トップページ科学・医療ニュース一覧風疹患者 ことし1万人超える
ニュース詳細

風疹患者 ことし1万人超える
6月18日 11時18分

風疹患者 ことし1万人超える
K10053797211_1306181224_1306181306.mp4

妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれのある風疹の患者は、今月9日までの1週間に新たに500人以上増え、ことし、1万人を超えたことが分かりました。
患者の9割は大人で、専門家は「会社の同僚から感染したケースも多い。職場でも感染予防に取り組んでほしい」と話しています。

熱や発疹などの出る風疹は患者のせきやくしゃみを通じて広がり、妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害が出るおそれがあります。
国立感染症研究所によりますと、今月9日までの1週間に新たに風疹と診断された患者は全国で517人で、ことしに入ってからの患者数は1万人を超えました。
これは、平成20年に今の方法で集計を始めて以降、最も大きな流行となった去年1年間の4倍以上です。
流行は、関西と首都圏を中心に広がっていて今月9日までの1週間の患者は、▽大阪府が最も多く129人▽次いで東京都が82人▽神奈川県が59人などとなっています。
1万人の患者の9割近くは大人で、男性では20代から40代、女性では20代が多く、職場で感染したというケースも多いということです。
国立感染症研究所の多屋馨子室長は「危機的な状況と考えている。ワクチン接種とともに職場でも感染予防に取り組んでほしい」と話しています。

「接種行政遅れも要因」

田村厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し、風疹の患者が急激に増えていることについて「日本の予防接種行政が遅れてきたことの表れだ」と述べ、政府の対応の遅れも要因の1つだという認識を示しました。
この中で田村厚生労働大臣は、風疹の患者が全国で1万人を超えるなど、感染が急激に広がっていることについて「これまでは子ども中心だったが、ことしは大人を中心に爆発的に広がっている。理由は分析しきれないところもあるが、日本の予防接種行政は遅れてきたところがあり、そういうものが表に出てきているという認識だ」と述べ、政府の対応の遅れも要因の1つだという認識を示しました。
また田村大臣は、風疹のワクチンが8月にも一時的に不足するおそれが出ていることについて、「ワクチンが不足する可能性が出てくる場合には、優先順位を付けて接種をお願いすることになる。まずは妊娠する予定のある女性、それから、妊娠している女性の周りにいる方々、濃密に接触される方などが優先的に受けられるようにしていきたい」と述べました。

感染の実態は

風疹の感染が拡大している背景には、予防接種を受けていない大人の間でウイルスが広がり続けていることがあります。
都内で大人の風疹患者を数多く診てきた国立国際医療研究センター病院の國松淳和医師は「患者は働き盛りの男性が多く、まだウイルスを出している状態なのに自分で治ったと判断して職場に戻ってしまう人も多い」と話しています。
國松医師が診察した患者でも、発疹が出たまま電車に乗って会社に行ったり、接客業の男性が感染に気づかないまま店で働き客や同僚に感染を広げたケースなどがあったということです。
また、國松医師は「大人は顔に発疹がでても比較的早く目立たなくなることが多く、周りから気付かれにくいことも感染を広げる一因になっている」と話しています。
全国で最も多く新たな患者が報告された大阪府の公衆衛生研究所などが、去年、府内で風疹になった400人余りの患者全員を対象に調べたところ、感染経路が分かった79人のうち、最も多かったのは職場の同僚からで42%、次いで家族が22%、友人や知り合いが15%、学校や保育園が4%などとなっていました。
國松医師は「風疹に感染して元気になったと思っても、ウイルスがまだ体から出ている可能性がある。働いている人も、ぜひ医師の指示どおり自宅で休養してほしいし、それを可能にするのは職場の理解だと思う。上司も完全に治るまで出勤しないように出来る職場環境作りをしてほしい」と話しています。

[関連ニュース]
k10015379721000.html

[関連ニュース]

  自動検索

風疹緊急対策を 母親らが要望書 (6月17日 17時42分)

風疹を止めよう 母親らが緊急会議 (6月16日 18時48分)

風疹ワクチン不足のおそれ 接種に優先度を (6月16日 11時29分)

先天性風疹症候群 新たに1人 (6月12日 13時57分)

このページの先頭へ