【ベルファスト=粟井康夫】英国・北アイルランド、ロックアーンで開いた主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)は17日夜(日本時間18日朝)、世界経済の力強さを取り戻すには「確固たる行動が必要」との経済に関する首脳宣言を公表した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」に特に言及。日本の成長を下支えしているとの認識を示したが、金融・財政政策を巡る主要国のズレも目立つ展開になっている。
■アベノミクスに評価
久しぶりに日本が主役となった経済討議だった。「日本の経済政策を話してほしい」。議長を務めるキャメロン英首相は冒頭から2番目に安倍晋三首相を指名し、発言を求めた。
金融緩和、財政出動に続く第3の矢「成長戦略」を14日に閣議決定した安倍首相。満を持して「日本の成長が世界の成長に資する経済をつくる」と発言。消費増税についても「環境が整えば引き上げる」と言及し、参加8カ国で最悪の財政状況への批判を封じる構えに出た。
各国の反応は交錯している。
「アベノミクスは良い手本。参考にしたい」(イタリアのレッタ首相)、「積極的な経済政策の成功を祈る」(カナダのハーパー首相)。安倍首相は「日本経済が復活していることは、世界経済に大きなプラスという評価だった」と口も滑らかだったが、通貨安競争につながるとの懸念の声も出た。
■財政・金融で独が日本に注文
日本批判の急先鋒(せんぽう)となったのはドイツだ。メルケル独首相は「日米の金融緩和は理解するが、出口戦略をどうするつもりなのか」「通貨安競争に陥る危険もある」と畳みかけた。
経済討議終了後の日独首脳会談でも、メルケル首相は「労働コストが安い国から競争条件が不利になるとの指摘もある」と円安が近隣諸国に及ぼす影響に懸念を表明。安倍首相が「為替相場は日本がどうこうする状況にない」と応じる場面もあった。
日独対立の底流にあるのは、財政出動を巡る各国の対立だ。米国やフランスは、不振の欧州経済のテコ入れに向け「ドイツこそ財政出動や金融緩和にもっと柔軟な姿勢を見せるべきだ」との不満がくすぶる。
キャメロン、メルケル、レッタ、安倍晋三、アベノミクス、G8、サミット
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