コンフェデ会場前で大規模デモ「サッカーより教育の充実！」

　ブラジルでサッカーのコンフェデレーションズ杯開幕戦・日本対ブラジル戦が行われた１５日、会場となった首都ブラジリアのナシオナル競技場前で市民約１０００人が集結し「Ｗ杯は金の無駄遣い！！」などと訴えるデモを敢行。催涙ガスやゴム弾の銃を手にした機動隊と衝突して３０人以上が負傷、２２人が逮捕された。偶然にも、同大会で両国と同じＡ組のメキシコ、イタリアでも政治不信による抗議行動が相次いだ。

　「コンフェデ杯より教育の充実！！」「Ｗ杯は金の無駄遣い！！」。スタジアム前には、およそサッカー王国とは思えない絶叫が響き渡った。

　ザック・ジャパンがセレソン（ブラジル代表）に０―３の惨敗を喫した開幕戦。試合が行われたナシオナル競技場前に、市民約１０００人がデモ隊を組織して大集結した。怒りの矛先は、来年のＷ杯に備えて約６億ドル（約６００億円）もの巨費を投じて競技場を全面改修したことに向けられた。掲げられた看板には「医療？　教育？　違う！　全てＷ杯のため」といった政治批判のメッセージが躍った。

　デモに参加したジェイソン・ピレスさんは「恥ずべき事だ。我々の金がトーナメントのために使われている。何百億円も無駄遣いされても、何の見返りもない」とプンプン。学生のアナ・レティシア・リベイロさんは「Ｗ杯が終わってごらんなさい。誰もここを使わなくなるわ」と主張した。

　事態を受け、地元警察は機動隊約５００人を投入して制圧に乗り出した。催涙ガスとゴム弾の銃を手にし、デモ隊と衝突。制止を振り切ってスタジアムまで行進しようと試みた学生は、催涙ガスを打たれて目を負傷した。死者は出ていないが、少なくとも３０人以上がけがをし、２２人が逮捕される騒動に発展した。

　ブラジルでは１３日夜、最大都市サンパウロで、公共交通機関の運賃値上げに怒りを爆発させた市民約５０００人が当局と衝突する事件が発生。以降、抗議デモが第２の都市リオデジャネイロなど各地に飛び火している。

　最新世論調査で支持率を下げたルセフ大統領が日本対ブラジル戦の前にあいさつをした際は、約７万人の観客からブーイングが巻き起こるなど不穏な空気に包まれた。大会運営への影響を懸念する声も出始めているが、セレソンのルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、試合後の会見で「チームに集中しなくてはならなかったので、スタジアムの外で起きたことについては分からない。だからコメントはできない」と語るにとどめた。

（2013年6月17日06時04分スポーツ報知）