイロン用のハンドスプレーにより2〜3g/cm2 になるように水滴を吹き付け、その上に上記の寸法に切り取った吸収体を重ね合わせ、140〜150℃のアイロンで加圧プレスした。
【0329】同一のサンプルを5個用意し、各サンプルについて、吸収量、保水量およびリウェット(rewet)を測定した。吸収量および保水量はJIS K−7223に基づいて測定した。また、サンプルに生理食塩水120mlを5分間隔で3回注ぎ、1回目、2回目、3回目の各々について、1.33MPa(12.5kg/cm2 )/吸収体面積の加圧下でリウェットを行い、リウェット量を測定した。
【0330】上記の試験結果をまとめて表4に示す。なお、測定値は5サンプルの平均値で示した。
【0331】
【表4】

上記の表4から、本発明の分解性高吸水性複合体を用いて構成された吸収体を組み込んで得られるサンプルは、市販のオムツと比較して、重量が約70%、厚みは1/2以下であるにもかかわらず、吸収性能は同等またはそれ以上であることが判明した。
【0332】[化合物比較例1]生分解性を有する架橋カルボキシメチルセルロースについて、吸水能を測定したところ、平衡膨潤吸収量は36倍であり、生理食塩水に対する吸水速度は1分間で12倍であり、加重下での吸水量は12倍であり、保水量は15倍であった。
【0333】[分解性高吸水性複合体製造比較例1]吸水性樹脂を用いないで吸収体を製造し、その吸収能について測定を行った。生理食塩水に対しては、吸水速度は0.45ml/sec・cm2 であり、リウェット量は0.074g/cm2 であった。
【0334】人口尿に対しては、吸水速度は0.55ml/sec・cm2 であり、飽和吸水量は24g/cm2 であり、加重下吸水量は18g/cm2 であり、リウェット量は0.072g/cm2 であった。
【0335】[分解性高吸水性複合体製造比較例2]架橋ポリアミノ酸系樹脂を用いて、不織布とバックシートにポリエチレンを用いて吸収パッドを製造し、その生分解性について測定したところ、コンポスト中および埋設の場合、どちらの場合も、パルプの部分を除き、全く生分解していなかった。
【0336】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の分解性高吸水性複合体によれば、水膨 潤性固状体を種々の形態、例えば粉末状、粒子状、ペレット状、シート状もしくは任意の形状の三次元構造物等の形態に成形することが可能であり、その取扱い性を向上させるとともに、利用の範囲を拡大することができる。また特に、大量生産により容易に安価に入手できる架橋ポリアミノ酸粒子を利用し、これをミクロフィビリル状セルロースのネットワーク構造で安定に保持した場合には、粒子状のままで使用することはもちろん、任意の形態の吸収体を容易に構成することが可能になる。とくにシート状に構成した場合には、きわめて大きい吸水容量を有しながら、その厚さを薄くすることができ、幼児用および成人用オムツ、生理用ナプキン等の吸収体製品全体の厚さを極限まで減少させることができる。また分解性高吸水性複合体を別のシート状支持体に支持させた場合には、優れた吸収性を有する複合体として広範な用途に利用可能である。




 
 


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