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【発明の名称】 |
固形物散布装置 |
【発明者】 |
【氏名】近石 康司 【氏名】柳楽 篤司 【氏名】佐藤 徹 |
【課題】チップ、農薬、肥料、種子、またこれらの混合物等の大小固形物を連続的に、自在方向に、人から遠避けて、効率よく、経済的にの幾つかを結合して達成し、また資源の有効再利用のための散布装置として地表等や樹木等に散布できる固形物散布装置を提供する。
【解決手段】上部に固形物投入用開口(1a)を有すると共に下部に固形物放出用開口(1b)を有するホッパ(1) と、ホッパ(1) 回りに旋回自在に設けた旋回体(3)と、旋回体(3) に設けられ、ホッパ(1) の固形物放出用開口(1b)から固形物(C1)を管内に受けて先端開口(2c)から外部へ遠近自在に放出可能とされた放出管(2)とを有することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部に固形物投入用開口(1a)を有すると共に下部に固形物放出用開口(1b)を有するホッパ(1) と、ホッパ(1) 回りに旋回自在に設けた旋回体(3) と、旋回体(3) に設けられ、ホッパ(1) の固形物放出用開口(1b)から固形物(C1)を管内に受けて先端開口(2c)から外部へ遠近自在に放出可能とされた放出管(2) とを有することを特徴とする固形物散布装置。 【請求項2】 上部に固形物投入用開口(1a)を有すると共に下部に固形物放出用開口(1b)を有し、かつ固形物投入用開口(1a)の開口面に略垂直な軸(s) であると共に開口面の略中心(G) を通る軸(S) の回りに旋回自在とされたホッパ(1)と、ホッパ(1) の固形物放出用開口(1b)から固形物(C1)を管内に受けて先端開口(2c)から外部へ遠近自在に放出可能とされた放出管(2) とを有することを特徴とする固形物散布装置。 【請求項3】 固形物投入用開口(1a)の開口面に略垂直な軸(s) であると共に開口面の略中心(G) を通る軸(S) が下部走行体(5) 上に旋回自在に設けた上部旋回体(6) の旋回軸であるように、上部旋回体(6) 上にホッパ(1) と放出管(2)とを配置したことを特徴とする請求項2記載の固形物散布装置。 【請求項4】 放出管(2) は略直線形状であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の固形物散布装置。 【請求項5】 放出管(2) は伸縮(X5)自在及び俯仰(X6)自在の少なくとも一つとされていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の固形物散布装置。 【請求項6】 ホッパ(1) は内部の固形物通過部位に固形物破砕部(8) 及び固形物攪拌部(9) の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の固形物散布装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は固形物散布装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、使い捨て文化への反省から資源の有効再利用が叫ばれている。例えば、(1)公園での剪定枝葉をその場で破砕してチップ化し又は粉状にチップ化(いわゆる「おがくず」化)し、樹木、草木の根元へ散布する。これによりチップの堆肥化、チップによる雑草の成長抑制等を図っている。 (2)高速道路の法面等に草花、草木の種子を散布する。これにより成長後の草花、草木の根による法面等の強度向上、美観向上等を図っている。 (3)森林伐採地での不良株、不要枝葉、また鉄道での不要枕木等を破砕してチップ化し、そのまま又は堆肥化後、森林、都市部公園、農地等に散布する。尚、上記各事例(1)〜(3)での散布時には、農薬、肥料、鶏糞、木炭、石灰、堆肥化促進のためのEM菌等の微生物、水等をチップ、種子等に混合し散布することがしばしば行われている。 (4)木材のチップに硬化ウレタン樹脂、特殊ゴム等の接着材を混合し、この接着材によってコーティングしたチップを公園等の遊歩道等に均一散布する。これにより接着材乾燥後の遊歩道にクッション性、透水性、適度な滑り抵抗等を与え、また美観向上を図っている。 【0003】ところが上記散布に対し、次のような散布装置が知られるだけである。 (1)特開平7−203831号公報には「タンクに後端を直付けし、かつ撓ました可撓管を経てこの可撓管の先端に直角方向に接続した散布管内にタンク内の農薬、肥料等の粉・粒剤を送り込み、散布管の側面に設けた多数の散布孔から外部へ散布する装置をトラクタ上に設けたこと」が記載されている。 【0004】(2)実公平8−10391号公報には「ホッパに直付けした長尺(80〜150m)な筒内にホッパ内の農薬、肥料等の粉粒体を送り込み、筒の側面に設けた多数の散布孔から外部へ散布する装置」が記載されている。 【0005】一方、固形物破砕機としては、例えば図1を借用し説明すれば、同図の自走式木材破砕機Aが知られる。これは、パワーショベル等の投入機械BによってホッパA1の上部開口A2から投入した木材、木株、廃材等の原材料CをホッパA1内に設けた破砕部(図示せず)によって所望サイズに破砕しチップC1化しつつ、ベルトコンベアA3上に落下させて外部へ搬出し、ベルトコンベアA3の先端直下の地上に落下堆積(図示せず)させるものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】即ち上記従来技術には次のような問題がある。 (1)特開平7−203831号の技術は、第1に、タンクを用いるため連続補給に不向きであり、従って長時間の連続散布に不向きであり、散布効率が悪い。第2に、障害物が存在しない田圃、農地、牧場等では均一散布できるものの、公園等のように樹木が林立するような箇所に対しては散布管が樹木等に衝突して散布管が移動不能となり、これにより均一散布、集中散布は元よりのこと、普通の集中散布すら困難である。従って公園等のように樹木が林立するような箇所に対しては人が散布装置を背負い、散布領域内を巡って散布する必要があり手数を要し、散布効率が低い。また散布領域が散布管の長さと散布管の移動範囲とに制限される。また散布時は散布管が長大であるため散布管の先端等を支えつつ移動することになるが、これも人手に頼ることになり極めて辛苦作業である。従って高速道路の法面等のような長大面への連続散布も作業者にとり極めて辛苦作業となる。さらに作業者が散布領域内又はその近傍に位置する必要があるため、少しでも健康を害するような薬剤は散布できない。即ち辛苦作業を伴い、安全面上好ましくなく、散布効率が悪く、かつ散布対象領域の自由度も極めて低い。第3に、粉・粒剤が散布されるまでの間に、粉・粒剤が可撓管の撓みと、可撓管から散布管への直角曲がりと、散布管内から散布孔への直角曲がりとにおいて、大きな通過抵抗を受ける。つまり装置内での粉・粒剤の通過抵抗が極めて大きく、従って固形物が農薬のような微小な粉・粒剤である場合の散布ならば支障ないものの、固形物が例えば40〜60mmの大径チップ等である場合は直ちに詰りして散布不能に陥る。即ち散布する固形物に対する自由度も極めて低く、上記資源の有効再利用のための散布装置としては不適当である。 【0007】(2)実公平8−10391号の技術は上記特開平7−203831号の技術とは異なり、ホッパを用いるため連続補給自在であるから長時間の連続散布に好適であり散布効率は良いものの、この技術もまた上記特開平7−203831号の技術の第2、第3の問題と略同様の問題を有する。 【0008】(3)図1の自走式木材破砕機Aは、木材、木株、廃材等の源材料Cは元よりのこと、剪定枝葉、枕木、プラスチック、鶏糞、木炭、石灰等の原材料Cであっても所望サイズに破砕できる。ところがこの機械AはベルトコンベアA3の先端直下の地上にチップC1等の破砕物を落下堆積させることができるだけであり、所望方向、所望領域に散布できない。勿論、破砕しつつそのチップC1に種子、農薬、肥料、微生物、水、接着材等を混合し散布することもできない。 【0009】即ち上記従来技術では散布装置と固形物破砕機とがそれぞれ別体で既存するものの、上記の通り上記資源の有効再利用のための散布装置としてはそれぞれ固有の問題点を有する。そしてこれらを組み合わせても、例えば散布する固形物が大径のチップ等である場合、その原材料Eを大径に破砕しチップ化しつつ散布したり、又は破砕してチップ化つつ他の材料と混合して散布することもできず極めて不経済である。 【0010】本発明は、上記従来技術の実情に鑑み、チップ、農薬、肥料、種子、またこれらの混合物等の大小固形物を連続的に、自在方向に、人から遠避けて、効率よく、経済的にの幾つかを結合して達成し、また資源の有効再利用のための散布装置として地表、樹木等に散布できる固形物散布装置を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段及び効果】上記目的を達成するために本発明に係わる固形物散布装置の第1は、上部に固形物投入用開口を有すると共に下部に固形物放出用開口を有するホッパと、ホッパ回りに旋回自在に設けた旋回体と、旋回体に設けられ、ホッパの固形物放出用開口から固形物を管内に受けて先端開口から外部へ遠近自在に放出可能とされた放出管とを有することを特徴としている。 【0012】上記第1の構成によれば、次のような作用効果を奏する。 (1)ホッパから固形物を連続補給できるため長時間連続散布でき、散布効率が良い。またホッパが固定しているから固形物の投入こぼれがない。 (2)旋回体の旋回角調整と、放出管の放射遠近距離の調整とにより散布領域及び散布量を適材適所に自在調整できる。 (3)放出管は人手によって支えられる必要がないから、従来の人手によって支えるという辛苦作業から開放される。また樹木が林立する公園等でも放出管が樹木に衝突することがないから、また高速道路の法面等のような長大な面でも放出管からの遠方放射できるから、散布箇所に集中散布でき、また均一散布できる。また散布領域内及びその近傍から人を排除して散布できるから、人の有害な薬剤でも安全に散布できる。 (4)放出管は短くてよいから管内抵抗が小さく、従って固形物が管内で詰まり難く、また詰まっても除去容易である。つまり固形物の形状、サイズ、質を問わず散布できる。 即ち第1の構成によれば、チップ、農薬、肥料、種子、またこれらの混合物等の大小固形物を連続的に、自在方向に、人から遠避けて、効率よく、経済的に、資源の有効再利用のための散布装置として地表、樹木等に散布できる。 【0013】第2に、上部に固形物投入用開口を有すると共に下部に固形物放出用開口を有し、かつ固形物投入用開口の開口面に略垂直な軸であると共に開口面の略中心を通る軸の回りに旋回自在とされたホッパと、ホッパの固形物放出用開口から固形物を管内に受けて先端開口から外部へ遠近自在に放出可能とされた放出管とを有することを特徴としている。 【0014】上記第2の構成によれば、次のような作用効果を奏する。 (1)ホッパから固形物を連続補給できるため長時間連続散布でき、散布効率が良い。 (2)ホッパが旋回しても、ホッパの旋回軸が固形物投入用開口の開口面に略垂直な軸であると共に開口面の略中心を通る軸の回りの旋回であるから、例えば固形物投入用開口が円形又はこれに近い多角形であれば、ホッパが固定しているのと同様であるから固形物の投入こぼれがない。 (3)放出管の旋回角調整と放出管の放射遠近距離の調整とにより散布領域、散布量を適材適所に自在調整となる。 (4)第1の構成のように旋回体を別途準備する必要がなく簡単構造となる。 (5)第1実施例と同じく放出管を用いるから辛苦作業から開放され、公園等でも、高速道路の法面でも放出管からの遠方放射によって散布したい箇所に集中散布でき、また均一散布できる。また散布領域内及びその近傍から人を排除して散布できるから、人の有害な薬剤でも安全に散布できる。また放出管内に固形物が詰まり難く、詰まっても除去容易である。つまり固形物の形状、サイズ、質を問わず散布できる。 即ち第2の構成によれば、チップ、農薬、肥料、種子、またこれらの混合物等の大小固形物を連続的に、自在方向に、人から遠避けて、効率よく、経済的に、資源の有効再利用のための散布装置として地表、樹木等に散布できる。 【0015】第3に、上記第2の構成の固形物散布装置において、「固形物投入用開口の開口面に略垂直な軸であると共に開口面の略中心を通る軸」が下部走行体上に旋回自在に設けた上部旋回体の旋回軸であるように、上部旋回体上にホッパと放出管とを配置したことを特徴としている。 【0016】上記第3の構成によれば、次のような作用効果を奏する。 (1)下部走行体によって自走できるから設置位置、設置角度が自在である。 (2)下部走行体上に旋回自在に上部旋回体を設けた自走車両とは例えば油圧式パワーショベルの本体構造であり、各種仕様、各種サイズが既存である。そしてかかる車両の上部旋回体上にホッパと放出管とを配置したのであるから、安価に製造でき、操作も簡単である。 (3)他の作用効果は上記第2の構成と同じである。 【0017】第4に、上記第1、第2又は第3の構成の固形物散布装置において、放出管は略直線形状であることを特徴としている。 【0018】上記第4の構成は、上記第1、第2又は第3の構成の放出管の形状を特定したものである。即ち放出管は例えばテレスコピック式、蛇腹式、継ぎ足し式等、各種準備できるが、固形物の管内での通過抵抗を削減するには、これらをできるだけ直線形状にすることが望まれるからである。これにより詰まり低減、放出エネルギーの低減を図ることができる。 【0019】第5に、上記第1、第2、第3又は第4の構成の固形物散布装置において、放出管は伸縮自在及び俯仰自在の少なくとも一つとされていることを特徴としている。 【0020】上記第5の構成によれば、次のような作用効果を奏する。 (1)放出管の伸縮機能が旋回機能と結合し、これにより遠近散布、集中散布、均一散布自在となる。また短縮により公道での輸送性が向上する。 (2)放出管の俯仰機能が旋回機能と結合し、これにより遠近散布、集中散布、均一散布が自在となる。例えば樹木の向こう側へ樹木を飛び越えて散布することも自在となる。 【0021】第6に、上記第1、第2、第3、第4又は第5の構成の固形物散布装置において、ホッパは内部の固形物通過部位に固形物破砕部及び固形物攪拌部の少なくとも一つを有することを特徴としている。 【0022】上記第6の構成によれば、次のような作用効果を奏する。 (1)固形物破砕部により、木材、木株、廃材、剪定枝葉、枕木、プラスチック、鶏糞、木炭、石灰等でも破砕できる。このため従来の自走式木材破砕機Aのような専用の破砕装置が不要となる。 (2)固形物攪拌部により、ホッパ内のチップ等に種子、農薬、肥料、鶏糞、木炭、石灰、微生物、水、接着材等を攪拌混合した後、散布できる。即ちホッパ内部に固形物破砕部及び固形物攪拌部の少なくとも一つを有しているので、特に狭い稼働地でも散布作業を行え、従来の自走式木材破砕機Aのような専用の破砕装置も、予め攪拌混合しておく攪拌機等も必要でなく、そのオペレータも少なくて済むから経済的効果が極めて向上する。 【0023】 【発明の実施の形態及び実施例】第1実施例を図1〜図2に、第2実施例を図3〜図5に、他の実施例を図6〜図8に示す。そして各実施例はホッパ1と放出管2とを有する。詳しくは次の通り。 【0024】第1実施例なる固形物散布装置のホッパ1は、図1、図2(a)、(b)に示す通り、いわゆる油圧式パワーショベルDの上部旋回体D1上で俯仰X1自在に基端をピン連結されたアームD2の先端にピン連結されて俯仰X1自在、かつ傾倒X2自在とされると共に、上部旋回体D1の旋回X3及び油圧式パワーショベルDの移動X4とによってその設置位置、設置角度を変更自在とされている。そして図1に示す通り、ホッパ1内に前述の自走式木材破砕機AからチップC1を投入され、放出管2から所望方向へ放出して散布自在とされている。 【0025】ホッパ1は、図1、図2(a)に示す通り、一般的なものと同じく上部にチップ投入用開口1aを有すると共に下部にチップ放出用開口1bを有する。ところがこのホッパ1は、下端面を地上に接地可能に下方へ突出した突出部1cを有し、この突出部1cの直上にホッパ1の下部回りに正逆旋回自在とされた旋回体3を外嵌している。 【0026】旋回体3は、図2(a)に示す通り、ホッパ1の外周に固着した外歯付きリング3aと、リング3aの外歯に噛み合うピニオンギヤ3bと、ピニオンギヤ3bを出力軸に固着した油圧モータ(図示せず)と、ホッパ1外周にインナーレースを固着したベアリング(図示せず)とを有し、油圧モータの正逆回転によってホッパ1の下部外周回りを正逆旋回自在とされている。そして旋回体3には放出管2と送風機4とが設けてある。 【0027】放出管2は、詳細を後述する第2実施例を示す図3を借用して説明すれば、その基端にホッパ1底部のチップC1を受ける第1開口2aと、送風機4から送風を受ける第2開口2bとを有すると共に、先端開口2cとを有する。そして第1開口2aから管内に進入したホッパ1底部からのチップC1を第2開口2bから進入した送風機4からの送風によって先端開口2cから放出する。尚、放出管2は、図1〜図2に示すように先太りのテレスコピック式であり、人手によって伸縮X5自在とされている。さらに放出管2は、借用の図3に示すように後端を旋回体3にピン連結され、図1、図2(a)に示すように、人手によって俯仰X6自在とされている。尚、伸縮X5自在、俯仰X6自在とは任意の伸縮量、俯仰角で固定自在であることを含んでいる。 【0028】上記第1実施例によれば、次の作用効果を奏する。 (1)ホッパ1からチップC1を連続補給できるため長時間連続散布でき、散布効率が良い。 【0029】(2)旋回体3がホッパ1回りに旋回しても、ホッパ1下部の突出部1cが地上に接地しているから、ホッパ1が旋回体3と伴回りすることがない。従ってホッパ1のチップ投入用開口1aが円形以外の例えば方形であっても、ベルトコンベアA3の位置や姿勢を変えることなく、チップC1を狂いなくチップ投入用開口1aからホッパ1内へ落下させることができる。 【0030】(3)第1実施例は定置式であるが、油圧式パワーショベルDの動作X1〜X4によって設置位置及び設置角度を自在調整できる。しかも油圧式パワーショベルDは設置時に必要なだけであるから、自走式木材破砕機Aへ原材料Cを投入する油圧式パワーショベルBと兼用でき、経済性が高い。 【0031】(4)第1実施例は定置式であるが、旋回体3(即ち放出管2)がホッパ1回りに旋回自在であるから、旋回角調整によってチップC1の散布領域の調整が自在である。 【0032】(5)放出管2は放出式であるから従来技術の長尺な散布管と比較すれば当然に短く、従ってこの放出管2は従来技術のように人手によって支えられてもおらず、また人手によって支える必要もない。即ち辛苦作業から開放される。また公園等の樹木が林立する散布領域から放出管2が離れて設置されることができるから、放出管2が散布領域内の樹木に衝突することもなく、チップC1を例えば樹木を飛び越させて散布でき、樹木間をぬって散布でき、また樹木上から散布できる。また高速道路の法面等のような長大な面でも、放出管2が放出式であるから、さらに散布可能領域や散布量が放出管2の向きと、送風機4からの風量又は風圧とによって調整自在となるから、高効率に自在散布できる。即ち均一散布であれ、集中散布であれ、調整自在である。また放出管2が放出式であるから散布領域内からは勿論のこと、その近傍からも人を排除して散布できる。従ってチップC1だけでなく、例えば人の健康を害するような薬剤でも安全に散布できる。即ち辛苦作業から開放され、安全であり、散布効率が高く、かつ散布対象領域の自由度が極めて高い。 【0033】(6)放出管2は短いから管内抵抗が小さく、従ってチップC1の管内での詰まりを無くすことができる。また詰まっても除去容易である。また放出管2は短く、かつ放出式であるから、チップC1は勿論のこと、他の固形物でもその形状、サイズ、質を問わず散布できる。即ち散布する固形物に対する自由度も極めて高い。 【0034】(7)放出管2が伸縮X5自在であるため、伸縮量を調整することにより旋回体3の旋回機能と結合して遠近散布、集中散布、均一散布が自在となる。また短縮により公道での輸送性も向上する。尚、上記第1実施例での伸縮X5は人手によったが、アクチュエータによっても構わない。また上記第1実施例の伸縮X5機能はテレスコピック式によるものとしたが、例えば蛇腹式、継ぎ足し式等でもよく、要するに先端開口2cの位置が結果として旋回体3から遠近調整自在となる構成であればよい。また上記第1実施例のテレスコピック式放出管2は先太りとしたが、これによりチップC1が放出管2内で詰まるという不具合が生じ難くなる。要するに放出管2内での抵抗が小さくなるということである。尚、テレスコピック式放出管2と言えば通常は略直線形状であり、従って放出管2内での抵抗も小さくなり散布効率がよくなるのであるが、蛇腹式ならば若干の曲がりも生ずるものの、これも略直線形状の内と見なして構わない。尚、蛇腹式では管内抵抗が若干増えるが、送風機4からの風量又は風圧の調整によってこの抵抗増加をカバーできる。つまり略直線形状とは、抵抗が大幅に増加する例えばL字形に曲がったものではないという程度の意味である。尚、ホッパ1の上部が大径である場合、上部のみ追加式、伸縮式、拡大式等とし、これにより放出管2が伸縮X5と合わせて公道での輸送性を向上させてもよい。 【0035】(8)放出管2が俯仰X6自在であるため、俯仰角を調整することにより旋回体3の旋回機能と結合して遠近散布、集中散布、均一散布が自在となる。例えば俯仰角を大きくすれば、樹木の向こう側へ樹木を飛び越えて散布できる。尚、上記第1実施例の俯仰X6調整は人手によるが、これもアクチュエータによっても構わない。例えば後述の第2実施例及び他の実施例で参照する図3、図4(b)、図6〜図8では油圧シリンダを用いて俯仰X6させている。 【0036】(9)即ち上記第1実施例によれば、チップ、農薬、肥料、種子、またこれらの混合物等の大小固形物を連続的に、自在方向に、人から遠避けて、効率よく、経済的に、資源の有効再利用のための散布装置として地表、樹木等に散布できる。 【0037】尚、上記第1実施例に係わる補足説明と、他の態様例及びその作用効果とを次に項目列挙する。 (1)上記第1実施例では油圧モータの油圧源、送風機4の駆動源及び油圧モータの正逆回転制御に触れていない。詳しくは次の通り。油圧モータの油圧源は、油圧式パワーショベルD、自走式木材破砕機A、その他の外部に設けた油圧ポンプでもよく、また旋回体3に内蔵した油圧ポンプでもよい。尚、上記第1実施例での送風機4の駆動源は旋回体3に内蔵したエンジンとしてある。従って油圧モータの油圧源なる油圧ポンプもまた上記第1実施例ではそのエンジンで駆動している。勿論、送風機4の駆動源を他の油圧モータとしても構わないがこの場合、他の油圧モータの油圧源は上記油圧モータの油圧源と同じく、油圧式パワーショベルD、自走式木材破砕機A、その他の外部に設けた油圧ポンプから得ることになる。油圧モータの正逆回転制御は、油圧ポンプと油圧モータとの間に方向切換弁を設け、これを切り換えて行ってもよく、また油圧ポンプを可変容量式とするならば、その吐出方向を切り換えて行っても構わない。尚、単なる正逆旋回だけでは放出管2からのチップC1の放出方向が全周360°に向けて行われてしまう。そこで上記第1実施例ではホッパ1回りに2個のリミットスイッチを双方間の離間角を調整自在に設け、旋回体3の旋回によって油圧モータの外壁が各リミットスイッチに衝突する毎に、回転方向が自動的に切り換わるようにしてある。即ち各リミットスイッチの動作信号が方向切換え弁を(又は可変容量式油圧ポンプならば、ポンプ容量変更サーボを)切り換えて油圧モータを自動的に正逆回転させている。つまり両リミットスイッチを又は1個のリミットスイッチを無くせば全周回転(即ち全周散布)でき、両リミットスイッチの離間角を調整することにより両リミットスイッチの離間角で定まる領域内の散布を行えるようにしてある。尚、上記第1実施例では油圧モータを用いたが、電気モータ、空圧モータ等の回転装置に代えて行ってもよいことは説明するまでもない。 【0038】(2)上記第1実施例(後述する第2実施例及び他の実施例も同じ)において、旋回体3から外歯付きリング3a、ピニオンギヤ3b、油圧モータ等の強制旋回機構を省き、ホッパ1の外周にインナーレースを固着したベアリングだけを残して旋回自在としても構わない。この場合、旋回は作業者による人手による押し引きとなり手数を要するものの、広領域、自在領域にわたって均一散布は元よりのこと、適材適所に適量散布を微妙に行える利点がある。 【0039】(3)上記第1実施例では、旋回体3の旋回を油圧モータで行うものの、放出管2の伸縮X5及び俯仰X6は人手によって行っている。そこでこれら伸縮X5及び俯仰X6も、前記したように各種アクチュエータで行えば、省力化を促進できる。さらにまた伸縮量、俯仰角、旋回角及び送風量の各検出器と、各種散布動作プログラムを予め選択的に読み出し自在に記憶すると共に各検出器からの検出値(伸縮量、俯仰角、旋回角、送風量)を受けて選択した散布動作プログラムに基づき各アクチュエータを作動させるマイコン等の制御器とを加設して全自動化しても構わない。さらにまた無線制御を加設して遠隔散布化しても構わない。 【0040】第2実施例を図3〜図5を参照し説明する。尚、第1実施例と同一要素には同一符号を付して重複説明は省略する。 【0041】第2実施例が上記第1実施例と相違する点は、第1実施例では要すれば定置式のホッパ1の回りに放出管2を旋回自在に設けたたのに対し、第2実施例では放出管2がホッパ1と共に旋回自在とされている点である。但し第2実施例ではその旋回軸に特徴がある。詳しくは次の通り。 【0042】図3に示す通り、ホッパ1及び放出管2は下部走行体5上に旋回自在に設けた上部旋回体6上に設けてある。しかも上部旋回体6の旋回軸Sがホッパ1のチップ投入用開口1aの開口面に略垂直になるように、かつ開口面の略中心Gを通るように設けてある。 【0043】上記第2実施例によれば、次の作用効果を奏する。 (1)ホッパ1からチップC1を連続補給できるため長時間連続散布でき、散布効率が良い。 【0044】(2)ホッパ1が旋回しても、その旋回軸Sがチップ投入用開口1aの開口面に略垂直な軸であると共に開口面の略中心Gを通る軸に一致しているから、チップ投入用開口1aが仮に円形であれば、実質的に停止していると同じである。従ってベルトコンベアA3の位置や姿勢を変えることなく、チップC1を狂いなくチップ投入用開口1aからホッパ1内へ落下させることができる。尚、この作用効果は、図4に例示する「上部のチップ投入用開口1aと下部のチップ放出用開口1bとが水平方向で位置ずれdしたホッパ1」に対しても同様に生ずる。またチップ投入用開口1aの開口面の形状は円形である必要はなく、例えば図5に例示する略正方形でも構わない。即ちチップ投入用開口1aが図4(a)に示す円形であれば、また円形に近い程、そのホッパ1が旋回しても実質的に停止していると変わらなくなってゆくからであり、従ってホッパ1のチップ投入用開口1aの開口面の形状は、円形は元よりのこと、正5角形、正6画角形、・・・・等、正多角形程望ましい。 【0045】(3)下部走行体5によって自走できるから、設置位置及び設置角度が自在である。即ち上記第1実施例の定置式ように、油圧式パワーショベルD等の移動手段を予め準備して設置位置及び設置角度を変更する必要がなく、経済的である。尚、下部走行体5上に旋回自在に上部旋回体6を設けた自走車両は、例えば油圧式パワーショベルB、Dの本体構造であり、しかもこれは各種仕様、各種サイズが既存である。そしてかかる車両の上部旋回体6上にホッパ1と放出管2とを配置したのであるから、第2実施例を安価に製造でき、操作も簡単である。 【0046】(4)放出管2はホッパ1に対し仮に固定であっても、ホッパ1と共に旋回するからチップC1を広範囲で散布できる。また上記第1実施例のように、放出管2を有する旋回体3とホッパ1との結合を単純化できる。尚、放出管2をホッパ1に固定する理由はなく、放出管2をホッパ1に対して移動自在に設けても構わない。寧ろその方が散布自由度が増加し、好適散布を行える。 【0047】(5)第1実施例と同じく放出管2を用いるから従来技術と異なり辛苦作業から開放され、安全であり、散布効率が高く、かつ散布対象領域の自由度が極めて高くなる。また放出管2であるから、散布する固形物に対する自由度も極めて高い。 【0048】(6)また図3、図4(b)に示すように、放出管2は第1実施例と同様、伸縮X5自在、俯仰X5自在であるから第1実施例と同様の旋回機能と複合した作用効果を奏する。 【0049】(7)即ち上記第2実施例によれば、チップ、農薬、肥料、種子、またこれらの混合物等の大小固形物を連続的に、自在方向に、人から遠避けて、効率よく、経済的に、資源の有効再利用のための散布装置として地表、樹木等に散布できる。 【0050】他の実施例の幾つかを図6〜図8を参照し説明する。各他の実施例は、上記第1、第2実施例に対し、要素を加設し構成してある。詳しくは次の通り。 【0051】(1)図6に示す通り、ホッパ1は、内側下部にチップC1を定量し、かつ下方へ落下させる定量繰り出し部7を有する。このようにすると、後述するように、チップC1だけでなく、農薬、肥料、種子、これらの混合物等、小片、粒状の固形物もまた、詰まることなく適量散布するに好都合となる。尚、この定量繰り出し部7は、ホッパ1への木材、木株、廃材等の投入量が時間的にほぼ均一であるならば、無くても構わない。 【0052】(2)図7に示す通り、ホッパ1は、内側下部のチップ通過部位に固形物破砕部8を有する。このようにすると、ホッパ1に木材、木株、廃材等の源材料Cをは元よりのこと、剪定枝葉、枕木、プラスチック、鶏糞、木炭、石灰等の原材料Cを投入しても破砕できる。尚、固形物破砕部8は例えばハンマーミルや切断機のように各種形式を準備でき、通常はいずれも、例えば回転数、通過間隙の調整によって所望サイズの破砕が得られる。即ち図1で例示した自走式木材破砕機Aが不要となり、一台の固形物散布装置によって破砕と散布とを行える。殊に狭い稼働地でも散布作業を行え、オペレータも少なくて済むから、その経済的効果は極めて高い。 【0053】(3)図8に示す通り、ホッパ1は、内側中上部のチップ通過部位に固形物攪拌部9を有する。詳しくは、ホッパ1に投入したチップC1、種子、農薬、肥料、鶏糞、木炭、石灰、微生物、水、接着材等のいずれか同士を少なくとも2種以上攪拌混合し、これが終了した頃合いを見計らってシャッタ9aを開き、下方へ落下させるものである。尚、この図8の実施例ではシャッタ9aの下方に定量繰り出し部7を有するが、シャッタ9aを定量制御で開閉させれば、定量繰り出し部7は不要である。 【0054】(4)勿論、定量繰り出し部7と、固形物破砕部8と、固形物攪拌部9とを種々組み合わせることにより、具体的には各種樹木が林立する公園等でも、幅20mを越えるような広巾、かつ長大な高速道路の法面等でも、また森林伐採地でも、またそれたの樹木等でも各種固形物を直接又は混合して最少の人手により、素早く、効率よく、経済的に適量散布又は均一散布できる。
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【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所 【識別番号】000135553 【氏名又は名称】株式会社ハッコー
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【出願日】 |
平成11年6月18日(1999.6.18) |
【代理人】 |
【識別番号】100073863 【弁理士】 【氏名又は名称】松澤 統
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【公開番号】 |
特開2001−20(P2001−20A) |
【公開日】 |
平成13年1月9日(2001.1.9) |
【出願番号】 |
特願平11−172104 |
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