(注意:この話はエピローグ・ルピア&エピローグ・ローズが完結した後の時間軸のエピソードですので、その点を踏まえてお読みください)







50万ヒット記念〜エピローグ・ルピア〜おまけ(前)







 ある平日の、それはそれは平凡な藤谷家の朝の食卓。  自分の食事を食べ終え、碧が流しで洗いものを始めると、突然、彼女の後ろの食卓から、

「碧」
「・・・なんですか?」
「オヤコドンを喰いたい」


 ガチャーーーーン!

 派手な音を立てて碧の足元に皿が落ちる。幸い金属製だったからよかったものの、これが瀬戸物だったら大惨事だ。

 
 碧は後ろを振り向き、不埒な発言をする男を睨みつける。
「・・・・・・あなたは、いったい朝っぱらから何言い出すんですか?」
 しかし男は意に介した風も無い。
「まずかったか?」
「・・・まずいも何も・・・私、昨日、あんなに頑張って・・・ちょっと恥ずかしかったけど、でも・・・その・・・いつもより・・・・・・だったのに・・・」
「昨日の夜?ああ・・・まあ昨日の夜も悪くは無かったな。だが、たまには趣向を変えてみるのもいいんじゃないか?」
「・・・で、でも、・・・お、お母さんだって・・・」
「悠子?」
「な、馴れ馴れしく呼び捨てしないでください!!」
「じゃあ悠子ちゃん」
「『ちゃん』もダメです!」
「・・・意外に親離れできてないんだな、お前」
「そういう問題じゃありません!その、いくらなんでも節操が無さ過ぎます!」
「そうなのか?いや、俺もチキュウの習慣についてそれなりに勉強はしているつもりなんだがな。オヤコドンを喰べるのはそんなに節操がないのか?」
「ありません!!!このチキュウに母娘丼おやこどんを食べる節操がある文明なんて聞いたことがありません!!!」
「でも、昨日外を歩いてたら立ち食いソバ屋のメニューにあったぞ?親子丼」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前、何と勘違いしてたんだ?」
「・・・知りません!!!」

 かこーん!

 碧の手からフリスビーの如くお盆がうなりをあげて飛び出し、その男、シモンの顎に命中した。





「・・・ふぁあ・・・今日は寝坊してしまいました。・・・あらあら、シモンさん。そんなところで昼寝をされて。一体どうされたんですか?」
 気絶して床に伸びているシモンが悠子に発見されたのは、それから30分後のことであった。







「・・・本当に、あの男は・・・デリカシーとかそういう概念が・・・ブツブツ・・・」
 学校からの帰り道、いまだに碧は怒りのオーラを充満させていた。今日はあの朱美すら近づいてこなかったくらいだから、他のクラスメイトは言うもおろか、である。
「・・・はぁ、まあ怒っても仕方ありません。所詮相手は宇宙人なんですから・・・・・・ただいま」
「あら、お帰りなさい」
 碧が家のドアを開けると悠子の声。既に玄関には食欲をそそる匂いが充満していた。
 台所に顔を出すと、エプロンを着けた悠子はリズミカルに包丁を動かし、野菜を切っている。
 テーブルの上には、山のように食材が載っている。ステーキ肉。魚。野菜。チーズ。デザート用のクリーム。ワインも普段よりずっと高級な雰囲気がする・・・。
「・・・今日はご馳走なんですか?」
「ええ、今日は特別なお客さんがいらっしゃるの」
「・・・ふぅん、どんな人?」
「それは来てのお楽しみ♪」
 悠子はにこにこしながら言う。まだ父が帰って来る日はまだ先のはずだ。仕事の知り合いの人でも来るのであろうか?碧は内心訝しげに思いつつも、
「・・・お母さん、もし良かったら、手伝いましょうか?」
「あら、助かるわ。そしたら準備してきてくれるかな?」
「・・・はい」

 普段着に着替えた碧は愛用のエプロンをつけて、悠子の指示の下、包丁仕事をしたり鍋の火加減をみたりと気ぜわしく働く。悠子には及ばないが、碧も相当の腕だ。
 
 1時間ほどして、おおむね仕込みが終わった頃、
「・・・これでだいたい下ごしらえはおしまい?」
 碧が手を洗いながら後ろにいる母親に話しかけると、
「・・・ええ、ありがとう。でも後もう一つ、大事な下ごしらえが残ってるの」
「え?」
 碧が振り向いた瞬間、その目をひんやりとした悠子の手が覆い、
「『私の愛しのルピア』」
 その言葉を聞いた途端、碧の意識はすぅっと遠のいた。





「・・・あれ・・・」
 碧の目が覚めたとき、既に部屋の中射しこむ夕日も弱々しくなっており、東の空は闇が支配しつつある頃だった。
「ここは・・・」
 エプロンをつけた普段着のままの碧が目覚めたのは、ダイニングルームとつながっているリビングルームソファの上。
 だが、一瞬口ごもったのは、どことなく部屋の内装の雰囲気が変わっていたからだ。ちりひとつないリビングとダイニングには、ところどころ花瓶やアンティークが飾られており、普段は使わないテーブルクロスがダイニングテーブルに掛けられている。
 
 ええと、学校から帰ってきて、お母さんのお手伝いをして・・・。

 碧が記憶を辿ろうとしたその時、悠子が姿を現す。
「碧、こんなところにいたんですか」
「・・・お、・・・おかあさん?」
 碧の言葉じりが疑問形になった理由は、悠子の服装だった。まず特徴的なのは襟元を飾る黒の蝶ネクタイ。白い長袖のブラウスの手首には銀色のカフスが輝いている。黒のノースリーブのベストは、形の良い豊かな胸をほどよく圧迫し、その丸みを帯びたラインを見る者にアピールするようなフォルムになっているものの、いやらしさよりも美しさを引き立てるようにデザインされている。
 そして膝上丈の黒のタイトスカートと光沢のある黒のストッキングは、普段ロングスカートで隠されがちな悠子のボディラインを惜しげもなく披露している。くびれたウェストから豊かな腰周りと太腿を経てきゅっとしまったふくらはぎへとつながるその長く美しい流線は、とても十代半ばの子供がいる母親のものとは思えないものだ。
 メイクも普段のナチュラルメイクよりも若干よそ行き風で、ファンデーションやシャドー、ルージュが若干色鮮やかになっているものの、けっしてけばけばしくない、清楚で清潔感の漂うもので、普段から若々しい彼女の容貌を一層瑞々しいものにしている。

 そう、高級ホテルのレストランの女性マネージャーかバーテンダーといえば近いだろうか。
 たとえ、碧がこの服装、このメイクをしたところで、この雰囲気は決して醸し出せないだろう。その生来の美しさに年齢からくる熟成が加わってこそのものだ。


 悠子は碧をたしなめるように、厳しく、しかし優しく、
「こら、ここではお母さんじゃないでしょ。マネージャーと呼びなさい、と言ってるでしょう?」
「・・・え・・・」
「寝ぼけてるの?そんな調子では、今日のお客様をお迎えできないわよ?」
 今日のお客様。その言葉で碧はようやく思い出した。

 そう、ここはレストラン。私とお母さんの二人で切り盛りしているレストラン。
 お客さんはそんなに多くないけど、とっておきの隠れ家、という触れ込みで雑誌に紹介されたこともあって、とっても評判がいい。毎日お客さんは引きもきらないけど、二人しか給仕できないこともあって、完全予約制をとっている。
 そして、今日は『大切なお客さん』が来るという話だった。それが誰なのか、お母さん・・・ううん、マネージャーは教えてくれなかったけど、とってもとっても大事なお客さんだから、心からおもてなしをしなくてはいけない。

「ほら、早く立って、着替えてらっしゃい。服は貴方のベッドの上に用意してあるから」
「あ、ごめんなさい。直ぐに用意してきます」
 碧は小走りに自分の部屋に向かうと、ベッドの上に用意された服を着始めた。



 しばらくして、
「・・・・・・・・・・・・マネージャー。・・・これでいいんでしょうか。・・・私、この服の着かたがあまりよく分からなくて・・・」
 碧がおずおずと自分の部屋から姿を現した。
 フリルのついた白いカチューシャが、彼女の長く艶やかな黒髪に映える。黒と白を基調とした、レースでふんだんに飾り付けのされているエプロンドレス−−あるいはヨーロッパの召使い風のドレスというべきなのかもしれないが−−は、少し丈が短めで、前かがみになったら下着が見えてしまいそうだ。膝上まである白のハイニーソックスとフリルのついたスカートとの隙間からは、健康的な白い太腿が顔をのぞかせている。
 悠子とは対照的な幼い雰囲気の服装。だが、その至るところから発育のいいスタイルが見え隠れしている。そのアンバランスさが独特の倒錯的な雰囲気と色気を漂わせているのだが、着ている本人はそのことに気づいておらず、むしろとまどいを隠せないでいる。

 悠子はそんな碧ににっこり微笑んで、
「いいと思うわ。とっても可愛らしくて、綺麗よ。でも、もう少し胸を張って。そんなに足ももじもじさせないで、堂々となさい」
「う・・・うん・・・で、でもマネージャー。これ・・・うちの制服・・・でしたっけ・・・」
 胸を張ると、その服の構造のせいだろうか、ニホンジンの平均より遥かに成長した胸がつんと上を向く。普段あまり胸の大きさをできる限りアピールしないよう細心の注意を払っている彼女にすれば、何よりも恥ずかしさが先立ってしまう。足回りも、少しヒールが高い靴のせいか、あるいは風通しが良すぎるそのスカートの丈の短さのせいか、どうにも落ち着かない。
「大丈夫。別にその格好で街を歩くわけじゃないわ。今日は特別なお客様だから、最上級の服装でお出迎えしなければ、失礼でしょ?」
「・・・はい・・・わかりました・・・」
「それと碧。今日は貴方が中心になってお客様をおもてなしするのよ」
「え?私が?」
「そう。お客様たってのご希望でね。あの方に選ばれるなんて、本当に光栄なのことなのよ。心してお仕えしなさい」
「・・・そんな・・・私なんかじゃ・・・」
 少し怖気づく碧に、悠子は優しく微笑みかける。
「大丈夫。貴方はお客様のお求めになることに何もかも忠実に、心の底からご奉仕すればいいの」
「何も・・・かも?」
「そう。貴方は今日一日、心も身体もその人のモノになるの」
「・・・こ、心も・・・身体も・・・?」
「ウェイトレスが、お客様にご奉仕するのは当たり前でしょ?」
 何を当たり前のことを、と言わんばかりの悠子の表情と言葉だったが、さすがに碧は違和感を覚える。
「で、でも・・・」
「碧。こっちを見て」
 悠子の瞳に、碧の瞳がすっと吸い寄せられる。
「・・・ウェイトレスは、時には器として、時には食材として、お客様に身も心もご奉仕するのが仕事なの。そうだったでしょ?」
 悠子の言葉は、碧の瞳を透過して脳髄の奥に沁みこんでいく。
「・・・・・・・・・・・・はい・・・」
 悠子はにっこり微笑むと、
「繰り返して。貴方のお仕事は?」
「・・・ウェイトレス・・・です」
「・・・どんなことをする仕事?」
「・・・時には器として・・・時には食材として・・・お客様に・・身も心も捧げる仕事です・・・」
 受け答えをしていくうちに、碧の心から違和感がすぅっと消えていく。表情も声も、どこかしら虚ろなものとなっているのだが、本人はそのことには気づかない。
「その通りよ。碧、できるわよね?」
「・・・・・・はい・・・大丈夫です・・・」
 虚ろな瞳のまま、碧はにっこりと微笑んだ。




 それから、二人は最後の料理の準備をして、『お客』の来訪を待ち受ける。


 ぴんぽーん。


 ドアホンがなると、マネージャー−−悠子がドアを開ける。
「いらっしゃいませ、お待ち申し上げておりました」
「・・・いらっしゃいませ・・・お待ちしておりました・・・」
 深々とお辞儀をする彼女たちの前には、若い、白いワイシャツの上にジャケットを羽織った男が立っていた。
 ・・・はじめて見る人だ。
 碧には見覚えが無かったが悠子とは随分と懇意らしい。二人の間で話が弾んでいく。

「久しぶりだな。相変わらず美しいね、マネージャー」
「・・・そんな・・・お上手ですこと・・・」
 妙に媚びた視線をその客に向ける母親を見て、なぜか少しだけ心乱れる碧に、その男が視線を向ける。
「・・・で、そちらが君の娘か」
「・・・はい。シモン様には初めてお目にかけるかと思います」
「・・・はじめまして。碧と申します」
 碧は改めて深々とお辞儀をする。
「いや、悠子君に似て、これまた大した器量だ。これじゃ、ますますこの店の予約を取るのが難しくなってしまうだろうね」
「そんな・・・シモン様でしたら、いつだってお店を貸切に致します」
「それは嬉しいね。では、あがらせてもらうよ」
「はい、こちらに。碧。シモン様の上着をお預かりして」
「・・・はい・・・」
 シモン・・・外国の人なんだろうか。碧はシモンのジャケットを預かり、クロークにかける。


 ダイニングは照明がしぼられてやや薄暗い。テーブルには白いテーブルクロスがかかっており、その中央には赤いキャンドルの炎が揺れている。
「本日のメニューは、ご連絡いただきましたとおり、当方のスペシャルをご用意しておりますが、それでよろしいでしょうか?」
「もちろん。よろしく頼むよ」
「ありがとうございます。では、お飲み物はいかが致しますか?」
「じゃあ、赤で」
「はい、かしこまりました。碧、ワインをお持ちして」
「・・・はい」
 碧は冷蔵庫に冷やされているワインを取り出し、ワインクーラーと共にダイニングルームへと運ぶ。

 ・・・ええと。確か、最初は少しだけお注ぎして、味見をしてもらうんですよね・・・。
 碧が自分の記憶を辿ってワインのコルクを抜き、グラスに注いで、
「・・・どうぞ」
 すると、悠子は、
「碧、そうじゃないでしょ。貴方がお客様に飲ませなくては」
 ああ、そうだった。何を勘違いしてのだろうか。
「・・・申し訳ありません。お客様」
 と、碧は赤いワインを湛えたグラスを捧げ持ち、その赤い液体を口に含む。碧の鼻腔にワインの甘く、かぐわしい匂いが広がる。
「・・・・・・んふ・・・んく・・・んく・・・」
 そのまま碧はその男の口に自分の口を寄せ、一気に零れださないように、少しずつゆっくりとワインを口移しする。
「・・・いかがでしょうか」
 少しぼうっとしながら、碧は男に問いかける。彼女の瞳がわずかに煙り、頬が紅く染まっているのは、ワインの効果だけではないだろう。
「・・・悪くない。だが、もう少し飲みたいな。頼めるかな?」
「・・・はい、かしこまりました・・・・・・」
 碧は再びワインをグラスに注ぐと、口を合わせる。さっきよりも更に長く、より口を深く押し当てる形になる。その口元からワインが少しだけ零れたワインは、あたかも一筋の血の帯のように彼女の滑らかな肌を滑り落ち、その白い喉から胸元に落ちていく。
「・・・んく・・・んく・・・んはぁ・・・・・・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・」
 少し長かったせいか息が足らなくなった碧が深呼吸をしていると、男は口元を軽くナプキンで拭いながら論評する。
「・・・うむ。なかなか素晴らしいワインだ。コクがありながら、決してえぐ味があるわけではない。円熟した味だ。・・・碧、でよかったかな。君はワインは嫌いかな?」
 あくまで男は優しい声で彼女に話しかける。
「え?・・・私は、まだお酒を飲める歳では・・・」
「・・・まあ、そう固いことを言わなくても良かろう。折角だ、君も少し味わってみたまえ。これほどの店のウェイトレスなら、ワインの良し悪しは覚えなくては、な」
 男はワインボトルを掴んでそのままラッパ飲みをすると、碧の体をぐいっと引き寄せて、その顎と首筋を抱きかかえるようにして、口を寄せる。
「・・・んんん!!」
 碧が抵抗をする間もなく、彼女の唇は男に奪われ、続いてワインが彼女の口腔を浸食する。赤ワイン独特のコクのある味が彼女の舌を麻痺させ、喉を灼き、胃壁を熱く焦がす。
 その男−−シモンは同時に彼女の柔らかくふくよかな身体を抱きしめる。片方の手はその豊かな胸を捏ね回し、もう片方の手はスカートの下に滑り込んでいる。その手の動きは、決して強引ではなく、碧の奥底に眠っている官能を少しずつ開かせるような動きだ。
「あ・・・あふ・・・」
 アルコールと思わぬ刺激に碧が甘い声を挙げはじめると、悠子が二人に近づく。この客の傍若無人な振る舞いを止めるでもなく、彼女はさも当たり前のように、
「・・・いかがでしょうか。当店自慢の『器』は」
 シモンは唇を離し、碧の髪の毛をさらさらと手櫛でかきあげ、わずかに汗ばむ白く柔らかな頬を撫でつつ、
「・・・うむ。悪くない。さすがは君が手塩をかけて今日まで育て上げた『器』だ。肌触りといい、この質感といい、全てが一級品だ」
「・・・ありがとうございます。『食材』としての味も素晴らしいものとなっておりますので、是非ご賞味ください」
「・・・なるほど。では早速」
「あふ・・・あぁ・・・や・・・んんん・・・」
 抵抗の声を挙げようとする彼女の口を、シモンは再び塞ぎ、今度は舌もねじりこむ。彼女の舌、歯茎、口腔に残るワインの残滓を舐めとるように舐ると、初めはわずかに抵抗していた碧も、いつの間にか自分の舌を絡ませてくる。さっきまでシモンの体から身をよじるようにしていた足腰も、いまやシモンの太腿の上にまたがる形になり、腰をくねらせて秘部から刺激を得ようとしている。
 そのまぐわいをどれほど続けただろうか。飽きることなくその口玩奉仕を続ける碧に対して、さすがに疲れを覚えたシモンが唇を離すと、唾液とワインが混じりあった糸が碧とシモンの唇を繋ぐ。
 その糸を指で絡み取りながら、
「・・・なるほど、唾液の味とワインの風味が混じりあって独特のコクが出ているな。しかも・・・」
「んはぁ・・・!」
 シモンの手はそのまま碧のスカートの下にもぐり、指が濡れたショーツをずらし、その奥の肉襞に触れる。ぬぷ、っという音と共に、その指はなんら抵抗なく碧の胎内に沈み込んでいく。碧の秘部があたっていたシモンの太腿の部分のズボンは、溢れ出した碧の体液ですっかり変色してしまっている。
「こんなに下の口も濡れてしまってる。フフフ、随分と敏感な『器』だな。それとも注いだワインが漏れ出しているのかな?おかげで私のズボンももうぐしょぐしょだよ」
「・・・んぁ・・・ぁぅ・・・」
 愛液で濡れた指を碧の唇を−−あたかも上質のヴェネチアン・グラスの縁を撫でるように−−シモンが撫で回すと、碧の舌はその指に触れるために彷徨いだす。
「・・・申し訳ありません。少々敏感になりすぎるきらいがあるようです。替えのズボンを用意させていただきますので、よろしければ、ズボンのお召しかえを・・・」
 悠子の申し出にシモンは、
「・・・そうだな。じゃあお願いするとするか」
「はい。碧。お客様のズボンをお取替えしてさしあげなさい」
「あ・・・は・・・はい・・・」
 とろん、とした目つきのまま、碧はのろのろと立ち上がると、シモンの前の床にしゃがみこむ。その右の太腿の上は自分の愛液で濡れてすっかり変色しており、碧の羞恥心を刺激する。
 碧は伏目がちに、シモンのベルトを外し、ズボンをゆっくりと下ろすと、その視界には下着に包まれた肉棒のふくらみが飛び込んでくる。
 シモンは、悠子からサーブされたオードブルのチーズを齧りながら、碧の様子を見ていたが、
「・・・随分顔が赤いな。酔ったのか?」
「いえ・・・その・・・」
 碧は目の前のふくらみをちらちらと見ながら、目を伏せてしまう。
「いかんね。客より先に酔ってどうするんだ?」
「あ・・・はい・・・申し訳ありません・・・」
 どちらかといえばシモンの怒張を見たせいだったのだが、さすがにそう答えるわけもいかず、碧はシモンの言葉を追認する。
 シモンは少し考え込む素振りを見せていたが、
「・・・確かにさっきのワインはやや強かったな。少し酔い覚ましをさせたほうがいいかもしれないな。ミルクや卵といったたんぱく質でもあれば胃にもよかろうが・・・」
「・・・お許しをいただけるなら、ミルクでも・・・」
 調理場に向かおうとする悠子をシモンは制して、
「いや、それには及ばない。ここにあるからな」
 シモンは自分の怒張を指差す。
「え・・・」
「ザーメンには酔い覚ましの効果がある。もし、お前が嫌じゃないのなら、飲ましてやるが、どうだ?」
「・・・え・・・」
 この下の・・・肉を・・・舐められる・・・ザーメンを・・・飲める・・・。
 そう考えるだけで、碧の下腹は再び疼き、愛液が染み出してくるのがわかる。

 嘘・・・私・・・そんないやらしいことなんか・・・できないはず・・・したくないはず・・・。
 したくない・・・・・・・はずなのに・・・・・・なんで・・・こんなに・・・。

 碧が悠子をちらりと見ると、悠子は静かに頷いた。
 碧は顔を火照らし、長い睫毛を震わせ、上目遣いでシモンを見つめながら、
「・・・私のようなものが・・・お客様の精を・・・賞味しても・・・よろしいのですか?」
「構わんよ」
「はい・・・ありがとうございます・・・」
 碧はうっとりと微笑むと、はやる気持ちを抑えながら、シモンの下着を丁寧に下ろす。隆々と膨れ上がった赤黒い肉棒を目の当たりにして唾をごくりと飲むと、まずその柔らかい唇をその茎に押し当て、陰毛に包まれた睾丸の襞を舌で広げるように舐め始める。独特の刺激臭が、碧の鼻腔と官能を刺激し、彼女の下腹を疼かせる。やがて、亀頭に向かって碧の舌が陰茎をゆっくり溯上していく。その間、陰嚢をやわやわと揉みしだくことも忘れない。赤黒い肉棒に、ナメクジが這ったような濡れた跡が残り、蝋燭の光を淫靡に照り返している。
 やがて、碧の舌はカリに到達する。うっとりした表情で、わずかに垢のついた亀頭の裏とカリを丹念に舐った後、くちゅ・・・ちゅ・・・ちゅ・・・ぴちょ・・・、と音を立てて鈴口に接吻し、ちろちろと愛しげに舌を這わせる。
 やがて、シモンを上目遣いでちらっと見た後、その小さな口を広げて膨れ上がったシモンの怒張を頬張る。
「あふ・・・んあ・・・ちゅ・・・ちゅぷ・・・」
 初めはゆっくりと、次第に激しく、髪の毛を振り乱しながら、碧は顔を動かしていく。
 じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ・・・。
 舌をまとわりつかせ、頬をすぼめ、唇を締め上げ、シモンの怒張に刺激を与えていく碧。シモンの手がその端整な顔や髪の毛、さらには揺れる胸を愛撫すると、その度に形の良い眉が歪む。
 やがてシモンも彼女の頭を両手でおさえ、喉奥にまで突き刺すような動きを求めるようになる。碧はそのシモンの求めを察し、さらに激しく顔を動かし、舌を絡め、唾液をまぶし、手で陰嚢を揉みしだく。碧は無意識のうちに、今まで培ってきた快楽を引き出す技術を、初めて出会ったはずのシモンに遺憾なく発揮している。
「あ・・・わたし・・・おかしい・・・なんで・・・くちなのに・・・こんなに・・・きもち・・・いいの・・・」
 彼女の瞳は熱っぽく潤み、快楽で蕩けている。悠子に前もってかけられていた口が性感帯になるという暗示が効果を発揮しているのだが、そのことを彼女が知る由も無い。カウパーと唾液がどろどろに混じりあった碧の口腔とともに、碧の膣の中のも熱く煮えたぎり、太腿からはとろとろと液が漏れ出している。ときどき軽いアクメに達しているのか、体がびく・・・びくびく・・・と震える。
 やがて、シモンの限界が近づく。それは碧の限界でもあった。
「く・・・出すぞ・・・味わって飲むんだ・・・」
「んんんんんんん!!!!」
 シモンが碧の顔を掴んで思い切り喉奥に突き刺すと、
 びゅる・・・びゅるるる・・・びゅる・・・・・・・・びゅる・・・。
 四度ほど、激しく噴き出したシモンの精は、碧の口腔と咽喉を熱く灼いた。
「あ・・・んあ・・・」
 ごく・・・ごく・・・と喉を鳴らす碧。その顔は、お客を満足させたことと、自らの快楽による至悦に満ちている。
「んふ・・・ちゅ・・・あむ・・・・・・」
 その唇にまとわりつく精液を、赤ん坊のような無邪気さをもって舌で舐めとる碧に、シモンは、
「碧・・・どうだ?旨いか?」
「・・・はひ・・・・・・・美味しひ・・・れふ・・・」
「じゃあ、これも拭いてくれ」
「はひ・・・」
 碧はシモンの亀頭からなお溢れる精液を、残すことなく嬉しそうに舐めとり、唾液塗れになった陰茎をナプキンで拭き取ると、悠子の持ってきた下着とズボンを履かせた。


 ひき続いて、碧は前菜を持ってくる
「・・・ドイツソーセージの盛り合わせとザワークラフトです」
 シモンの目には色とりどりのソーセージが並べられた。
 シモンはそのうちの1本のフランクフルトに口をつけていたが、間もなくナイフとフォークを置いた。
「・・・若干、味付けが薄いかな」
 控えていた悠子が、
「・・・左様ですか。申し訳ありません。今、取り替えさせて頂きます・・・」
「いや、それには及ばない」
「ですが・・・」
 悠子は申し訳なさそうにしていたが、碧をちらと見た後、
「シモン様。折角ですから、今日は特別なソースで召し上がっていただくというのはいかがでしょうか?」
「特別?」
「・・・彼女を使いたく存じます」
 悠子の意図を察したのだろう。シモンはにやっと笑うと、
「・・・なるほど。任せる」
「ありがとうございます。では・・・碧」
「え?」
 話の流れを理解できていない碧に、悠子は微笑みかける。
「あなたの身体から出てくるソースを振りかけるの」
「え・・・?」
「テーブルの上に乗りなさい」
「・・・あ・・・はい・・・」
 わけの分からないまま、靴を脱ぐと碧はテーブルの上に上がって正座をする。
「・・・座ってたらだめでしょ。足を広げるのよ」
 目の前にはシモンがいる。足を広げたら、下着もなにもかも丸見えになってしまう。
 躊躇している碧の耳元で、悠子は囁く。
「・・・貴方は『食材』でしょ?碧」
 その途端、碧の瞳から意思の光が抜け落ちる。悠子はその様子に満足したように頷くと、虚ろな表情の碧の耳元で優しく囁く。
「貴方の体から出てくる美味しいソースを、お客様にプレゼントなさい」
「・・・・・・・はい・・・」
 碧は頷くと、膝を立て、ゆっくりと足を開く。幾重にもフリルのついた短いスカートは捲くれ上がり、その白い太腿とその奥の下着−−先刻のキスとフェラチオのせいで、既にしとどに濡れ、よれているのだが−−が、シモンの目の前にさらけ出される。
 長さにして20cmはあろうか、というフランクフルトを悠子に手渡されると、濡れた下着をずらした碧は、なんの躊躇いも無く、そのゆるやかに反りかえった肉棒の一端を自らの肉襞に押し当て、ゆっくりと挿入を始める。

 ぬる・・・じゅ・・・じゅぷ・・・。
 肉壺の中に入った空気が漏れ出る音と、肉棒と肉襞が愛液を挟んで擦れる音が聞こえてくる。

 やがてわずかに肉棒を余し、その全てが碧の胎内に取り込まれた。
「ゆっくり動かして・・・貴方のソースの味が沁みこむ様にかき回すの・・・」
「・・・は・・・い・・・」
 彼女の胎内をかき回すかのように碧の右手がゆっくりと動く。陰唇からは肉の脂と愛液が混じりあった液体が零れ落ちる。彼女の頬は仄かに朱に染まっているものの、時折「んふ・・・」と鼻にかかった声をあげ、小さな快楽の波が駆け巡った時に、背筋をびくっとさせるほかは、ただ、とろんとした眼をしながら、その作業を行う。
 悠子はしばらくその様子を見ていたが、
「ソースの出方が・・・少し足らないかしら・・・」
「・・・マネージャー・・・?」
 そう言うと悠子は碧のブラウスのボタンを外し、ブラをずらしてその豊かな胸を露出させる。その瞬間、碧ははっと我に返り、
「・・・あ、マネージャー!そんな・・・」
「碧。貴方は自分の仕事に専念なさい」
 ぴしゃりと言い放った悠子は碧の体の後ろから碧の豊かな乳房が変形するほどに捏ね上げる。
「んはあ・・・!」
 碧が思わず声を上げると、悠子は微笑みながら、
「いいのよ、碧。もっともっと気持ちよくなりなさい。貴方が感じれば感じるほど、貴方の体から、とっても濃くて美味しいソースがたくさん出てくるんだから・・・」
「・・・そ、そんな・・・」
 抵抗の言葉を口にしようとする碧に悠子は、
「・・・ウェイトレスのお仕事は?」
 途端に碧は虚ろな表情になって、
「・・・・・・お客様に・・・見も心もささげて・・・器となって食材となって・・・満足していただくこと・・・です・・・」
「・・・シモン様に満足していただきたいわよね?」
「・・・はい・・・」
「・・・いい子ね。あと、声は出さないほうがいいわ。出さなかった声はあなたの体の中で跳ね返って更に快楽になるの。気持ちよくなりたいなら、声は出さないこと。いいわね?」
 碧は虚ろに微笑むと、再び両手で肉棒を持ち、ゆっくりと動かす。
 その膣からの刺激に加え、悠子から与えられる胸からの刺激に、碧はあっという間に上り詰める。
「・・・・・・・!」
 しかし声を出すのはぐっと堪える。その我慢が、更に碧を絶頂の極みに誘い・・・。
「・・・あ・・・んん・・・・・・・んはぁ・・・!」
 碧がびく・・・びくびく・・・とのけぞり、肉棒と肉裂の間からは汁がどろ・・・どろどろ・・・と漏れ出してくる。フランクフルトが塞いでいなければ、テーブルクロスが使い物にならなくなったのではないか、と思うほどだ。
「取り出して」
「・・・あ・・・はい・・・」
 碧は朦朧とする意識の中、千切れないようにゆっくりと肉棒を取り出す。最末端が外に出ると、こぽ・・・こぽ・・・という音と共に、脂と愛液の混じりあった液が垂れ落ちる。
「・・・あと3本あるわ。はい・・・」
「・・・はい・・・わかりました・・・」
 碧は最早何の疑念を持つことも無く、悠子から手渡された肉棒を再び挿入した・・・。

 やがて、碧の胎内をくぐった文字通りの肉棒4本、シモンの前に並べられる。その表面は濡れ、てらてらと光っている。何も知らない者が見れば油をたっぷり敷いて炒めたフランクフルトにしか見えない。
 シモンはナイフでその肉を切り、口にする。
「・・・上出来だな」
「・・・ありがとう・・・ございます・・・」
 テーブルを降りた碧は、満足げな表情をして、『お客様』であるシモンの顔を惚けたように見つめていたが、その白い太腿には、肉の脂と碧の体液の入り混じった液が垂れ落ち、幾筋も跡を残していた。


 続いて、スープ、魚料理、肉料理と続く。碧は料理を運ぶとともに、時にはその料理を小皿にとりわけ、ナイフで切り、シモンに食べさせる。もちろん、口移しを求められればそれに応じ、愛撫をされれば、ただ、それに従う。味付けが足らないといわれれば、愛液をスプーンに垂らして料理に振りかける。
 前もって母である悠子に刷り込まれた暗示、強いアルコールの作用、長期間にわたるシモンの調教によって開発され尽くした激烈な肉欲の衝動、何よりもこの異常な『場』と『雰囲気』に彼女は完全に取り込まれていた。『給仕』であり『器』であり『食材』という意識が、彼女の全てを支配しており、最早それしか考えられない状態になっている。疑問を抱く余地はもう彼女にはない。ただ、彼の命令に従い、彼の満足させることが、彼女の快楽につながる。そういう心理状態になっていた。


「碧、飲み物を」
「・・・はい」
 ワインクーラーからボトルを取ろうとする碧を、
「いや、アルコールは小休止したいな。別の飲み物を」
「・・・かしこまりました・・・」
 碧は何のためらいも無く、胸元のボタンを外し、簡素なレースの飾りがついたブラを下げ、その豊かな胸を露わにする。
「コップにお注ぎしますか?それとも直接お飲みになりますか?」
「じゃあ直接」
「では・・・」
 碧がシモンに近づくと、シモンはその胸を丹念に揉みしだく。
「ん・・・あ・・・」
 薄紅色をした碧の胸の頂点が、勃ちあがったところを、シモンの唇がちろっと舐める。
「ひゃ・・・んん・・・は・・・ああ・・・」
 一瞬、甲高い声で碧が鳴くが直ぐに歯を噛み締めて、声がでるのをこらえようとする。しかし、その吸い付くような感触のふくらみを堪能することをシモンは止めようとせず、執拗に揉んでは、唇でちゅ・・・ちゅ・・・と刺激を加える。碧がかろうじて気絶しないように堪えているうちに、碧の乳首から白い液がじんわりと滲み始め、シモンは胸をしぼるように揉み、口で吸っていった。
 喉を鳴らして飲んだあと、シモンは碧を見て
「・・・少し前より味が濃くなったかな?」
 シモンが論評をすると、
「お前も舐めてみるか」
 碧の唇を、シモンは奪う。
 れろ・・・れろれろ・・・。
 もう技術や何かではなく、碧はただシモンに為されるがまま、その唇と舌を受け入れる。 
 その間にもシモンの手はむき出しになった彼女の胸をまさぐり、間断なく彼女の身体に刺激を与え続けている。
「んあ・・・あ・・・は・・・あああああ!!」
 碧の体がのけぞり、びく・・・びくびく・・・とひきつけを起こして、その後、糸の切れた人形のようにシモンの身体にしなだれかかった。









<続く>





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