「飛ぶ統一球」阪神には逆風!? 藤浪のすごみも実感
産経新聞 6月14日(金)15時14分配信
久方ぶりに、阪神と巨人の一騎打ちの様相を呈してきた。虎党の熱狂具合は推して知るべしだが、水を差す事件も起きた。日本野球機構(NPB)による統一球の変更問題だ。好調阪神の“助け舟”になっているようにも思える「飛ぶ統一球」、どのように関係しているのか。
昨季、5位に終わった要因のひとつが貧打だった。ところが今季は新井貴とマートンの復活が象徴するように、ここぞの場面でつながる打線が印象的だ。
新井貴が「昨年より飛距離が出ると感じていた」といえば、和田監督も「現場は肌で感じていた。(公表されても)まったく驚きはない」という。一見すると「飛ぶ統一球」の恩恵を受けたようにも感じられるが、果たしてそうと言い切れるのか。
実際のところは、阪神のチーム本塁打数は37本で、12球団で9位。トップの巨人には24本もの差をつけられている。初制覇を逃したもののセ・リーグ中では1位の交流戦に限っていえば、13本塁打で同11位。単純に一発長打の破壊力だけで勝ってきたとはいえそうにない。
注目すべきは、交流戦の得失点差だろう。得点77に対し、失点も77。ソフトバンクが131得点、65失点と得点が倍以上、上回るのと対照的だ。ここから導かれるのは、いかに僅差の試合を拾っているか、という事実。12勝のうち7勝が2点差以内でサヨナラも3度を数える。
いうなれば先発、リリーフ陣が「飛ぶ統一球」の逆風に屈せず、奮闘が光っているということだ。巨人と競うチーム防御率2・93という数字がひとつの証明になる。蛇足にはなるが、飛びやすいボールでも好成績を収めている藤浪のすごさを、改めて今回の騒動が教えてくれた気がする。(坂井朝彦)
最終更新:6月14日(金)15時24分