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【群馬】福島で診療とことん 館林の医師 毎週末ボランティア
福島市内に有志が資金を募って昨年十二月に開院した「ふくしま共同診療所」。館林市の館林厚生病院副院長の布施幸彦さん(58)=循環器内科=は「福島の人たちの不安にとことん付き合いたい」と開院以来、ボランティアで毎週末通い続けている。(伊藤弘喜) 診療所は地元住民や全国の医師らが呼び掛け、国内外から資金を募り、運営している。診療科目は内科と放射線科。布施さんを含め関東や福岡の医師六人で週四日の診療を回している。 環境省や福島県の調査は、子どもの甲状腺にしこりなどがある割合は福島県と他県はほぼ同じとし、東京大が実施した福島県民らの内部被ばく調査でも、放射性セシウムはほとんど検出されなかった。 他方、布施さんらは「低線量被ばくの健康影響はある」というスタンスだ。受診者から「福島にいても安全か」と聞かれれば、県外避難や長期の休みは県外で過ごす「保養」を勧めている。 この医療方針が口コミで広がり、五月末までに四百三十人が受診。その八割が甲状腺検査を受け、大半は小学生以下の子ども連れだった。 福島県は検査結果の報告を簡単な通知を送って済ませているのに対し、共同診療所は医師が検査画像を見せながら丁寧に説明しており、好評を得ている。 同県いわき市内のパート女性(41)は、長女(10)と次女(6つ)に甲状腺検査を受けさせた。県が十八歳以下に順次、実施している甲状腺検査を待てず、地元で検査できる病院を見つけられなかったためだ。結果的に、長女に四ミリ未満の嚢胞 (のうほう)がたくさん見つかった。女性は「ショックだ。嚢胞は心配する大きさではなく、定期的に検査していくとの説明だった」と心配げに語った。 布施さんは二月から隔週で福島市内の仮設住宅の集会所を訪ねている。 五月二十五日、同県浪江町民ら三百八十九人が暮らす南矢野目仮設住宅で三回目の健康相談会を開き、高齢者十二人が訪れた。 布施さんは一人一人の血圧を測りながら話を聞く。「足がしびれる」「ご飯の味がしないので食欲がない」「いま飲んでいる薬がよくわからない」「外に出るのがおっくう」。深刻な内容はなかったが、さまざまな相談が寄せられた。 仮設住宅の入居期限は二〇一四年度末だ。布施さんは「短期の住まいとして建てられた仮設住宅に長期間いれば、いろいろ不都合が出てくる。でも移転先の見通しが立っている人は少ない」と心配する。今後は地元の保健師と連携して戸別訪問も始める予定だ。 PR情報
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