エピローグ〜ローズ 2


 
■(5)■










 ぴちょん。ぴちょん。

 とおくでみずのたれるおとがする。
 
 うっすらとまぶたをひらくと、すこしまぶしい。

 あさだ。


 わたしは、ぶるっとからだをふるわせて、ぎゅーっとのびをする。

 へやのたかいところにはちいさなまどがあって、そこからおひさまのひかりがさしている。

 それだけ。あとはじめっとしたくらいへや。まわりはかべ。


 
 ・・・だれか、いないのかな。




「あおーん・・・」

 わたしはのどをならしてみる。

 でもそのこえは、すこしよごれたかべにはねかえるだけ。




 ひとりぽっち。

 おなかすいた。
 



 ・・・さびしい・・・。






 わたしはこしをおとしてじべたにうつぶせになって、またうとうととねむりかける。


 そのとき、ペンキがはげかけたドアが、がちゃがちゃとおとをたててひらいた。

 わたしはみみをぴくんとうごかして、ドアにかけよる。



 ごしゅじんさまだ。
 ごしゅじんさまがきてくれた。

 むねがどきどきして、しっぽがかってにパタパタする。
 


 ドアはすぐにあいた。

「あー、悪い悪い、遅くなったな、ちょっと手間取ってな、飯」
 ごしゅんじんさまはそういって、ゆげのたつごはんをたくさんのせたおさらをゆかにおいてくれた。

「あおん!」

 よかった、ごしゅじんさまがきてくれた。わたしはひとりぽっちじゃないんだ。

 わたしはごしゅんさまにだきつく。ごしゅじんさまのほっぺをぺろぺろなめる。しっぽもぱたぱたうごかす。

「おいおい、おまえ、俺を食べる気かよ。ご飯さめるぞ。はやく食えよ」

 わたしは、もっともっともっともっともっともっともっと、ごしゅじさまにだきついていたかったけれど、ごしゅじんさまにきらわれたくないから、ゆかにしゃがんで、ごはんにくちをよせる。


 ごはん。あったかくて、おいしい・・・。

「わん!」
 わたしがごしゅじんさまにおれいをいうと、ごしゅじんさまはわたしのあたまをなでてくれた。
 わたしはごしゅじんさまのてに、じぶんのかおをすりつける。

 とってもきもちがいい・・・。

 わたしがめをとじると、ごしゅじんさまはわたしののどをゆびでなでてくれる。
 
「んん・・・わふ・・・あう・・・」
 それがあんまりにきもちよくて・・・ちからがぬけて・・・わたしはごしゅじんさまのむねにころがりこんで、そのあったかいむねにほおをすりよせる。

 ごしゅじんさま、ひなたみたいにぽかぽかしていいにおい・・・。

 わたしがくぅーん、とはなをならしていると、

「・・・すっかり子犬になってしまったか・・・。ローズ、いいのか?俺はお前の憎むべき敵だぞ?俺を殺すのが、お前の仕事じゃないのか?」
 ごしゅじんさまは、わたしののどをなでるてをとめて、といかけてくる。
 
 そのめは、すごくやさしい。

 てき?
 にくむべき、てき? ころすべき、てき?


 わたしのあたまはこんらんする。

「今のお前なら、俺の首を噛み切るくらい造作はなかろう。どうだ、ヴァルキリーとしての本懐を果たしてみないのか?」

 ごしゅじんさまは、そういって、わたしにくびすじをさらす。




 てき・・・わたし・・・ごしゅじんさま・・・ヴァルキリー・・・。

 そのことばは、わたしのなかであわのようにふくれて、きえていく。
 それぞれのことばのいみはわかるけど、そのいみがつながらない。



 だからわたしは、いつものように、

 れろ・・・れろ・・・。

 したをのばしてごしゅじんさまのくびすじをなめる。

「うわ、くすぐったいなローズ。そんなに甘えても何も出ないぞ?」


 ・・・そんなものいらない。わたしは、ごしゅじんさまをなめられるだけでいい。
 そんなおもいをこめながら、わたしはごしゅじんさまをなめつづける。

「こらこら、やめろって、ほら、おかえしだ〜〜〜」
 ごしゅじんさまはわたしののどを、さっきみたいにゆびでごろごろとなでてくる。それだけでなく、ごしゅじんさまは、わたしのからだをぎゅーっとだきしめて、わたしのきているうすいぬのきれのすきまから、からだじゅうをさわ・・・さわ・・・となでてくる。

 そのとたん、わたしのからだから、ふー、っとちからがぬけて、ごしゅじんさまのほうに、くてん、となっちゃって・・・。もう、ごしゅじんさまのてがわたしのからだのいろんなところをさすったり、もんだりして・・・。もっとふだんはさわられないようなおなかのしたまで、くにゅくにゅされちゃって・・・。

「んあ・・・・・・あぅぅ・・・」
 わたしのからだのなかが、うずうずするような、しびれるような、ふしぎなかんじになって、もうあたまがぽーっとして・・・。


「あふ・・・あぅん・・・」

 はなをならして、したをのばして、わたしはだらしなくなってしまう。

「んん・・・あふ・・・」
 
 ・・・そのぼぅっとしてきたあたまで、ちらっとごしゅじんさまのしたのほうをみると、ぷっくりとふくれている ごしゅじんさまの「もの」が、めにとびこんでくる。



 ごく。



 そのふくらみをみたとたん、わたしののどがなる。

 わたしはしってる。ごしゅじんさまのそこから、すごくすごくおいしい、あまい、いいにおいのする、すてきなものがでてくるんだって・・・。



「あおーーん・・・」


 わたしはごしゅじんさまのうでから、するりとからだをぬくと、ごしゅじんさまのめのまえのゆかにちょこんとすわって、せすじをぴっとのばす。ごしゅじんさまのももともものあいだ、そのふくらみのまえにかおをちかづけて、ごしゅじんさまのめをみつめながら、しっぽをうごかしておねがいする。


「あおーん、あおーん・・・」


 どうか・・・どうか、なめさせてください・・・。
 


 ごしゅじんは、わたしがなにをしたいのかがわかったみたい。ちょっとわらって。
「・・・かわいいやつだな。欲しくなったのか?」
「わん!」
 わたしはしっぽをパタパタふろうとして、おしりをうごかす。

「・・・そうか、そしたら少し大きくなってもらおうかな、子犬のままだとお前はぶきっちょだからなぁ・・・」

 ごしゅじんさまはそういうと、わたしのめをふさぐようにてをあてる。

 まっくらになってびっくりしているわたしのみみに、ごしゅじんさまのやさしいこえがはいってくる。

 
「・・・さぁ、ローズ。今から5つ数えると、お前は成長する・・・成長して大人の牝犬になる。気高く、美しく、ご主人様の命令に忠実で勇猛な護衛犬に・・・それでいてこの上なく淫乱な発情期の牝犬に・・・」

 ・・・おとな?わたしはこいぬだよ?わたしのあたまのなかで『?』がうかんでいる。

「・・・お前は何も考えなくていい。ただ眼を開けると、自然にそうなってる。さぁ。安心して・・・深く眠るんだ・・・」


 ・・・ごしゅじんさまが、そういうから、わたしはすわったまますぅっとめをとじて・・・・・・あたまのなか・・・・・・が・・・まっしろに・・・なって・・・。





 ・・・。
 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・。



 ・・・すこしずつ・・・少しずつ・・・。
 ・・・・・・わたしの意識が・・・ふわっと浮かび上がってきて・・・・・・どこか遠くで聞こえていた声が・・・近くなって来て・・・。


「・・・3、4、5!」

 パチン。


 指の鳴る音で私はふっと目覚めた。


 あれ?・・・私はどうして・・・。

「どうした?ローズ。私のことを忘れてしまったのか?」

 目の前に座っている人の顔を見上げる。
 ・・・忘れるはずがない。私のご主人様だ。

「あおん!」

 ・・・そう、私はご主人様の犬。
 普段はご主人様にご奉仕して、いざとなれば命を懸けてご主人様をお守りする。それが、ご主人様を護衛するために生まれてきた、私の務め。

 そして・・・。

 私は視線を落とし、剥き出しになったご主人様の下半身に視線をちらっと向ける。
 昨日も私の体をぐしゃぐしゃ蕩かした、逞しいご主人様の肉が、服の下で膨れ上がっているのが見える。

 ・・・そう、思い出した。私はご主人様に『ご奉仕』しなくてはいけなかったんだ。

「・・・あぉ〜〜ん」

 私が甘えるような声を出すと、ご主人様は微笑んで、ゆっくりとズボンを下ろす。私の目の前にご主人様の膨らんだモノが飛び出してくる。

 ごく・・・。
 つばきを飲み込む。
 見てるだけで心臓がどきどきする。
 口が開いて、舌が伸びる。
 息が荒くなる。
 ・・・アソコがじわっと滲んで、せっかく着させてもらった服が・・・濡れちゃう・・・。

「あふ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 ・・・本当は今すぐにでも頬を寄せたい。舌をあのぷっくりと赤黒くふくあがった肉にまとわりつかせて、涎を流しながら、唇全体で包み込みたい。匂い立つ液で唇と口を濡らして、喉奥に白い精を注ぎ込んでもらいたい。

 でも、私は精一杯我慢する。
 ご主人様の指示無しで、動いてはならない。
 それが私の義務だからだ。
 

「・・・・・・」
 ご主人様はじっと黙ったままだ。

 ご主人様の先っぽから、透明の汁が滲み出ている。
 ご主人様も、きっと、気持ちよくなったんだ。
 多分・・・私を・・・触った時に・・・。
 そう考えるだけで、私のお腹の下の方がきゅっ、っと疼いて、思わず太腿をくねらせてしまう。
 

 駄目、動いたら駄目。ご主人様の指示無しで動くような、そんないい加減は許されない。
 私はご主人様にきちんと躾られたのだから。ご主人様がお預けをしている間は、動かないで待つ。そういう躾を。

 ・・・そして、ひとたび合図があれば、ご主人様に自分の持っている全てを捧げて、この上なく気持ちよくして差し上げる、そうした躾を・・・。


 私は、気が遠くなりそうになるのを我慢しながら、体の疼きに耐えながら、ご主人様の指示を待ちつづける。


 どれくらいの時間が経っただろうか。

「・・・よし、始めろ」
 ご主人様はパチンと指を鳴らした。

「わおん!」

 私はご主人様のところまで這いより、首を伸ばして、唇で軽くご主人様のモノに口付けをする。先に出てきた液を舌先で掬い取り、そのまま全体に液をまぶす。舌先でまんべんなくれろれろと舐め回した後、伝うように顔を動かして、茎の部分を唇でそっとくわえながら、舌先を押し当てていく。その間も、空いた手でご主人様の袋を軽く揉んでいく。ふにょふにょと不思議な感触がするのが少しだけ面白い。

 だんだんご主人様の先っぽから出てくる液の匂いが強くなってくる。私はその匂いに誘われるように、もう一度御主人様のモノの頭に滲み出た液を舐めとって、今度は唇全体で咥えこみ、マッサージをするように唇をすぼめたり緩めたりしながら、口の中で舌全体を使ってご奉仕をしていく。苦いような、甘いようなその液の味。思わずごくっと飲んでしまうくらい、口の中から唾液が湧き出てくる。

 
 その間、ご主人様は私の耳や髪の毛をさわさわと擦ってくる。私の弱いところを御主人様は全てご存知だ。私はご奉仕を途切れさせずに、御主人様の責めに耐えなくてはならない。私は気を紛らわせるためにいっそう激しく口を、舌を、唇を動かすけれど、それがかえって私の体の中の火照りを加速させ、自分のいやらしい部分から溢れる液が止まらなくなる。


「やれやれ、優秀な番犬かと思ってたが、とんだいやらしい牝犬だ・・・」
 御主人様は足の指を使って私の一番いやらしいところにある敏感な突起をいじくる。
「んんん・・・!んふ・・・じゅる・・・んく・・・」
 思わず悲鳴をあげそうになるのをを必死で堪えて、喉奥まで御主人様のものを飲み込んで、頬をじゅぱじゅぱと膨らませりへこませたりしながら、口の全てを使って御主人様を刺激する。


 もっと、もっと気持ちよくなってほしい。ご主人様に気持ちよくなってもらいたい・・・。

 私はただそれだけを念じる。そうしないと、あまりの気持ちよさに気を失ってしまいそうで・・・。

 ずぷ・・・じゅぷ・・・じゅる・・・・・・・じゅ・・・じゅく・・・。
   じゅく・・・じゅく・・・・・・・・・・ぬちゃ・・・ぬちゅ・・・じゅる・・・ちゅ・・・。

 御主人様のものと私の舌が、液と液が絡み合う音。そして私の淫液まみれになった御主人様の足の指が、私のいやらしく濡れそぼった襞と花芯をくちゅくちゅと弄くる音。そして私の鼻をならす音。それらが交じり合い・・・。

 御主人様が私の頭を両手で掴み、立ち上がった。

「そろそろ・・・いくぞ・・・」
「んん・・・じゅ・・・あふ・・・」

 御主人様が腰を自分でゆっくりとねじるように動かしながら、私の喉奥をつくように、私の顔を前後に激しく動かす。私はその動きに精一杯ついていこうと努力しながら、更に激しく舌を、唇を、頬を、指を動かす。

 じゅく、じゅく、じゅ、じゅ、じゅ、じゅ・・・。音の間隔がどんどん短く、そしていやらしくなっていく。唾液と舌が私の口の中でどろどろに融けあって、まるで煮えたぎったスープのようになっていって・・・・・・。


     注いで・・・御主人様・・・わたし・・・わたし・・・もう・・・。


 まるで自分の蜜壷を貫かれているかのように、私の頭も真っ白になっていく。

「く・・・出すぞ・・・・・・・」
 御主人様が最後にひときわ大きく私の喉奥を突いたその瞬間。


 ・・・どぷ・・・どぷどぷ・・・どくどくどく・・・どく・・・。


 御主人様の精が私の喉いっぱいに注ぎこまれ・・・。

「んふ・・・んく・・・ごく・・・ごく・・・。んは・・・あふ・・・」
 私は溢れ出しそうになるその粘液を零さないように懸命に飲み込む。

 放出した御主人様のモノは、少し小さくなって私の唇から出てくる。私のよだれと精液でぬらぬらに濡れたその肉を、私はぺろぺろと舐める。

「・・・どうだ、味は・・・」
「あふ・・・あぅん・・・ぉおん・・・」
 ・・・美味しいです・・・と伝えたかったけれど、喉の奥はねばねばしていたし、私の頭も真っ白になってて、上手く声が出てこない。

「ふふ、目つきがもう蕩けているな。さて、今度はお前の体を味あわせてもらうぞ」
 御主人様はそういうと、私を床にあお向けに寝転がす。

「はう・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 もう・・・駄目・・・。我慢・・・できないよぅ・・・。

 私はぼんやりと御主人様を見上げながら、反射的に両手を曲げて、両足を曲げたまま股を開く。下半身が疼いて、止めようとしても腰や腿も勝手に動いてしまう。

「・・・やれやれ、いやらしい格好だな。それは降参のポーズ、というやつか?もう我慢はできないのか?」
「く、くぅーん、あおーん・・・」
 本当は御主人様からお許しが出るまで、私は股を開いてはいけない。けど・・・もう・・・我慢・・・できないよぅ・・・。

「あふ・・・あぉーーん」
 −−御主人様。お願いします。挿れてください。
 はしたない望み抱いたみだらな格好の私を、御主人様はしばらく見下ろしていたが、やがて、私に近寄ると、首筋に唇を寄せる。
「んあ・・・ああああ・・・・」
 もう体中が性感帯になっている私の背筋に稲妻が走り、御主人様をがしっと両手両足で抱きしめる。

 御主人様は、私の服のボタンをむしり取るように外す。薄い白い布は簡単にはだけて、汗ばむ私の肌が晒される。私のいやらしさを象徴するかのよう、恥ずかしいくらいにいやらしく胸の先の突起が勃ちあがっている。


 御主人様はそんな私の胸の先に舌を寄せて、ちろちろと舐る。

「あん・・・あうぅ・・・」
 私は恥ずかしくて、でも気持ちが良くて、もう目をつぶって御主人様を抱きしめることしかできない。御主人様はそんな私のあらゆる場所を両手で触りながら、右も左も、胸をちろちろと舐めて、次第にそれはお腹に、腰に・・・そして、股の間の襞に到達して・・・私のいやらしいところにある豆を唇でつまむようにして、

「きゃふ・・・あふ・・・んあはぁ・・・・・・」

 舌先で雌蕊が刺激された瞬間、あまりの衝撃に私は背筋が反り返り、腰を御主人様に突き出すようになって、そのままへたりこむ。

「おっと、軽くイってしまったようだな。お楽しみはこれからだぞ?・・・・・・・こ・・・れあ・・・・・・・・・・・んだ・・・」
 
 ・・・御主人様がふにゅふにゅと私の胸を揉みながら何かを囁いているけど、もう頭が真っ白で何がなんだかわからず、なされるがままになっている。ときどき御主人様の指や舌が私の敏感なところに触るたびに「あふ・・・」とか「んん・・・」とか、弱々しい声をあげることしかできない。


 そうこうしているうちに、私のあそこに熱い、柔らかくて、それでいてしなやかな硬さをもった何かが突き立てられて・・・。

「ふわぁ・・・んん・・・」
 御主人様が私の中に挿れたのだ。激しく突き上げてくる動き。
 ずちょ、ずちょずちょ、ぬちょ・・・。
 わたしのどろどろになった裂け目が御主人様の太い肉棒で押し広げられ、粘液が飛び散り、肉襞がまたそれに吸い付くかのようにぬちょぬちょといやらしい音を立てる。

 じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ・・・。

 私の体中が敏感になって、毛穴が総毛立つ。御主人様が肌を舐めると、それがどんなところであっても首筋がチリチリするような、そんな快感が走る。

「あ・・・あふ・・・あうん・・・」
 私は御主人様の腰を自分の両足で挟み込み、ただ意味の無い声を出すことしかできない。
 もっと、もっと、もっと、もっと・・・。
 頭の中では、ただ、それだけしか考えられない。

 御主人様のスピードが上がる。御主人様ももう限界なんだろうけど、私はとっくに限界を超している。もう既に何回か軽くイッてしまって、更にその上に到達している。
 もう体中が何がなんだかわからなくなってる・・・。

「ローズ・・・お前はこれから一生俺の犬だ。身も心も俺に捧げる忠実な犬だ・・・そうだな?」
 御主人様が激しく私を突き上げながら、私の耳元でそうささやく。
「あおん!あふ・・・あう・・・んんんんん・・・」
 もちろん、もちろんです。私は、ローズは、一生、御主人様の、犬、です・・・。
 私はよく動かない口を一生懸命動かして、そう伝える。

 御主人様、御主人様・・・一生・・・お慕い申し上げます・・・・・・。

 そんな思いを込めて御主人様の肩を甘噛みする。

「く・・・いくぞ・・・」

 ずちょ、ずちょ、ずちょ、ず、ず、じゅじゅじゅ・・・じゅく!・・・どく、どくどくどく・・・。

 さっき口に出したより更にたくさんの精液が、私の膣中一杯に広がって、お腹の奥まで届く。





 あ・・・いっぱい・・・はいった・・・。





 ・・・わたしは犬だから・・・ご主人様とは違うから・・・無理だけど・・・。
 ・・・・・・ご主人様の子供を・・・産めたらいいのに・・・。

 私はそんな馬鹿なことを考えながら、気だるい幸福感に包まれて、御主人様をぎゅっと抱きしめた。







 御主人様は私の体を拭いてくれる。お返しに御主人様のモノは私が舐めて差し上げる。
 いつの間にか、終わった後はこうするルールになっていた。

「さて、ローズ。今日はお前にご褒美をやろう」

 ごほうび?

 私が首をかしげると、御主人様は紙袋から、何か長い紐のついた丸い輪っかを取り出した。
「結構上物だからな。高かったんだぞ?」

 御主人様はそういうと、私の首にそれをつけてくれた。

 ぱちん。
 金属音とともに、留め金がかかった。


 それは、金属の留め金のついた、真っ赤な革の首輪だった。

「・・・さっき誓ってくれたからな。それが、俺の犬である証だ」

「あうん!」

 私はあまりのうれしさのあまり、思わず耳をぴくんと立てて、尻尾を振る。


「たとえ何があろうとも、この首輪がある限り、お前は俺の牝犬だ。・・・それをお前が望むなら、な」
「あん!」

 もちろんです。私は、私はそれだけを望んでいます。永遠に私はあなたのモノであることを・・・あなたにお仕えできる牝犬であることを・・・。


 私は、鼻をくすぐる革の匂いと、首筋を刺激するその独特の感触に酔い痴れながら、御主人様を見上げた・・・。






 だから・・・だから・・・私のそばからいなくならないで・・・・・・・。






 






 私の意識はそこでふっと途切れる。




















 









「ん・・・・・・・」
 私は目を覚ます。朝の日差しだ。
「あ・・・れ?」
 そこは固い床でもなければ、剥き出しのコンクリ張りの牢獄でもなかった。

 清潔で柔からいベッド。枕元には目覚し時計。大きな窓にはカーテンがかかっていて、柔らかい朝の日差しを受け止めている。
「・・・夢・・・か・・・」
 
 体中に汗をかいている。寝汗、というには、あまりにひどい。
 いや、ひどいのはそれよりも・・・。

 手を伸ばして、自分の敏感な部分に触ってみる。
「ん・・・」
 自分の下半身に鈍く甘い痺れが走る。
 まるで、激しい自慰をした後のように、そこはひどく濡れ、そして、過敏になっている。
 私は慌てて手を引っ込めた。

 
 そして、思わず首筋に手を寄せる。
 もちろん、そこには何も無い。ただ、汗で濡れた皮膚の感触があるだけ。




「・・・・・・最悪・・・」

 "由佳"は、虚脱感に襲われて、そのまままた、布団の中に体を沈みこませた・・・。






       




 今日のような夢をみるのは初めてではない。
 ネメシスを打ち倒してから、しばしば見ている夢だ。

 あの男に洗脳されていた時のことは、よく覚えている。
 

 あれは悪夢だった。

 
 学校で、洗脳された碧と朱美にアロマテラピーを装ってクスリを嗅がされ、電話越しにあの男に暗示を入れられた。不意打ちとはいえ、油断があったことは否めない。
 そして、彼によって快楽の絶頂に導かれ、通常の精神状態ではなかったにせよ、自らの選択として彼に隷属することを択んでしまった。
 
 その後は・・・彼に操られること、そして彼の性の奴隷として、雌犬として仕えること・・・その素晴らしさと快楽を骨の髄まで叩き込まれた。


 無論、結果的にネメシスをチキュウから追いやったことは確かだが、それもあくまであの男が自主的に自分たちの洗脳を解除したからだ。そうでなければ、自分は今でも彼の犬であっただろう。
 情を掛けられたも同然であることが、由佳にとっては何よりも屈辱的なことだった。
 

 もちろん、あの後何回も自己カウンセリングは行った。その甲斐もあってか、あの直後よりはずっと今のような淫夢を見る回数も減った。


 だが、たまに見る夢は回数が減ったせいか、その分濃厚で・・・。

 

 バチン。
 由佳は自分の頬を手で叩く。
「もうあれは終わったこと。・・・二度と、負けるものですか・・・」
 由佳は自分自身を鼓舞するかのように、そう呟いた。
 
 
 幸い今日は休日だった。由佳はシャワーで汗を洗い流すと、朝のコーヒーを飲みながらメールをチェックする。これが彼女の習慣だった。
 いくつかスパムメールを処理していると、ふと由佳の手が止まる。
 一見すると単なる文字化けのスパムメールにしか見えないが、由佳にはその文字配列に見覚えがあった。

 由佳は解読ソフトにそのメールを放り込むと、瞬時にメールは変換された。

「・・・これは・・・」
 彼女の視線は久しぶりに見るその差出人のアドレスとメールの内容に釘付けとなった。
 


    


 
 アポイントの場所である都心のとあるコーヒーチェーンに由佳が入ると、彼女は人目でお目当ての人物を見つけ出した。

「おはよう、ヒルダ」
 そう話しかけると、ヒルダと呼ばれたその女性は、サングラスを外す。鋭い眼光が、由佳に笑いかけた瞬間に、ふっと和らぐ。
「・・・久しぶりだな、ローズ、元気だったか?」
「おかげさまで」
 由佳はその女性の前に腰を下ろした。


 身長は、おそらく由佳よりもやや高い。シルビアと同じくらいだろう。ブロンドヘアとヘイゼルの瞳は、彼女が西洋系の血筋を引いていることを示しているが、シルビアとは対照的に、髪の毛は短く揃えられている。白いシャツと黒いパンツが、そのスレンダーな体躯によく映える。もちろん美人なのだが、どちらかといえば、宝塚の男優に近い空気が漂うせいか、男性よりはむしろ店内の女性の視線を独占している気がする。


「相変わらず目立つわね。貴女は」
「・・・何のことだ?」
「・・・いいわ、こっちのこと、気にしないで」
 彼女はこういうことに疎い。そういったところも由佳が彼女を好ましく思う理由の一つだ。
「もうシルビアには会ったのか」
「ええ。素敵な挨拶をして頂いたわ」
「・・・・・・申し訳ない」
 突然ヒルダは頭を下げた。
「やめてよ、頭を上げてくれない?ヒルダ」
「・・・しかし・・・面目ない。私がなんとしてでも止めるべきだったが、気づくのが遅かった」
 ヒルダは申し訳なさそうに顔を上げる。

 ヒルダはシルビアと同様、司令の職についている。実力的には決してシルビアに引けをとらない彼女は、シルビアとは対照的に質実剛健、表裏の無いきっぱりとした性格だった。ローズが向こうで勤めていた頃、さまざまな言われない中傷を受ける中でも、ヒルダは一人ローズを擁護し続けてくれた。ローズにとって数少ないヴァルキリーとしての友人でもある。

 シルビアはヒルダが海外へ長期視察に出ている隙にローズに対する審問を具申したのだという。ヒルダが気づいた時には時既に遅く、シルビアの監督をする役回りで日本に来るのが精一杯だったのだという。

「ヒルダの気持ちはわかってる。本当にありがとう」
「私は陰口は好まないが・・・手段を選ばない彼女のやり方はどうにも好かない。大義が無さ過ぎる。第一お前がヴァルキリーを裏切っただなんて、荒唐無稽もいいところだ。・・・ローズ。油断するなよ。彼女は煙の無いところに火をつけることを決してためらわないからな」


「・・・ええ。気をつけるわ」
 ヒルダの分析は的確だ。おそらくシルビアは目的のためには手段を選ばない。
 だが、今回に限っては、その推測が彼女の悪意に端を発しているとはいえ、ヒルダよりシルビアの方が遥かに真実を捉えている。
 心から自分を思ってくれている友人に嘘をつかねばならない不条理を、由佳は心苦しく思った。

 由佳の瞳を見つめながら、ヒルダは少し躊躇った後、口を開く。
「正直、このことをお前に話すべきかどうか、お前に会うまで少し迷っていた。だがそれは杞憂だったな。・・・実は、シルビアはお前を審問にかけることになっている」
「それは知ってるわ」
「・・・言っておくが、ただの審問じゃないぞ」
「・・・?それは・・・?」
「考えるだけで反吐が出そうなことさ」
 ヒルダは吐き捨てるようにそう言った。


  
■(6)■


 
 次の日、学校で由佳は碧を呼び出す。シルビアとフィロメアの監視がある可能性を徹底的に警戒して、二人がオフィスにいることを見計らっての行動だ。

「・・・先生、ご用でしょうか?」
「・・・ええ。貴方にしてもらいたいことがあるの」
 
 由佳の頼みを聞くと、碧は不安げな表情を浮かべた。

「・・・・・・先生のおっしゃることはわかります。しかし、私にできるんでしょうか・・・」
「大丈夫。あなたならできるわ」
 由佳はにっこりと微笑む。
 しかし、碧はそれでも浮かない顔をしている。
「どうしたのよ。いつものあなたらしくない。朱美と一緒にクラスをきりきり言わせている時の度胸はどうしたのよ。大丈夫、別に特殊な技術がいるわけじゃないから」
 俯いていた碧は、顔を上げて由佳を見つめる。
「・・・先生。・・・・・・・先生は、・・・・・・私を、信じていいんですか?」
「・・・何を藪から棒に。信じてない人間に、背中を預けて戦える?私はいつだって、貴方と朱美を信じてるわ」
「・・・・・・・・・・わかりました・・・」
 思いつめた表情をしていた碧は、由佳の言葉を聞いて、ようやく微笑んだ。



    
(7)




 その次の朝、土曜日。
 せっかくの休日の朝、昨日とは違い夢を見ることもなく、ベッドの中で心地よいまどろみを味わっていた由佳の鼓膜を控えめな、それでいて攻撃的なドアベルの音が揺さぶる。

「・・・頼まれないのにモーニングコールとは、ずいぶんとサービスがいいのね」
 ナイトガウンを羽織った顔を洗って髪の毛を湿らせただけの由佳は、チェーンを掛けたドアを小さく開けて、精一杯の嫌味を言ってみせる。
 由佳とは対照的に、スーツ姿の金髪の美女は、クスリと笑ってその言葉を受け流す。
「・・・デマエジンソク、ってやつかしら、あなたの国の言葉で言うと」
「・・・どちらかというと夜討ち朝駆けだと思うけどね。まさか、新聞配達をしにきてくれたわけじゃないでしょ?」
「そうね、もっと爽やかな朝に相応しいものよ。・・・フィロメア」
 ブロンドヘアの先を指でかき回しながら、シルビアは影のように付き従う少女を見やる。今日の彼女は白いツーピースだ。シースルーの刺繍が所々にあつらえられたその服は、彼女の華奢な体躯に密着して、独特の雰囲気を醸し出している。
 フィロメアはスカートの中から封筒を取り出すと、『召喚状』とそっけなく書かれた書面紙切れを取り出し、由佳に差し出す。

「着替えくらいはさせてあげるわ。5分以内に出てこなかったらこのドア蹴破って踏み込むから、それまでに出てきなさい」
「大家さんにしかられるからそれだけは勘弁してほしいわね」
 シルビアは長い髪の毛を指に絡ませながら、辺りを見渡して曰く、
「まったく、ヴァルキリーの総司令ともあろうものがこんなウナギの寝床に良く住んでられるわね。沽券にかかわるわ」
「枕が変わると眠れなくなるようなお嬢様と違ってね、結構頑丈に出来てるの、私」
「・・・最近は寝られるようになったわよ」
「・・・誰も貴方がそうとはいってないわよ」
 
 シルビアは由佳を睨んでいたが、さすがに大人げないと思ったのか、
「・・・あと4分よ」
 と短く言い放つと、ドアをガチャンと閉じた。



  



 
 シルビア、フィロメア、由佳の3人は、普段は使われない別館の会議室−−ここも完全防音で、ほとんどの職員には存在すら知られていない−−のドアを開ける。

 そこの部屋の会議卓は片付けられ、中央には革張りのソファーが向かい合わせでしつらえてあり、脇にはいくつかの資料が載せられた机が置かれている。

 部屋には誰もいない。ただ一人を除いて。

「・・・あら、貴方も来てたの」
「当たり前だ。お前の監督をするのが私の役目だ」
 鞘に納められた長いサーベルを抱え、部屋の片隅に座っているは、ヒルダであった。今日もブラウスにパンツルックに、ナチュラルメイクという出立ちだ。

 彼女がいることは想定内だったのだろう。意に介すること無くシルビアは由佳にソファに座るように促し、自分もその向かいに座った。

「・・・さて、一応、条件は伝えておきましょうか。私はあなたに今から自白剤を注射して、ちょっとした質問をすることになるわ。薬の後遺症や副作用の心配はないから安心して。もちろん、この審問はあくまで事実の確認のために行われるものだから規定以外のプライベートの質問はされない。あと、あなたの信頼するヒルダもここに控えてるし、この審問を録音したビデオはあなたに後で無編集でお渡しするからご心配なく。・・・たった1時間であなたの容疑がすべて晴れるんだから、楽なものでしょ?」
「丁寧な説明ありがとう。で、私への容疑って何かしら?」

 シルビアは手元のコピー用紙を捲り、

「まずは報告を怠ったということで報告義務違反。そして前線を許可無く離脱したということで職務遂行義務違反。ヴァルキリー部隊の機密を漏らしたということで秘密保持義務違反。部下の裏切りを唆しネメシスと共謀して組織的な反逆を試みたということで反逆行為の指揮・扇動及びそれに伴う破壊行為。そして『ヴァルキリーとしての品位を汚す行為』・・・」
「・・・どれも覚えがないわね」
「今ので虚偽報告も追加ね」
 うっすらと微笑みながらペンを走らせるシルビア。
「・・・ところで、品位を汚す行為って具体的に何かしら?」
「・・・・・・・・・・私の口からはとても言えないわ。そこに座ってる、貴方のことがとてもお気に入りのお姉さんがきっと怒り出すでしょうし、ね。・・・どっちみち、すぐにわかることよ」

 その時、部屋に金属音が響き渡る。
 今まで沈黙を守っていたヒルダがサーベルの鍔を鳴らしたのだ。

「・・・シルビア。分かってると思うが、お前が妙な振る舞いをしたら、即座にお前を斬る。仮にも彼女は『総司令』で、私達の上官だ。根拠もなく侮蔑するような振る舞いは私が許さない。分かってるな?」

 ヒルダのサーベルは、勿論刃をつぶしてある。しかし、彼女の魔力を充溢させれば、あらゆる鋭利な刃を越える切れ味となる。

「あらあら怖い。私が妙な振る舞いをしたことなんか今まであるかしら?」
「・・・『発覚』したことが無いだけだ」

 苦々しく言い捨て睨みつけるヒルダの視線−−指揮下のヴァルキリー達には『石化の魔眼』と呼ばれ恐れられている−−を涼しげに受け流すと、シルビアは再び由佳に向きなおる。

「さて、ローズ。もちろんこの審問を受けて頂けるのかしら。何なら今から逃げ出してもいいのよ?」
「・・・もちろん。別にやましいことなんて何もないから」

 由佳の反応が面白くなかったのだろう。シルビアは少し表情を強張らせる。

「・・・一応、親切心から言っておくけど、この薬を甘く見てもらっては困るわよ」
「・・・甘いも何も、今までどおりの返事をするだけですから。私は」
「・・・・・・いいわ。後で後悔しても遅いわよ」

 シルビアが目配せすると、フィロメアは滅菌された小さな注射器をビニール袋から取り出し、いくつか並ぶアンプルの中の一本から手馴れた手つきで液体を吸い出すと、シルビアにその注射器を手渡した。白い服に白いカチューシャをしているせいか、あたかもシルビアに仕える看護婦のようにも見える。

 アルコールをしみこませた脱脂綿で由佳の腕を殺菌しながらシルビアは、
「何なら抵抗してもいいのよ、ローズ総司令殿。物理的な抵抗じゃないなら許してあげるから」
「無駄なことはしないわ、さっさとやりましょう」
 由佳の落ち着き払った様子にシルビアは少しだけ眉を不愉快そうに動かしたが、すぐにいつもの不敵な笑いに戻る。
「それでは、良い夢を・・・」
 由佳の白い腕に針が刺さり、透明な液体がゆっくりと注がれる・・・。







 数分後、外見上は眠ったように見える由佳に、シルビアが優しい声で問いかける。
「・・・さて、ローズ総司令。眼を開いてもらえる?」
 由佳の瞼がぴくん、と震え、ゆっくりと開かれる。その眼はおぼろげで焦点が定まっていない。
「・・・さて、これからは敬称は省略させてもらうわ。私のことが見えるかしら、ローズ」

 シルビアは座っている由佳の脇に立っている。由佳はちょうどマッサージチェアに座っているような形になっているので、自然にシルビアを見上げる形になっている。

 由佳の瞳がわずかに揺れて、シルビアの顔を捉えた。
「・・・・・・はい・・・」
「・・・これから貴方にいくつか質問するわ。貴方はそれに答えなくてはいけない。何も考えなくていいの。貴方は聞かれたことに対して素直に、本当のことを答えてくれればいい。いいわね?」
「・・・・・・はい・・・」

 由佳の声に意思は無い。シルビアは由佳の頬を細く白い指で軽く撫ぜながら、唇を歪ませた。

「・・・そう、いい子ね。・・・それではまずは簡単な質問から。貴方の名前は?」
「・・・清水・・・由佳・・・」
「・・・あなたの仕事は?」
「・・・英語の・・・教師をしています・・・」
「・・・他には?」
「・・・・・・・」
「言うのよ」
 少し低い声になったシルビアの声に圧されるように、由佳は口を開き、
「・・・・・・ヴァルキリーの、・・・総司令を務めています・・・」
「・・・そう、素直に答えればいいのよ」
 シルビアの声はまた柔らかくなり、再び由佳の頬を撫ぜる。

 だが、由佳はシルビアの愛撫には全く反応せず、そのガラスのような瞳は虚ろにシルビアの表情を映すに過ぎない。

「・・・ローズ。貴方の初恋は?」
「・・・・・・・中学生の頃、です」
「初めてのキスは?」
「・・・高校2年生・・・」
「じゃあ初体験は?」
「おい!シルビア!貴様・・・!」
 怒鳴り声と共に席を立ちかけたヒルダを制するかのように、フィロメアがその動線に音も無く立つ。両手には銀の光を照り返す小さな刃。
 
 ヒルダの動きが止まったその時、由佳の口は動き、
「・・・大学1年の時です」
「・・・そう、意外に普通なのね」

 シルビアはヒルダに視線を向け、

「安心して。あくまで、これは彼女にクスリが効いているかどうか、確かめてるだけよ」
「・・・関係ない質問はこれ以上許さん。これは監督官としての命令だ!」
「・・・・・・了解。でもね、ヒルダ・・・これくらいでそんなに顔を朱くしたり青くしたりしているようだったら、もう部屋から出た方がいいわよ。これからの話は、純粋な貴方には刺激が強すぎると思うから」
「・・・・・・何のことだ」
 ヒルダが訝しげな視線に、シルビアは婉然と微笑み返す。
「・・・すぐにわかると思うわ」
 シルビアは人形の様に虚空を見つめる由佳の頬を再び撫ぜた。





続く



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