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ブラジル デモ激化 W杯は「金の無駄遣い」開催に反対の声

15日、ブラジリアの国立競技場前で警官隊に催涙ガスを浴びせられ顔を覆うデモ隊の学生
15日、ブラジリアの国立競技場前で警官隊に催涙ガスを浴びせられ顔を覆うデモ隊の学生
Photo By 共同

 ブラジルで、最大都市サンパウロの公共交通の運賃値上げをきっかけにした抗議デモが各地に飛び火し、過激化している。15日(日本時間16日)には、サッカー・コンフェデ杯開幕戦で日本とブラジルが対戦した首都ブラジリアの国立競技場前に約1000人が集結し、同大会や来年のW杯開催に反対。大会運営への影響を懸念する声も出始めた。

 ブラジリアでは、若者らが「コンフェデ杯より教育の充実を」と主張。来年にブラジルで開催されるW杯についても「金の無駄遣いだ」「W杯より医療と教育に金をくれ」などと批判するプラカードが掲げられた。

 警官隊の制止を振り切って競技場まで行進し、催涙ガスで目を負傷した学生も。CNNによると、デモ隊からは「ファシスト警察め」と非難する声が上がった。参加した学生(19)は「インフレは貧困層に大きな打撃。不満の根源は同じだ」と訴えた。

 「値上げを撤回しろ。トルコを見習え」。13日夜、サンパウロ市中心部で約5000人が道路を占拠し警官隊と衝突、240人以上が拘束された。共同電によると、デモのきっかけは同市で今月上旬、地下鉄やバスなどの運賃が3レアル(約130円)から3・2レアルに値上げされたこと。食料品高騰に悩んでいた市民の怒りが爆発した。

 5月の消費者物価指数は前年同月比6・5%上昇。デモはサンパウロと同様、運賃が値上げされた第2の都市リオデジャネイロのほか、北東部や南部各都市に波及、サンパウロでもほぼ連日続いている。

 ルセフ大統領は来年の大統領選で再選を目指すが、最新世論調査では11年の就任以来、初めて支持率が下がり、前回の65%から57%に下落。コンフェデ杯開幕戦のあいさつ中、観客からブーイングが飛んだ。

 ブラジルではコンフェデ杯、W杯、16年のリオデジャネイロ五輪の開催が決まり、政府はスタジアム建設をはじめとしたインフラ整備に予算をつぎ込んでいる。これに対して、国民の生活水準は苦しくなる一方で、政府への不満は増すばかりだ。今後も大規模なデモが計画されており、デモの長期化はW杯や五輪の運営に影響を及ぼす可能性もある。

[ 2013年6月17日 06:00 ]

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