'13/6/18
「高架」で電停廃止に懸念
JR広島駅(広島市南区)に乗り入れる広島電鉄(中区)の路面電車の新路線「駅前大橋線」は17日、事業化に向けて新たな局面を迎えた。懸案だった駅に路面電車が入る構造で、市の有識者検討委員会は「高架が望ましい」との見解で一致。一方、新路線導入で電停が廃止される地域からは実現性や影響について市に説明を求める声が相次いだ。
検討委が高架方式を打ち出したことについて、広電は「JRとの乗り継ぎが便利になる。少しでも早い実現をお願いしたい」と市に求めた。JR西日本広島支社(東区)は「市の基本方針に沿い、広島駅が利用者により良い形になるよう努める」としている。
駅前通りを北進し、広島駅南口に乗り入れる駅前大橋線。実現すれば接続する比治山線のルートも変わり、猿猴橋町▽的場町▽段原一丁目―の3電停が廃止される。市は、3電停の利用者数を1日計3900人とはじく。
「数分の短縮のために巨額の投資をするのは疑問。市は地元と十分話し合いをしていない」。猿猴橋町電停そばでカメラ店を営む増本光雄さん(72)は実現性に首をかしげる。
的場町電停そばの呉服店で働く可部由紀子さん(57)は「年配のお客さまの多くは電車を利用される。電停がなくなると…」と表情を曇らせた。対照的に、通勤で猿猴橋町電停を使う公務員門脇富士枝さん(64)は「高架で駅前の交通混雑がスムーズになるなら」と歓迎の姿勢だ。
市は現行ルートと新路線のメリット、デメリットを比較。その後に地元説明を始める。市都市交通部は「地元に丁寧に説明し、市民や議会から幅広く意見を聞いて判断したい」としている。
【写真説明】広電の新路線「駅前大橋線」の議論が進むJR広島駅南口周辺(5月31日)