2010.09.03
小樽商科大学がNTTコムウェアのAR技術を活用した観光情報提供システムの実証実験を実施
〜地域観光におけるITソリューションの活用〜
小樽商科大学(所在地:北海道小樽市、学長:山本眞樹夫 以下 小樽商大)商学部社会情報学科の深田ゼミナール(准教授 深田 秀実、ビジネス創造センター主任、以下 深田ゼミ)では、小樽市後援のもと、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:杉本 迪雄、以下 NTTコムウェア)が提供するAR(*1)技術を組み込んだ、観光情報提供システムを用いた実証実験を実施します。
2010年9月18日〜26日(期間中の21日、22日は除きます)
■実証実験場所
JR小樽駅周辺および小樽運河周辺エリア(基点はJR小樽駅を予定)
【実証実験の概要と目的】
JR小樽駅周辺および小樽運河周辺エリアを観光する方々を対象に、AR技術のアプリケーションがインストールされた携帯電話(スマートフォン)と観光案内用の地図を希望者に貸与します。お渡しした地図には、小樽運河エリアの観光スポットや飲食店などの写真が複数掲載されており、その写真を携帯電話のARアプリケーションで撮影すると、当該スポットに関する動画が再生され、より詳しい観光情報を事前に取得することが可能となります。本実証実験により、ITを活用した観光の楽しさや情報鮮度などについての検証を行います。※実証実験イメージ《別紙》
【実証実験の背景】
現在、日本では観光庁を中心として、観光立国推進基本計画をもとにした「観光立国」・「観光地づくり」に関する施策が積極的に進められています。一方、観光産業における情報化については、2003年の観光情報学会設立を契機に、観光者・行政・企業を繋いだ議論がようやく行なわれるようになったばかりです。今後は、さらに産学官が連携した実践的な研究活動が期待されています。また、IT分野では、携帯電話の位置情報を使った観光ガイドシステムなどが提案されるようになってきており、今後もこのような携帯電話などを活用したナビゲーションサービスが発展していくと考えられています。
今回、深田ゼミで行う実証実験では、NTTコムウェアが提供するAR技術のアプリケーションを組み込み、観光者が携帯電話(スマートフォン)のタッチパネル操作で簡単に小樽の「昔の街並み」・「四季の風景」などの動画を見ることができる情報システムを提供することで、小樽観光の魅力をさらに向上させると共に、シニアの方々にもより簡単で使い勝手の良い観光情報提供システムの実現を目指しています。
【実証実験の検証】
本システムを利用することよって小樽市周辺での観光がより楽しくなったか、あるいは予め計画していた観光ルートが情報提供によってどう変わったかなどを、アンケート調査で検証し、小樽観光における課題検証と今後の改善に向けた基礎データとして活用していく予定です。【小樽商大・深田ゼミナールの研究について】
深田ゼミの研究テーマは「地域情報化」です。ITを用いて地域課題の解決を目指す情報システムや、地方自治体などが行っている地域の情報化ついて、調査・研究を行なっています。具体的には、「観光情報システム」、「災害時支援システム」、「地理情報システム」、「電子政府・電子自治体」、「自治体の地域情報化政策」、「地方自治体などが運営する地域SNS」などをテーマとして取り組んでいます。【NTTコムウェアのAR技術の特徴】
NTTコムウェアのAR技術は、自社研究開発部の画像認識技術をベースにしたもので、携帯電話(スマートフォン)にインストールしたARアプリケーションで撮影した写真などの画像を認識することで、関連する動画を予め登録されたコンテンツ群から検索し、撮影した画像の形に合わせて動画を再生するものです。撮影した静止画像が、あたかも目の前で動きだすかのような感覚で、詳細動画を閲覧できることが特徴です。(特許出願中)【NTTコムウェアの今後の展開】
今後は、雑誌広告などのアナログ媒体の静止画像から関連動画を再生するなど、新たなマーカー(QRコードなど)を必要としない動画情報提供ビジネスの実現を目指し、画像認識精度の向上や位置情報を組み合わせた仕組みの提供による活用シーンの拡大を図るとともに、撮影した写真があたかも動き出すかのような感覚の面白さを多くの方に体験していただけるよう、ARアプリケーションの機能を開発していきます。【用語説明】
*1:ARAugmented Reality(拡張現実感)。コンピュータ(AR用デバイス)を通して見ている現実の環境(の一部)に、文字や画像、映像などの電子情報を重ね合わせることで、関連する情報を付加する技術。