中国資本が、中部・九州地方などで、ヒノキや杉などの高級木材を山林ごと購入しようと、活発に動いていることが分かった。「中国の金持ちの間で、日本のヒノキや杉を使った住宅建築が静かなブームになっている」という説明だ。さらに、太陽光発電事業でも、中国資本が土地買収を進めていた。数年前から北海道などで、水源林が中国資本などに買われて社会問題となっているが、これらは名目を変えた領土買収ではないのか。
「日本人仲介者を通じて『ヒノキを購入したい』という話がきた。『土地ごと買いたい』というのさ。値段は詳しくは言えないが、数千万円単位の話だ。木材価格が下がっているから、見合った額なら売りたい」
中部地方の山林所有者はこう明かす。同様の動きは、九州地方でもみられている。現在、中国資本は「日本の業者が伐採・搬出をやるとコストが高い」などと、値段交渉でゴネているという。
確かに、日本の木材価格は下落している。ヒノキは約30年前に比べて約3分の1、杉は4分の1以下といわれる。木造住宅の減少や、安い輸入木材の増加が原因という。
こうしたなか、中国に「日本ヒノキ」や「日本杉」をブランド木材として高く売り込めるならいいが、「土地も含めて買いたい」というのは、どこか危険な匂いがする。
深刻な水不足や水質汚染を背景に、中国資本が日本の水源林を狙っていることは、新聞やテレビでも数多く報じられている。また、自衛隊や海上保安庁の施設など、安全保障や治安維持に関わる場所に隣接する土地を、中国資本が購入したケースも報告されている。
警戒を強めている日本人をうまく丸め込むために、「日本の高級木材がブーム」などと説得しているのではないか。
中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「中国で5、6年前から、日本の高級木材がブームなのは間違いない。『マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏が、別荘にヒノキ風呂を設置した』という話が広まり、お金持ちがマネをしている」といいながら、別の見方も披露する。