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2011年08月15日 前へ 前へ次へ 次へ

オリエンタル酵母工業 中川真佐志氏

 ▽ 抱負をお聞かせく ださい。
 「当社は創立83年目を迎え、日清製粉グループ本社の100%子会社として新しい時代を迎える。日清製粉グループのなかで存在感のある輝ける企業でありたい。輝ける企業とは常に進歩し続ける姿勢を維持していくことだ」
オリエンタル.bmp
 ▽ グループ力を生かす方策はどうでしょう か。
 「当社は食品とバイオの2事業を展開し、他に例のないユニークな企業といえる。ニッチトップ分野が複数あり、とくにイーストはパン業界で知名度が非常に高い。ところが日清製粉の顧客である菓子、フードコート市場となると、必ずしも当社の知名度が浸透していない。グループ力を生かし日清製粉と踏み込んだコラボレーションを行うことで、シナジー効果を高めながらさらに新たな展開ができると思っている。当社のコアはベーカリー業界だが、この関係はさらに太くする。日清製粉や食品部門を担う日清フーズとの共同開発や新分野を切り開いていきたい。現在、建設中の総菜新工場はその拠点として活用していく」
 ▽ 中期経営計画が始動しました。
 「今年4月から新たに3カ年計画「New Beginning 2013」をスタートさせた。中村前社長によると、新しい中計、100%子会社となった新しい船出、新しい経営者のもとで進めるという3つの意味を込めている。基本的には現事業を深堀していくが、数値目標よりも何を成し遂げるかを各事業部で決め、マイルストーンをつくり検証しながら進めていく。イースト、麺用かんすいなどトップシェアのポジションの維持拡大や、1位か2位か微妙な分野の製品も圧倒的に強いといわれるように育成していく」
 ▽ 海外事業への取り組みは。
 「バイオ事業は当初から海外市場に強く、免疫学、生化学などの原料供給を行っている。国内市場は順調なので海外市場も再強化したい。欧米、アジア、BRICsなどすべての市場が対象。食品事業は中国の高所得者層や、東南アジアで日本風の製パン技術が広まってきているので、アジア地域での事業拡大のチャンスは大いにある。上海に日清製粉グループ本社と当社、仏ユーロジャームとの3社で合弁企業を設立したのもアジアでの事業強化のためだ。輸出を軸にタイ日清テクノミックとのコラボなど食品事業の国際化を進めたい」
 ▽ R&D戦略は。
 「バイオは基礎研究から実用化まで幅広い研究を行う。とくに組み換えたん白質はアプリケーション拡大の研究を増やす。また支援サービスでは当社を上手に利用していただき、もう1つ工場があると思っていただけるようにしていきたい。世界の動物代替法にシフトする流れに沿って日本発のツールの研究開発も推進中だ。酵素などたん白質製品は一部を残し組み換え品にする予定。新アイテム・新技術も大学とコラボしながら新技術を開発・導入していく。創薬プロセスの支援体制も充実させる。食品は市場で必要とされるアプリケーションを中心に開発を進めたい」
(聞き手=高橋善治)

横顔
 学生時代はラグビー部に所属し、見るからにスポーツマン。バイオ事業部門が長く、日本のバイオテクノロジーの発展を支援するツボを押さえている人物である。バイオで培った豊富な経験が食品を含めユニークな発想を生み、シナジー効果発揮につながるよう日清製粉グループから大きい期待が寄せられている。

〈略歴〉
〔なかがわ・まさし〕1978年(昭和53年)立教大学法学部卒、同年オリエンタル酵母工業入社。97年海外事業室長、05年バイオ事業本部長、07年常務、11年6月社長就任。静岡県出身。56歳。 


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