英政府 過去のサミットで傍受か6月17日 13時8分
イギリスでG8サミット=主要国首脳会議が開かれるのを前に、イギリス政府が、2009年にロンドンで金融サミットなどが開かれた際、各国代表団の電子メールや電話での通話を傍受していたと伝えられ、波紋を呼びそうです。
これは、イギリスの新聞ガーディアンが16日伝えたもので、アメリカの情報機関がひそかに個人情報を集めていたことを暴露したCIA=中央情報局の元職員、スノーデン氏から提供された極秘文書の中に記されていたとしています。
それによりますと、イギリス政府は、2009年4月にロンドンで開かれた、主要な20の国や地域による金融サミットなどで、ほかの国の出方を探ろうと、各国代表団の電子メールの内容を傍受したり、電話を盗聴したりしていたということです。
具体的には、電子メールの内容を傍受できるように仕組んだインターネットカフェを各国の代表団に使わせたり、電話を24時間態勢で盗聴し、分析していたとしています。
こうした情報収集は、当時のブラウン政権の高官が容認し、集められた情報の内容は閣僚たちに伝えられていたということです。
アメリカの情報機関がひそかに個人情報を集めていたことが国際的な議論を巻き起こしているうえ、17日からイギリスでG8サミットが始まる直前なだけに、今回の報道で伝えられたイギリス政府による情報収集は波紋を呼びそうです。
傍受の手口は
2009年の金融サミットなどでイギリスの情報機関が行った電子メールの傍受や電話の盗聴について、スノーデン氏が提供したという文書では「画期的な情報収集能力」だったと書かれています。
情報収集の例としては、電子メールを閲覧した痕跡をコンピューターのサーバーに残すことなく読み取っていたことや、各国の代表団に使わせたインターネットカフェのパソコンを使ってパスワードを盗んだことが紹介されており、イギリスは盗んだパスワードを使って金融サミットが終わったあとも外国政府のメールを読み続けていた可能性があります。
また、複数の代表団が使っていたスマートフォン「ブラックベリー」のセキュリティシステムに侵入し、通話内容を傍受していたとしています。
何か国の代表団が傍受の対象となったのか、詳細は明らかではありませんが、ガーディアンの記事は、トルコや南アフリカのケースを挙げています。
それによりますと、トルコに関しては、金融の問題でトルコがどこまで各国と協力する方針なのかを探るために財務相を標的にし、南アフリカの場合は、南アフリカ外務省のネットワークにアクセスし、サミット代表団の資料を入手したとしています。
このほか、ロシアの当時のメドベージェフ大統領らがロンドンからかけた電話を、アメリカの情報機関NSA=国家安全保障局が盗聴しようとしたことも文書には書かれているということで、こうした情報収集においてアメリカとイギリスが深くつながっていることがうかがえます。
英外務省「ノーコメント」
イギリス政府が、2009年にロンドンで金融サミットなどが開かれた際、各国代表団の電子メールなどの内容を傍受していたと伝えられたことについて、イギリス外務省の報道官は17日午前、NHKの取材に対し、「これまでの慣例に従って、諜報活動についてはコメントできない」と述べました。
官房長官「コメント差し控えたい」
菅官房長官は17日午後の記者会見で、「そうした報道があることは知っているが、それ以上の具体的な内容については承知しておらず、現時点において日本政府としてのコメントは差し控えたい」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、記者団が日本時間の17日夜遅くからイギリス・北アイルランドで開幕するG8サミット=主要国首脳会議で、日本政府として何らかの対策を講じるのか質問したのに対し、「そうした事柄については、コメントを控えたい。最善の対応をしているということだ」と述べました。
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