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2013年6月11日(火) 東奥日報 ニュース



■ 命あることに感謝、85歳の初詩集

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初めての詩集を手に笑顔を見せる一戸れいさん
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 弘前市の介護老人保健施設弘前リカバリーセンターで療養生活を送る一戸れいさん(85)=つがる市=がこのほど、施設の中で書きためた詩を一冊にまとめ、初の詩集「車いす生活の四季こもごも」を自費出版した。れいさんは、方言詩などで知られる弘前市出身の詩人一戸謙三(1899〜1979年)の長女。本格的に詩を書き始めたのは病に倒れた後の82歳からで、父親譲りの詩心を、生きる喜びにかえ、今、意欲的に創作に励んでいる。

 定年まで小学校の教員を務めたれいさんは、10年前に脳梗塞で倒れ左半身が不自由になった。車いすの生活になり、リハビリを続けていたところ、作業療法担当の同センターの職員の勧めで、3年前から詩を書き始めた。

 作品は、施設の庭に咲く花や季節の移ろい、懸命に働く人の姿など、車いすの目線でとらえた題材が多い。

 同人誌や、本紙などの新聞の文芸欄にも積極的に投稿し、入賞することもある。

 詩集には、書きためた作品の中から「春だじゃなあ! 小径」「まゆみの名の木」「白い月」など29編を自分で選んで収録。60部を知人やお世話になった人に配った。

 詩を書き始めてかられいさんは「生きなくちゃと思うようになった」と言い切る。

 例えば作品「しだれ桜と ふん水」では「朱ぬりの橋をわたれば/二本のしだれ桜が/わたしたちの行手に/迎えてくれる。/(略)/生きていればこそ/見れるのだ。命よありがとう。」と命あることへの感謝をうたう。

 「津軽の雪よ 心して降れ」では「働いている人たちが苦労しているのだ。」と雪を一喝してみせ、「津軽のすがまコとの対話」では、施設の軒下の1メートルにもなったつららとじっと向き合うなど、やわらかな感性がにじむ。

 「はしがき」で、れいさんは「父一戸謙三も苦しい生活の中で詩を書いて人生を送って過した」と父への思いをつづり、82歳になって詩を書き始めたのは、子どものころから父の仲間や詩人の詩に触れて過ごしたことが「心に残っていたのであろう」と記す。

 詩集を手にれいさんは「これで残すものができた。これからも書き続け2冊目も出したい。車いすから見える木や花ばかりでなく、空とか、もう少し上の方にも目を向け題材を選んでみたい」と笑顔で語った。

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