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【福井】

敦賀、美浜の民宿や飲食店、ランチで顧客開拓

空いた座敷のふすまを取り払い、オープンした食堂。窓の向こうには海と砂浜が広がる=美浜町菅浜の民宿「たなべ旅館」で

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 関西電力大飯3、4号機を除き、原子力発電所の長期稼働停止が続く嶺南地域では、原発関連の客が激減した民宿や飲食店がランチ営業を始めるなど、新しい顧客の開拓に乗り出した。行政も支援策を打ち出し店の自立を後押ししている。

 敦賀市と美浜町にまたがる敦賀半島には商業用原発五基が立地し、各原発で十三カ月に一回、二〜三カ月間の定期検査がある。敦賀商工会議所によると、一回の定期検査で県内外から原発協力会社の従業員二千八百人が流入し、経済効果は八億九千万円。従業員は両市町の民宿やホテル約百六十軒を潤したが、すっかり姿を見なくなった。

 関西電力美浜原発から五キロの美浜町菅浜の民宿「たなべ旅館」も売り上げは原発稼働時に比べ八割減。厳しい状況におかみの田辺由美子さん(48)は「海や山など恵まれた自然環境は変わらない」と一念発起。五月の連休明けから「海の見えるおばんざいカフェ」と書かれた看板を掲げ、ランチ営業を始めた。

 宴会用の座敷四室のふすまを取り払い二十八畳の食堂にし、たんすに眠る着物を飾り付けた。地元産の食材を使った日替わり総菜六品を提供しており女性客のリピーターが徐々に増え一日三十人が訪れるようになった。

 夜の繁華街の客も減った。敦賀市中心部の本町でスナックを経営する木村奈津子さん(61)は「以前より約二割減」と話す。「景気が悪い時こそ頑張りどき」と五月中旬、空き店舗を借り喫茶店「遊美塾(あそびじゅく)」を始めた。五百円の定食を求めビジネス客のほかお年寄りも来店する。同町のバー「サロンきらく」も三月からランチを始めた。経営者の川島敦義さん(54)は「地域のにぎわいに役立ちたい」と懸命だ。

 顧客獲得に積極的な店を支援するため、敦賀市は本年度当初予算でタウン誌への特典付き広告掲載補助に四百二十万円を計上した。一店舗につき六万円を上限に補助する。市商工政策課は「地元の消費意欲を刺激したい」と効果を期待している。

(増井のぞみ)

 

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