洗脳戦隊


 

 
第九話 深化


 シモンがアジトに帰ってくると、ダリアが外で作業をしている。どうも花輪を作っているらしい。菊の花で。
「・・・お前、何をやってるんだ?」
 シモンの声に振り返り、ちょっとがっかりしたような表情をするダリア。
「・・・残念だ。折角準備してたのに・・・」
「・・・ひょっとして俺の葬式の準備だったのか?」
 ダリアはそれには答えず、シモンの後ろにずらりと並ぶヴァルキリーに近寄り、観察を始める。虚ろな目をしている3人を、じっくり観察する。
「なるほど・・・。もうあらかた支配できてるな・・・、ただ、まだ完全ではないな」
 シモンとしては完全に洗脳したつもりだったが、ダリアにしてみればまだ穴があるように見えるらしい。
「すまんが、こいつらにシャワーでも浴びさせて、適当な服みつくろって着替えさせておいてくれないか」
 さっき身体を拭いたとはいえ、戦闘服は埃と体液にまみれている。洗わないとどうしようもないだろう。
 ダリアがじろっと睨む。
「・・・私をパシリに使おうとは、シモン、偉くなったもんだな。私の大事な無線機を壊しておいて、いい度胸だ」
「う・・・」
「・・・無線機、ちょっと見せてみろ」
 シモンが無線機をダリアにわたす。ダリアは裏蓋をはずし、いじくっていたが、
「部品がいくつかイカれてるな。とりあえずシモン、部品を取ってきてくれ。今この部品は切らしてるから」
「どこから?」
「多分、こいつらの通ってた学校の物理実験室か放送室にあるだろう。これとこれとこれだ」
 ダリアは無線機から部品をいくつか引きちぎり、型番をメモしてシモンに渡す。
「こいつらの面倒は見てやるから、お前はこの部品をさっさととってこい。それで今回の件はチャラにしてやろう」
 そんなシモンとダリアのやりとりを3人のヴァルキリーは見つめている。本当に一番偉いのは誰かを見定めようとする飼い犬の視線に似ている気がする・・・。
「・・・俺、疲れてるんだけどな・・・」
 結局、ダリアには頭はあがらない。シモンは諦めたようにつぶやいて、学校へ向かった。




 学校の物理実験室に行って部品を盗む。だいたいの部品は物理実験室にあったのだが、足らないいくつかの部品は放送室で調達する。
「いろんな機材があるもんだな。使えるかな・・・」
 シモンは撮影や録音に使えそうなマイク、ビデオカメラ、テープ等、機材もいくつかズタ袋にいれた。さっきのローズとの戦いの例もある。後催眠のネタに使えそうなものはキープしておく必要があるだろう・・・。


 シモンがアジトに再び帰って来ると、サファイアがふらふらと歩いている、と思ってる間に、こちらに気づいたのか、血相を変えて走ってこちらに向かってくる。
 シモンの目の前にやってくると、息を切らせながら、
「・・・バ、ヴァ、バ、ヴァ、バ、ヴァ・・・」
「はぁ・・・」
 慌てふためくサファイアを呆然としてみていると、唐突にサファイアが鞭を3発シモンにヒットさせた。
「あたた!いきなり何するんですか?」
「馬鹿者!ヴァルキリーどもがうろうろしてるのに、お前は何をやっとるんだ!!!早く追っ払って来い!」
 なるほど、バカとヴァルキリーを同時に言おうとしていたんだな・・・と一人勝手に納得する。もう着替えは終わったのだろう。
「・・・はぁ。どこにいるのですか?」
「どこ?ってそこの物干しに洗濯物をかけてるだろうが!」
「・・・誰が?」
「ヴァルキリーだ!!」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・サファイア様、大丈夫ですか?」
 サファイアは何も言わずもう3発シモンに鞭を打つ。
「いいから見てこい!」
 これ以上ここに居たら青痣だらけになってしまう。シモンはアジトにある物干しコーナーに向かった。
 曲がり角を曲がった先にある物干しコーナーには、深緑色の丈の長いスカートに白く清潔そうなエプロンをつけた少女が、洗い物を干していた。長い髪の毛が風に揺れ、頭にはフリルのついたカチューシャ風の髪飾り・・・。ルピアだ。・・・ただ、あの服装は、たしかメイド服、とかいう服じゃなかっただろうか。洗濯した3人の戦闘服を干しているようだ。
「あ、シモン様。・・・どうなさったんですか?顔にみみずばれができてますが」
「・・・・・・・・・・・・・・・。・・・すまん・・・ダリアはどこにいる?」
「ダリア様なら、向こうの建物の中ですが」
「・・・・・・どうも・・・」
「あ、お怪我、大丈夫ですか?」
 ルピアの心配そうな声を置いておいて、シモンはダッシュでアジトの建物に入る。ガラっとサッシを開けると、そこには鼻歌を歌いながらホウキで床を掃いているカーネリア。その奥には窓ガラスを雑巾で拭いているローズ・・・。どっちもメイド服だ。カーネリアは落ち着いたワインレッド、ローズは黒、フリルのついた白いエプロンに白いメイドの髪飾りはルピアとお揃いの正統派だ。・・・何が正統かはこの星の服飾文化に疎いシモンはよく知らないが。
「あ、シモン様、お帰りなさい」「お帰りなさいませ」
 カーネリアはちょこんと、ローズは深々とお辞儀をする。
「あ、こちらこそ・・・。じゃ、なくて、ダリアはどこだ?」
「ダリア様ならあちらでリンゴを食べてますが」
「・・・ちょっと邪魔する」
 シモンはローズが指差した方にどたどたと走り、ドアをがちゃりと開ける。
 部屋には満足そうな顔をしてリンゴを頬張るダリアがいる。
「おぉ、シモン。どうだ、お前も食わないか?ローズに切ってもらったんだが」
「・・・まず、注文の部品だ」
「あぁ、ご苦労だったな」
 シモンは学校から盗んだ部品をダリアに渡す。
「・・・・・・というか、お前、何だあの服は?」
「・・・着替えさせておけ、といったのはお前だろ?」
「いや、言ったが、もうちょっとあるだろ、服」
「あの服、『メイド服』とかいったか、あれはこの星の女奴隷が着用する伝統的な衣装らしいぞ。彼女たちにはふさわしかろう」
「もうちょっと他のはなかったのか?」
「あとは『ウェディングドレス』とかいうのと『チャイナ服』とかいうやつがあるが、そっちがよかったか?」
「・・・・・・・・・・・・メイド服でいいです」
「そうだろう。文句言うな。だいたいネメシスのアジトにそんなにゴロゴロ女物の服が余ってるわけないだろう?」
 じゃあ何でチャイナ服があるんだ、という突っ込みを入れるのもバカバカしい。
「・・・にしても、何も家事させることもないだろう・・・」
「折角メイド服を着てるんだから、それくらいしてもらってもバチはあたらんだろ」

 ・・・たった一人でネメシスの重装甲師団に匹敵する戦闘能力を持ち、何百というネメシスの同胞を打ち破ったヴァルキリーに、こともあろうかメイド服を着させて、アジトの家事やら掃除やらリンゴの皮むきをさせる・・・。
 シモンが床にへなへなとへたり込む。
「・・・・・・イージス艦にガソリンスタンドさせてるようなもんだぞ・・・」
「・・・・・・・・・そのイージス艦3隻と乳繰り合ってた奴の台詞とは思えんな」
 ダリアは、しゃく、っとリンゴをかじった。
「そうそう、ついでに彼女たちの”中身”もお前専属のメイドにしておいたから、そのように扱ってやれ。掃除でも夜伽でも、何でもしてくれるだろうよ」
「・・・・・・どうも・・・」

 部屋からふらふらと出てくるシモンにサファイアは鞭を片手に駆け寄る。
「こらっ!シモン!私の話の途中で逃げるとは・・・どういう了見・・・」
「・・・すみません・・・少し・・・休ませてください・・・」
 宙をみているシモンはそんなサファイアの脇をぼんやり通り過ぎる。
 シモンはそのまま自分の部屋に戻ると、ドタンと床に倒れ込んだ。

 どれくらいまどろんでいただろうか、ドアがノックされ、ダリアが入ってくる。
「・・・疲れてるところすまんが、ベリル様が3人を連れて謁見の間に来るようにおっしゃっていたぞ」
「・・・・・・わかった」
「あと・・・とりあえず即処刑でなければの話だが・・・あの3人を使っていろいろ実験をしてもらいたい。試したい試薬がいくつかあるんでな。後で結果を報告してくれ」
「・・・あぁ・・・」
 ダリアは床に倒れ込んだままのシモンを見下ろして、一言、
「・・・あんまり家畜にうつつを抜かして情をうつし過ぎると、出荷できなくなるぞ?」
「・・・ご心配なく・・・」
「・・・・・・だといいがな」
 ダリアは言い捨てると、部屋を出て行った。
「家畜か・・・」
 ・・・そう、自分の任務は「ヴァルキリー3人を倒すこと」だ。3人を洗脳・・・家畜にした状態でベリル様に引きわたせば、俺の任務は完了だ。余計なことを考える必要はない。



「・・・なるほど、期限を1日残してヴァルキリー全員を陥落させるとは・・・たいしたものですね、シモン」
「は・・・。恐悦至極に存じます」
 謁見の間にはひざまずくシモンと椅子に腰掛けているベリル、その後ろに虚ろな表情で立っているメイド姿の3人のヴァルキリー、そして脇にはサファイアとダリアがいる。ダリアは淡々としており、サファイアは少し不満げに鞭を弄んでいる。
「・・・折角ですから今晩はその3人を好きなようになさい。お前の働きへの褒美です。明日になったら3人を引き渡してもらいましょう」
「・・・お、恐れながらベリル様・・・」
 シモンは下を向いたまま全勇気を振り絞って声を出す。
「・・・この3人をどうするおつもりでしょうか?」
「・・・それは、火あぶりにするのか、串刺しにするのか、釜茹でにするのか、ということを聞きたいということかしら?あまり食欲をそそる話にはならないと思うけど・・・」
 ベリルの声には抑揚がない。
「恐れながら・・・その・・・今後の地球支配を円滑に進めるためには、この3人を我らがネメシスの従順な兵士として用いるべきかと思います」
「・・・」
 ベリルは黙ったままだ。シモンは冷や汗をかきながら続ける。
「・・・我らがネメシスも相当仲間を打ち減らされ、あまり人数がおりません。もちろん、ヴァルキリーがこの状態となった今となっては、地球を我が物にするのは容易いことではありますが、更に多少の犠牲が出ることは覚悟せざるを得ません。この3人を用いれば、より楽に人類を、地球を支配することができるでしょう」
「・・・つまり、処刑せずに手駒にするべきだ、という進言ですね」
「はい・・・」
 ベリルは少し考えているようだったが
「ダリア、どう思いますか?」
 シモンがダリアの方をちらりと見る。ダリアの表情はよくわからない。
「・・・シモンの提案にしては、それほど悪いものではないと思います」
 相変わらず棘のある言い方だが、シモンはダリアの言葉にほっとした。しかし、ダリアはその後に続ける。
「・・・ですが、この3人の洗脳は完全ではありません」
「・・・・・・と、いうと?」
「今は薬と暗示の相乗効果で、相当深く洗脳されていますが、いつ、何の拍子に洗脳が解けるかはわかりません」
「・・・」
「いつ裏切るかわからない者を配下につける・・・それは大きな爆弾を抱えることにになります。・・・それが一騎当千のヴァルキリーであればなおのこと。・・・そうしたリスクも含めて判断なさいますよう、申し上げます」
「・・・」
 ベリルは沈黙したままだ。
「・・・お、おそれながら・・・」
 怪しくなった雲行きを変えるべく、シモンは立ち上がる。
「確かに、まだこの3人の洗脳は少し甘いようです・・・。ですから、この3人を徹底的に洗脳する必要があります。・・・その、もうしばらく私めに調教させていただいて、その結果をもって3人への処断を判断していただきたいと思うのですが・・・」
「・・・」
「・・・」
 胃の痛くなるような沈黙を破り、ベリルが口を開く。
「・・・わかりました。ともあれ、明日の真夜中が刻限です。それまではあなたの時間ですから・・・好きになさい。その結果を見て、判断しましょう」
「・・・・・・感謝いたします」
 シモンは冷や汗をぽたっと床に垂らしながら、深々と頭を下げた。


 シモンとサファイアが出て行った後、謁見の間に残った二人は密やかに声を交わす。
「・・・典型的なリマ症候群です」
「・・・それは?」
「・・・ストックホルム症候群の逆・・・、人質を捕らえた犯人が、人質に情が移って殺せなくなってしまう心理状態です」
「・・・捕らえたはずが、囚われてしまうわけですか。中々うまくいかないものですね・・・。何にせよ、おそらく彼は今日必死で彼女らを洗脳しようとすることでしょう。私たちに悪いことはありません・・・。ダリア、事は進んでますか?」
「は・・・既に手は打っております・・・」
「ならばよい・・・」
 ベリルは薄く笑った。
「・・・ベリル様・・・恐れながら一つお尋ねしたいことがあります」
「なんですか?」
「・・・明日の結果を見て判断する、とおっしゃっていますが・・・その基準はお持ちなのですか?科学者としての立場からは、『完全に洗脳』という状態が永遠に続くことを保証するのは・・・正直、難しいのですが」
「・・・ふふふ・・・ダリアらしくない質問ですね」
「では・・・結局『死者より忠実な者は無し』ということですか」
 ネメシスの諺を引用するダリアにベリルは手を振って答える。
「・・・やりかたは2通りあるのよ。一つはそれ。もう一つは・・・・・・」
 ダリアはベリルの言葉を黙って聴いていた。
「・・・・・・いい趣味をなさってますね」
 ベリルの言葉が終わった後、ダリアはぽつりと言った。
「・・・ふふ・・・彼女たちにとっては、どっちが幸せなのかしらね・・・。明日は楽しくなりそう・・・」
 ベリルは愉しそうに笑った。




 シモンはぼんやりとアジトの廊下から窓の外を見ている。窓からは山の後ろに沈もうとしている赤々とした夕日が見える。
「・・・お前、よくベリル様にあんなことを進言できたな。見ているこっちが寿命が縮んだぞ」
 夕日の色を受けて赤く染まったサファイアがシモンに話し掛けてきた。
「・・・はぁ・・・まぁ、ただ殺すよりは、手駒にしたほうがいいだろう、と思いましたから・・・」
「・・・私だったらあんな進言は絶対に許さんがな。ヴァルキリーを処刑しない、なんてことは到底考えられん・・・。私がベリル様の立場だったら、すぐさまお前は処刑だ」
「・・・ベリル様のご聡明さには感謝してます」
「・・・それは私がアホだと言っているのか?」
 サファイアは鞭をわななかせる。
「いえ、いえ、滅相も無い。そんなことはありません。では、ここで失礼させていただきます」
「待て・・・」
 逃げ出そうとするシモンの腕を、サファイアがガシッと掴む。
「すみません、すみません・・・今日はもう鞭は勘弁してください・・・」
 目をつむって平謝りするシモン。しかし、鞭はいつまでも飛んでこない。シモンがおそるおそる目をあけると、サファイアがうつむいてもじもじしている。
「サファイア・・・様・・・?」
「・・・シモン・・・その・・・・あの・・・すまなかった・・・」
 サファイアがシモンを見る。その瞳の色は霞みがかって潤んでいる・・・。彼女の頬が赤くそまっているのは、夕日のせいではない。シモンが外を見ると、もう夕日は山に隠れ、空は紅色から紺色に移ろい、外は急速に闇に包まれつつある。
「・・・お前の言うとおり・・・私は・・・感情的になりすぎる・・・。お前のように戦略的な進言をすることも出来ず・・・ベリル様の冷静で奥深い考えに思い至ることもない・・・。お前のような賢い部下の上に立つべき人間ではないのかもしれん・・・」
「・・・はぁ・・・」
 なるほど。夜になったので、前に与えた暗示・・・昼はいつもどおり、そして事があればお仕置き、という暗示が発動しているのだ。
 サファイアはシモンの胸に顔を寄せ、熱い吐息を漏らしながら訴えてくる。
「その・・・すまんが・・・私にお仕置きをしてくれ。・・・駄目か?」
「・・・そうですか・・・。そうしましたら・・・、口で・・・私のものを舐めてもらえませんか?私を気持ちよくしてください」
「こ、ここでか?」
「・・・お仕置きですから」
 サファイアは左右を見る。今はここには誰もいないが、人が見られる可能性は十分にある。
「・・・わかった・・・」
 サファイアはゆっくりとシモンの前にひざまずくと、シモンのズボンをずり下げる。シモンの下着を下ろすと、あまりの急速な展開にまだ勃ちきっていないシモンのモノが揺れている。
 サファイアはシモンを上目遣いに見ると、はむ・・・と唇で亀頭を包み、舌全体を使ってレロレロと舐めまわす。シモンのモノはその刺激をうけてムクムクと勃ちあがる。
 サファイアの口元から唾液があふれて床に落ちる。レロレロ、という音はいつしかジュプ、ジュプといった音へ変わり、ストロークも深くなっていく。サファイアの頭の動きにあわせてツインテールが揺れる。
 遠くの廊下に、ネメシスの下級兵士の姿が見えた。
「・・・サファイア様・・・。部下がいますよ・・・いかがなさいますか?」
 サファイアは目だけを泳がす。兵士の姿を確認すると真っ赤に頬を染めるが・・・フェラチオを止めようとはしない。むしろ、より激しく顔をグラインドさせる。じゅっ、じゅっ、じゅっ・・・。別の生き物のように熱いサファイアの口腔に唾液まみれの陰茎がこすられる音だけが、薄暗い廊下に響く。
「サファイア様・・・。まさか興奮なさっているんですか?部下に見られて・・・」
「ほ・・・ほふはふぉふぉふぁふぁひ・・・」
 そんなことはない・・・と言っているのだろうか。顔を真っ赤にして首を横に振るが、その振動すらシモンのイチモツへの刺激になる。サファイアは恥ずかしさを誤魔化すかのように舌を這わせ、時には口から取り出してサオをねぶり、また口に、はむ・・・と咥える。その振る舞いの甲斐甲斐しさは、お仕置きのためにやらされている、というよりは、ただシモンを気持ちよくしたい、という一念からやっているように見える。
 シモンはサファイアのうなじをくすぐった。サファイアは「んん・・・」と鼻にかかった甘い声を出す。上目遣いをしてシモンを見る眼は淫欲にまみれて、とろんとしている。
 部下の姿はいつしか見えなくなった。暗かったのでこちらには気づかなかったようだ。しかし、サファイアは見られている、という恥ずかしさからか、もじもじと太腿をこすりあわせている。おそらくアソコはぐちゅぐちゅに濡れているに違いない。
「・・・サファイア様・・・出しますから・・・飲んでください・・・」
「んん・・・」
 鼻にかかった甘い声を出して、サファイアはこくりとうなずいた。シモンは自分からサファイアの喉を犯すように激しく突き動かす。サファイアは苦しそうだが、従順にシモンの腰の動きに従って顔を動かし、舌を激しくシモンのモノに絡みあわせる。

 じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ、じゅ、じゅ、じゅ・・・。ピストンのサイクルが一層激しくなり
「・・・く・・・サファイア様・・・出・・・出る・・・」
「ふぁ・・・ふぁふ・・・んん・・・」
 シモンが最後に一突きサファイアの喉奥にピストンを突き刺すと、どく・・・どくっ・・・という脈動とともに白濁液は放出され、サファイアは喉を鳴らしてそれを飲み干した。
 シモンは放心しているサファイアを無理やり立たせる。サファイアは「ふぁ・・・」と鼻にかかった声をあげる。
「・・・サファイア様・・・スカート、めくってもらえませんか・・・」
「あ・・・はい・・・」
 サファイアは素直にスカートの裾をつまむと、ストッキンッグに包まれたショーツをシモンの目の前に晒す。
 シモンはそのストッキングごしにサファイアの秘部に触れる。くちゅっ、という音ともに指がストッキングと下着もろともサファイアの肉襞に吸い込まれる。
「んあ・・・。あ・・・は・・・」
 サファイアは感極まった声とともに、シモンにしがみつく。
 しかし、シモンは指をひきぬいてしまう。
「え・・・」
 サファイアは思わず、「どうして・・・?」という表情でシモンを見つめる。
「サファイア様、申し訳ありませんが、ちょっと今晩は他にやらねばならないことがあります。・・・お仕置きの続きはお預けにさせてください」
「そ、そんな・・・」
「・・・お仕置きを我慢するのもお仕置きの一つです・・・。いいですか、自分で慰めてはいけませんよ。私にしてもらえるまで我慢してください。・・・もし自分で慰めたら、私はこれから貴方をお仕置きしないことにします。いいですね?」
「・・・わ、わかった・・・。でも・・・できるだけ・・・早く・・・、お願い・・・」
「・・・努力しましょう」
 切なそうに身体を震わすサファイアを引き剥がして、俺は試薬を受け取るためにダリアの部屋へ向かった。・・・どうも今晩は長くなりそうだ・・・。





 ・・・私は、ルピア。
 シモン様に仕えるメイドの一人です。
 ここに来る前は・・・ヴァルキリーの一員として、シモン様と戦う立場にいました。シモン様を傷つけたこともあります。・・・もう、その頃のことはあまり思い出したくありません・・・。自分でも愚かだったと思います。
 ・・・シモン様は、そんな私でさえも、温かく受け入れてくれました。命を奪おうとしていた者を、自分の側におく・・・。本当に寛大な方で・・・私は幸せです・・・。私は、この人に仕えるために生まれてきたのだと思います。これからも・・・ずっと・・・。
 ここは喫茶室です。質素な机にあまり上等とは言えない椅子。そんな部屋で、シモン様は、さっきから少し難しい顔をしてファイルを読んでいます。
 ・・・シモン様には、他にメイドが二人います。カーネリアとローズです。
 カーネリアは少し抜けているところもありますが、とても元気で明るい、いい子です。シモン様もお気に入りのようです。・・・少し羨ましいです。
 ローズは大人っぽくて、落ち着いています。けれど、いざ、シモン様のためなら、どんなことでもする情熱とそれができる実力を兼ね備えています。
 ・・・私は、シモン様のために何が出来るのでしょうか。
 二人は今、別のお仕事を任され、ここにはいません。だから、久しぶりにシモン様と二人っきりです・・・。少し緊張しています。
 シモン様は少し眠そうです。疲れているのだと思います。今日も・・・、・・・。ええと、何だったでしょうか、思い出せませんが、シモン様は今日も色々お仕事があってお疲れでした。
「・・・シモン様。コーヒー、お淹れしましょうか?」
「・・・ん・・・んー。頼む」
「はい、今お持ちします」
 私はコーヒーを沸かして、カップに入れてお持ちしました。
 シモン様はファイルに目を落としたまま手を伸ばしてカップを取り、口にもっていきます。
「あぢっ・・・」
 コーヒーが熱かったのか、シモン様は舌を唇から出して熱がっています。
「申し訳ありません、シモン様。熱かったですか」
「あぁ・・・熱かった」
「す、すみません。シモン様。ちょっと失礼します・・・」
 私はシモン様の舌を拝見しました。少し赤く腫れています。
「腫れてますね・・・」
「ルピア、舌がひりひりする」
「・・・はい、ただ今冷やします」
 私は冷凍庫から氷を取り出すと、カラン、と小皿に転がしてシモン様の所に行きました。でも、氷を舌に直接載せるとかえって冷やしすぎでよくありません。
 私は氷を自分の舌で舐めると
「・・・シモン様・・・失礼します・・・」
 シモン様に顔を寄せて・・・シモン様の舌に自分の舌を這わせました。シモン様の舌の熱が私の冷えた舌に移っていきます。少しして効果がなくなると、また私は氷を舐めてシモン様の舌に舌を寄せます。
 ・・・間近にシモン様の息を感じます。シモン様の舌の上、脇、裏の全てを隈なく私の舌で撫でていきます。ざらりとして、それでいてぬめりとして、温かくて・・・。シモン様の舌を舐めさせてもらうのは久しぶりなので・・・、・・・冷やすためにやってるのに・・・やってるだけなのに・・・私は気持ちよくなってきます。
「ルピア・・・、そろそろ舌が疲れたんだが・・・」
 5回目に舌を合わせようとした時に、シモン様が呆れたように声をおかけになりました。
「も、申し訳ありません。・・・もう、大丈夫なのですか」
「ああ・・・。ただ、このコーヒーは少し熱いし、ちょっと苦いな・・・。ミルクを入れてくれないか?」
「はい、ただ今」
 私は戸棚からミルクを取り出そうとしますが、切れているのかありません。冷蔵庫にも入っていません。
「・・・シモン様・・・申し訳ありません。ミルクが切れているようです・・・」
 シモン様に謝りにいきます。
「ミルクなら、そこにあるじゃないか」
「え?」
 シモン様は私を指差しています。いえ、正確には、私の胸を。
「・・・そこから、ミルクが出るだろう?」
 ・・・シモン様の瞳がわたしの目を捉えます。その深くて、黒く艶のある瞳を見てると・・・何がなんだかわからなくなって・・・意識がふわっと・・・遠のきます・・・。
 ・・・。
 あれ。
 少しぼんやりしてたみたいです。
「どうした?ルピア?・・・ミルクを用意しろ」
「は、はい。ただ今」
 私はメイド服の上をたくし上げ−−このメイド服は上下が分かれているタイプなので、こういうとき便利です−−ブラジャーに包まれた乳房を外に出します。背中のホックを外して、ブラジャーを床におきます。・・・私は、自分でも持て余してしまうちょっと大きい胸を、シモン様の前に晒しました。
 コップを手にして、乳首をそのコップに寄せて・・・空いているもう片方の手で乳房を揉みます。・・・少しマッサージすると、出がよくなるんです。
 揉んでると・・・ちょっと・・・ふわっと・・・してきました。シモン様が見てる前で・・・イッてしまいそうになります。
 慌てて、私は手の平全体で乳房を押し上げながら、乳首に指をよせてつまみます・・・すると、勢いよく白い汁が飛び出して、コップに溜まりました。
 私は溜まったミルクをコーヒーに入れて、シモン様にお渡ししました。
 シモン様はコーヒーをかき回して、ゆっくりお飲みになります。
 ・・・私の母乳を・・・シモン様がお飲みになっている・・・。
 それを考えるだけで・・・私の胸は高鳴って・・・、はしたない事に、アソコが濡れてきてしまいます。
「美味しかったぞ」
「・・・ありがとうございます」
 シモン様はお褒め下さいました。
「・・・少し溢れているな・・・ルピア、こっちに来い」
「え?」
 私は何のことかわからず、シモン様の方に近づきます。
 シモン様は私の乳首に指で触れます。溢れ出たねっとりとした母乳が、シモン様の指につきます。
「あ・・・」
 思わず私は声を出してしまいます。
「まだまだ出るようだな・・・直に飲ませてもらおうか」
「え・・・」
 シモン様は私の胸に顔を埋めると、乳首を転がし始めました。
「あ・・・ああ・・・」
 シモン様の舌が私の勃った乳首を舐め、大きな手が乳房をもみしだく度に・・・私の背筋には、ぞくぞくとした快感が走ります・・・。
 私は、メイドです。ご主人様に何でもして差し上げること、ご主人様を気持ちよくさせることが使命です。・・・ですから、自分が気持ちよくなり過ぎて、ご主人様をないがしろにしてはいけません・・・。それが、メイドのルールです。
 でも・・・これは反則です・・・。こんなこと・・・大好きなシモン様にされたら・・・気持ちよくならないのがおかしいです・・・。
 私は思わずシモン様の頭を抱きかかえました。シモン様はごくり、ごくりと、私のミルクを飲んでいます。シモン様の喉仏が動くたびに、私はぼんやりとした意識の中で、幸せを感じます。・・・私の一部がシモン様の栄養になってる・・・。こんな幸せはありません・・・。
 シモン様はゲフッとゲップをなさいました。赤ちゃんみたいです。私は思わずシモン様の唇から溢れる、私の母乳を舐めとりました。甘いミルクの匂いがします。シモン様は私の舌を吸い上げて、口の中で自分の舌と絡まはじめて・・・わたしは・・・もう・・・よくわからなくなって・・・きもちよくって・・・。
 シモン様が唇をはなしてからもしばらく、私は激しく息をついていました。
「・・・ふふ・・・かわいらしいな、ルピア。気持ちよくなってしまったか?」
「・・・あ・・・その・・・」
 そんなこと、申し上げるわけにはいきません。
「・・・気持ちよくなってないのか?」
「・・・なっておりません」
 私は少し怒ったように言いました。
「ふーん。だったら、ちょっとスカートをまくってみてくれ」
「え・・・」
「気持ちよくなってないのだったら、股は濡れてないだろうからな・・・。確認だ」
「・・・・・・」
「どうした?」
 シモン様は知ってるんです。私が気持ちよくなってしまったことも・・・。そして、もう下着はぐしょぐしょに濡れてしまってることも・・・。
 私は・・・ゆっくりと長いスカートの裾を握り締めると・・・上に引っ張りあげて・・・たくしあげます。
 部屋の空気が、直接私の濡れそぼった下着に触れて・・・ひんやりします。
 ・・・でも、それ以上に・・・シモン様の視線が注がれているのを感じてしまい・・・。
 あそこから垂れた汁が、つつっと腿をつたって、ニーソックスに染み込んでいくのがわかります。
 シモン様に・・・今の私はどのように映っているのでしょうか。
 自分の劣情をコントロールすることもできず、快楽を貪る、はしたないメイド・・・。そんなところでしょうか。
「ルピア・・・。今の自分の状態を説明してみろ・・・」
「え・・・」
 シモン様の瞳が私を捉えます。・・・もう、逆らえません。
「わ・・・わたしは・・・今・・・、乳房を剥き出しにして・・・、スカートをたくし上げて・・・ぐしょぐしょに濡れた下着を・・・ご主人様の前に晒しています・・・」
「・・・恥ずかしいか?」
「恥ずかしい・・・です・・・」
「でも、気持ちいいんだな?」
「・・・はい・・・気持ちいいです・・・」
「・・・変態だな・・・・・・」
「・・・・・・あ・・・は・・・はい・・・。ルピアは・・・変態です・・・変態メイドです・・・。ご主人様を差し置いて気持ちよくなってしまいました・・・、はぁ・・・」
 私の口から、次々と自分の現状を告白する言葉があふれてきます。そうです。私はいやらしい、変態のメイドです。シモン様という素晴らしいご主人様を頂く価値なんてないんです・・・。
「シモン様・・・。私は・・・シモン様に・・・お仕えする資格が・・・ありません・・・」
「・・・どうした?急に・・・」
 目を閉じると、涙がこぼれてきます。
「わたしは・・・わたしは・・・」
 ・・・声が続きません。
「じゃあ、消えるか?」
 シモン様の冷たい声が私の耳に突き刺さります。私は目をはっと開けます。
「仕える資格が無い・・・と自分で言うならな。別に構わんぞ・・・お前を解放してやる・・・。ヴァルキリーとして帰れ・・・」
「・・・嫌・・・それは嫌です・・・」
 私は、自分でたくし上げたスカートで目をおさえました・・・。こんな顔・・・シモン様には見せられません・・・。
 シモン様は、私を抱き寄せて、囁きました。
「ルピア・・・こっちを見ろ・・・」
 私はおそるおそる目を開けます。
 シモン様は目元に溜まった私の涙を舐め取ると、そっと口付けをしてくださいました。私はそれだけで力が抜けてきます。
「ルピア・・・、私に仕える資格とは、何だと思う?」
「・・・・・・わかりません」
「私を裏切らないことだ・・・。どんな時でも、たとえどんなことがあっても、私に従い続けることだ・・・」
「・・・それだけですか?」
「そう、それだけだ」
「・・・私がシモン様のことを裏切るはずがありません」
「・・・どうやってそれを証明する?」
「・・・・・・それは・・・」
 確かに、どうやって証明すればよいのでしょうか。
 シモン様は、うつむく私の顎に指をあてて、私の瞳を覗き込みました。・・・シモン様の瞳は・・・いつもどおり優しいのですが・・・少し悲しそうな感じがします。なぜだか私にはわかりません・・・。
「・・・意地悪な質問だったな。・・・お前は私を裏切らない。そう言ったな」
「・・・はい・・・」
「じゃあ、私もお前を信じることにしよう。心配するな」
「・・・はい・・・」
 私はホっとしました。
「じゃあ、ルピア。そこの机の上に乗って、股を開け」
「・・・は・・・はい」
 さっき従いつづける、と誓ったばかりです。恥ずかしいですけど・・・ご命令には従わなくてはいけません。
 私は机の上に腰を載せると、腕で膝を抱えるようにして左右に開き、シモン様に私のぐちゅぐちゅに濡れたショーツを晒しました。多分、アソコの形もくっきりと浮かび上がっていることでしょう。
 シモン様はショーツ越しに私のアソコに指で触れました。くちゅ・・・という音とともにぷよぷよした私の肉襞に指を差し入れます。
「んん・・・あ・・・」
 私は思わず溜息をもらしてしまいます。
「ルピア・・・ここに挿れて欲しいか?」
「・・・あ・・・ああ・・・」
「いいぞ、素直に言って」
「・・・あ、・・・はい・・・挿れて・・・挿れてください・・・」
「何を?どこに?きちんと説明しなさい」
「・・・あ・・・は・・・シモン様の・・・シモン様の・・・たくましいチ○ポを・・・私の・・・私のオ○ンコに・・・挿れてください・・・。私の中をめちゃくちゃにかき回してください・・・。私をシモン様のモノにしてください・・・お願いします・・・」
「ふふ・・・本当にはしたないな・・・ルピア・・・」
「あ・・・はぁ・・・すみません・・・でも・・・私は・・・シモン様が・・・好き・・・ですから・・・。ごめんなさい・・・」
「今日は特別だぞ・・・」
 シモン様はズボンを脱ぎました。シモン様の滾りきった肉棒が露わになります。
「あ・・・♪」
 私は思わずうっとりとそれを見つめてしまいました。
「ご褒美だ・・・ありがたく受け取れ・・・」
 シモン様は私の濡れそぼったショーツをずらすと、その肉棒をズプ・・・と私のアソコに挿し込みました。
「あぁ・・・」
 シモン様の熱いモノが私の中に入ってきます。シモン様は私を抱きかかえるようにして、ゆっくりと動き始めました。私は両腕をシモン様の首に絡ませました。シモン様は少し息を荒くして腰を動かしています。シモン様の棒が私の敏感な部分をこするたびに、私の頭は真っ白に痺れていきます。
 シモン様・・・シモン様・・・。私の中はシモン様のモノで一杯で、私の心もこんなにシモン様で一杯なのに・・・どうやったらそれを伝えられるんでしょうか。シモン様は、裏切るな、とおっしゃいました。私は絶対に裏切りません。でも、でも・・・どうやってそれを証明すればいいんでしょうか・・・。
 シモン様は一層激しく動き始めました。私の思考は途切れ途切れになっていきます。身体がふわ・・・と浮かびそうな感じ。「ふわっ・・・ああ・・・」と声が漏れて、私は思わずシモン様の肩に噛み付いてしまいました。シモン様は私の唇を奪い、そのまま舌を絡めて・・・。下から上から、私はシモン様に犯されていきます・・・。ぞくぞくします・・・。
「いくぞ・・・ルピア・・・」
「はい・・・きて・・・きてください・・・んあ・・・・あああああああ!!!」
 ドクドクドク・・・っとシモン様の熱い液が私の中に飛び散ると同時に、私の身体もびくっと跳ね上がり、意識も遠くに弾け飛びました・・・。

「ルピア・・・、聴こえるか・・・」
「・・・ん・・・あ・・・はい・・・」
 シモン様の声が聞こえます。私の顔を優しく撫でてくれています。・・・すごく気持ちがいいです・・・。
「目はあけなくていい・・・そのまま聴いていろ・・・」
「はい・・・」
「俺が今から3つ数えると、お前は今から深い眠りに落ちる・・・今までに無い深い眠り・・・全てを越えて・・・何も分からなくなる・・・ひとーつ・・・ふたーつ・・・みっつ・・・」

 私の意識は、そこで途切れました。

 それから、シモン様は私の中にいろいろなことを伝えました。・・・でも私はよく覚えていません・・・。
 でも・・・一つだけはっきりしていることがあります・・・。私は、永遠にシモン様のモノです。シモン様に従うこと。シモン様に仕えることが、私の全てです。
 きっと明日も、明後日も、10年後も・・・おばあちゃんになっても・・・シモン様の側に仕えていられればと思います・・・。おばあちゃんになったら、シモン様はもう抱いてくれないでしょうけど・・・私は、それでもいいから・・・シモン様のお側にいたいです・・・。
 シモン様が部屋から出て行く足音が遠くに聞こえました・・・。おやすみなさい・・・シモン様・・・。






 ・・・わたしは、カーネリア。
 ・・・シモン様に仕えるスポンジです。
 ・・・あれ?
 何か変ですね。
 私はスポンジです・・・私はスポンジです・・・スポンジスポンジスポンジ・・・。
 ・・・そうです、確かにわたしはスポンジです。変じゃありません。
 今、私はお風呂場の脱衣場にいます。
 シモン様がお風呂に入られるので、自分の使命を果たすためにここでお待ちしています。
 ガチャ。ドアが開きました。シモン様が脱衣場に入ってきます。シモン様は私を見つけるなり、ちょっとぎょっとした顔をなさいました。
「・・・・・・お前、ここで何してるんだ」
「シモン様をお待ちしておりました」
「・・・なぜ?」
 ・・・なぜ、って私のすることといえば一つしかありません。
「・・・シモン様のお身体を綺麗にするのが私の仕事です」
「・・・・・・ああ・・・スポンジ人格が表出してるのか・・・。うーむ。試薬を混合するとランダム再生暗示になってどの人格が出るのか予測ができんな・・・」
 シモン様はなにやら難しいことを言いはじめました。私にはよくわかりません。
「・・・まあ、いい。それなら綺麗にしてもらおうか」
「・・・はい」
 シモン様のお役に立てるのはとても嬉しいです。私はニコニコしながら立っています。
「・・・・・・」
「・・・シモン様、どうしたのですか?」
「・・・いや、そこに立ってられると、服を脱ぎにくいのだが・・・」
「私はスポンジですから、気にしないで下さい」
「・・・・・・そうだな・・・。・・・なんだか俺の方が恥ずかしいのだが・・・」
 シモン様は少しもじもじしながら服を脱いでいます。変なシモン様。
 私は特殊な服を着ています。見かけは、いわゆる人間が着るメイド服です。しかし、この服は水を吸いやすく、肌触りが滑らか、それでいて薄手の、特殊なスポンジ加工をしてあるメイド服です。・・・ブラジャーとパンツはつけていません。スポンジですから。でも膝上まであるストッキングは穿いています。スポンジとは、そういうものだそうです。
 シモン様が生まれたままの姿になりました。筋肉がしなやかについていて、少年から大人の男性に成長する途中の身体、な気がします。いえ、私はオトコの人の身体はシモン様しか知らないのでよくわかりませんが・・・。
 シモン様が浴場に入るので、私もついて入ります。
 お風呂場は広めでタイルが張ってあり、湯気で白くなっています。シモン様は床に敷いてあるマットにお湯をかけると、そこに仰向けに横たわります。
 私は桶で湯船からお湯をすくってシモン様の身体全体に丁寧にかけます。そして、自分でもお湯をかぶるとハンドソープを自分の服に塗ります。そして体中を軽くマッサージして泡立てます。くちゅ・・・くしゅ・・・くしゅ・・・。薄い服が水で透けて肌にぴっとりとへばりつきます。胸をまさぐると少し勃ちかけた乳首が服から透けているのがわかります。・・・なんで私はスポンジなのに乳首が勃つのでしょうか?シモン様ならその理由をしっているのでしょうか・・・。
「・・・失礼します」
 私はシモン様の上にのりかかるように身体を合わせます。シモン様の体の火照りがお湯でふやけた薄い服を通じて私の身体に伝わってきます。ぬる・・・ぬる・・・。私はシモン様の身体を抱きしめると、ゆっくりと上下に動き、シモン様の身体を清めていきます。ボディソープが泡になって、ぬるぬるしてきました。
 ・・・シモン様の股の間のものが私の太腿に時々当たります。・・・このモノは凄く大切なものだそうです。私も後でゆっくりこれを綺麗にするつもりです。
 シモン様のお顔が私の近くにあります。シモン様は気持ちよさそうに目を閉じています。私はシモン様のこの表情を見るのがとても好きです。私も気持ちよく・・・なってきます・・・。・・・じゅる・・・じゅる・・・きゅ・・・・・・にゅる・・・。私の身体と、シモン様の身体がこすれる音、泡立つ音、マットレスとタイル張りの床がこすれて軋む音・・・。二人しかいないお風呂場で、ただ、そうした音だけがこだましてます。
 私はシモン様の腕、足を丹念に両腕と両手でこすりあげます。シモン様の肌が泡に包まれてきます。・・・シモン様の筋肉は疲れからか、少し固くなっています。私はそうしたところを見つけると、精一杯マッサージをして差し上げます。
「・・・カーネリア、結構うまいな・・・。気持ちいいぞ・・・」
 シモン様は私の頭を撫でてくださいました。
「そ・・・そんな・・・。・・・ありがとうございます」
 私の下手なマッサージにも、シモン様は優しいお言葉をかけてくださいます。
 私は時々シモン様の肌を舐めます。・・・この石鹸は特製で人が舐めても身体に害はないそうです。私はスポンジなので関係ないと思いますが・・・。シモン様の乳首や首筋、手や足の指、耳たぶなど、そうした細かいところは私の舌を使って綺麗にします。ちゅぷ・・・ちゅぱ・・・ちゃぷ・・・。シモン様はそうしたところを舐められると、時々、ぶる・・と震えます。・・・こんなことを申し上げるのも恐れ多いのですが・・・私は、そういう時のシモン様は、とても可愛いと思います。
 シモン様が私の頭の後ろを抱えるようにして私を引き寄せました。シモン様の顔が目の前にきます。
「カーネリア、唇を綺麗にしてくれ」
「はい・・・」
 泡のついた手でシモン様の頬にそっと手を寄せると、私は舌を伸ばして、シモン様の唇を舐めはじめました。最初は唇を外側から舐めて、その後唇の裏側を舐めて・・・そして唇の中の舌を舐めます・・・。
 すると、シモン様の舌が突然動いて私の唇の中に入ってきました。私はそれを押しとどめようと一生懸命頑張ってたのですが・・・シモン様の舌が私の口の中で動き回るうちに・・・私の頭は真っ白になって・・・シモン様の顔にただ自分の顔を寄せて舌を絡めていました・・・。
 ぷちゅ・・・ちゅ・・・くちゅ・・・。
 シモン様の唾が・・・甘くて・・・あったかいです・・・。
 ・・・私のお腹の下の方・・・股の間が・・・じゅく・・・としてきました。・・・おかしいです・・・。・・・なんか濡れてきているみたいです・・・。
 シモン様が私の唇から唇を離しました。泡と唾液まみれの糸が私とシモン様の唇の間をつないでいます。石鹸の泡が二人の唇の間にシャボン玉を作って、ぱちんと割れました。 間近にシモン様の顔があります。シモン様の深い色をした瞳はじっと私のことを見ています。・・・どきどきします。
「カーネリア・・・あそこを綺麗にしてくれ・・・」
「はい・・・」
 私は、シモン様の身体を抱きかかえるようにして起こすと、シモン様の股の間にあるモノに目をやります。シモン様のアソコ・・・。赤黒く立ち上がっています。私はハンドソープを改めて手に塗って泡立てると、シモン様のアソコのサオをそっと包みました。そのまま優しく、泡立てていきます。シモン様のアソコの毛がザラザラと指にまとわりつきます。私は根元の方・・・袋の方から丁寧に揉みしだいて綺麗にしていきます。
 ちら・・・とシモン様の方を見ると、シモン様はじぃ・・・と私のほうを見ています。わたしは慌てて目をそらして、シモン様のあそこの頭・・・うっすらと液がでている部分を、舌でぺろっと触れます。・・・あそこの熱が舌に伝わって・・・私はその熱さにどきどきしながら唇全体でマッサージしていきます。
 すると、シモン様は手でわたしの胸を服ごしに触ってきます。強く・・・弱く・・・また強く・・・下から上から・・・いろんなパターンで揉まれて・・・。ああ・・・シモン様いじわる・・・。私のアソコは・・・もうジュクジュクに濡れてきています・・・。乳首も、恥ずかしいくらいに勃ってしまって・・・多分、濡れたメイド服を恥ずかしいくらいに押し上げていることでしょう。
 私はシモン様のサオ全体を口に入れて頭を動かしはじめます。頬をぺったんこにして、シモン様のモノを頬の裏で刺激して、喉奥でシモン様のアソコの頭を刺激して、カリを舌でマッサージして、唇でサオの根元の方を締め上げて・・・指で袋を柔らかく揉みます。
 でも、時々シモン様は私の乳首をこり・・・とつまみます。すると私の身体は私の意思とは関係なく、びく・・・っと跳ね上がってしまします。
「おいおい、スポンジのくせにそんなに感じてどうするんだ?」
「ふ・・・ふひはへふ・・・ふぉふぇふふぁふぁひ・・・」
 口に頬張ったまま私はごめんなさいをします。じゅぷ・・・じゅふ・・・にゅる・・・じゅぷ・・・。そのうちシモン様は私の頭を手で押さえつけて自分から腰を動かし始めます・・・。・・・私は一生懸命それに応えていきます・・・。じゅ・・・じゅ・・・じゅ・・・。
「カーネリア・・・出すぞ・・・飲み干せ・・・」
「ふぁひ・・・」
 シモン様は激しく最後に一突きをすると、私の喉奥に熱いものが、どく・・・と放たれました。私はむせ返りそうになりながらそれを、ごくり・・・ごくり・・・と飲みます。シモン様の精液が私の胃の中に熱いまま流れていきます。
 シモン様のモノが私の唇からにゅぽ・・・と抜けます。「ふわぁ・・・」と私は気抜けしたように息を吐きます。
 ぼぅっとして座り込んでいる私をシモン様はひっぱって後ろから抱きすくめてきました。
「さて・・・今度は俺がカーネリアをマッサージしようかな・・・」
「え?・・・でも私はスポンジですから・・・」
「へぇ・・・本当にスポンジなの?」
「本当です」
 私はちょっと怒ったように言いました。
「おおっと怖い・・・じゃあ、ちょっとそのスポンジらしい手触りを確認させてくれ」
「え?・・・」
 シモン様は私を抱きかかえるようにすると、右手で私の泡まみれの胸を服の上からマッサージし始めました。同時に、左手で私のアソコ・・・股の間・・・にある、じゅくじゅくに濡れたびらびらしたモノに指を這わせてきます。
 もみ・・・もみ・・・じゅく・・・にゅる・・・。シモン様が私の胸をわしづかみにすると、ハンドソープの泡と・・・服の下から透けた乳首がシモン様の指の間から飛び出してきます。
「・・・あああ・・・ふわぁ・・・」
 私は思わず変な声を出してしまいます。
「あれ・・・スポンジなのに、こんなところ触られて気持ちいいんだ・・・」
 シモン様が乳首と・・・あと・・・股の間にある豆を、きゅぅっとつまみました。
「あああああ!!!いや・・・あぁ・・・はぁ・・・」
 私は思わず自分でもびっくりするような大声を出してしまいました。お風呂場だったので、私の声がうわんうわんコダマしてます。
「・・・随分大きな声が出るスポンジだな・・・」
「・・・うぅ・・・だって・・・」
「・・・ここもこんなにぐちゅぐちゅだぞ・・・」
 シモン様は私の股の間にある穴に手を入れてきました。そこからはどろどろした熱い液が出てきています。
「んあ・・・やぁ・・・」
「おいおい、何でスポンジからこんなに液がダラダラ出てくるんだ?」
「だって・・・スポンジを押したら水が出てくるのは当たり前です!」
「・・・押したらねぇ・・・。じゃあ押さなかったら出てこないわけだ」
「そうですよ」
「・・・じゃあ、実験」
「・・・え・・・?」
 シモン様が指をにゅぽ・・・と私の穴から抜き取りました。でも、後から後から液は私の中から溢れ出してきます。
「あ・・・」
「・・・何にもしなくても出てくるねぇ。これはどういうこと?」
 うーん・・・と私は一生懸命理由を考えてみました。
 ・・・わかりました。私、身体が溶けてきてるんです。スポンジは石油でできてますから、きっと長い時間経つと腐って石油に戻っちゃうんです。私死んじゃうんです。もうおしまいなんです。・・・シモン様とお別れなんです。
 私はぼろぼろ涙を流しました。
「・・・シモン様・・・私、壊れちゃったみたいです」
「・・・」
「多分身体の中のスポンジが溶けてきてるんです。腐ってるんだと思います。・・・シモン様・・・ごめんなさい・・・私、シモン様の身体を洗って差し上げられるのも今日がきっと最後です・・・」
「・・・おい」
 私は鼻水としゃっくりが止まらなくなりました。
「・・・シモン様・・・、私が腐ってどろどろに溶けたら・・・、ひっく・・・お願いですからカモメががぁがぁ鳴いている砂浜から溶けた私を海に流してください。ずずず・・・。・・・わたしは海と一緒になります・・・」
「・・・・・おい、おーい、帰って来いカーネリア!」
 シモン様は私のほっぺたをぺちぺちとはたいてガクガク揺さぶります。わたしは、はっとシモン様を見つめます。
「大丈夫だ、カーネリア。お前は腐ってない。それは、・・・えーと、多分スポンジとして正常な反応だ」
「・・・え・・・これが・・・」
 私はスカートをまくってみました。とろとろとした液が私の黒い茂みの奥にあるアソコから垂れてきます。
 シモン様はいきなり私のアソコに顔を近づけると、レロ・・・とその液を舐め取りました。続けて、私の赤く充血したびらびらや、豆を舐めていきます。
「きゃ・・・ふぁ・・・」
 シモン様に舐められると、私の頭は真っ白になってしまいます。
「・・・美味しいぞ、カーネリア・・・」
「え・・・そうなんですか・・・」
 シモン様はにっこり笑って、私の頬を・・・涙の跡を舐めました。
「お前、すごい顔してるよ。鼻水と涙で一杯だ」
「え・・・いや・・・」
 私は顔をごしごしこすりました。シモン様はそんな私の様子をじっと見てましたが、少し意地悪そうに笑うと、言いました。
「・・・うーむ・・・そうだな。確かにスポンジとして正常な反応だが・・・やっぱり、少し腐ってきてるのかもな・・・」
「え?」
 シモン様が深刻そうな顔をしています。
「まあ、まだ初期段階だから、薬を入れれば直ると思うが・・・」
「え、え、え、そうなんですか?シモン様、その薬って?」
「ここから出てくる液体だ。さっきお前は飲んだろう」
 シモン様は指で自分の大事なものを指差しました。
「あ・・・じゃあ、さっき私飲みましたから、大丈夫ですね」
「・・・いや、これは直接患部に注入しないと効果を発揮しないんだ・・・」
「え?」
「でもさっき出したからもう出ないかもなぁ・・・」
「そ、そんなぁ・・・、シモン様、お願いです。私の中で出してください!」
「・・・どろどろに溶けてカモメと一緒に海に還るんじゃなかったっけ?」
「そんなの嫌です・・・。いつまでもシモン様のスポンジとして、シモン様のお体を洗って差し上げたいんです・・・」
 また涙が滲んできてしまいました。
「・・・わかった・・・。じゃあ薬を入れるぞ・・・カーネリア・・・」
「はい・・・」
 私は自分の足を広げて、シモン様が入れやすいような体勢をとります。シモン様はゆっくりと私の上に覆い被さり、その脈うっているモノを私の中にずぶり・・・と突き刺しました。
「ふぁ・・・」
 すごく・・・気持ちがいい・・・。シモン様が私の中にいる・・・それが直接伝わってきます・・・。抱きしめられている時よりも、シモン様との距離が近くなっている・・・。それが嬉しいです・・・。
 シモン様は初めはゆっくりと、その後スピードを上げて前後に動き始めました。私のアソコはシモン様のモノを離さないように締め上げてます。私の足も自然にシモン様をはさみこみます。・・・シモン様に離れて欲しくないです・・・。
 シモン様は私の腕を押さえつけています。シモン様の舌が私の舌を舐めてくれます。私はただ「はぁ・・・ああ・・・」と喘ぐだけです。
 シモン様は腰を丸く動かしたり・・・突然激しく突いたり・・・かと思ったらゆっくりになったり・・・手も私の胸を揉んで・・・乳首をくちゅくちゅして・・・。私・・・もう何がなんだかわからない・・・。
 シモン様が私の耳をかみました。それだけで私の身体はびくん、となってしまいます。シモン様は耳元で囁きました。
「いくぞ・・・カーネリア・・・」
「・・・はい・・・、お願いします・・・」
 シモン様の腰の動きが激しくなっていきます。じゅく・・・じゅ・・・じゅ・・・、シモン様のモノと私のアソコの肉が私の中の液でにちゃにちゃになってこすれる音がします。床のマットはタイルに擦れてきゅ・・・きゅ・・・という音を出しています。
「は、は・・・あ・・・ん・・・や・・・いい・・・いいです・・・シモン様・・・あぁ・・・」
「いくぞ・・・いくぞ・・・カーネリア・・・」
「はい・・・きて・・・出して・・・お願い・・・んあぁあああああぁぁ!!!」
 どくどくどく・・・っと、シモン様の身体から出てくる薬が、私の中に注がれて・・・私は・・・そのまま気が遠くなっていきます・・・。
 シモン様は私の中にモノを入れてたまま、私に話し掛けてきます。
「・・・カーネリア。お前は、本当に一生俺のスポンジでいたいのか?」
 私はぼんやりと答えます。
「はい・・・もちろんです・・・」
「・・・・・・スポンジはちょっとアレだな・・・。えーと、お前は一生俺のモノでいたいんだな・・・」
「はい、別にスポンジでも歯ブラシでも何でもいいです・・・。シモン様のお側にいたいです・・・」
「・・・そうしたら、俺の目を見ろ・・・」
 シモン様は私の顔に顔を近づけました。シモン様の瞳が私をとらえて・・・黒い瞳に私の瞳が映っているのが見えます・・・私がシモン様の中にいます・・・・・・・・・。
 ・・・。
 ・・・。
 ・・・。
 シモン様は何かを私にしゃべっています。・・・私はその中味はよくわかりません・・・。でも、私の心の奥底に、きちんとその言葉は染み込んでいっています。だから私はあまり心配してません・・・。だって・・・シモン様の言葉はあっかくて優しくて・・・、きっと素敵なことだからです・・・。

「はい!」
 パチン、と手を鳴らす音とともに、私の意識は戻りました。目の前にはシモン様。ここはお風呂。私は・・・カーネリア・・・シモン様のメイド・・・。
「どうした・・・?」
「え・・・私は・・・あれ?」
 私の服はぐしょぐしょで泡立っています。目の前のシモン様は泡まみれですっぽんぽんです。
「あれ・・・あれ・・・なんでこんなところに・・・?」
「・・・お前は誰だ?」
「え?・・・私はカーネリアです・・・」
「仕事は?」
「は?何を言ってるんですか?私はシモン様のメイドです・・・。お忘れですか?」
「・・・元に戻ったか。ならいい。カーネリア、折角だから風呂に入るか」
「え?」
 シモン様は私をお姫様抱っこして抱きかかえると、そのまま湯船にざぶりと放り込みました。
「きゃぁ!!」
 シモン様もそれに続いてお風呂に入ります。
 私のメイド服から泡がぶくぶくと沸き立って水面に広がります。
「泡だらけになっちゃいました・・・」
「まぁ・・・スポンジだったからなぁ・・・」
「え?何がですか?」
「・・・まあ気にするな」
 シモン様はぎゅっと私を抱きしめてくれました。私は目を瞑って・・・ただその力強い腕に抱きしめられる幸せを感じています・・・。


 ダリアの部屋に、シモン、ダリア、カーネリア、ルピアの4人がいる。シモンは、実験結果のレポートをダリアに手渡した。カーネリアとルピアは後ろに控えているが二人は人形状態になっている。
「・・・なるほど、ホルモン剤D+は母乳分泌・射出あり、と。洗脳薬αとβを混合すると暗示のフラッシュバック現象があるか・・・。まぁ予想の範囲内だな。・・・しかし、メイド化はともかく、このスポンジ化ってのは何だ?」
「・・・まぁ・・・いろいろ試してみたってことさ。こんなところでいいか?」
「ご苦労。あとローズの方にもこの試薬を頼む」
「・・・アイアイサー」
「二人はそこにおいておいてくれ。少し診断したいんでな」
「ああ」
 シモンは薬の入ったケースを抱えてドアの外に出て行った。
 ダリアはギィ・・・と椅子を鳴らして立ち上がった。メイド服を着たルピアと、チャイナ服を着たカーネリア−−メイド服は濡れてしまったので洗っているらしい−−に近づき、ペンライトを取り出す。
「カーネリア、ルピア・・・これを見ろ・・・」
 二人の霞みがかった瞳がペンライトを向く。
 ダリアが指をパチンと鳴らすと、二人は糸の切れた操り人形のように、首をガクンとうな垂れた。
「さて・・・二人とも、シモンにどんな暗示をかけられたのか・・・全て私に話すんだ・・・」
「「はい・・・ダリア様・・・」」
 二人は、ダリアに報告を始めた。

 
 ・・・シモンはしばらく耳を手で抑えていたが、ふぅ、と溜息をつくと、耳からイヤホンを外した。イヤホンからは、シモンにどんな暗示をかけていたかを聞くダリアの声と、それに従順に答える二人の声がする。カーネリアの服にとりつけた盗聴器が集めた音だ。
 予想していたこととはいえ、やはりダリアは二人を支配してる。
 地球で覚えた『オセロ』というゲームを思い出す。表裏が白黒の駒をクルクルとひっくりかえす遊びだ。ダリアと暇つぶしにやった思い出が、もう遠い昔のことのように思える。
 それをヴァルキリーを駒にしてダリアと実戦で勝負することになるとは・・・。
「俺、ダリアに『オセロ』で勝ったことないんだけどなぁ・・・」
 シモンは肩と首をぐるりと回して、次の実験台の待つ部屋へと向かった。

 


 

 

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