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【茨城】

原発新規制基準 「安全性高まる」「厳格運用を」

日本原子力発電東海第二原発=東海村で

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 原子力規制委員会が十九日の定例会合で決定した原発の新規制基準。施行されると原発には最大級の津波に備えた防潮堤の設置など、さまざまな過酷事故対策が義務づけられる。日本原子力発電(原電)東海第二原発を抱える県内では同日、橋本昌知事や村上達也東海村長らが新規制基準への期待を語る一方で、基準を満たしたとしても東海第二の再稼働を認めるかどうかは別問題との考えを示した。(林容史、成田陽子、永山陽平、妹尾聡太)

 橋本知事は定例会見で、原発の新規制基準について「時間をかけて慎重に専門家の方々が議論してこられた。期待している」と述べた。

 東海第二原発の再稼働に関しては、原発の安全性に加えて、周辺住民の避難計画がネックになるとの考えを示す。県は現在、原発から半径三十キロ圏内の住民を対象にした避難計画の策定準備を進めているが、橋本知事は「災害弱者、入院患者らまで含めた避難計画を要求されると(三十キロ圏に九十四万人も人口がいるため)できない」と持論を展開した。

 東海第二原発のある東海村の村上村長は県庁で取材に応じ、新規制基準について「原発を推進する機関と規制する機関が分離され、初めての基準ができたことは画期的なスタート。規制委の田中(俊一)委員長から『国際的に見てもきちんとした水準の基準をつくる』と聞いており、厳密で厳格な運用を求めたい」と述べた。

 原発再稼働については「基準をクリアしたら即、OKという話にはならない。たとえばフィルター付きベント装置を設置するにしても、地域住民との合意が必要だ」との認識を示した。

 三十キロ圏の水戸市の高橋靖市長は「新規制基準によって確かに原発の安全性は高まるのだろう。しかし、万が一の事故の際に原発設置者が住民に負う責任は、どこにも盛り込まれていない。設置者自身が住民の避難計画や支援策をつくらず、県の避難計画も示されない中で、ハード面が整ったからといって安全がクリアされたと言えるわけがない」と疑問を投げかける。

 その上で原電に対して「地域住民の理解を得ないまま安易に再稼働を申請するのはやめるべきだ。信頼関係が一回崩れたら、何をしようと信用できなくなる」と強い口調でくぎを刺した。

 一方、原電は取材に「(新規制)基準に合うよう努力していく」と回答。東日本大震災の津波で被災後、安全対策を進めてきたことから既に適合しているものもある一方、「難燃性のケーブルが使われていない」などの課題もあるという。

 基準をクリアするための整備期間について「原子力規制委員会がどのように評価するか、細かい部分がはっきりしない。審査の具体例が出てくれば、スケジュールに反映できるのではないか」との考えを示した。

 

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