いんたぁみっしょん(2)




 サファイアとシモンが、シルビアの家の寝室で、孕ませろだの孕ませないだの馬の種付けの如き会話をしているそのさなか。


 分厚い寝室のドアに耳をダンボにしてぺったりと貼り付いているのはフィロメアとベリルであった。


「……困る」
「んぁ?」
 今まで沈黙を守って諜報活動をしていたフィロメアが呟いたその言葉に、ベリルが首を傾げる。
「……パパはフィロメアのパパなの。これ以上他の人のパパになっちゃ、やなの」
「んぁー」
 ベリルが自分の方に指差しながら自分の存在をアピールすると、フィロメアはそれを見ると首を小さく振って、
「……ベリル様は特別。ベリル様はネメシスの長で偉い人。だから、いいの」
「んぁ。んーーー。……んあんあんあ、んあんあ?」
「……『妹ができてお姉さんになれるのが楽しみじゃないのか?』……ベリル様、その考え方、甘い。男の人、新しい子供ができると、その子にかまける。他の大きな子と遊んでくれなくなる」
「!」
「それにサファイア様、今までちょっと性格がつんつんしてた。だから、あまり心配してなかった。でも、今、すごくやわらかい。多分こういうの、パパごのみ。このままだと、パパ、サファイアとサファイアの娘ばっかり大事になっちゃう。他の女の子、いらなくなっちゃうかも……」
「んぁ〜〜〜!!……も、もが、もが……」
 腕を振って唸り声をあげて抗議するベリルの口をフィロメアは押さえる。
「静かに。私、パパを取られたくない。ベリル様も同じ?」
「んぁ!」
「じゃ、協力。一緒に、パパを守ろう?」
「んあ〜」
 
 こうして、シモンファミリー幼年班は、共通の利害の下、固い結束を誓って握手を交わすと、どこへともなく姿を消した。



■■■




 そんな桃園でも球戯場でもなく廊下での誓いが行われていたなんてことはつゆ知らず、シモンは鼻歌交じりで寝室から出ると、台所に寄って冷蔵庫を開ける。
「それにしてもサファイアも可愛らしくなったものだ。『あ、あとで風呂はいくらでも一緒には入れるから、その前くらいは一人で洗わせてくれ!』だなんてなあ」
 取り出したるは卵2つと牛乳。テレビで見ていたボクサー映画の受け売りだがこういうことは気分の問題だ。かき混ぜて一気に飲み干すと浴室に向かう。
 シルビアの借りる高級ワンルームは、浴室が3つしつらえてある。1つは先ほどのベッドルームとつながっている形だが、そこはサファイアが使うことになり、シモンは少し離れた場所にある別のベッドルームに隣接している浴室を使うことになった。


 いつもより5割増程度に丁寧に体を洗ったシモンがバスタオルで髪の毛を拭きながら浴室を出ると、何か違和感がある。説明するのは難しいが、さっき通ったはずの廊下なのに、全く違う空気が流れている、ように感じられる。

「……?」

 振り返って後ろを見ても、誰かがいるわけでもない。

 長年の下積生活を経て、とかく危険に対する回路が鋭敏になっていたシモンだったが、ヴァルキリーをほぼ全員制圧し、のんびりとしたチキュウ暮らしに慣れきっていたこともあった。サファイアを可愛がってやることに今は気がいっていたこと、さらに、ここが完全に洗脳し尽くしたシルビアの借りているセキュリティ万全のマンションであることも相まって、
「……気のせいだろ」

 と、特段気にしないことにして、サファイアの待つ寝室に向かって廊下を進む。

 後一つ廊下を曲がればすぐそこは姫の待つ寝室……というところに来たその時、突然、大人びた女性の声で、後ろから呼び止められる。

「シモン。どこに行くのです?」

 しばらくぶりに聞くその声音。ぎょっとしてシモンが後ろを振り向くと、薄暗いの廊下の角から、黒いドレスに身を包んだ女性が姿を現しつつある。






 長身だ。その身丈はシルビアとほぼ同じくらいだろうか。だが、その身にまとう気配は、かつてのシルビアとも、ローズとも異質なものだ。

 長いドレスには深いスリットが入っており、ガーターストッキングに包まれた白い太腿が見え隠れしている。その太腿からくびれた腰へと流れるような優美なボディラインにそって視線を上に動かすと、つややかな光沢を帯びたゆったりとしたドレスでも隠すことができない豊かな胸のふくらみと、大きく開いた胸元から見えるその深い谷間に思わず目を奪われる。



 シモンは喉を鳴らす。それは、性的な興奮に依るものではない。



 そこから視線を引き剥がしてそのまま視線を上に動かす。ほっそりとした乳白色の細い首には銀のネックレスが輝いている。艶やかな長い髪は複雑に、しかし丁寧に結わえられ、いくつもの宝石をしつらえた髪飾りでまとめられている。
 うっすらと塗られたシャドウ。切れ長な瞳。赤い唇にはわずかに微笑みがたたえられているのにも関わらず、全体から醸し出されるそのオーラは、どこまでも凍てついている。
 数ヶ月ぶりに味わうその冷気は、シモンの肝をすくみあがらせるのに十分過ぎるものであった。




 そこに立っているのは、紛れもなくベリル、しかもかつて、ネメシスの総帥として君臨した、あのベリルの姿だった。







「ベリル……様」
「あら。うれしい。まだ私のことを『様』をつけて呼んでもらえるなんて」
「そ、そ、それはもう……」
 さりげなさを装うとしても、シモンの混乱の色は隠すべくもなかった。

 ベリルは以前、全ての過去の記憶を失って……というよりも、クローンとして培養された素体にネメシスの総帥としての人格を流し込まれなかったため、赤ん坊同然の精神状態になっている、はずだ。マザーコンピュータとのリンケージがないのに、突然記憶を取り戻すことはありえない、はずだ。
 ベリルは変身能力があるから、大人の体型に戻るだけであれば別段不思議なことはない。しかし、頭の中身はシモンにべったりのよちよち歩きの赤ん坊そのものであり、言葉は「あー」と「んあー」しか話せない、はずなのだ。


 しかし、現にここに立っているのは、その外見はおろか、気配、言葉遣いまで。どれをとってもかつてのベリルそのものだ。
 ……ベリル・クローンの素体が白紙タブラ・ラサであることは確認したつもりだったが、さては既にベリルの記憶がインプリントされていたのだろうか?いや、そんなはずは……。
 だが、こうなった以上、目の前の人物が本当のベリルである可能性を考慮にいれて対応せざるを得ない。「はず」や「べき」といった希望的観測に基づいた行動は自殺行為だ。



 ……最悪、もう一回洗脳すれば、あるいは……。
 シモンはズボンのポケットに入っているはずの洗脳薬――いつだって万が一のために肌身離さず用意してあるその薬――の容器に触ろうとして、今日何度目になるかわからない驚愕をまたする羽目になる。
 
 ……ない。ない。ない、ない、ない!

 さっき風呂に入ったときに風呂場に落としてきたのだろうか。しかし、取りに戻ろうにも、そこにはまさにベリルが立っている。

 そのシモンの慌てふためく様子を見て、ベリルはクスクスと笑う。
「ひょっとして……これをお探し?」

 ベリルはそのゆったりとしたドレスの袖口から、銀色の容器を取り出す。
 それは正に、シモン愛用の洗脳薬の容器そのものだった。

「……」

 はい、とも、いいえともいえず、口を金魚のようにぱくぱくと開け閉めするシモンを前に、ベリルは目を細めて、
「今思えば、これまで貴方とゆっくりと話し合う機会をもてなかったわね。お互い不幸だったわ……折角の機会だから、少し貴方とお話したいの。よいかしら?」

「は、はい。……それはもう……」

 シモンが油汗を流しながらうなずくと、

「では、こんな薬はいらないわね」

 そういうと、ベリルの指先につままれた容器が、擦過音とともにまばゆく白熱したエネルギーの小さな球に包まれる。思わずシモンが目を細めると、その数秒後、空気と金属の焼ける臭いを残し、容器は影も形もなくベリルの指先から姿を消した。


 ひょっとしたらベリルのそっくりさんかも……とかいうシモンの中の超絶技巧的希望的観測もついでに姿を消してしまった。



■■■


 

「いいのよ、そんなに緊張しなくても。貴方にはとても感謝しているのだから」

 ベリルはゆっくりとシモンに向かって歩み寄り、思わずシモンはひざまずく。長年の下っ端根性が抜けきらないこともあるが、ベリルのオーラが、そうさせずにはいれない質のものだったからだ。

 後数歩、というところでベリルは立ち止まると、シモンの頭上から良く通る声で、

「シモン。面を上げなさい」
「い、いえ、そんなおそれおおい……」
「それとも、あまり顔色を見られたくない、ということかしら。でもね、つまらないことを考えない方がいいわ。例えば……キーワードを使って私をまた催眠状態に落とそう、とか、ね」
「い、いえ、そんな滅相も……」

 ベリルは、入社早々ポカをやらかして出来の悪い新入社員を優しく注意する女上司のような口調で、

「いいのよ。全てわかっているのだから。貴方が私を洗脳したことも。その後ヴァルキリーを再び洗脳してこのチキュウで隠遁生活をしていることも。私を何も考えることのできない幼子にしていいようにしていたことも、全て知っている。……だから試してもいいけど……わかるでしょう?私がここにこうして現れてきているのだから……」

 さっきまで洗脳薬をつまんでいた指を紅い唇に寄せる。上質なシルクの手袋の表面が鈍い光沢を放つ。

「……さっきの薬と違って、この家を無事にしたまま、まるまるきれい消し去るには、貴方は少しサイズが大きすぎるの。そうなると、多分、少し痛くしてしまうと思うから」


 キーワードは既に無効にしているから、無駄なことはするな、ということだろう。

 もちろん、ベリルに仕込んだキーワードはいくつかあり、あえて賭けをしてみることも考えなくはなかったが、不幸にも、今ベリルに仕込んでいるキーワードは――『マスターキー』を含めて――どれも多少長いものばかりだ。キーワードを言い終わる前に、あるいは解除されていないキーワードにたどり着く前に、シモンがさっきの洗脳薬の後を追って気化蒸発する可能性のほうが圧倒的に高かった。

 ベリルが今どれくらいの力を取り戻しているかは未知数だが、先のエネルギー球は、見た目は小規模でも、そのエネルギーを必要以上に拡散させないように力場を軽々と制御していることを考えれば、相当ハイレベルの能力を要求される代物だ。
 
 ともあれ、今ここでベリルの機嫌を損ねていいことは何一つない。幸い、こうしてベリルがシモンに話しかけてくるということは、いきなりシモンを殺す気はないということだ。ここはまずは下手に出て、機を見てベリルを懐柔するしかない。

 さらに数歩、長いドレスを引きずってしずしずと進み出たベリルは、シモンの目の前に到着した。シモンはもはや逃げることも顔を上げることもできない。何か不審な動きをすれば、その瞬間に殺される。長年の経験から、シモンはそれを理解している。

 ベリルはあくまで穏やかに続ける。

「改めて礼を言いましょう。シモン。貴方のおかげで、ヴァルキリーは全て我々の支配の下にある。いまやこのホシを制覇することなど、赤子の手をひねるよりたやすい情勢となりました」
「……は」
「よもや、シモン。貴方に助けられ……そして反逆されるとは、思ってもいませんでしたよ」
「……は、はんぎゃくだなんてそんな……」
「いいの。今は過去の振る舞いを咎めだてする気はないのだから……それよりも……」

 ベリルは腰をかがめ、細く白い指をシモンの顎に当てる。あくまで優美な微笑みの下に、液体窒素に浸かった薔薇から発せられているかのような冷気が沁み出している。
 だが、死刑宣告を待つ囚人のような気分のシモンに、ベリルが発した言葉は、予想もしないものだった。




















































「……貴方は、私に興味はないの?」



















■■■



「は???」
 思わず素っ頓狂な声をあげて、シモンは顔を上げる。目の前に息のかかる距離にベリルの顔がある。その髪からか、あるいはドレスからだろうか。鼻腔をくすぐる香りが漂う。 ……あるいは、それは食虫植物が蟲を捕らえるために醸し出す蜜と同種の匂いなのかもしれなかったが。

 二の句が告げないシモンの様子を意に介する様子もなく、ベリルは言葉を続ける。


「あの日。貴方に敗れたとき……私は、貴方に散々犯された。考えを捻じ曲げられ、書き換えさせられ、心も体も凌辱し尽された……。あの時のことを思い返すと、本当は、貴方をいくら八つ裂きにしても足りないくらい。だけど……」
 ベリルの手がそのままシモンの肩を滑り落ち、背中に回される。柔らかな胸がシモンに押し付けられ、ヒヤリとした白い頬がシモンの頬に寄せられる。
 それは娼婦が上客を抱く媚びた所作のようでもあり、それでいながら敬虔な修道女が日々祈りを捧げる神像をかき抱く様のようにも見える。
「……不思議なものね。何も考えることもなく、貴方に犯されていたあの時が……全てを思い出した今となっては、……それはそれですごく懐かしい」
「あ、あの、その、べ、ベリル様……」
 少年のようにどぎまぎするシモンの耳元で、ベリルは囁く。
「貴方は、私を外見も内面も幼児同然にしてからは、ほとんど性的な対象にしなかった。……私にそんなに魅力はない?」
「い。いや。その、私はそこまで幼児趣味ではないので……」
「ならば、今のように大人の体に戻して貪ればよいのに、なぜ、そうしないのかしら」

 正直に言えば、大人のベリルの肉体は十分過ぎるほど魅力的だったが、かつての下積生活から来るトラウマのせいで、シモンは大人の状態のベリルとあまり交わる気にはならなかったのだ。

「……私が怖い?」
 見透かすようなベリルの言葉に、シモンが返事を逡巡していると、ベリルはシモンをゆっくりと床に押し倒した。あくまで優しく、しかし決して抵抗を許さない意志を込めた動き。
 こうなるともう蛇に睨まれたガマガエル、まな板の上の錦鯉、蟷螂に捕らえられたイナゴとさしてかわらない。

「う、べ、ベリル様……」
「シモン、いいことを教えてあげる。……恐怖に打ち克つ方法を」

 ベリルはシモンの唇をつつ、と白魚のような指の背で撫で上げる。ベリルの柔らかな太腿がシモンの腰を挟み込み、シモンの肉棒の上に彼女の臀部が乗り、まさに馬乗りの形になる。

「それはね……その恐怖をまるごと飲み干してしまえばいいの。薄汚れたもの。醜いもの。恐ろしいもの。それを全て自らの体内に入れて、溶かして、取り込んでしまえばいいの」

 ベリルはシモンの上着の下に手をするりと手を差し入れ、シモンの胸板をゆっくりと撫でさすり、同時に少しずつ腰を動かしてシモンの肉棒をドレスごしに刺激する

「……知っているでしょう?私の使命は、ただネメシスを存続させること。そのためだけに造られた具現……。他の全てを奪いつくし、呑みつくしてでも、ね」
 
 ベリルはシモンの首筋に唇を寄せる。吸血鬼が獲物を噛む前の検分をするかのように、柔らかな紅い唇を押し当てていく。

「……だから、私は、常に心の奥に刻まれた本能に灼かれていた。貴方に想像がつくかしら?2万年の永きにわたって、骨の髄、細胞の欠片、髪の毛からつま先、血の一滴に至るまで、一刻一刻、ざわざわと囁かれ続ける日々が。一年、一月、一日、一秒、一刻としてその声が止むことはない。……ただ、他の星を侵し、命を奪い、文明を喰らったとき。……その時だけ、私の心に平穏が訪れる。ほんの一瞬、だけど、それはすさまじい快楽なの……私はそれだけを糧として……快楽として感じる呪いを遺伝子レベルで刻み込まれている、そういうモノなの」

 ベリルはシモンの身体を包み込むように、そして絞り取るように長い脚と腕を絡ませ、シモンの耳朶を甘噛みする。


「だけど……貴方に支配され、犯されたとき……はじめて識ったの」

 少しだけベリルが遠い目をする。

「すさまじい恐怖だった。貴方の言葉が私の脳に入ってきて、私の存在意義を、私の本能を、私の概念を、全てを片端から書き換えていくのを感じているのは。でも、ある瞬間、……そう、それを『恐怖』と感じる基盤、それが書き換わった瞬間……」

「……私は今まで恐ろしいと思っていた、その全てを受け容れることができた。そのとき、私は生まれて初めて、他の星を蹂躙するよりも、素晴らしい快楽があることを識ったの」

 ベリルがシモンを見つめる。その吐息が熱を帯びつつある。瞳には、ほの暗い情欲の色が浮かんでいる。

「……シモン。私と組みなさい。ネメシスの復興のために、私は貴方の力が欲しい。貴方の力はネメシスのために役に立つ。それに……私は自分の身を灼く呪いを消すことはできないけど、貴方に犯されているときは、それを忘れることができる」


 その尋常でない気配に、シモンは思わず口を滑らす。
「……いやだといったら……」
 だが、ベリルは意に介する様子もなく、目を細めて、小さく微笑む。
「……そうね。手始めに、この島国を消すことからはじめましょうか?こんな小さなクニでも、たくさんのニンゲンのイノチが蠢いている。それが全て消えたとき……無数のニンゲンどもの築いてきた叡智が、労苦が、全て灰燼に帰したとき、……少しは清々しい気分になるかしら?」

 ニンゲンのイノチやエイチがどうこうだなんて話は基本的に知ったことではないが、そんなことをされたらウドンを守るというシモンの第一ミッションが達成できなくなる。

 こうなったら仕方ない。まずはともかく、ベリルを何とかすることからはじめざるを得ない。サファイアの部屋にたどり着くのはそれからだ。

「も、もとより異議があろうはずがありません。ベリル様。そもそも貴方と組むだなんて恐れ多い。私は貴方の部下であって、そのように頼み込まずとも、ただご下命頂ければ……」
「シモン」

 その声に、シモンの舌は回転を止める。
 恫喝でも威圧でも、叱責でも皮肉でも、冷笑でも憐憫でもない。今まで聞いたことのないベリルの声。
「巧言は無用。わらわと契る覚悟、ありや否や。なれの意を明かし奉れ」

 シモンはその言葉に、ふと気づく。
 
 豪奢なドレープ・カーテン越しであったり、伏せた状態からの上目遣いであったり、あるいはレールガンのスコープ越しであったり……今思えば、ベリルの顔を正面からまともに見た記憶がシモンにはない。
 いや、今の今も、こんなに間近で言葉を交わしているのに、自分はベリルをまともに見ようとはしていなかった。


 白皙の面、絹のように流れる細くつややかな髪、紅い唇、細く切れ長な瞳。
 万人が万人、美しいと称するであろうその造形。それを、人造なのだから当たり前ではないか、と冷笑することは簡単であろう。

 だが、仮に、名匠の彫像と凡夫のそれとを分かつものが一つあるとすれば、それは刻むことのできる時の永さなのではないか。澱のように降り積る時の重みに耐えられなかったものは腐り果てるが、真の傑作は、その重みをむしろ糧として、美しさを増していく。いや、その重みに耐えられるものだけが、傑作と呼びうるのではないか――。 
 自分に審美眼があるとはシモンも思っていない。だが、今、彼女が、その永劫に近い時の流れの中で灼かれてながら欲し続けたものを、自らの剥き身とともに晒している、そのことだけは分かる。


 その刹那、シモンは、ベリルの発したこの地を滅ぼすという威迫の言も、もとより組み伏せられ自分がいつ消されるともわからないことも忘れ、ただ彼女の顔を見つめていた。


 互いの息だけが聴こえる時間が、時計の秒針が優に一周できるだけ過ぎた頃、シモンはようやく口を開く。


「……巧言令色すくなし仁、とかこのホシでは言うようですが、正直、私は、この口先だけでこれまで生き延びてきたようなものでして……そんな私が、どのように申し上げれば、本心がお伝えできるのか、恥ずかしながらあまりよくわからないのです」

 そう言いながら、シモンはベリルの顔を挟み込むように両手をその頬に当てる。

 かつてであれば、それだけで懲戒の対象となるような無礼な振る舞いだが、ベリルはただ為されるがままに、シモンの言葉の続きを待っている。

 シモンはそのひんやりとしたその感触を、確かめるように少しだけ手を動かした後、

「……然るに、恐れながら、この身を以って、その覚悟を証明したいと存じますが、いかがでしょうか」
「……許す」
「御意」

 そう言うと、シモンはベリルの顔を引き寄せ、その唇を塞ぐ。
 ベリルはそのシモンの不遜な行動に、抵抗するどころか、むしろシモンの唇に食らいつくかのように口を開き、舌をシモンの舌に絡める。

 じゅるる……ちゅぷ、ちゅぷ、くちゅ……じゅぷ……ちゅ……じゅる……。

 唾液と唾液が交じり合い、歯と歯がかち合う。幾本もの銀糸が口元からあふれ出す。喉の渇きを癒すために互いの体液を啜りあう獣のような口吻。
 そんな交わりをどれほど重ねた後だろうか、シモンはベリルの唇を解放する。

「あふ……」

 艶めいた溜息とともにその頬を桜色に染め、半ば放心状態となっているベリル。その彼女の胸のふくらみを、シモンは仰向けのまま、無遠慮に荒々しく両手で掴む。

「んあ……あ……」
 
 一瞬硬直したベリルだったが、その身体はすぐ熱せられた飴のようにぐにゃりと力が抜け、シモンに体重を全て任せるように倒れこむ。勢い、シモンの十の指がいよいよ深く、ベリルの柔らかな胸を薄く覆う瀟洒なドレスに食い込んでいく。

 しかし、ベリルの表情は、苦悶どころか、むしろ恍惚の色を帯びつつある。
「いい……いいの……もっと……もっと強くして……」
 その言葉を白紙委任ととったかのように、シモンはベリルのドレスの胸元からその内側に手を滑らせて、豊かな乳房をドレスの外に引きずり出す。まろびでた白いゴム鞠のような、それでいて全く形崩れのない張りのある豊かな乳房が、シモンの無骨な手の動きにあわせて面白いように形をかえる。
「あ……すごい……ひゃう!」
 シモンが乳房を舌で転がすと、ベリルはシモンの背中をぎゅうと抱きしめてさらに強くシモンの顔を胸に押し当てる。
 そのままシモンは横転する形でベリルを逆に押し倒すと、さらにぎゅっと乳首ごと握り締めるかのようにベリルの乳房を押しつぶす。
「んはあ!!……んぁ……ああぁ……」
「ベリル様、気持ちいいですか?」
「い、いいの、すごくいい……」
「どこがいいんですか?」
 シモンは指で両乳首をひねりながら、ぐい、と引っ張りあげて詰問する。
「ひゃぅう……ち、ちくびが……いたくて……ひりひりして……いたいのに……すごく……あつくて……きもちいい……」
「痛いのに気持ちいいんですか?」
「いい、いいの……いたくされるの……はじめて……いたいの……いい……」
 ある意味、ベリルは痛みには免疫がない。そもそも、痛みは生物が生存のために必要なものであって、相当な重症であっても自然治癒してしまう、しかも他人から攻撃されることがほとんどありえない彼女には痛みはほとんど無縁の存在だ。
 だが、過去唯一、シモンに洗脳されたとき、彼女の身体は破瓜の痛みを味わった。その時の記憶が蘇ってきているのだろうか。

 シモンは舌でベリルの乳首を吸い、柔らかく噛み、そのまま唇と歯で引っ張りあげるようにする。その一方、左手で白い餅のような乳房を下から絞り上げるように激しく愛撫しつつ、充血した乳輪に乳首を強く、弱く、押し込んでは捻り、かと思えば優しく撫で上げる。

「うはぁ……シモン……シモン……」
 ベリルの舌がシモンの唇を求めて宙を彷徨う。シモンは意地悪く、捕まりそうにしながら、ベリルが口付けをしようとするとさらに首を引く。その繰り返しに業を煮やしたようにベリルがシモンの頭を掴み、シモンの唇を荒々しく奪う。

「……ん……んん……」
 シモンはその仕返しとばかりにベリルの胸を片手で揉みしだきつつ、もう片方の手でベリルのドレスのスカートを捲り上げる
 シモンが親指と人差し指で、ベリルの肉芽と陰裂の襞をその下着の上から押しつぶすようにつまむと。その途端、ベリルの体が弓なりに跳ね、シモンの唇を解放して絶叫する。
「んああああああああ!!」
「……もうこんなに濡れてますよ、ベリル様」
 そう言うとシモンはベリルの下半身にずるずるとその顔を移動させ、改めて、ベリルのスカートの中を観察する。
 複雑な意匠をあしらった上質の生地で仕立て上げられたドレスの中は、その上質さに似つかわしくない濃厚な雌の匂いが漂っている。扇情的な黒い下着とガーターストッキングが白く肉感的な太腿を包み込んでおり、その柔らかなカーブと黒と白のコントラストを見ているだけで、シモンの肉棒は鬱血してくる。黒いためにあまり目立たないとはいえ、遠目にもレースのショーツが湿っていることがわかる。シモンが秘裂の上から指で抑えると、ぷしゅ……という音とともに、愛液が泡立つ。

 シモンはショーツをずらすと、すでに露になっている雌蕊を舌先でちろちろと転がす。
「あ……あふ……んぁ……」
 ベリルはカチカチとなる歯を懸命に抑えようと自分の爪を噛んで、叫びそうになるのを懸命に堪えている。シモンが唇で雌芯を吸い上げて、口内で刺激し始めると、太腿と太腿の間にシモンの顔を挟みこみ、無意識に腰を動かし、懸命に快楽を得ようとする。
 シモンがそのまま雌蕊を甘噛みをしたその瞬間。
「ぁあああ!」
 と短く叫ぶと、ベリルはそのまま腰を浮かせて痙攣し、そのまま動かなくなった。
「ベリル様?」
 シモンが見るとベリルは虚ろな目を虚空にさまよわせたまま、荒く息をしている。軽く到達してしまったようだ。

 シモンはそのままベリルの脚を取ると、ガーターストッキングの上からほお擦りをしていく。やわらかい肌、温かな感触、そして上質なストッキング特有の肌触り、発情した成熟した雌の発散する匂い。全てが最高の品質だ。
 いつもは気高く、美しく、傲慢で冷酷な女帝。それが今、無力な人形のように横たわり、自分のなされるがままになっている……それだけで、シモンの陰茎はいきり立ってくる。

 床に倒れたベリルをやさしく引き起こすと、シモンは背中から彼女を抱きかかえるようにして、背後から胸と秘部を揉みはじめる。
「ん……んは……」
 まだ夢心地なのか、ベリルの声は反応が鈍いが、身体は時々瘧を起こしたかのように、びく、びくと痙攣する。
「シモン……シモン……」
 ベリルはシモンに胸をもまれながら、首をひねってシモンの顔に唇を押し当て、キスを降らせる。
「お願い……シモン……キス……」
 ベリルの嘆願に応えて、シモンはベリルの顎を手で押さえて、再び深く口付けをする。 互いの唇を剥がした後、
「ベリル様……そんなにキスがお好きなのですか?」
 シモンの問いに、ベリルは霞がかった目をしたまま、
「……わからない……けど……キスをしてると…………落ち着く……」
「落ち着くって……」
 ベリルはそのシモンの口を再び塞ぐ。シモンは反撃をするかのように乳首をぎゅっと摘み、ベリルはさらにその乳房がつぶれるくらいシモンをきつく抱きしめてくる。
 そうしてしばらく、冬眠に入る前の獣が互いに熱を与え合うようなゆるやかな愛撫を交わしていたが、やがて、シモンは、
「ベリル様、ここは多少冷えます。場所を変えたいと思いますが、よろしゅうございますか?」
 ベリルは熱い息をしながら、首をわずかに縦に振った。






■■■







 シモンは先に自分が使った浴室に隣接しているベッドルーム。
 まさかサファイアが待っている寝室でいたすわけにもいかない。結果的に振り出しに戻る形になる。

 ほとんど抱きかかえるようにして連れてきたベリルをクイーンサイズのベッドに横たえる。瀟洒な漆黒のドレスと、まろびでた形崩れのない白い乳房とのコントラストがあまりに扇情的だ。横たえた際の勢いでスカートがまくれ上がり、その奥のデルタゾーンがちらちらと見える。
 
「……シモン……」
 その胸と太腿の奥に釘付けになっていたシモンは、は、と我に返り、慌てて
「……な、な、何でしょう?」
「……少し、胸が苦しいの……緩めて」
 そういうと、ベリルは胸元の下で彼女の身体とドレスを締め付ける飾り紐を指差す。先ほどはそれをほどかず胸元の布地を無理やり引き摺り下ろす形で乳房を外に出したものだから、その乳房が圧迫される形になっていた。
「も、申し訳ありません、今まで慌ててたもので……」
 シモンはベリルに覆いかぶさるようにしてその紐を解くと、いよいよ胸が弾けるように外に飛び出し、その本来の形を取り戻し、ふるん、と柔らかなゼリーのように震えた。
「……そんなに胸が好きなの?……可愛らしい……」
 少し余裕が出てきたのか、普段の「総帥」言葉になりつつあるベリルに、シモンはその口を塞ぐ形で応える。
「んんん!!……んん……んふぅ……ちゅる……ちゅぷ……あふ……」
 すぐにベリルの身体はシモンの身体を掻き抱くように抱きしめる。先ほどとは逆に、シモンの唾液がベリルの口に注ぎ込まれ、ベリルはそれを甘露のように飲み込んでいく。
 
 数分後、ようやくベリルも落ち着いたのか、シモンから口を離す。

 さすがにそろそろシモンの方も限界に近づいており、思わず襲い掛かりたくなる衝動を、かろうじて理性で押さえつけているような状態だった。このままでは一線を越えてしまいそうだったが、ベリルがそこまで許している保証もない。それにサファイアとの種付けのことを考えると,弾丸の乱費は避けたい。
「……べ、ベリル様。その……私のほうはとしては、もう既に十分証明させていただいたと思うので、そろそろ……」
 そんなシモンを見つめるベリルの目は潤み、シモンの方を熱っぽく、ぽぅっと見つめていたが、やがて、
「…………」
 無言でシモンのズボンの上から、肉棒をさすり始める。
「べ、べ、ベリル様……」
「……ここ……こんなに熱くしてるのは……私が欲しいからではないの?」
「そ。それは……」
 言いよどむシモンに、ベリルは
「……覚悟を見せてもらえるのではなかったの?」
 そういわれるとシモンにはもはや是非はなかった。後にサファイアが控えていることはひとまず忘れて目の前のベリルに専心するしか道はなかった。

 シモンはズボンを脱ぎ、半立ちになった肉棒を乳房の谷間を通して、ベリルの唇の前に突き出す。
「……それでは、あの、非常に失礼ですが……ベリル様。もしよろしければ……これをお願いできますか?」
「……これ……これを?」
 シモンは、畳み掛けるように、
「その……舐めてください。できれば……胸を横からぎゅっと押しつけながら、お願いします」
「……はい……」
 虚ろな目をしたベリルは、シモンに誘導されるまま、唇を開き、シモンの亀頭を受け入れる。さらに乳房を竿に押し当てて、しごきあげていく。柔らかな乳房に横から包まれながら、ベリルの舌がシモンの鈴口やカリを這いずり回り、唾液をまぶしながら、亀頭全体を刺激し始める。

 うっとりとした表情を浮かべながらシモンの怒張を味わうベリルの髪をかきあげながら、シモンは、
「どうですか?ベリル様。久々に舐める肉の味は」
「……熱くて……硬くて……汁が……しょっぱくて……」
「美味しいですか?すごく幸せそうな顔をしてますよ?」
 シモンの言葉に、ベリルは虚ろな瞳をシモンに向け、
「……よく……わからない……けど……舌の……先が……ピリピリして……んちゅ……ちゅぷ……シモンのが……わたしの……身体の中に触れるたびに……シモンから……何かが流れてきて……頭が……白くなるの…………ちゅ…………んはぁ……」
 熱っぽい吐息を吐きながら、ベリルはシモンをより熱心に舐めあげていく。喉を鳴らし、シモンの陰茎に寄せ、舌をつかってちろちろと嘗め回す。袋をさわさわと触り、竿を甘噛みしたかと思えば今度は陰嚢を口に含んでカリと鈴口を指でこね回す。
「ぐ……」
 サファイアとの一戦のことを考えて、フェラでは射精するつもりがなかったにも関わらず、シモンの中のものがこみ上げてくる。
「いいのよ、シモン。ちゅ…くちゅ…私の口でいっても……ちゅぱ……ちゅ……」
 ベリルはシモンの亀頭を口に含み、最初はゆっくりと、やがて激しく顔を前後に動かし、シモンの陰茎全体を刺激していく。

 長い髪が乱れ、白い額に玉のような汗が浮かぶ。そのベリルの懸命さは、シモンに命令されてのものというよりは、むしろ何かを確かめようとしているかのようにも見える。

 その激しい動きと、あのベリルにしてもらっているという興奮の中、シモンは次第に限界に近づきつつあった。

「……申し訳ありません、ベリル様、出そうです。……口から外しますから……」

 さすがに遠慮して口から外そうとするシモンだったが、ベリルはむしろ深々とシモンのモノを咥え込む。
「べ、ベリル様。それだと……」
 口を陰茎でいっぱいにしたベリルは、シモンの言葉を無視し、さらに喉奥までイチモツをくわえ込むかのようにする。頬と頬を吸い上げ、舌を竿に絡め、唾液をぐちゅぐちゅとシモンの陰茎に塗りつける。
 もうシモンも限界だった。
「出ます……」
 そういうと、シモンは最後の一突きをする。

 どく、どくどく、どく……。

 白い滾りがベリルの喉奥にたたき付けられると、ベリルはシモンの精液を、ごくり、ごくり、と全て飲み干していく。その精液がベリルの腹腔に注ぎ込まれるたびに、ベリルの身体がひく、ひく、と反応する。

 シモンは、ベリルの口から赤黒い肉棒を引き抜くと、シモンは思わず腰が抜けたようにベッドの上にしりもちをつくようにへたり込んだ。

「あ……んあ……すごい……こんなに……」

 ベリルはしばらくシモンのものを飲み込みながら、身体を痙攣させている。目を閉じ、まるで精液を何か貴重な秘薬を味わうかのように大切に飲み干していく。

 やがて最後の一滴まで飲み干したのか、ベリルの身体の震えが止まり、目をゆっくりと開く。白い肌が桜色に染まり、シモンに熱っぽい視線を向けている。

「シモン……」

 ベリルは腰を抜かしたようになっているシモンに、豊潤な胸をふるん、と震わせながらにじりよって覆いかぶさると、その陰茎に再びすがりつくように顔を寄せ、こびりついている精液を舐めとっていく。まるで親猫が子猫を舐めるようなひたむきさのようにも見える。

「そんなにいいですか?私の物を舐めるのは?」
 
 シモンの問いに、ベリルは少しだけ口の動きを止め、
 
「わからない……よくわからないけど……これに触れていると……貴方の気持ちが流れてきて……すごく安心できる……」
 ベリルはそういうと、またゆっくりとシモンの陰茎に頬を摺り寄せ、舐めていく。

 陶然とした表情のベリルに、シモンはその髪を梳きながら、

「ベリル様…もしあなたに協力していただけるのなら、今の幸せを、もっとすごいものにして差し上げることができるかもしれません」
「もっと……すごい……もの……」
「多分、貴方が今、私のものに触っていて安心するのは……皮膚接触を通じて私の電気パルスが貴方に流れているからです。多分、さっきまで貴方が私に触れられて安心できたのも、その影響でしょう。今は貴方の方で防壁が設定されているので、私からの情報はほんの少ししか流れませんが、……一時的でも、私からの情報のアクセスを全面的に受け入れていただければ、もっと安定すると思います」
「シモンを……全面的に……受け入れる……しかし……それは……」
 ベリルは言いよどむ。シモンはあくまで優しく、ベリルに語りかけ続ける。
「……もちろん貴方が拒絶すればそれまでです。それに、テンポラリのアクセスであれば、時間が来れば貴方はいつでも解放されることができます。さらに、私に支配権限が移るわけではありません。あくまで、私からの情報流入を円滑にするだけですので、ご心配には及びません」

「……」

 ベリルは虚ろな、それでいて熱っぽい瞳を、シモンとシモンの肉棒との間で交互にさまよわせながら、逡巡していたようだったが、やがて、
「……対象のアクセスレベルを、一時的に最大に許諾……ファイアウォール書換実施……対象を認証します……」
 そうつぶやくと、シモンの唇に触れる。
 その瞬間、ベリルの体がびくっと跳ねる。
「あはっ……す、すごい……」
 思わずシモンからその身を離そうとするベリルの胸に、シモンは、今日何度目になるかわからない鷲づかみをする。
「んはああああああああああああ!!」
 絶叫とともに、ベリルの身体から力が抜け、ベッドに倒れこむ。
 そのベリルに追い討ちをかけるように、シモンは乳首をちゅっと吸う。
「んああ……し、シモン……す、すごい……」
「さっきと比べていかがですか?」
「す、すごいの、さっきなんか、ぜんぜん、くらべものにならなひくらひ、すごひ……」
 ベリルの目からうっすらと涙が零れ落ち、身体がぴくぴくと痙攣する。乳首は激しく勃ち上がり、シモンの舌先を押し返す。心なしか乳房が張り詰めてきているように思える。
「触られるだけで……シモンが……私の心の中に……入ってくる……」
 シモンは唾液をたらりと乳首にたらす。深い胸の谷間に流れ落ちるそれを、シモンはローションのように塗りたくる。
「ああああ!!!そ、それをされると……ふはぁ!!」
 シモンが乳房を波打たせるように揉むと、ベリルはシモンの背中を激しくかきむしるように抱きしめる。
「どうですか?ベリル様」
「胸が……熱いの……じんじんするの……おかしくなる……このままだと……胸が……胸が……」
「おっぱいが?」
「……お、おっぱいが……とろけて……なくなっちゃいそう……」
 シモンはさらにベリルの乳首を舐め、その胸の谷間に顔をうずめ、その谷底をちろちろと舐めながら、乳首をぎゅっと固く握り締める。
「らめ、らめ、そこ、そこなめられると、わらひ、こころ、おかしく、らめ、しもん、しもんが、わらひのなかに、はひってふる……」
 さっきのアクセスを制限していた段階でも、ベリルの性感は尋常ではなかった。おそらく、シモンのベリルに対する感情――それが劣情なのか、それ以外の何かなのかはシモンにもあまりよくわからなかったが――がベリルの脳内に流れ込み、それがベリルに作用しているのだろう。それが、今は無制限にシモンの流入を認めているのだから、その結果がどうなるかは火を見るより明らかだった。
「シモン、シモン、おねがひ、きす、きすして……」
 ベリルの言葉に、シモンはベリルの口を奪う。
「んんんん!!!!!」
 激しくシモンの唇を貪るベリル。シモンの身体をぎゅっと抱きしめ、そのたわわな胸が激しくたわむ。充血し張りつめた乳房と乳首がシモンの上着のリベットにあたる。相当痛むはずだが、それすら快感なのか、胸をこすりつけるようにシモンに押し付ける。やがて、ベリルはそのシモンの服をびりびりと破り、直接その皮膚と皮膚をこすれあわせ始める。
「はぁ、はぁ、シモン、シモン……」
 うわごとのようにシモンの名を繰り返し、ベリルはシモンへのキスを浴びせる。口、頬、額、耳、首、胸、指、腕……シモンのあらゆるところに口付けをし、そのたびに、ベリルは異なる嬌声を上げる。
「す、すごい、シモン、シモンのどこも、わたしと、つながってる、わたしに、しもんが、はひってふる……」
 ベリルがシモンの耳たびを噛みながら、シモンに問いかける。
「なんで、なんでしもん、わたしなんか、わたしなんかを、そんなに、そんなにおもってくれるの?しもん、わたしを、どうして……」
「…………」
 シモンは直接こたえず、あたかも何か口移しで伝えるかのように、ベリルの口を塞ぐ。その瞬間、ベリルの身体が爆ぜるように激しく痙攣し、激しくあえぎ、涙を流しながらキスを貪る。まるで、シモンに触れてないと、シモンの口を通じてでないと、息ができないかのように。
 やがて、ベリルの身体から痙攣がひいていく。その息がしだいに落ち着く。しかし、ベリルの腕と脚は一瞬たりとも離れたくない、というかのように、シモンをがっちりと挟み込んだままだった。



 そうして二人がどれほどの間抱き合っていただろうか。ゆっくりと、ベリルがシモンの身体から腕と脚を解き、シモンを見つめる。


「……落ち着かれましたか?」
 シモンの問いかけに、ベリルはうなずく。まだ頬は上気し、涙の後が幾本も頬に浮かんだままだが、その瞳には理性が戻ってきている。

「……アクセスレベルは通常に戻りました」
「そうですか」
 そのシモンを、ベリルは見つめ、問いかける。
「……シモン、なぜ、私を再洗脳しなかったのですか?」
「は?」
「……先ほどまでの私は、貴方からのアクセスを最大限にしていました……それに……快楽で自分を見失っていました……貴方なら、私をその奴隷にすることが、容易にできたはずです。なぜ、それをしなかったのですか?」

 ベリルの問いかけに、シモンは頭を掻きながら、
「いや、そんな余裕はなかったですし……それに……」
 それに?
「その……あまりにもベリル様が可愛らしくて、なんか勿体無くてそういうことができなかったというか……」
 

 そう答えるシモンにベリルは、うっすらと笑みを浮かべながら、

「……貴方は、口では何とでもいえる男ですが、それ以外はあまり嘘が上手ではないのですね」
「い、いえ、今のは嘘ではありませんよ、いや、本当にベリル様は可愛らしくて……」
「そこを責めているのではありません……まあそこは問わないことにします」

 ベリルはしばし沈黙した後、ぽつりと、

「……私の身体に……精神に……おそらく深刻なエラーが発生しています」

「は?」

 ベリルは独り言めいたつぶやきを続ける。

「これまでの2万年間、私はマスターコンピュータにつながる形で、日々発生するフラグメントやバグを修正してきました。私の精神はそうすることで最適化されるようにもともと設計されています。……ですが……ここしばらくそれをしていないから……私は、多分、少し、おかしくなってきています……」

「それは、どういう……」

 シモンの言葉には答えず、ベリルはシモンににじり寄る。

「べ、ベリル様?」

「そうでなもなければ……私がこのようなことをするはずも……このような気持ちになるはずがない……」

 そういうと、ベリルは大切なものを扱うかのようにシモンの手をとり、その手を自らの頬に押し当てる。

「そして……これからしようとすることも……」

 ベリルはしばしそのまま目を瞑って、何かを祈るかのようであったが、やがて、目を開き、シモンの手を解放すると、彼を真正面から見据え、玲瓏と響く声でシモンに問いかける。

「……シモン。私は初めに問うた。我と契る覚悟ありやなしや、と。そしてお前は身をもって明かすとした。……その言葉に相違ないな?」

「それは、もちろんですが……」

「そして、先刻までのお前の振る舞いは、その覚悟の表れととって相違ないな?」

 何が覚悟だったのかは今となってはシモンにもよくわからなかったが、いまさら「いいえ嘘でした」などといえるはずもない。必然、

「ええと……はい」

 自信なさげに、シモンは頷く。

「では、シモン、妾の目を見よ」

 ひょっとして逆洗脳でもするつもりか?と一瞬訝るシモンに、ベリルは先読みをするように、
「安心しなさい。貴方を洗脳しなくてはならないほど私も堕ちてはいません」
「は……」
 嫌だといっても先ほどの繰り返しだろう。ここまできたら毒食って皿食ってしまうしかない。シモンは腹を括ってベリルの真正面から瞳を見つめる。

 ベリルはそのシモンの顔を見つめると、何か聞き取れない言葉を呪文のように唱え始める。

 シモンがその言葉が普通の言葉ではなく、かつてネメシスで使われた高速詠唱用の言語だと気づいた後、ベリルの言葉がニホンゴに戻る。いつの間にか、ベリルの瞳から光が失われている。

『タイプ1、ベリル―2852、管理者権限でのアクセスを確認しました。対象候補のマスター認証プロセスを開始します……』

 だが、その声音は、ベリルのものであるにもかかわらず、どこか機械めいている。

『対象候補の網膜認証完了。タイプ4、生体ID43546453 個体名シモン―1432。対象候補は一般にマスターホストとして許諾を与えるには不適切です。その信頼性、真正性はまったく確認されていません。リスクを承知の上で、認証プロセスを続けますか?続ける場合は、ベリル―2852の管理者権限証明、誓約の入力及び対象候補の生体照合素の登録をしてください』

 その言葉を自ら発すると、ベリルの瞳に光が戻る。

 ベリルはシモンを改めて見つめると、その顎に手を寄せ、

「ベリル―2852の名により、マスターとしての登録及び我の全権限の移管を要請す」

 そういうと、ベリルはシモンにキスをし、舌を差し入れてくる。反射的にシモンも舌を差し入れ、一分ほど交わった後、二人は唇を話す。銀色の糸が二人の唇との間にアーチをかけ、シーツに零れ落ちる。

 ベリルの瞳からはまた色が失われ、その言葉が彼女の意思とは無関係に言葉を紡ぐ。

『生体ID43546453、個体名シモン―1432、マスターとして登録しました。今後の申請者の全権限はマスターに移管されました。マスター認証プロセスを終了します』

 そういうと、ベリルの瞳に色が戻る。

「終わりました。手間をかけてすみませんでしたね。シモン」

「あ、あの、ベリル様。その、今何が起こったのでしょうか?」

 ベリルは落ち着かない様子のシモンをマジマジと見つめて、クスクスと笑う。

「あらあら、私は貴方の観察力を見込んでいたのですが、今の過程を見ていてそれがわからないのなら、私の見立て違いだったのかしら?であれば、少し早まってしまったかもしれませんね」

「…………………………………………………………そのぅ……まさか、私をマスターコンピュータの代理に仕立てたのではないですよね?」

 ベリルは首を振って、

「代理ではありませんよ。サブというのはメインあってのサブですから。今まで私はスタンドアロンで、マスターがいない状態でした。ですから。これからは貴方が私の唯一の主人マスターで、………………私はその奴隷スレーブなのですから」

「……それって……」
「わかりませんか?貴方は私を命令する権限を得た、ということです。私は貴方の命を拒絶する術はありません。そして、命令はすべて最優先で執行されます」

 シモンは思わず自分の身体をあれこれ見回す。別段身体からケーブルが生えてベリルと接続しているわけでもない。

 はたとシモンは自分の頭を抱えて、
「ひょっとして、ベリル様、私の頭にいつでも無線か何かでアクセスできるとか?」

 慌てるシモンを見て、ベリルは心底おかしそうに笑う。

「心配はいりません。私と貴方は無線接続や心理同期をしているわけではないので、基本的に貴方と私とのアクセスはこれまでどおり、音声入力、接触式電気入力、化学物質入力によるものです」
「音声入力はわかるのですが……接触式電気入力と化学物質入力とは?」
 ベリルはきょとんとして、
「今の今ままでさんざんしてきたではありませんか?健忘症になりましたか?ああ、そうそう、安心してください。この二つの入力ができるのは貴方から私への一方通行です。私から貴方には音声出力しかできません。私の声が聞きたくなければ、耳を塞いでいただければ結構です」
「……いや、いや、その、あの、なんだか、あまりに多くのことが起こりすぎて、何がなんだか……」
 ベリルはため息をつくと、
「なるほど……これは、ルピアが困惑してきたのもわかりますね」
「る、ルピアが?何で?」
「私も意味はよくわかりませんが、『あの男は《ベッドヤクザ》だから』とかなんとか、いつもこぼしてましたよ」

 意味がよくわからないけど困惑していたことだけはわかる、ということなんだろうか。釈然としないが、シモンは別の質問を口にする。

「あの……ベリル様、性格が少し変わってませんか?」
「そうかしら。もっとも、私はバグが累積しているようですし、スレーブはマスターの影響を受けるので、その影響はあるかもしれませんね」
 ベリルはそう言うと、口元に手を当てて笑う。

「……しかし、本当に貴方が私の統率下にあるのかどうか、確認できるのですか?」
「そうですね……たとえば、今まで私は自らの命を絶つことができませんでしたが、今なら私に死を命じていただければ、そのようにしますけど」
「……そんなことできるわけないでしょう」
 普段なら、『性的いやがらせ』で確かめるところだが、先の先まで二人でそれに興じてたものだからそれで確認しようもない。もともとベリル自身には『自分の身体を汚される』とか『純潔を守る』という観念が希薄だから、ヴァルキリー相手に行ってきたそうした確認に意味があるとも思えない。

「……まあ、いいです。正直に言って、今の状況で貴方に謀られても私には何の術もないですから。ともあれ、これでひと段落したのなら、後始末をいろいろしなくては……」
 シモンが何気なくベリルの髪に触れようとすると、突然ベリルがずるずる、と後ろにずり下がる。

「……」
 シモンがさらにベリルを追って髪に触れようとすると、さらにベリルはずるずる、と後ろにずり下がるが、もう余地がなく、壁にぽすんと、背中がぶつかる。

「……あの……なんで逃げるのですか?」
「に、逃げてませんよ?」

 そういうベリルの笑顔が絵で書いたように貼りついている。

「……マスターの権限で命ず。『嘘は禁止』」
「な……そ、そんなのずるい……」
「ずるくないでしょう。じゃあもう一度聞きます。なんで逃げるのですか?」
「んぁ……そ……それは……」

 さっきまでの圧倒的な余裕が雲散霧消したように、ベリルは随分と抵抗していたが、ついに、屈服したように、

「……き、きもち、……きもちよく……なってしまうから……」
「気持ちよく?なんで?」
「そ。その……さきほども申し上げたように……貴方から私へのアクセス方式に接触式電気入力があるので……貴方に触れられると……貴方の気持ちが私のほうに自動的に流れてきてしまうので……」
「へぇ……そうなの?じゃあこんなことしたら?」

 と、シモンはまろびでたベリルの乳房に思いっきり手で触れる。

「んあああああ!!」
 そういうとベリルは背中を弓なりにして伸びたと思ったとたん、へなへなと力尽きたようにベッドに座り込む。
「すごいな。さっきもえらく敏感だったけど、それ以上だなあ……」
 シモンが感心したようにつぶやくと、ベリルは息も絶え絶えに、
「あ。あの、お、お願いですから、接触入力の回線を閉じる許可をいただけませんか?このままだと、日常生活に支障が……」
「お、そういやもうひとつ入力方法があったんじゃなかったっけ?」
 そういうと、シモンはベリルににじり寄る。
「し、シモン、お、お願いです。やめて、やめてください。本当に今それをされると、……」
 嘆願するベリルだったが、シモンに触れられないためか、物理的には抵抗ができないでジェスチャーで懸命にアピールするものの、シモンは今までの仕返しとばかりにベリルの身体を抱き寄せ、そのまま唇を奪う。
「んんんん!!!んん!!ん……ん……んぅ……」
 ベリルの唇ははじめこそ固く閉じようとしていたが、シモンの舌先がちょんとベリルの唇の裏を舐めた瞬間、途端に力が抜け、シモンの侵攻を易々と許す。やがてシモンの舌の動きになされるがままベリルの口内は蹂躙され、シモンの唾液を飲み干していく。そしてその唾液が胃に到達するたびに、ベリルの身体がびく、びく、と震えていく。
「……んはぁ……」
 シモンがベリルの唇を解放すると、ベリルはすでに目がうつろになっている。
「ははあ。これが『化学物質入力』なわけですね?体液を媒介にして相手に情報を伝達できる、と……メモメモ」
「そ、そう……わかったなら、もういいでしょう?閉じる許可を……」
 荒く息をつくベリルに、シモンは意地悪そうな笑みを浮かべ、
「ベリル様はどうされたいのですか?ここでやめてよいのですか?それとも……」
 そういいながら、シモンはベリルの乳首を舐めあげる。小さな叫びを上げてベリルは身体を強張らせる。
「もっとこうされたいのではないですか?」
「んあ……あ…………あ……」
 ベリルは息も絶え絶えになってもう碌に反応することができない。

 さすがに少しやりすぎたか、シモンはやや反省し、
「すみません、ベリル様、少し調子に乗りすぎました」
 そういって、シモンはベリルから離れようとするが、今度はベリルの方がぎゅっと抱きしめてくる。
「べ、ベリル様?」
「もう少し……こうしていて……」
 ベリルはシモンの頬に頬をすりつけ、脚を絡ませ、その胸をシモンの胸板に擦り付けている。
 シモンがベリルの髪を梳き、首筋をくすぐると、そのたびにぴくん、ぴくん、と身体が反応させるが、先ほどのような拒絶はもうない。それどころか、頬が上気し、息が熱くなっていく。

「かつての私には……貴方に洗脳された女たちが……なぜあんなにお前に夢中になるのかわからなかったのですが……」

 ベリルはシモンの胸元に顔を寄せながら言う。

「……今、貴方と触れているうちに……わかるようになってきました……貴方に触れているのが、抱きしめられるのが、こんなに気持ちがいいなんて……」
 シモンが再びベリルにキスをすると、ベリルはシモンを受け入れる。
「んん……シモンが……私の中に……入ってくる……」
 
 しばしゆるやかなキスを二人でしていたが、やがて、そのキスを終えると、二人は無言で見詰め合う。

 お互い、何をしたいかは、言葉で伝えなくても、すでに分かり合っている。


 ベリルはゆっくりと脚を開き、シモンにその濡れそぼる秘部をさらけ出す。
 言葉も、前戯も、もはや不要だった。
 シモンはベリルのショーツを脱がし、脚から抜き取ると、ベリルの充血しきったクレバスに肉棒の先を擦り付ける。
「あは……あ……す、すごい……そんなに固いの……入ったら……私……」
「ではやめますか?」
 シモンの言葉に、ベリルは爪を噛みながら、
「い、いじわるなこと、いわないで……お願い……私を……串刺しにして……」
 シモンは小さく頷くと、ずぶり、とベリルの体内に肉棒を押し込みはじめる。
「んああああ!」
 ベリルが激しく弓なりにのけぞる。
「……あ、あれ?」
 シモンが違和感を感じてベリルの股を見ると、ベリルとの接合部から紅い液が流れてきている。
「べ、ベリル様……」
 しかし、ベリルはシモンの言葉の先をとって、
「気にしないで……私の身体は……すぐ戻ってしまうから……毎回こうなってしまうけど……私は……大丈夫だから……」
「……わかりました。では動きます」
 シモンはそういうと、ずぷ、ずぷ、と音を立てながら抽挿をはじめる。それと同時に胸を激しく愛撫する。
「あああ、そ、そんな、む、むねだけでも、むねだけでもすごいのに、おなかと、いっしょに、二つ一緒にかきまわされたら……」
「二つだけではありませんよ」
 そういって、シモンはベリルの口を塞ぐ、途端、ベリルの瞳がとろんと蕩けて、シモンの口を貪り始める。唾液がベリルの口元から零れ落ち、その腕がシモンの頭に絡みつく。シモンの腰が前後に動くたびに、ベリルの脚がシモンにぎゅっと固く絡みつき、さらに奥に奥にイツモツを誘導していく。
「んっ、んっ、んんっ、じゅぷ……ちゅぷ……」
 乳飲み子のように懸命にシモンの舌に吸い付くベリル。その彼女のたわわな胸を、シモンは乱雑に掴み、腰を捻ながらグラインドを一層激しくすると、ベリルは悶えながら絶叫する。
「ああああああああああああ!!す、すごいの、奥まで、奥まで入ってきてる、シモンの、シモンの身体も、心も、私を、犯してる、私の中、かき回して、いっぱい、いっぱいなの……」
「気持ちいいですか?ベリル様、心も身体も犯されるのは……」
 ベリルは激しくしゃくりあげるように頷きながら、
「いい、いいの、すごくいいの、しもんがつたわってくるの、からだの、からだのそとからも、なかからも、しもんが、たくさん、はいってくる、わらひのなかに、しもん、いっぱい、たくさん、こころが、しもんに、かこまれて、なんで、こんな、すご、すごい……」
 もうろれつが回っていないベリルは、シモンの首を甘噛みし、舌でその肌をレロレロと舐め、頬をこすりつける。いくら甘えても甘えたりない、抱きしめても抱きしめたりない、そんな動きを見せる。
「しもん、おねがい、わたしを、わらひを、うめつくして、あなただけ、あなただけなの、もうわたひには、あなただけなの、しもん、もっと、ぎゅってして、おっぱい、ぐしゃぐしゃに、して、からだ、なめまわして、わたしを、まっしろにして……」
 シモンはその言葉に、さらに激しく腰を動かし、子宮口を抉るようにベリルを突き立てる。ぐぽ、ぐぽ、ぐぽ、と卑らしく激しい肉が肉壷をうがつ音とともに、内臓に打ち付ける振動が、ベリルの官能の炎をこれ以上もなく激しく揺さぶる。
「あああああ!!奥、奥、おくに、あたってる、しもんの、しもんのが、おくに、ひりひりして、わたしに、わたし、に、も、もどれ、もどれなくなる、もう、しもん、しもんがいなくちゃ、わたし、だめになる、だめになっちゃう……」
「……いいんですよ、ベリル様。私はあなたのマスターですから、私がいつでも貴方のおそばにいます」
「いいの?いいの?シモン、わたし、だめになっちゃっても、いいの?ベリル。だめに、なってもいいの?きもちよくなっていいの?」
 いつの間にか幼い言葉に戻りつつあるベリルに、シモンは優しくささやく。
「いいんですよ、ベリル様」
 そういうとシモンはぎゅっとベリルを抱きしめ、ベリルの瞳は、その途端、呆けたように光を喪う。
「シモン、シモン、すき、すきなの、シモン、だいすき、ベリルを、いっぱいにして、シモンで、いっぱいに、たくさん、たくさんちょうだい、おねがい、はやく、はやく、きて、ベリルを、めちゃくちゃにしてっっ!!」
 シモンももはや限界だった、その襞が爛れるように熱い煮えたぎるような肉壷に、シモンは最後の一撃を打ち付ける。

 どく、どくどくどくどくどく、どくどくどくどく、どくどく……。

 激しい白濁の奔流が、ベリルの子宮に注ぎ込まれ、全てを漂白していく。

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
 その途端、ベリルが絶叫し、弓なりに身体が爆ぜた。

「し、しもんが、たくさんの、しもんの、つぶつぶが……べりるの……おなかに…いっぱい……はいってくる……おなか……ぴりぴりする…………あふ……や……そんなに……おなかつつかないで……そんなに……いちどに……つつかれたら……あかちゃんの……へや……やぶけちゃうの……」
 もう正気を失ったかのようなうわ言めいた言葉を繰り返すベリルに、シモンは頬を撫でてあげる。
「あふ……しもん……しもんがいっぱい……なの…………しもん……あったかいよ……しもん……ぽかぽかする……しもんのつぶつぶ……いっぱいおなかのなかで……わたしのからだ……なかから、はじけそう…………」
 ベリルは、少し壊れかかった、しかし、幸せそうな笑みを浮かべて、シモンの胸元にほお擦りをする。
「もう……げんかい……なの……しもん……」
「べ、ベリル様?」
 先ほどと少し声音が変わったベリルを見つめるシモン。
「これからも……わたしを……よろしくね……しもん……わたしは……またねむるけど……もうひとりの……わたしを……たいせつに……してあげて……」
 ベリルはシモンを陶然と見つめた後、
「ありがとう……そしてさようなら、しもん……」
 ベリルはそういってシモンにキスをすると、糸が切れた人形のようにその身体から力が抜け落ちた。

「べ、べ、ベリル様!!」

 慌ててベリルの脈を取るシモン。しかし、脈はある。息もしている。

「……気絶しただけか……」

 少しほっとしたシモンは、ベリルから肉棒を抜く。こぽぽぽぽぽ……と音を立てて血と混じった精液がベリルの股から零れ落ちる。

「卵2個分の精液が……」

 しかし、実際のところ、シモンは精液や体力よりも、精神力の方をはるかに損耗していた。これからサファイアと一戦を交えるのは、相当つらい。

 シモンがいささか放心状態でいると、ベリルの身体がぴくっと動く。

「べ、ベリル様……?」

 シモンがベリルに触ろうとすると、ベリルの身体がまばゆく光り、その身体の表面が金色の輝く絹糸のようなもので包まれる。

「あ……」

 ベリルの身体はその途端、胸はしゅるしゅると縮み、手足も縮み……みるみるスケールダウンしていく。

 唖然として見守るシモンの前で、その光が完全に消え去ったとき、ベリルはかつてのベリルの姿に戻っていた。もちろん、服は戻らないため、身体に黒いドレスとぶかぶかのガーターストッキングが巻きついているような状態だ。唯一、髪の毛だけが縮まず、そのまま長い長い状態で、今のベリルの身長と同じくらいのまま残された。
 
「ベリル様、大丈夫ですか?」
 
 シモンがゆすってもベリルは起きる気配がない。幸い、息と脈は通常で、命に別状はない様だ。





 とりあえず、ふぅっと溜息をつくと、シモンは頭の整理をし始める。
 目の前にいるのはベリルだ。しかもミニサイズ。ということは、今の今まで自分の目の前にいたのは、ベリルが成体に変化して状態だったのだろう。
 確かに、それ自体は不思議ではない。ベリルは体形を自由に変化させることができるからだ。ただ、わからないのは、ベリルが普通に言葉をしゃべり、かつての『ベリル』そのものといっていい思考力を得ていたこと。
 これはベリルだけでできるものではない。今のベリルにはかつての記憶はないのだから。

 ありえる可能性とすれば、誰かがベリルに言葉とかつてのベリルを模倣した記憶を植え付け、かつてのベリルとして振舞わせた、ということ。もちろん、一種の洗脳に近い技術を応用してのこと。
 今、このチキュウに数多ある知的生命体の中でも、そんなことができる人物は、技術的に言えば3人しかいない。もちろん、そのうちの一人であるシモンは可能性から除外される。

 残る二人のうち、今、サファイアを元に戻す方法を調べにいっているシルビアは、そんなことをするインセンティブはないだろう。彼女は徹底的にシモンに尽くすように洗脳してある。こんなことをすることはありえない。
 


 と、なれば。


 こほん。

 シモンはズボンと下着を上げて、ベリルに破られた上着を脱ぎ捨ててジャケットだけを着ると、寝室のドアの外に聞こえるような大きな声で、


「さーて、今から10数えるうちに出てきたら、ちょーーーーーーーっとのお仕置きで許してあげるけど、それまでに出てこなかったら……そうだなあ、そういう悪い子とは、もう一生口をきいてあげないことにしようかなー」



 シモンはわざとらしくそう言うと、いーち、にー、とカウントしはじめる。




「……しーち、はーち……」




 シモンがそこまで言うと、ドアがきき、と小さく開き、その隙間からさらさらとした銀色の髪の毛の先がのぞいている。

「……いまのうちー、いまのうちー、でてくるんだったらいまのうちー、そら、きゅーてんごー、きゅーてんろくー、きゅーてんななー……」

 シモンが節をつけてカウントを小数点以下に移行しはじめると、ドアがさらに開く。きまりわるそうにもじもじとして姿を現したのは、銀色の髪に黒いレース仕立てのドレスを着た少女だ。

 そうっと上目遣いにシモンの様子を探るように見つめた少女は、おそるおそる口を開く。
「……お仕置き……するの?」
「……まずはこっちにいらっしゃーい?ふぃろめあちゃん?」

 にんまり笑うシモンに、

「……怒ってる……」

 と、またドアの後ろに隠れてしまう。

「……いーえ。怒ってないよー。でも今逃げるともっと怒っちゃうよー」

 フィロメアはそぅっと顔をドアから出して、

「……痛くしない?」
「大丈夫、正直に理由をしゃべったら、たたいたり、殴ったり、つねったり、焼きゴテを押し付けたりしないから」
 そういって手をおいでおいでするシモン。
 その動きに、おびえる猫のような仕草で、おそるおそるシモンに近づくフィロメア。




























 20秒後。ベッドルームにフィロメアの叫び声が木霊した。

















■■■










「ぐす……痛くしないっていったのに……うそつき……」
「痛くしないなんていってないよ、殴ったりしないっていっただけ」
 シモンがフィロメアに下した刑罰は梅干の刑。こめかみに拳を当ててグリグリする、あれである。天罰覿面で、頭を抱えたフィロメアはうっすら涙を浮かべている。
「ずるい、パパずるい……」
 ぶつぶつとつぶやくフィロメアだったが、今日はさすがのシモンもいささかお冠である。
「さて。一応言い訳を聞きましょうか。なんでこんなことをした?」

 シモンがフィロメアに問いただすと、フィロメアはポツリと、
「……パパが、いなくなっちゃうとおもったの」
「は?」
「……パパ。サファイア様に子供ができたら、私とベリル様のこと、いらなくなる。そう思ったの。そうなったら嫌だったの。だから、パパがサファイア様とエッチできないように、サファイア様の部屋に行く前に、パパの精液を全部しぼりとっちゃおう、って、ベリル様と相談したの」
「……で、ベリルを大人に戻して、……言葉もしゃべれるようにして、俺に差し向けた、というわけか」

 こくん、と頷くフィロメア。

「で、サファイアは?まさかお前サファイアまで何かしてはないだろうな」
 シモンの強い言葉に、フィロメアは小声で、
「今は……お薬の入ったお茶を飲んで、眠ってる。だけど、サファイア様はぜんぜん弄ってないよ。……お願い、パパ、信じて……」

 涙目ですがるような口調のフィロメア。おそらくそれに嘘はないだろう。

 しかし、大人に戻すだけならいざしらず、言葉をしゃべれるようにし、なおかつかつての『ベリル』っぽく振舞わせるためには、ベリルの過去を綿密に調査した上で、それをあの短時間でベリルに矛盾なく刷り込むという相当な調査力、技術力が必要である。
 『……フィロメア、恐ろしい子……』とシモンはつくづく心底思う。

「フィロメア」
 その言葉に、首をすくめるフィロメアに、シモンは優しく頭を撫でる。
「フィロメア。たとえば、パパがフィロメアと子供を作りたいといったとしよう」
「え……」
 フィロメアがぽうっと顔を赤く染める。
「いや、たとえだから本気にするなよ」
「なんだ……」
 ちょっと残念そうな表情を浮かべるフィロメア。改めて咳払いをしてシモンは続ける。
「ええと、たとえば、パパがフィロメアと子供を作りたいといったとして、ほかの女の子が、それを邪魔したら、お前はどう思う?」
「……いや」
「そうだろう。そうだろう。お前は、今、自分がされて嫌なことをしようとしたんだよ。自分がされて嫌なことをしていいのは、自分がそのことをされる覚悟がある時だけだ。わかるな?」
 シモンの言葉は厳しい口調ではなかったが、フィロメアは、しゅんとうなだれてしまう。
「確かに今パパには、えーと……なんと表現すればいいんだろうか、うーんと、まあ、要するに、パパの周りには、いろんなタイプの女の子がたくさんいるけど、その子たちは、パパとフィロメアがいちゃいちゃしているからといって、それを邪魔したりは誰もしないよね?」
「……うん」

 正直に言えば、約一名、『やっぱり素直でかわいい子がいいんですよね』とか『歪つな胸をしているよりバランスが取れている方がいいんですよね』とか『精神的にも肉体的にも成熟した女性の方が好みなんですよね』とかいうことを陰に陽に言ってくる輩がいるのだが、ややこしくなるのでここでは口にしない。所詮大人は汚いのである。

「じゃあ、これからは、こういうことはしないって約束できるかな?」
「うん」
「じゃあ後でサファイアに謝るんだぞ」
「うん。サファイア様……今、眠っててもらっているから……後で謝る」
 シモンの言葉に、フィロメアもこくこくと素直に頷いた。よほど先ほどの梅干が効いたのだろう。悪戯をして飼い主にしこたましかられた猫のようにしゅんとしている。



 あまりにもしおれていたので、少しフォローする意味を含めてシモンは、
「それにしても、お前、よくベリルの過去とか記憶とかを調べてたな。正直驚いたよ。全部刷り込んだんだろ?ベリルにああ言わせるように」
 そういうと、フィロメアは目をぱちくりさせて、
「フィロメア、そんなことしてないよ。言葉を少ししゃべれるようにして、少しだけだけベリル様に昔のベリル様とパパとの関係を教えたの。そしたら、……言葉がしゃべれるようになったベリル様、『後は自分でやるから』って……」
「……なぬ」


 となると、今までのベリルの振る舞いは、かつてのベリルそのもの?
 フィロメアが言葉と最低限の知的レベルを入れ込んだせいで、いままで脳のどこかに眠っていた彼女の記憶が引きずり出されたのだろうか?
 改めてベリルの方に向き直るが、ベリルは気絶をしたままだ。ましてやさっきの最後を見る限り、精神的にも幼児状態に戻ってしまっているだろう。もはや確認のしようもなかった。



 きんこーん。その時、ドアベルが鳴った。







■■■









「遅くなりました。シモン様」
 ドアに出ると、そこにたっていたのはシルビアと、先ほど俎上に上がっていた約一名。
「……約一名とは失礼な言い方ですね」
「お前、サイコパスか?」
「……それをいうならテレパスです。2文字しかあってませんし、意味がぜんぜん違います」
 むすっと応対するは制服姿の碧。学校帰りなのか、通学カバンを抱えている。
「途中で会って、いろいろ探し物を手伝ってもらったんです。助かりました」
 シルビアのフォローに、シモンは、
「で。見つかったのか?サファイアを元に戻す方法は」
「はい。なんとか」
「そうか。じゃあよろしく頼むよ。向こうのベッドで疲れて寝てるから。サファイアは」
「かしこまりました。では早速」

 てきぱきと支度をしてサファイアの寝室に向かうシルビア。シルビアの姿が消えた後、碧はシモンをちょんちょんとひっぱり、
「……あの……あれ、シルビア司令……ですよね」
「見てわからんか?」
「……見てわかるから聞いているんです。前会ったときと、ぜんぜん態度が変わっていて、性格も、その……」
「悪くなった?」
「……………………いえ。すごくよくなってます。……気持ち悪いくらいに
「いいことじゃないか。ヒトがヒトにやさしくなることが、世界平和の第一歩だと僕は思うのだなあ。それをヴァルキリーの第一人者が実践している。実にすばらしいことではないか」
 空虚な言説を吐くシモンを碧はジト目でにらみ、やがて、はぁ、とため息をついた。
「……ですよね。そもそも貴方がなんでシルビア司令と平気でしゃべれるのか、シルビア司令の部屋にずけずけといられるのか……答えはひとつしかありませんよね。尋ねた私が愚かでした。……すみません、少し水を飲みたいんですが、流しはありませんか?」
「ああ、台所なら向こうにあるけど?」
「……その、鏡があるところがいいんですけど……」
 よく見ると、なんとはなしに碧がもじもじしているように見える。
「なんだ、トイレか。そうならそうと言えばいいのに。向こうの寝室にバスルームがあるからそこを使うといいぞ」
「……………………ほんっっとうに、貴方にはもう少しデリカシーというものが……」
 そうぶつぶつ言いながらも、碧は早足でシモンに指差された方向に向かっていった。


 しかし、サファイアがあれだけ素直になったのを、そのまま戻すのはちと勿体無いようにも思える。折角の機会だから一度くらいあの状態で『種付け』をしてみるのも……などとシモンがぼんやり考えていたその時。
 



「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
 碧の叫び声に慌てて参集するシモン、フィロメア、シルビア。


「どうした、ルピア、ゴキブリか?」
「敵襲ですか?」
「……どっちも違うと思う……」
 三人三様の反応で叫び声のする部屋に駆けつける。


「こ。これ……」
「あ」
「まぁ」
「……やっぱり」
 碧が指差した先にあるのは、体中を精液と唾液でべとべとにした女の子。
 それはベリルなのだが、先ほどと違うのは、成体ではなくミニサイズになっている点だ。


 ベッドの前でそれを見つめてしばし黙りこくっていた碧は、やがて拳に力を込めて震え始める。心なしか髪の毛が逆立ってきているように見えるのは、本人が無意識のうちに風の魔力が発動しはじめているからだろうか。


 おそるおそるシモンは碧に話しかける。爆弾処理班は職務中こんな気分になるのだろうか、と益体もないことをふと思ってしまう。
「……ルピア」
「……………………なんでしょう」
「………………………………………………おれはテレパスじゃないが。今、お前が考えていることは、なんとなーくわかる。だが。落ち着け、これはいわゆるコーメーの罠というやつだ。お前と俺との関係を破壊しようとする悪の第三帝国がだな……」

 シモンの説得工作が耳に入っている様子もなく、碧はぶつぶつと独り言のように語っている。

「……私はあなたのことを、本当に、どうしようもなく、変、態、だと思ってましたが、ただ一点、幼女趣味でないことだけは美点だと思ってました。正直……それを心の救いにしてきたこともありました……なのに……なのに……………………………………」
「待て待て。いいか、俺もお前の美点はたくさんあると思っているが、この手の話になるとなぜか短絡的な判断と行動をするのは悪い癖だと思うぞ。パパはいかんと思うなあ、そういうのは」
「ふふふ。そうですかそうですか。パパですか。そうですよね。こんな小さな女の子をかどわかしてるんですからね……どうせ『パパがなんでも買ってあげるよ』とかなんとかいってかどわかしたんですよね……ええ、ええ、そうですよね。私みたいに偏った発育をしてひねくれた成長をした娘より、未来がある女の子を育てていくほうが夢がありますよね。光源氏もそうでしたものね。昔から男ってのは、結局いざというときは女と畳は若い方がいいって言うんですよね……」

 どうやら、爆弾処理にあたって、切るコードを間違えたらしい、とシモンが気づいたときはもう遅かった。

「ちょ。ちょ。待て。よく見ろ、それはベリル様だって!」
「………………髪の毛の長さが違うんですけど……」
「い。いやそれはさっきまで大人だったんだけれども突然子供になったからまだその毛変わりがすんでないというかその……」
「……言いたいことはそれだけですか?言い訳だったらもっとうまいものを思いついていただかないと……興ざめです」

 いつの間にか手元に魔法の杖が出現し、足元に魔方陣が光り始める。

「……私が貴方に人倫というものを一から叩き込んであげます。おとなしくそこに直りなさい!!風の神よ、我にこの悪魔に天誅を与える力を……」

 シモンはシルビアに向き直り、

「お、おい、シルビア、お前何とかしないとこのマンションが壊れるぞ!」
 しかし、先ほどから冷ややかな雰囲気で二人を見守っていたシルビアは、しらっと、
「大丈夫です。この部屋は内外から結界を二重三重に構築してありますので、ちょっとやそっとのことでは壊れません。存分にお二人の間で、ご納得がいくまでお話し合い拳で殴り合いをお続けください」
「ぬぬぬ、ふ、フィロメアちゃん、フィロメアちゃんの意見はどうかな……」
 手もみをしながら貼りついたようなにこやかな笑顔をフィロメアに向けるシモンに、フィロメアは、
「……私、《あくのだいさんていこく》だから……」
 と、こちらも民事不介入モードである。












「………………悪、即、斬」


 轟音とともにルピアの魔法が発動した。




続く

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