天干と地支五行の性質と機能ー木行(07)


第二部  天干と地支

1.五行の性質と機能

五行は時令の特質および生尅生化の如何によって性能作用に変化がでてきます。各行についてその特徴を分けて大要を説明します。

1.木行
始元
東方の陽が洩れ散じて風を生じ、風は木を生じます。


少陽に属し、騰上(上に上ること)しても止まらない


陽中に陰を含むので枝葉は外に繁茂しますが、内部は空虚です。


柔軟にして声を発します。


木は仁とし、生とし、円とします。故に「規」といい、生泰の權(やすらかにゆったりと生きる考え)を施し、華秀(はなやかで優れていること)の令を持し、曲直仁寿(曲直というのは、木がまっすぐだったり曲がったりしているところからきています。木の性は仁であり、そこで仁寿格といわれます。曲直格は吉格であることが多いものです。)

作用
伸出(万物が若々しく伸出する力)開発(陽気が八方に開き発動する力)緩和(温暖にして万物の緊張緩める力)触覚(触力を司り気力旺盛にして他を冒し、発達する力)施行(万物に生気を施して原動となる力)等の作用があります。

干支
天干は甲乙 地支は寅卯その他亥辰未中にも木が暗藏されています。

生尅
水に生を受け、火を生じ金に尅され土を尅します。

五色
青 五臓 肝 五腑 胆 五根 目 五主 筋 五味 酸

効用
火を生じ火によって栄え、水を吸収して育て、土を耕して根を下ろし、金を掬い、また掘り出し、金によって剥削されます。

(1)?木の種類  ▼強木 時令(旺相)を得て、生助の多いもの。土の分力・金の琢削・火の秀の喜び・木の再加と水の生を忌む。

▼弱木 失令(休囚死)して生助のないもの。水の生・比劫の木を喜び・分力の土・尅制の金・盗気の火を忌む。

▼浮木 水が多ければ木は浮漂します。制水の土・抗水の火・浅水の木を喜び、生水の金、再加の水を忌む。                           ▼焚木 火が多ければ木は焚えつきます。消火生木の水、泄火の湿土(辰・丑)を喜び、再加の土、割木の金を忌む。 ▼折木 土多ければ木は折れます。疏土の木、水の生を喜び、生土の火、再加の土、割木の金を忌む。

▼断木 金がおおければ木は屑となります。尅を化す水、衛木(木を守る)火を喜びます。生金の土、再加の金を忌む。

(2)四時木の喜忌

イ  春は旺令(萌芽し植立するとき 性まだ柔らかく陽気発揚して開花)

寅月
外気はまだ寒く萌芽難渋する時。太陽火気の温暖を切に喜びます。

卯月
大気漸く明るく、気は勢いよく枝葉根?(しようこんかい)を張る時。太陽火気の照射と培養の水を喜びます。枝葉蔓延る(はびこる)時は金の剪除を要します。

辰月
陽気はいよいよ暖かく生気溌溂として水を必要としますが、繁茂する枝葉の剪除に金を必要とします。

右三月の間に生まれた木にとって五行それぞれの働きは次の通りです。

木 同気の比劫をみれば、強木となるので喜びません。


寅月には切に必要です。特に丙火を見れば発栄します。卯辰月は少量の水がなければ火の効用も成果がありません。


根を培養するために必要です。春の土は休囚するので、火の助けがあれば効用大です。土が多く木と力が均停(等しくとどまること)すれば才豊です。


寅月を除き、重金を見ても火があれば、木は破れません。ただ金だけ多現すれば身に残傷を見るか、一生労苦に終わるかです。強木に金を見れば一生の福があります。


寅月は地支に少量の水をみて火があるものは舒暢(じょちょう 心がのびのびすること)の美を得ます。どの月も水が多現すれば根が腐ります。


夏は休令(夏木は固くして直。屈してもよく伸びます。但し、根は乾き葉も枯れやすいときです。)

巳月
本気は退き、丙火が司権するため枯焦(こしょう )する時です。もっとも降雨(癸)を喜びます。

午月
いよいよ土燥き、木は虚となるので降雨を待つより、切に灌漑(壬)の水を欲します。更に水源となる金があれば水尽きず枝葉は生色を保ちます。

未月
三秋の寒を生じるので水を必要とするのは上半月だけです。下半月はむしろ火の照射を欲します。

右の三月の間に生まれた木にとって五行はいかに働くかは次の通りです。


同気の重見はやたらに林立叢生(りんりつそうせい)するだけで、成果が上がりません。


未月を除いて火を多現すれば焼尽枯死(しょうじんこし)の患があります。


湿土をみれば根基(家庭)を固定しますが、厚土は妻財の禍を招きます。


金は脩剤(しゅうざい 整え修めること)の功を施しますが、水なく多現すれば自存の力を失います。


最要のものです。水盛んなれば潤沢の功を得ます。水のないものは効果を望めません。


秋は死令(外気は清涼に進んで形の凋落するとき 木性は収斂(しゅうれん引き締まること)し生気は下に還ります。

申月
粛殺(しゅくさつ きびしい気候が草木を枯らすこと)の気が次第に進むので先に火を見ることを要します。更に水土が必要です。

酉月
木は休囚し、金が旺じますが、木は結実の時なので、先に金を制する火、次に適度に潤う水、更に木果を刈る金があれば収穫すこぶる大です。

戌月
木は全く凋落する時。先に枯枝枯葉を剪除する金を必要とし、次に火、更に根を滋養する少量の水を要します。

右三月の間に生まれた木にとって五行がいかに働くかは次の通りです。


同気の木を重見すれば多財の美がなります。


いずれにしろ、粛殺の気を制する用となり、特に中秋後に火をみれば木果実り、多木の命は家運の隆盛を招きます。


初秋はまだ余熱があるので、湿土の培養を喜びますが、厚土を見る時、自立の能を失います。


三秋は果実成熟の時。裁制のため金は大用です。もし水火の補助を見れば、大貴となります。水火がなく単に剛金を見る命は貧です。


初秋は火勢が残るので、水は最要のものです。仲秋は根を潤すため少量必要。霜降(十月)過ぎは水盛んとなるので、水を多現すれば漂木の患があります。

ニ.
冬は相令(五行の関係では相生ですが、地上の本気は枯槁(ここう 枯れ木)し地下に生気が盤屈(ばんくつ うねり滞留する)する形)

亥月
小陽春(木が長生する時)の候です。外形は枯残しますが、内部に活気が漸す長生の時。火があれば向陽の木といい、粘り強く栄えます。

子月
厳寒氷雪が木を包むので、火を最要のものとし、さらに伐採の金があれば、美質の材となります。

丑月
大気は二陽に進みますが、天地ともに凍結する時。外見に全く生発の象はないが、根元に鬱勃(うつぼつ)たる火が働いているので、火が最要のものです。もし金があれば、更に佳となります。

右三月の間に生まれた木にとっては五行がいかに働くかは次の通りです。


水旺のとき、単に木を多見しても救助とならない。


火暖に逢えば寒気溶けて功を誘発します。


旺水には厚土で根が培養されます。


金強ければ木を剪いて火を引きます火があれば棟梁の材を作ります。


水盛んなれば氷雪となり形を失う。更に金をみれば短命か終生労苦の命