【ベルファスト=粟井康夫】世界経済を巡るG8サミットの初日の討議では、日米両国の積極的な金融緩和に対し、ドイツのメルケル首相が通貨安競争や出口戦略など「副作用」への懸念を表明。世界の株式・為替市場の動揺が続くなかで、経済政策を巡る立場の違いが浮き彫りになった。
「アベノミクスの話をしてほしい」。議長を務める英国のキャメロン首相は冒頭から2番目に安倍首相を指名し、発言を促した。
安倍首相は積極的な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の「3本の柱」を説明したうえで「日本企業の対外進出や外国企業の対内投資を促し、日本の成長が世界の成長に資する経済を作る」と強調。「これからの経済指標をみて環境が整えば、消費税率を引き上げる」と財政再建への意欲も示した。
「アベノミクスは最善の策。参考にしたい」(イタリアのレッタ首相)、「積極的な経済政策の成功を祈る」(カナダのハーパー首相)。各国首脳が賛意を示すなかで、あえて異議を唱えたのがメルケル首相。「日米の金融緩和は理解するが、出口戦略をどうするつもりなのか」「通貨安競争に陥る危険もある」とたたみかけた。
その後の日独首脳会談でも、メルケル首相は「労働コストが安い国から競争条件が不利になるとの指摘もある」と円安が近隣諸国に及ぼす影響に懸念を表明。安倍首相が「為替相場は日本がどうこうする状況にない」と応じる場面もあった。
欧州債務危機は小康状態となったが、ユーロ圏経済はマイナス成長が続く。米国やフランスには「財政出動や金融緩和に慎重なドイツが足かせ」との不満がくすぶる。
それでもメルケル首相は金融緩和に頼りすぎて構造改革がおろそかになれば、マネーのだぶつきが金融市場の混乱やインフレをもたらしかねないとの考えを崩さない。米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の縮小観測が新興国からの資金流出を招く現状も背中を押したとみられる。
メルケル、キャメロン、安倍、レッタ、金融緩和
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