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【発明の名称】 |
炭化物、活性炭、それらの製造方法およびそれらの使用方法 |
【発明者】 |
【氏名】五十嵐 幸造 【氏名】橋本 正人 |
【課題】本発明は、チップ型の電子部品を製造する段階で大量に発生する小型定形の廃紙片を有効利用することを目的とする。
【解決手段】小型定形の廃紙片を炭化することによって炭化物、活性炭等を提供するものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、原材料とする炭化物。 【請求項2】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、原材料とする活性炭。 【請求項3】 廃紙片は、角板型あるいは円柱型あるいは角板型と円柱型とが混合されている請求項1記載の炭化物。 【請求項4】 炭化物の表面積は、300〜600m2/gである請求項 1記載の炭化物。 【請求項5】 廃紙片は、角板型あるいは円柱型あるいは角板型と円柱型とが混合されている請求項2記載の活性炭。 【請求項6】 活性炭の表面積は、1000〜2000m2/gである請 求項5記載の活性炭。 【請求項7】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、炭化してなる炭化物の製造方法。 【請求項8】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、固形化後炭化してなる炭化物の製造方法。 【請求項9】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、炭化し、その後賦活する活性炭の製造方法。 【請求項10】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を固形化後炭化し、その後賦活する活性炭の製造方法。 【請求項11】 チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、原材料とする炭化物を、土壌改良剤、EM菌用細孔剤、調湿剤、脱臭剤のいずれかに用いる炭化物の使用方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、小型定形紙片の炭化物の利用分野に属し、詳しくはチップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に大量に発生する、小型定形の廃紙片を利用した炭化物、活性炭、それらの製造方法およびそれらの使用方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】チップ型の電子部品は、約95%程度がリール状に巻いた圧縮紙テープに穴を加工しその中に電子部品を収納し出荷する形態をとっている。このテープ加工の際に小型打ち抜き紙片が大量に発生する。この廃紙片は、森林資源をもとにして造られた上質の圧縮紙であり、世界的には年間千トン規模で排出されている。この小型定形の廃紙片は、チップ型電子部品の製造副産物であるため、製造段階での品質管理が厳しく行われていること、また形成用の糊は特別な材料を使用せず澱粉を使用し、表面への印字、印刷も行われていないことから有害物質及び異物の混入の恐れは極めて少ない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この紙片は小型(一辺が5mm未満)であるがために繊維が分断され短くなっており、紙として再生することは困難であり現在のところ廃棄物として焼却処分を行っている。一方、昨今の地球環境問題とりわけ森林資源枯渇問題、CO2温暖化問題 、廃棄物処理問題、循環型社会への動向を考慮すると、小型定形の廃紙片を大量に廃棄物として焼却処分する方法は、時代に逆行した手段であり、チップ型電子部品製造企業における深刻な課題となっている。 【0004】上記従来の課題を解決するために本発明は、廃棄物として焼却処分される小型定形の廃棄片を限りある有効資源として活用するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を原材料とし、炭化物あるいは活性炭として有効利用するものである。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、原材料とする炭化物である。また、請求項2に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、原材料とする活性炭である。 【0007】また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の廃紙片は、角板型あるいは円柱型あるいは角板型と円柱型とが混合されているものである。また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の炭化物の表面積は、300〜600m2/gであるものである。また、請求項5に記載の発明は、請求項2記載の廃紙片は、角板型あるいは円柱型あるいは角板型と円柱型とが混合されているものである。 【0008】また、請求項6に記載の発明は、請求項5記載の活性炭の表面積は、1000〜2000m2/gであるものである。また、請求項7に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、炭化してなるものである。また請求項8に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を固形化後炭化してなるものである。 【0009】また、請求項9に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、炭化し、その後賦活するものである。また、請求項10に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を固形化後炭化し、その後賦活するものである。 【0010】また、請求項11に記載の発明は、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を原材料とする炭化物を、土壌改良剤、EM菌用細孔剤、調湿剤、脱臭剤に用いるものである。この構成および製造方法および使用方法により、チップ型電子部品の包装用紙テープを打ち抜き加工する際に発生する小型定形の廃紙片を、炭化物あるいは活性炭として有効利用する方法を提供することができる。 【0011】(実施の形態1)以下、本発明の実施の形態1における炭化物、その製造方法およびその使用方法について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1による炭化物の外観写真図、図1(b)は同走査型電子顕微鏡による拡大写真図である。図2(a)は一般の木材を炭化することにより得られた炭化物の外観写真図、図2(b)は一般の木材を炭化することにより得られた炭化物の走査型電子顕微鏡による拡大写真図である。 【0012】以上のように示した本発明の実施の形態1による炭化物についてその製造方法を以下に説明する。まず、基本材料となる小型定形の廃紙片として、チップ抵抗器の代表的な寸法である3.2×1.6mmサイズの包装用テープ台紙の打ち抜き紙片(縦3.5mm×横1.9mm×幅0.5mm)を300g準備する。 【0013】次に、その300gの廃紙片を密閉容器に入れた後、5℃/分の昇温速度で密閉容器を600℃炭化温度にまで加熱する。その後600℃で密閉容器の温度を保持したまま2時間加熱を続け廃紙片を炭化させる。次に密閉容器から炭化された小型定形の廃紙片を取り出す。このとき約70g炭化物を得ることができた。 【0014】図1(a)および図2(a)を比較すると、本発明による炭化物は小型定形の廃紙片を原材料としているため、一般の木材を原材料とした炭化物とは異なる形状を呈し、炭化物の形状がすべて該等しく均一になることがわかる。また、図1(b)および図2(b)を比較すると、本発明による炭化物は圧縮紙が原材料であるために木材のような不均一なマクロ孔はなく、均一な繊維の集合体となっており、特性が均一且つ安定するものと推測できる。 【0015】本発明の実施の形態1による炭化物と通常の木材等を材料とした炭化物との特性の比較を行った。(表1)に炭の代表特性である表面積の比較をヨウ素吸着法により測定した結果を示し、炭化物の調湿性比較結果を(表2)に示す。 【0016】 【表1】
【0017】 【表2】
(表1)より明らかなように、本発明による炭化物は通常の木材を材料とした炭化物に比べ同等以上の大きい表面積を有していることがわかる。また、(表2)より明らかなように本発明による炭化物は調湿性についても通常の木材を材料とした炭化物に比べ同等以上の調湿性を有していることが分かる。 【0018】以上の説明により明らかなように本発明による炭化物は表面積が大きく更に調湿性に優れていることが分かる。また、原材料としている小型定形の廃紙片は、チップ型電子部品の製造副産物であるため、製造段階での品質管理が厳しく行われており、形成用の糊は特別な材料を使用せず澱粉を使用し、廃紙片表面への印字、印刷も行われていないことから有害物質および異物の混入のおそれは極めて少ない。 【0019】これらにより、木炭等の表面積(多孔性)を活用した土壌改良剤、EM菌用細孔剤、吸着剤、消臭剤、浄化剤や調湿性を活用した調湿剤への採用が可能であることを示している。 (実施の形態2)以下、本発明の実施の形態2における活性炭、その製造方法およびその使用方法について、説明する。 【0020】まず、実施の形態1にて製造した炭化物を準備する。次に、準備した炭化物を水酸化カリウムにより800℃にて賦活させ、小型定形の廃紙片による活性炭を得た。本発明の実施の形態2による活性炭と通常の木材等を材料とした活性炭との特性の比較を行った。(表3)に炭の代表特性である表面積の比較をヨウ素吸着法により測定した結果を示す。 【0021】 【表3】
(表3)より明らかなように、本発明による実施の形態2による活性炭は通常の木材を材料とした活性炭に比べ同等以上の大きい表面積を有していることが分かる。また、原材料としている小型定形の廃紙片は、チップ型電子部品の製造副産物であるため、製造段階での品質管理が厳しく行われており、形成用の糊は特別な材料を使用せず澱粉を使用し、廃紙片表面への印字、印刷も行われていないことから有害物質および異物の混入のおそれは極めて少ない。 【0022】これらにより、木炭等の表面積(多孔性)を活用した脱臭剤、水処理剤、空気浄化剤、化学製品の精製用材料、等様々な活性炭用途への採用が可能であることを示している。尚、本発明の実施の形態では3.2×1.6mmサイズのチップ抵抗器の廃紙片を利用したがこれは他のサイズ用の物でもよく、更に小型品の廃紙片を利用することにより、より表面積を大きくすることができると推測する。 【0023】また、その他の利用方法としては融雪剤、燃料等にも使用できるものと推測する。 【0024】 【発明の効果】本発明により、チップ型電子部品の製造工程の副産物として大量に得られる包装用紙テープ打ち抜き廃紙片を原料として土壌改良剤をはじめ広く産業上に利用可能な材料が提供される。しかも製造に際しての廃棄物を削減し環境負荷を低減するとともに、資源の再利用を行い循環型社会の要求に応えることができる。
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【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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【出願日】 |
平成10年(1998)2月3日 |
【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
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【公開番号】 |
特開平11−228118 |
【公開日】 |
平成11年(1999)8月24日 |
【出願番号】 |
特願平10−38177 |
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