東京電力福島第一原発の事故原因を調べている原子力規制委員会は17日、1号機で見つかった水漏れは、焦点になっている非常用復水器(IC)が地震の揺れで壊れたのが原因ではないとする現地調査の結果を示した。現時点では地震の揺れで壊れたかの判断はつかないとして、さらに調査を続ける。年内に報告書をまとめて国際原子力機関(IAEA)に提出する。
原発関連ニュースはこちらICは福島第一原発では1号機だけにあり、原子炉内の蒸気を冷やして水に戻す装置。震災直後からほとんど機能せず、早期の炉心溶融を招いたとされる。
津波の襲来前にICの近くで水が出ているのを作業員が目撃。国会事故調査委員会は、地震の揺れで壊れたことによる可能性があるとし、調査の必要性を指摘。一方、政府事故調は「損傷が生じていたとは認められない」とし、両者で見解が分かれていた。
規制委は5月30、31の両日、現地を調査。作業員が目撃した水は、使用済み核燃料プールからあふれた水で、ICの水ではない可能性が高いと推定した。根拠として、蒸気が漏れれば霧状になるが、バケツで水をまいたような感じだったと目撃者が証言していることなどを挙げた。
今後、あふれた水の量などを調べるほか、ICや配管をさらに調べる。しかし放射線量が高く、調査の難航が予想される。(西川迅)
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朝日新聞社会部