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【政治】

弱まる「96条改憲」 首相 参院選後「成長戦略に集中」

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 安倍晋三首相が、改憲手続きを定めた憲法九六条の要件緩和に関し、発言のトーンをさらに弱めている。参院選で改憲の是非を問う考えに変わりはないものの、国民や与野党内での支持が広がらないのに加え、最も重視する経済成長にも暗雲が立ち込め、一層、改憲を前面に押し出しにくくなったからだ。 (古田哲也)

 首相は訪問先のワルシャワで十六日夜(日本時間十七日未明)、九六条改憲について「ここまで広く議論されるようになった。第一段階は到達できた。これからより深めていく」と強調した。

 一方で、参院選後の秋の臨時国会の対応については「産業競争力強化法案の成立と成長の促進に集中したい」と指摘。改憲の議論を進めるよりも、成長戦略の実行を優先する考えを示した。

 首相はこれまで、参院選で九六条改憲を掲げて戦い、参院選後は改憲に必要な国民投票法で積み残しとなっている選挙権年齢見直しなどの「三つの宿題」を早急に処理し、九六条改憲に取り掛かる段取りを示していた。

 ところが、九六条の改憲発議要件の緩和には、世論調査で過半数が反対。国会でも、連立与党の公明党が慎重で、民主党も「反対が党全体の考え」(海江田万里代表)と態度を明確にした。

 前向きだったみんなの党までが「改憲の前にやることがある」と反発。首相は「反対意見の人が多いのも事実」と、強気の発言を控えざるを得なくなっていた。

 さらに痛手となったのは、経済成長の起爆剤となるはずだった成長戦略が、株式市場で投資家に「中身が乏しい」と判断され、発表後に株価の乱高下が続いていることだ。

 危機感を持った政府は早速、企業の設備投資減税などを盛り込んだ新たな成長戦略の策定に向けて動き始めた。

 

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