ここから本文です
[PR] 

加藤コミッショナー 知ってて放置 飛ばない統一球は基準未満

スポニチアネックス 6月15日(土)7時2分配信

加藤コミッショナー 知ってて放置 飛ばない統一球は基準未満

神妙な表情で会見前に一礼する加藤コミッショナー。左は井原事務局次長

 12球団による代表者会議が14日、都内で臨時に行われ、統一球を飛びやすく変更しながら公表しなかった問題で、日本野球機構(NPB)は導入された11年から2年間の検査結果を報告。検査した全ての平均値がアグリーメント(申し合わせ事項)に定められる反発力係数の基準値の下限を下回っていた衝撃の事実が判明した。

 加藤良三コミッショナー(71)は会見で辞任の意思がないことをあらためて明言。また、統一球問題で第三者機関を設置し、調査することが決まった。

 12球団代表者会議では衝撃的な数値も明らかにされた。NPBは09年以降に実施してきたボールの平均反発力係数検査結果を報告。統一球が導入された11年からの2年間の数値には、代表者たちもその目を疑った。

 ある球団幹部は「検査で反発力係数の平均値が下限を全て下回っていて驚いた。過去2年やっていた選手たちはたまったものではない」と語れば、別の球団幹部も「このボールで打てなくなって戦力外になった選手もいるでしょう。ちょっとかわいそう」と話した。

 NPBが11、12年に実施した計8回(うち再検査1回)の検査では、平均値がアグリーメントに定められる基準値の下限0・4134を全て下回っていた。「言い換えれば過去2年、少なくとも半分以上のボールがアグリーメント違反」と指摘する声もあった。統一球は反発力係数の目標を基準値の下限に設置。製造に当たって生じる誤差(公差)を0・4034〜0・4234の間で認めていた。厳密には、公差の下限内に検査結果は収まっているから規則違反とはならないが、あまりに低い数値だった。

 NPB・井原敦事務局次長は「0・413をポイントで狙うと下ブレする厳しいデータは出ていた」と説明。下限に近づけようとすると、どうしても基準値の下限を下回るという。製造するミズノ社にNPBとして目標値に近づける努力を求めていたが、加藤コミッショナーは反発力係数の変更などの改善には「朝令暮改はしない」と徹底的に拒否。検査結果については「(基準値を)下回ったのは反省したい。ただ、ボールは生き物でピタリと(数値が)一致しなかった」と、ひたすら弁明を繰り返した。

 しかし、加藤コミッショナーは検査結果について五十嵐義夫規則委員からその都度報告を受けていた。にもかかわらず「基準値内で合格」との報告をうのみにし、現場から飛ばないボールへ不満の声が上がる中、低すぎる数値を知りながら放置してきた。会見で鈴木清明セ・リーグ理事長(広島球団本部長)は「データは知らなかったが、確認しなかったのはわれわれとしても大失態」と責任の一端を担った。だが、統一球導入の最高責任者は加藤コミッショナーだ。ボールの管理責任も負っている。その球界のトップが「飛ばな過ぎるボール」を見て見ぬふりをしてきたことが問題の根源となったのは確か。数値が全てを物語っている。

 ▽反発力係数 2つの物体が衝突するときに衝突前後で速さが変化する比率。例えば球が秒速5メートルで壁に垂直に衝突し、同2メートルで跳ね返った時の反発係数は0.4。時速150キロの球が垂直に壁に衝突した場合、統一球の下限値0.4134では衝突後に同62.01キロになり、上限値0.4374では同65.61キロになる。球速144キロ、スイングスピード126キロ、最も飛距離が出るとされる飛び出し角度27度で計算した場合、上限と下限では約6.4メートルの飛距離差が生じる。

最終更新:6月15日(土)9時26分

スポニチアネックス

 
PR

注目の情報


スポーツアクセスランキング

他のランキングを見る

PR

注目の商品・サービス

PR