<柏崎刈羽原発>東電、再稼働申請先送り濃厚…地元了解まで
毎日新聞 6月17日(月)15時1分配信
東京電力は17日、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査の申請を、安全対策設備の設置に対する地元・新潟県の事前了解が得られるまで先送りする検討に入った。原発の安全性を確認する新規制基準は7月上旬にも施行され、複数の電力会社が原子力規制委員会に審査申請する見通し。東電は地元了解が間に合わなくても申請する構えだった。見切り発車で県が反発を強めないよう方針転換するが、再稼働の申請第1陣に乗り遅れる可能性が濃厚だ。【清水憲司、浜中慎哉】
再稼働には、新基準に適合しているか規制委の審査を受けたうえで、地元自治体と結んだ安全協定に基づく了解を得る必要がある。これまで東電は、7月の新基準施行早々に審査を申請し、並行して地元の同意を得る手順を検討してきた。再稼働に必要なフィルター付きベント(原子炉内の蒸気から放射性物質を取り除いて排気する設備)の設置も、1、7号機で基礎工事を進めている。
こうした動きに対し、新潟県の泉田裕彦知事はかねて「福島第1原発事故の検証が先」と反発。今月12日には「(ベントは)放射性物質を薄めるとはいえ、放出する施設。どう運用するか説明もなしに信頼関係を得られるわけがない」として、設置には県などの事前了解が必要との考えを表明。ベントの設置が間に合わなくても、計画していれば安全審査の申請はできるが、県が猛反発するのは必至。かえって再稼働が遅れかねないため、事前了解のめどがつくまで申請を先送りする。
東電は再建計画で、同原発を今年度初めにも再稼働させて収益を改善するシナリオを描いていた。審査申請のめどすら立たないと、金融機関に約束した今年度の黒字化計画が揺らぐのは必至で計画の練り直しは避けられない。東電は昨年9月に電気料金を値上げしたが、収益改善のため再値上げの判断を迫られそうだ。
原発再稼働を巡っては、第1陣として関西電力や四国電力などの申請が見込まれる。規制委の審査体制には限界があり、申請が遅れれば順番待ちが長引き、再稼働の遅れにつながる。
最終更新:6月17日(月)16時28分