2013参院選の現場:ネットで脱原発 草の根団体、米「茶会」手本に
毎日新聞 2013年06月17日 東京夕刊
インターネットを使った選挙運動が解禁される夏の参院選では、有権者サイドもツイッターやフェイスブックなど(電子メールは除く)を使って特定の候補者を応援することができるようになる。脱原発を訴える政治団体「緑茶会」代表、竹村英明さん(61)は「ネットによる草の根運動を起こそう」と準備を進めている。【本多健】
「うーん」。今月5日夜、東京都内の事務所。数字が並ぶリポートを仲間たちと食い入るように眺めていた竹村さんがうなった。
リポートは、約2000人を対象とするインターネット世論調査の結果を伝えていた。参院選の争点を聞く質問で、原発問題は20項目中10番目の14%にとどまり、トップの「景気対策」45%に遠く及ばなかった。
若い頃から原発問題に関心を持ち、国会議員秘書の経験もある竹村さんは、昨年末の衆院選でも「脱原発」候補者を支援。IT関連会社が投開票前後5日間についてツイッターの政治関連のつぶやき約11万件の頻度を分析したところ、「原発」が2万6090件で「憲法」(3982件)を7倍近く引き離し、「自民党」(2万1931件)も上回った。
ところが、脱原発を訴える政党が離合集散したことで「脱原発票」は分散した。
「衆院解散も急で、運動の準備が追いつかなかった」
その悔しさが今の活動に駆り立てる。
今年3月に政治団体「脱原発政治連盟」を旗揚げ。「硬い名前では浸透しない」と、米国の草の根政治運動「ティーパーティー」をもじって略称を「緑茶会」とした。米大統領選では組織も資金もない市民たちがツイッターやフェイスブックで候補者への支持を訴え、旋風を巻き起こした。考え方は違うが「ネットによる草の根運動」の手法は同じだ。
参院選に向け、原発再稼働、核燃料再処理、原発海外輸出の3点に反対する候補を、党派にこだわらずに推薦する準備を進める。会の動向や方針は動画などでネット配信し、アクセス数は伸びているが、原発問題は争点としては後退気味だ。
「脱原発だけでなく再生可能エネルギーの経済的メリットも訴えよう」「推薦すべき候補が選挙区に2人いる場合はどうするのか」。仲間と夜遅くまで議論を続けている。
◇「アベノミクス」検索数上回る
次の選挙の争点になりそうなキーワードは何か。それを知る手がかりを、有権者がインターネットを使って得られる時代になった。