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次世代ビジネスに貢献するイノベーター NTTコムウェア
【メディアプロモーションに活用されるイメージベースARのビジネスの可能性】驚きと面白さを生かした商品プロモーションからマニュアルなどの情報サービスまで広く応用 NTTビジネス推進本部 ビジネス企画部  スペシャリスト 兵藤 雄二

研究開発部から新たなビジネスの種を見つけ出す

NTTコムウェアの「イメージベースAR」は、どんな画像でも対象にできるAR技術をベースとしている。従来のマーカを使うものと違って、デザインを損ねることはない。また、位置情報を利用したもののように、精度にぶれがないし、屋内での利用も可能だ。この点に注目して、ARを使ったビジネスを探り、商品化を進めたのがNTTビジネス推進本部 ビジネス企画部の兵藤雄二だ。

「ビジネス企画部は、全社的に次のサービスの種を見つけて育てるというミッションがあります。ちょうど、動画に関する新しい種になりそうなものはないかと探していたところ、研究開発部とのやり取りでARの企画が立ち上がりました。ARをきっかけに動画を楽しむ時に、何か新しい体験や表現ができないかという雑談レベルから始まったものでしたが、うまく話が進んだという感じです。
当時、研究開発部では簡単なプロトタイプを作っていて、撮影した画像が動画として動き出すというアイデアが面白いと思いました。AR技術がどうこうではなく、普通の人が見て、驚きや新鮮味が感じられそうな表現だと。さっそくお客様を回って感想を聞いたり、反応を見たりしながらマーケティングを行い、研究開発部にフィードバックしていきました。」
イメージベースARの概要
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映画やテレビ、雑誌、観光地などのプロモーションに活用

小樽商科大学深田ゼミと共同で行った実証実験の概要
技術ベースで話を進めてしまうと、なかなかビジネスに至るのが難しいと考えた兵藤は、まずは「何ができたら面白いか」という視点で研究開発部とのディスカッションを行った。例えば、「街中で車を撮影したら、それが走り出すと面白いのではないか」といった具合だ。他のARサービスとは異なる、「撮影した画像が動き出す」というイメージベースARのユニークな表現は、さらに完成度を増していった。
兵藤は客先で提案を続けながら商品化を進め、いくつかの成果に結び付けた。

「最初は、2010年9月末に1週間、小樽の駅で地図とスマートフォンを貸し出して、観光スポットを巡るという実証実験を、小樽商科大学の深田ゼミと共同で行いました。深田ゼミは、地域の情報化をテーマに研究しています。
地図には大学側がピックアップした観光スポットが載っており、それをスマートフォンで撮影すると動画が流れ、より詳しい観光情報が得られるというものです。映像は、市の観光案内映像を使ったり、学生が制作した映像を使ったりしました。

小樽観光というのは日帰りが多く、観光名所も運河やガラス工場などイメージが固定されています。駅に着くと、運河にまっすぐ行って、見終わったら食事をして、お土産を買って帰ってしまう。観光客が、なかなか地元の商店に寄ってくれないそうなのです。そこで、地図を渡して隠れた名所を紹介することで、日帰りの客がもっと回遊してくれるのではないかという意図で行った実験です。
われわれとしては、イメージベースARを世に出す最初だったので、ARがお客様に受け入れられるのか、操作性はどうなのかということを確認したいと思いました。
もともと小樽商科大学とは、タンジブルで共同研究を行っていた経緯があります。今年も何かやりませんかという話が来た時にARのデモを見せたら、観光で使えるかもしれないということで話が進み、一緒にやることになりました。

また、映画のポスターを撮影して、その予告編が流れ出すようなプロトタイプを作って、お客様の意見を聞いて回ったこともありました。
そのプロトタイプに興味を持っていただいたのがBS-TBS様で、『ケータイ刑事』の映画版とドラマ版のタイアップ広告でイメージベースARを採用いただきました。映画版では、ポスターや新聞広告をスマートフォンで撮影するとプロモーション動画が流れます。ドラマ版は、テレビの画面を撮影すると動画が流れるという新しい試みです。他にも、AR年賀状、雑誌の表紙、チョコレート商品の包装を撮影するとドラマ映像が流れるといった企画をやらせていただきました。」
イメージベースARの採用事例
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ARを理解するには体験してもらうことが一番

兵藤が一連の提案をしてきた中で感じたのは、ARというものは言葉で説明するより実物を見てもらうことが一番早くて伝わるということだった。特にイメージベースARは、他のARとは異なるため、それを知って理解してもらうためにもまずは見てもらったという。

「お客様に提案する時はデモを見てもらいました。AR自体は、業界ではけっこう認知されていましたが、NTTコムウェアのものはそれらとは異なる手法です。デモを実際に見てもらうのが、一番手っ取り早いですし、その時の反応も参考になります。見せた時の反応は二極化します。“おっ”と驚く人と“ふーん”という人。前者は単純に面白いと感じていて、後者はどうやったらビジネスになるかを考えている人です。逆に言えば、面白いけどちゃんとビジネスになるのかという点が、ARのビジネス的な課題だと考えています。プロモーションで採用されましたが、同じ手法だと新鮮味がなくてユーザーは飽きてしまいます。ARを継続的に使ってもらうにはどうするかが、今後の課題です。
今後は、工事現場でのマニュアルサービスなど新しい領域での展開を考えています。ただ、個人的にはまだまだ“面白さ”を追求する部分に可能性があると思っています。例えば、観光地で言えば、思い出作りのアプリとして活用すると面白いのではないでしょうか。
また、キャラクターを持っているところはARに凄くマッチすると思います。他にもスタンプラリーにもっとゲーム的な要素を盛り込むものなどもできそうです。」
イメージベースARのビジネスの可能性と応用例

種が芽を出すには世の中のニーズを意識することが必要

兵藤の役割は、研究開発部から出てきた技術をビジネスに結び付けること。しかし、以前は自身が研究開発部に所属していたこともある。入社当時から商品企画をやりたいと思い、研究開発部をはじめ、いくつかの部署に異動し、現在はNTTビジネス推進本部で念願の 商品企画に携わっている。研究開発部を知る兵藤にとって、今回の企画は思うところがあった。

「当時の研究開発部にいたころは、“技術があるから何か商品ができるだろう”というシーズベースの考え方になりがちでした。ところが、お客様に近い立場に行くと意識が一変しました。お客様の声を聞かないと使ってもらえないし、シーズベースではなくニーズベースで考えなければならない。それを痛感しました。
今回のイメージベースARでは、研究の初期段階から、研究開発部との意見交換を行うことができました。これは、われわれサービスを企画する立場の人間にとっても、研究開発部の人間にとっても、とても意義があったのではないかと思います。通常、サービス化されるまでの道のりは長いものですが、今回、かなりのスピードで商品化できたのは、研究開発部との連携が功を奏したのだと思います。
自分が携わったものが形になって、誰かに喜んで使ってもらえると嬉しいですし、やりがいがありますよね。もともと、そのような考えで商品企画を志望していたので、今、とても充実しています。
さらに欲を言えば、自分自身が考えたものが世に出るのが理想です。今あるものをさらによくするというのではなく、存在しないものを考えて世に出すことが最大の喜びなので、そこを目指しています。今、そこに一歩ずつ近づいていると思っています。」


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兵藤雄二(ひょうどうゆうじ)
 NTTコムウェア NTTビジネス推進本部 ビジネス企画部 スペシャリスト
2001年NTTコムウェア株式会社入社。研究開発部にて、Java関連技術の研究開発に従事し、TeaTray(Javaによるモバイルエージェント基盤)の実証実験等を担当。2003年7月より、SmartPit事業部事業企画担当にてコンビニ収納代行サービス「SmartPit」のサービス企画に従事し、スマートピットシート配信サービスやスマートピット携帯版などのサービス開発を担当。2008年12月より現職。
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2011.6
次世代ビジネスに貢献するイノベーター サーバー連携によって広がりを持ったイメージベースAR
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次世代ビジネスに貢献するイノベーター
第1回 NGNサービスを支えるネットワークオペレーション技術
第2回 未来オフィス実現に向けた取り組み
第3回 NGNの可能性を広げる応用サービスへの取り組み
第4回 NGN時代におけるホームICTへの取り組み
第5回 イメージベースARが生み出す新しい映像体験とビジネス
第6回 OpenFlowが変える次世代ネットワーク
関連サイト
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