地球表面の地殻の厚さは平均30キロメートル。地球の水平距離にすればたいしたことはないが、地球の海抜最高点のエベレストで8.8キロメートルということを考えれば十分な厚さだ。 ネメシスが地球を侵略するにあたっては、上空から大気圏に突入する、という方法は敢えて避けた。この惑星の原住民の科学レベルと知性のレベルからいって、初めて遭遇する異星人の「侵入」に対してヒステリー的な反撃を行う恐れがあったからだ。彼らの攻撃能力では旗艦に傷一つ負わせることはできないが、無用な放射性物質を撒き散らされるのは問題がある。そう判断した旗艦のコンピューターは、マントルと地表の間の薄皮ともいうべき地殻に、旗艦を位相転移させた。 3年前のことである。 ネメシスの巨大旗艦は、地上から地下数kmの地点にある。アジトと旗艦の間にはチューブ上のエレベータが何基か備え付けられており、それで行き来できるようになっている・・・。 半壊したアジトに到着したベリルは、旗艦の監視カメラと対生体センサーにアクセスを試みるが、ほとんどのセンサーは死んでおり、シモンとダリアの位置を捕捉することはできない。しかし、エマージェンシーは、侵入者が旗艦の重要部に侵入したことを示している。 シモンが自分を機能停止に追い込むために狙うとしたら、マザーコンピューターか、旗艦のメインエンジンか、どちらかを攻撃するとしか考えられない。 とはいえ、旗艦のメインエンジンを破壊してしまったら彼らにとっても自殺行為だ。また、マザーコンピューターへのアクセスが可能なのは旗艦の一部の端末からだけである上、簡単にクラックできるものではない。さすがのダリアでもまずは無理だろう。ダリアも、周辺部に侵入しただけで、マザーコンピュータ、エンジン制御部そのものには侵入できていないはずだ。 「・・・とはいえ、わずかでも可能性があるなら全て排除しなくては・・・」 ベリルはアジトと旗艦をつなぐ階段の出入り口とエレベーターを一つを残して全て破壊した後、マザーコンピュータに繋がるエレベーターを使って地下に下りる。これでシモンとダリアは袋の中のネズミとなった。 ベリルがエレベーターを降りると、そこには黒と青のスーツを着たシモンが立っていた。端末の前で試行錯誤をしているようだった。 シモンは後ろを振り向くと、落ち着き払って、 「・・・お早いお着きですね、ベリル様・・・」 「・・・シモン、どうですか?コンピューターには侵入できましたか?」 「いやぁ・・・。さすがはネメシスの叡智を結集しただけのことはありますね。とても手が出ませんよ」 ベリルはシモンに向かってゆっくりと足を進める。 「では、ここを死に場所とする、ということですか?」 「いや、それはできれば勘弁して欲しいですね。何とかなりませんか?」 「あら、今更命乞い?らしくないですね」 シモンの持っている武器は防護警棒と軍事用ナイフのみ。特別な兵器を何も隠し持っていない。 ベリルは宙に手を彷徨わせると、次の瞬間には黒い大鎌がベリルの白い手の中に姿を現した。 「シモン・・・。私はダリアの薬を飲んでいるから、あなたの薬は効きません・・・。そして、ダリアと違って心を持たない私は、あなたの暗示にかかることもない・・・。残念だけれど、あなたに手は無いですよ・・・」 ・・・一足一刀の間合い。といってもそれはベリルの間合いであり、火器を持たないシモンには彼女を攻撃する術が無い。 「さて・・・やってみなければわからない、という言葉もあるらしいですよ、チキュウには」 シモンは不敵に笑い、愛用の防護警棒を取り出し、右手で構える。洗脳薬を使うようになってからは、使わなくなって随分久しい。スイッチを入れるとブォンという音とともに場が歪む音がする。 音の無い初撃は、右上方から首筋への一太刀。 しかしその軌道はシモンの防護警棒が発するバリアで辛うじて防がれる。 シモンは即座に左手で腰につけていた軍事用ナイフを抜き、ベリルの首筋を切り裂こうとする。が、そのナイフはベリルに素手で受け止められる。人差し指と親指で白刃取りする形だ。 「な?」 「遅いですよ」 シモンの目から火花が散る。自分の身体が横倒しに宙を飛んでいることに気が付いたときには壁にぶつかっている。側頭部と腹部が痛い。胃液を吐き出す。 ベリルが鎌の柄を分離して、刃のついていない柄でシモンの頭部を打ち、腹部に蹴りを加えたのだ。シモンには何が起こったのか全くわからなかったが。 ベリルは再び鎌の柄を一つにして、壁際に倒れこんでいるシモンに近づく。 「・・・どうしたのですか?まさか、あなたほどの知恵者が、何の策もなしに私に向かってきたというのですか?」 ベリルは一歩シモンに踏み出し、見下ろす形だ。 「・・・だとしたら?」 シモンは口から血の混じった唾を吐き出す。 「興ざめです」 シモンは身体を捻ってベリルの第二撃をかわす。胃を押さえて立ち上がり、猛然とドアに向かってダッシュするが、ベリルはジャンプして回り込み、それを阻止する。 「・・・ううむ」 「・・・私に刃向かったネメシスの戦士は何人もいましたが・・・」 ベリルは再び鎌をシモンに突きつける。 「ここまで弱いのは初めてですよ」 「・・・私は肉体派じゃないんで。ですから・・・」 シモンは壁に並んでいる金属製の箱の一つの前に立った。一辺3メートルほどの立方体だ。 「やっぱり策を使わせてもらいます」 シモンは金属製の箱の留め金を外した。その箱の中に入れられていた何かは、白い布に覆われている。 「武器、ですか?であれば最初から使えばよかったのに」 シモンは軽く笑う。 「・・・いえ、一応貴方と、貴方を構築した先人の叡智に敬意を表したかったのと・・・ヴァルキリー達だけに痛い目に遭わせるのも申し訳ありませんでしたから」 「・・・妙なところで義理堅いのですね。でも、何を使っても私に勝つのは難しいとは思いますが」 「さて、どうですかね・・・」 シモンは白い布を取り外した。 「・・・!」 そこには繭のような形の容器がすえつけられていた。容器の中にはベリルが座っている。いや、顔立ちから何から何まで瓜二つだが、二つだけ違う点がある。服が白いワンピース−−いわゆる、病人が着るような−−であることと、意思の無い瞳だ。 「あなた、まさか・・・」 「そう、あなたのクローンです。正確には次期ベリル様になる筈だった素体ですが、勝手に培養させていただきました」 「・・・で、それでどうしようというのですか?」 「・・・さて、どうしましょうかね・・・」 シモンはクローン・ベリルの肌に触れ、顔と首筋に指を這わせる。 「あ・・・な・・・」 ベリルが顔を押さえる。 「そう・・・ちょっと細工をさせていただきまして、ベリル様と触覚系を直結させていただきました。あんまりこういう真似は好きではないのですが、場合が場合ですもんで・・・」 「・・・それを盾にしようというわけですか?」 「・・・ああ・・・そういうアイデアもありえますね。しかし、ベリル様・・・貴方にそんな小手先の技術が効くとは思っていませんよ・・・。それにあなたが内臓レベルで傷つくと、旗艦の自爆装置が働きますからね。あなたと触覚が直結しているこの娘を傷つけるわけにはいきません」 シモンは相変わらずクローン・ベリルの肌を撫でまわしつづけている。ぞわぞわする感覚がベリルの脳に直接伝わってくる。 「・・・ならば、どうしようというのですか?」 「・・・今までの戦いで、あなたの知覚能力は全開になっています。そして、この娘は、遺伝子レベルの組み替えで、触覚を絶大に高めておいてあります」 「・・・」 「・・・もちろん、性感も・・・」 シモンはクローン・ベリルのワンピースのジッパーを下ろすと、胸元から手をさしいれて、乳首を軽く摘んだ。 「「・・・んぁ・・・」」 二人のベリルが、奇しくも同じ媚声をあげる。 「やはり遺伝子が同じだけのことはありますね・・・。全く同じ反応だ」 シモンは乳首を中心にたわわな乳房をこねていく。もう一方の手はスカートを捲り上げ、下着をつけないクローン・ベリルのクリ○リスを直接刺激する。 「「んふ・・・ん・・・」」 ベリルが胸と股を手で押さえる。鎌が床に音を立てて落ちる。口が切なげに開き、吐息が漏れる。 ベリルは知覚を遮断しようと試み、それが無理とわかるとセンシング能力を低下させしようとするが、それも失敗する。 「あ、あなた・・・」 「生体知覚レベルは落とせませんよ。そこはばっちり細工させて頂いてます」 シモンは光を無い瞳を宙に彷徨わせているクローンの唇を奪う。 「んん・・・」 クローン・ベリルは最初は為されるがままに唇を蹂躙されていたが、最初は本能的に、次第に積極的に、舌をシモンに絡め始める。無表情だったクローンの表情に快楽の色が浮かんでくる。 そんな二人の姿を見ながら、ベリルの口を自然と開く。「あ・・・」無意識に声が漏れ、舌が宙に伸びる。・・・シモンの舌を自分が舐めているかのような感覚が、ベリルの舌を本人の意思とは無関係に動かしている。 「・・・・・・いい加減に・・・」 纏わりつく快感を振りほどくかのように頭を一振りし、ベリルはエネルギー弾を発動しようと掌にエネルギーを集約しようと試みる。が、ヴァ○ナに何かが入る感覚に襲われ、途端にエネルギーが霧散する。シモンがクローンの淫裂に指を差し入れたのだ。ストッキングに包まれたベリルの太腿に愛液が流れ落ちていく。 「あ・・・ああ・・・」 乳首とクリ○リスと唇と・・・。シモンがクローンのあらゆる部位を執拗に攻め立てると、それを倍増した快感が波のようにベリルに押し寄せてくる。ベリルは自分の手で胸を押さえ、口に指を入れる・・・。それは初めは快感に抗うためのものだったのだが、いつの間にかその手は自らの敏感のものを慰めるかのような動きをし始める。それはあたかも操り人形を通じて、シモンに直接嬲られているかのようだ。理性では抵抗しようと試みてはいるものの、脳髄に直接伝わる快感に抗することができない。 「ベリル様・・・、我慢は身体に良くないですよ・・・。どうか私に貴方の美しい身体を委ねてください・・・」 シモンがクローンの耳を甘噛みすると、「んふ・・・」とクローンは鼻にかかった声を鳴らす。一方ベリルの体からは力が抜け、その場にへたり込む。肉付きのよい大腿部がもじもじと動く。ドレスのスカートの下で見えないが、陰部の真下の床の上にはシロップのように垂れ落ちた愛液がうっすらと水溜りをつくり始めている。 「おやおや、まだ始まったばかりですよ、ベリル様」 快感をこらえようとして歪んでいる顔をベリルがあげると、目の前にシモンとシモンの首筋に腕を絡めた自分・・・クローンが立っている。 「・・・さあ。お前の本体を慰めてやれ」 クローン・ベリルはシモンの指示されると、ベリルの前に顔を寄せた。自分と同じ顔をしたクローンの虚ろな瞳の中に自分自身の顔が映し出されている。 「や、やめ・・・」 そのままベリルの唇はクローンに塞がれる。 初めは抵抗しようと歯を食いしばっていたベリルだったが、歯茎や唇を丁寧に舐められていくうちに、じんじんと快感が脳の奥に拡がっていく。柔らかい舌に唇を舐められる快感・・・自分の唇を自分で舐める快感・・・二つの快感の同時攻撃により、次第に力が抜けていく。 やがて、ベリルの力が緩んだスキをついて差し込まれたクローンの舌が、ベリルの舌に触れた瞬間、ベリルの理性が白く弾けた。 「んふ・・・ふぅ・・・」 クローンの感覚と、自分が直接感じる感覚、そしてクローンの脳が感じる快感・・・等質の・・・それでいて微妙に違う快感が、二重三重に時間差をおいて伝わる。通常では考えられない快感に刺激されたベリルがクローンを舐め返すと、その感覚は再び自らにフィードバックされ・・・・・・、快感が二人の間でグルグルと回り、昂ぶり、交換される。ベリルとクローンは積極的に舌を動かし、互いに唾液を交わし始める。 クローンはディープキスをしたまま、ベリルのドレスの胸元をはだけさせ、直接胸を愛撫し始める。「んふ・・・」と鼻にかかった声を出し、ベリルはクローンの濡れた花弁におずおずと触れる。細い指が陰唇に触れた瞬間、クローンとベリルは同時にビクンと身体を反応させ、さらに激しく唇を貪りあう。 「・・・いくら遺伝子的に改造され、強固な理性を持っていたとしても、これだけの快感を受けるのは初めてでしょうからね・・・。ましてやコンピューター本体とのリンクが切れた今となっては、単なる生体・・・、本能的な快楽には堕ちて当然・・・」 シモンはポケットから携帯端末を取り出し、ボタンを打つ込む。今まではクローンから触覚だけを流し込む設定だったのを、双方向から、しかも五感全てに対象を広げ、さらに記憶を共有化する。 その瞬間、二人の瞳が大きく見開かれる。目の前の相手が、白い服を着たり、黒いドレスになったり・・・相手の乳首を擦りあげていると思った瞬間に相手の淫裂にふやけた指を挿しこんでいたり・・・。一瞬ごとに互いの意識が入れ替わっていく。自分が本体なのか・・・それともクローンなのか・・・、もう互いに快楽だけを求めている二人にとっては、ただ、互いに触れ合う感覚と、爆ぜるような快感だけがモザイクのように意識を埋め尽くす。二人の意識は一つに融けつつあい、互いの快感がひたすらエスカレーションし、一種のハウリングともいうべき現象を起こし始める。時折、二人の身体に激しく痙攣が走る。 「あ・・・あう・・・あは・・・」「はん・・・う・・・ああ・・・」 唾液をたらしながら一方が相手の乳首を舐めると、もう一方はへばりついた下着の上からクリ○リスを指で責めたてる。相手の白い肌に爪を立てる、激しく揉み、舐り、吸い尽くす。 「「んあ・・・!あ、あ、あはぁ・・・・」」 ・・・もういいだろう。シモンは仕上げにかかることにした。 「・・・さぁ・・・お楽しみのところ申し訳ないが・・・」 シモンは二人の間をつなぐ感覚リンクの閾値を下げ、キスをしている二人を引き離すと、ベリルの瞳を覗き込む。ベリルの目は、淫欲で潤んでおり、理性の光を喪っている。 「あ、・・・はぁ・・・う・・・」 半開きの唇から唾液の糸を垂らしつつ、息を荒げているベリルに、シモンは語りかける。 「・・・お前は誰だ?」 「・・・わ・・・わたしは・・・ベリル・・・・・・ネメシスの・・・総帥・・・」 「違う。お前は私に造られたクローンだ」 「・・・クローン・・・?」 「そうだ、お前はついさっき、私に造られたクローンだ・・・、忘れたのか?お前のご主人様の顔を」 ベリルが自分の意識をまさぐる。さっき互いに記憶が一体化した時に触れたクローンの記憶が思い起こされてくる・・・。培養槽・・・自分の身体をまさぐるたくましい手・・・唇・・・流し込まれる人格・・・流し込まれる言葉・・・その顔、その手、その声・・・。 ・・・そうだ・・・わたしは・・・今・・・つくられた・・・くろーん・・・。・・・ごしゅじんさまに・・・ご奉仕するために・・・うまれた・・・存在・・・。 「・・・・・・ごしゅ・・・じん・・・さま・・・」 「そうだ・・・私はお前のご主人様だ・・・。お前は私に造られたクローンだ・・・。私に仕えるための・・・な」 「・・・あ・・・はい・・・」 シモンはベリルの唇をゆっくり指で撫でまわしながら言う。 「口に出して言え。『私はシモン様のモノです』『シモン様にご奉仕することが私の悦びです』とな」 「・・・私はシモン様のモノです・・・シモン様にご奉仕することが私の悦びです・・・」 「よし、じゃあ・・・お前の人格を書き換えろ・・・。お前が今誓った通りにな・・・」 「・・・はい・・・」 ベリルの瞳から色が消え、身体が硬直する。・・・本当にクローンであるなら、最初からそういう人格が埋め込まれていて当然だろう・・・。しかし、それが書き込まれていないことに疑問をもつこともなく、ベリルは言われるがままに自分の人格を書き換えていく・・・。ネメシスの利益を最大化することだけを考える怜悧な総帥としての人格から、シモンに所有されたモノとして、シモンにひたすら奉仕することに喜びを感じる人格に・・・。 数秒後、ベリルの瞳に色が戻った。しかし、シモンを見つめる目は、自分の奉仕するべき主人を見つめる奴隷の目だ。 「・・・どうした?挨拶は無いのか?」 「・・・あ・・・シモン様・・・、どうかその・・・私にご奉仕させてください・・・」 「・・・そうか。じゃあ、彼女と一緒に舐めてもらうとするか・・・」 シモンはズボンを下ろすと、そそり立つモノを突きつける。 「二人で、これに奉仕するんだ」 「「・・・はい」」 白と黒、二人のベリルは、シモンのモノをいとおしげに舐め始める。一人はルージュをひいた唇全体で亀頭を柔らかく包み込み、尿道の先を舌でちろちろと刺激する。もう一人は陰嚢を手でやわやわとマッサージしながら、サオに唾液をたっぷりまぶしてねぶる。端正な顔立ちをした二人が、ひたすらに奉仕する姿を見下ろすと、シモンのモノはいよいよいきり立っていく。 「はむ・・・くちゅ・・・ちゅ・・・じゅぷ・・・」 最初は亀頭口にふくんでいたベリルだったが、次第にシモンのモノ全体を口に入れ、口腔全体を駆使してペニスを刺激していく。一方、クローン・ベリルは、そんなベリルのドレスのスカートを捲くり、黒い下着を剥ぎ取ると、サーモンピンクに充血した花弁を丁寧に舐め、愛液をすすっている。・・・リンク量が低下したとはいえ、互いの快感は共有化されている。ベリルの頬は見る見る上気していき、激しく顔を動かしていく。シモンもその激しさにのぼりつめていく。 「・・・出すぞ・・・ベリル・・・」 「あむ・・・くちゅ・・・じゅ・・・」 ベリルが頷く間もなく、シモンはベリルの喉奥に最後の一突きをすると、白い精を放出した。ベリルの喉がゴクリと鳴って、熱いザーメンが胃へと流れていく。 「・・・そうしたら、今度は俺がお前を慰めてやる・・・。ベリル、尻をこっちへ向けろ・・・そしてもう一人を抱き締めてやれ・・・」 「・・・はい・・・おおせのままに・・・」 ベリルはクローンを組み伏せる一方で、腰を高く突き上げ、シモンに自分の秘部を晒す。クローンの唾液とベリルの愛液がどろっ・・・としなやかな肢を流れていく。クローンはベリルの顔をぺろぺろと舐めつつ、ベリルの揺れる乳房を揉みしだいている。 シモンはベリルのストッキングと下着をずり落とすと、唾液で濡れたモノをゆっくりとベリルの割れ目に挿しこもうとする。すっかり濡れてそぼっていたクレバスだったが、やや抵抗感がある。 「・・・ベリル、初めてか・・・」 「・・・はい・・・でも・・・いいです・・・シモン様が喜んでくださるんでしたら・・・思いっきり・・・お願いします・・・」 端正なベリルの顔は少し苦痛に歪んでいる。シモンはポケットからバイブを取り出すと、クローン・ベリルの陰部に差し込む。「んあ・・・ふぁ・・・」とクローンの顔が快感に歪む。するとベリルの表情も苦痛から快感に支配されていく。・・・クローンの感じる快感が初体験の痛みを和らげる効果を与えるだろう。 「・・・じゃあいくぞ・・・・」 シモンははじめはゆっくり、ベリルの裂け目を引きちぎるように押していく。最初は抵抗感が大きかったものの、何度かピストン運動をしていくうちに、次第に動きは滑らかになっていく。「んあ・・・ふぁ・・・」ベリルの腰も少しずつ自発的に動き始める。 じゅ・・・じゅ・・・じゅ・・・。既に粘液でぐしょぐしょになっているベリルの蜜壷は、シモンのモノをぎゅ・・・っと締め付けてくる。シモンはベリルの髪の毛を梳きながら、首筋を舐める。珠のような汗がベリルの白い首筋を流れる。シモンのモノの動きが激しくなっていく。ベリルとクローンは互いに唇を寄せ、乳房と乳房を擦り付け合う。 「・・・出すぞ・・・ベリル・・・」 「お願い・・・します・・・シモン様・・・」「あ、あ、あああぁああああ!!!」 シモンは今日二度目の精をベリルの中に注ぎ込むと、二人のベリルは同時にアクメに達した。 快感の余熱に包まれている二人を床に寝かしたまま、シモンはしばしぼんやりしていた。 これで、完全にネメシスを・・・つまりは地球を支配する地位に就いた・・・。最初に洗脳薬をダリアから貰ってわずか1週間。ここまで来るとは・・・。そして、これから・・・どうしていこうか・・・。 なんとなく、アンニュイな感覚に包まれているシモンを現実に引き戻したのは、大きな地震だった。地震?いや、これはそういう揺れではない・・・。至る所でエマージェンシーのブザーが鳴り響いている。 突然、ポケットの携帯端末から連絡が入った。ダリアだ。 「シモンか」 「ダリアか?何だ、この揺れは?何があった?」 シモンの問いかけにダリアは答えず、反問した。 「シモン、貴様、何をしでかした?」 「何って・・・、いや、計画どおり、ベリル様を洗脳しただけだぞ?」 「・・・旗艦の自爆装置が作動した」 「な?何でだ?」 「何でだかわからんから聞いている。お前、まさかベリル様かクローンを傷つけたんじゃあるまいな?」 「何をバカな。俺は丹精こめて二人をイカしてやっただけ・・・」 シモンは答えながら二人の方を見やった。ベリルの白い太腿の間のクレバスから、彼女の純潔の印が流れている。 「・・・ダリア、その、膣って・・・」 「・・・膣は内臓の一種だぞ・・・」 「・・・・・・・・・・・・ダリア、・・・少し心当たりがあるんだが・・・」 ダリアの溜息がスピーカーの向こうから聞こえる。 「・・・過ぎたことは仕方がない。こっちにすぐ来い。対策を練る」 「・・・・・・すまん・・・」 シモンは横たわる二人をちらっと見て、そのままドアを閉め、ダリアの方へ向かう。 ・・・シモンが消えた後、エマージェンシーのブザーに反応するかのように、クローン・ベリルの身体が痙攣し始め・・・その痙攣は止まる。彼女はゆっくりと目を開け、身体を起こすと、ベリルを見やる。クローンは薄く笑うと、静かに眠るベリルにキスをする。やがて、ベリルとクローンの身体は白い光に包まれ始める・・・。 シモンとダリアは、機関制御室にいる。様々なメーター類がずらりと並んでいる。どのメーターやランプを見てもレッドゾーンに突入したり激しく点滅したりで、あからさまに異常事態であることを示している。 ダリアがあきれ果てたように言う。 「しかし、お前はなんと言うか、後先考えないというか、とことんスケベ野郎というか・・・」 「いや、あんな顔されて『ご奉仕させてください』なんていわれたら、辛抱できないって・・・。それに身体も素晴らしく上物だし・・・」 「・・・・・・子供で悪かったな・・・」 「あ、お前、どこ行くんだこら!いや、お前は同世代と比べたらナニだが、同じ背格好の年頃の娘と比べたらアレなわけで、その、なんだ・・・・・・まあ、ふてくされるなよ・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・ふてくされてなどいない」 「・・・・・・じゃあそういうことにしておくよ。で、自爆、ってどれくらいの爆発なんだ?」 ダリアは不機嫌そうにそっぽを向いて黙っていたが、あまりそういう姿勢をとりつづけるのも子供っぽいと思ったのか、シモンの方に向き直り、 「まあ、この星くらいは軽く消し飛ぶな」 「・・・派手な自爆装置だ・・・」 「・・・どうする?シモン」 「いや、どうするっていわれても。何とか止められないのか?」 「・・・この自爆装置は、メインエンジンを暴走させてエネルギーの過剰蓄積することによって行われる。スイッチ自体は止められるが、エンジンが完全に停止するまでにしばらく時間がかかる。その間に生成された分のエネルギーをどこかで放出しなければ、結局は爆発する」 「・・・回避する方法は?」 「蓄積されたエネルギーを放出することだ。要するにガス抜きだな。しかし、チキュウにきた時の無理な位相転移でエネルギーバッファーが壊れかけているから、あと2時間以内に放出しないと、バッファーが破壊されて爆発する。しかし、宇宙空間ならともかく、この地下で安全に2時間以内にエネルギーを放出する方法が無い」 「・・・・・・いや、無いことも無いんじゃないか?」 「例えば?」 「・・・いや、なんかあるだろ、なんか。考えろダリア。ご主人様に仕えるのがお前の仕事だろ?」 「・・・こんなときばっかり主人面して・・・」 ダリアはぶつぶつ文句を言いながらも指を顎に当てて考え始める。 「・・・まあ、手っ取り早いのは、ベリル様にエネルギーを転送して、無駄弾を宇宙に打ち上げてもらうんだな。それで終わる話だ」 「なんだ、それなら簡単だ」 ベリルは今やシモンの下僕だ。何の問題も無いだろう。 「・・・・・・・・・」 ちらりとコンソールを眺めやったダリアの顔色が変わる。 「どうした?」 「・・・どうも、マザーコンピューターにしてやられたらしい」 「・・・?」 ダリアが指を差しているのは、監視ディスプレイの一つだ。そこには、さっきまでシモンが居た部屋が映し出されており、当然、ベリルがいる・・・。いや、居るのは白い服を着たクローン・ベリルだけだ。 「・・・あれ?ベリル・・・は?」 ついつい「様」をつけてしまいそうになるのが下っ端のサガだ。 「・・・・・・クローンに吸収されたようだ」 「な?」 よくよく見ると、床には黒いドレスと破れたストッキングだけが残されている。白い服を着たクローンは床に落ちていた鎌を拾い上げると、部屋を出て行った。 「・・・説明しろよ」 「・・・・・・ベリル様にリンクができなくなったコンピュータが業を煮やして、クローンを次期ベリル様として認証したようだな」 ダリアが慌てて端末を叩く。 「・・・うーむ。まずいことになったな・・・」 「・・・何がまずい?」 「今コミュニケーションリンクは遮断したから、全ての『ベリル』としての人格全ては流し込まれなかったが・・・クローンの人格に、最も本能的な『防衛人格』が流し込まれた。・・・つまり、あのクローンは、もはや私達の支配下には無い。それどころか・・・」 「・・・それどころか?」 「我々に攻撃をしてくるだろう。何の理性も無く、な」 「今から彼女にこっちの都合のいい人格を流すことは?」 「もう無理だ。さっき使ったセキュリティホールは全部塞がれた」 「じゃあ改めてマザーコンピューターにベリルの人格を全て流し込ませた後、理性を持ったクローン・ベリルに無駄弾を打ってもらうようにお願いするのはどうだ?彼女もここで死んでは元も子も無いだろう」 「・・・その後、我々はせいぜい理性的に殺されることだろうな」 「ぬ・・・・・・・・・今ある選択肢は?」 「1.自爆を待つ、2.理性の無くなったクローンに無惨に殺される、3.ベリルの人格を完全に流し込まれたクローンに理性的に殺される、の3択だ」 「・・・あまり心躍らない3択だな」 「・・・ついでに言えば、私としては1.をお薦めする。苦しむ間も無く逝けるだろう」 「・・・・・・冷静な提言ありがとう」 シモンは腕組みをして少し考えていたが、 「・・・・・・もう1つ選択肢があるんじゃないか?」 「何だ?」 「・・・・・・」 シモンはダリアに耳打ちする。 「・・・・・・・・・無理だ、太刀打ちできるはずが・・・」 「・・・駄目で元々だろ。やってみればいいさ。じゃあ、俺は役者を呼んでくるよ」 シモンは発信機のマイクに口を寄せた。 「・・・カーネリア、ルピア、ローズ・・・生きてたら、アジトの入り口に集合しろ」 シモンが地上に戻ると、3人のヴァルキリーは既に集結していた。3人とも相当なダメージだったようだが、大きな怪我は負っていない。 シモンは3人をアジトの中の無事な部屋に連れて行って、応急措置を施した後、3人に向かって語りかける。 「・・・では、3人とも、この炎見ろ・・・」 シモンはライターに火を点ける。3人の視線がライターの炎に注がれる。 「・・・俺が今から3つ数える・・・。すると、お前達は、今まで受けた全ての暗示から解き放たれる・・・。お前達は正義の戦士のヴァルキリーに戻る・・・。俺との主従関係も、全て無しだ。一切の契約を解除する」 シモンの言葉を3人はただ虚ろな瞳で聴いている。シモンは少し名残惜しそうに3人を見回した後、 「・・・3・・・2・・・・・・1・・・・・・、ゼロ」 シモンがライターの炎を消すと、3人ははっと、目が覚めたように瞬きをする。辺りを見回し、自分たちのいでたちを見て、武器を装備していることを確認し、シモンを視界にとらえると、口々に、 「・・・き・・・貴様!シモン!!」 「・・・随分と弄んでくれましたね・・・」 「・・・・・・・・・覚悟は、できてるのかしら?」 武器を構えるヴァルキリーをシモンは手で制す。 「まあ待て、お前ら、俺を今倒してもあまりいいことはないぞ?」 カーネリアは怒りに燃える目をしたまま剣を構えてじりじりとシモンに近づく。ルピアは杖を構えつつカーネリアとは距離を取る。二人同時に攻撃を受けることを避けようというのだろう。ローズもメイスを伸ばし、打撃杖のような形態に変化させ、稲光をメイスにまとわりつかせている。 「・・・・・・やっぱり怒ってるか?」 「当たり前よ!!」 カーネリアが噛み付かんばかりの剣幕で怒鳴る。しかしシモンは意外に冷静だ。 「・・・まぁ、今はそんなことは本題ではない。事情を説明する」 シモンは今までの経緯をかいつまんで話した。 さすがに殺し合いをさせられそうになったことまで話すと、3人の怒りは頂点に達した。 「・・・あんたね、勝手なことばっかりほざいてると、いい加減ドタマカチ割るわよ!!!」 「・・・カーネリア、いきなりそれでは楽しめません。まずは、爪と指の間に真っ赤に焼けた鉄串を一本一本刺していってですね・・・」 「・・・・・・・・・ローズ先生・・・、この二人にはどういう教育をなさってたんですか?」 「・・・目には目を、歯には歯を」 「・・・素晴らしい教育方針ですね。もう感動で涙も出ませんよ・・・。いや、今はそんなことを言っている場合ではない。お前達、この地震を感じないか?」 3人がふと動きを止める。遠雷のような地鳴りと、小刻みな揺れがする。通常の地震と違うのは、いつまでたってもその微動が止まらないことだ。 「・・・何よ、これ」 「・・・実はだな・・・」 シモンは自爆装置の起動の話をした。そしてベリルがクローンに移りかわったことも・・・ 「・・・で、どうしようというのですか?」 ルピアの問いかけに、 「・・・要するにエネルギーを無駄射ちさせればいい。と、いうわけで、ベリル様のクローンを『煙突』に使う」 「煙突?」 「そう。今、クローンと旗艦のエンジンの間にはエネルギーのリンクがある。つまり、クローンに無駄な攻撃をさせてエネルギーを消費させれば、自爆は回避できる」 「・・・で、それで私達に無駄弾の的にさせよう、というのですか?」 「ご明察」 「・・・・・・私達が、あなたたちに協力すると思っているのですか?」 「・・・・・・しなければ、お前達もお前達の同胞も、死ぬだけだ」 「・・・・・・・・・最低な奴ね・・・」 「最低で結構。こっちは悪の組織だからな」 しばし沈黙があった後、ルピアが口を開く。 「・・・・・・でしたら、あなたはなぜ私達の洗脳を解いたのですか?そんなことなら私達を洗脳したままでもいいはずです」 シモンは少し考えた後、 「・・・さっきの戦いでも証明された通り、洗脳状態ではお前達はベリル総帥には勝てない。洗脳状態だと恐怖心が無くなるから死ぬまで戦ってくれるという面ではありがたいが、どうしても戦闘時の微妙な判断力が落ちる。今回ばかりは、お前達に途中で死んでしまっては困るからな」 ルピアがいぶかしんで尋ねる。 「・・・・・あなたは、ベリルを倒そうというのですか?」 「・・・倒すつもりは無い。しかし、暴走は止めなくてはまずい」 「・・・・・・その1点では共同戦線が張れる、ということね」 「そういうことだ。俺一人じゃ荷が重過ぎるんでな。・・・さぁ、どうする?」 シモンは3人を眺める。3人とも警戒は緩めていないが、当初の殺気だった雰囲気はだいぶ和らいでいる。カーネリアとルピアがローズの方を見る。 「・・・作戦を詰めましょう」 ローズがメイスを縮めて腰に戻した。
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