韓国がまた、尋常ならざる主張を始めた。長崎県対馬市から韓国人窃盗団が昨年10月に盗み出したまま、日本への返還を差し止めしている同県指定の有形文化財「観世音菩薩坐像」について、「偽物の可能性がある」と韓国紙が報じたのだ。日本側の関係者は「返還拒否の口実にする気ではないか」と怒り心頭。来月満期を迎える「日韓通貨交換(スワップ)協定」への影響も出てきそうだ。
朝鮮日報は13日、韓国の専門家が観世音菩薩坐像の写真を分析した結果、(1)表面に化学薬品で着色した痕跡がある(2)伝統的な鋳造方法では必ず存在する四角形の穴がない−などとして、「韓国の伝統的な鋳造技術で作られたものではなく、20世紀に作られたものと判断した」と報じた。
この仏像は1330年、高麗時代の朝鮮半島で作られたとみられ、対馬市の観音寺が600年以上、大切に守ってきたもの。盗んだ韓国人窃盗団は逮捕されたが、韓国の浮石寺が「14世紀に略奪されたものだ」と主張。韓国の大田地裁は今年2月、日本への返還を当分差し止める仮処分を決め、日本側は猛反発している。
こうしたなかで「偽物説」が浮上したわけだが、対馬市教育委員会は「ただ写真で見ただけで、きちんと調査した結果ではなく、コメントできない」と困惑ぎみ。
観音寺の田中節孝前住職も「韓国人とは付き合いきれない」といい、こう語った。
「観音像を盗んでおきながら、韓国側は当初、『高麗時代に倭寇に略奪されたもの』とわれわれを糾弾してきた。揚げ句の果てには『仏像は偽物だ(から返さなくていい)』と逃げる気なのか。彼らには仏心はないのか」
仏教の教えに「不偸盗戒(ふちゅうとうかい)」と「不妄語戒(ふもうごかい)」がある。前者は「他人のものを盗んではならない」という意味で、後者は「嘘をついてはならない」という意味だ。国籍や民族に関係なく、人間としての普遍的道義といえる
総務大臣政務官の片山さつき氏は「韓国には世界の常識が分かる大人の国になってもらいたい。偽物であれ本物であれ、仏像の所有権は日本側にある。(韓国側の姿勢は)日韓通貨スワップにも影響しかねない」という。
日韓通貨スワップ協定とは、アジア通貨危機の教訓から緊急時に通貨を融通し合おうと2005年に結ばれた。日本は戦後、通貨危機に陥ったことはなく、事実上、過去に何度も通貨危機に見舞われている韓国ウォンを安定させるための協定だ。
総枠130億ドル相当のうち30億ドル分が7月3日に期限を迎える。その延長をめぐり、金仲秀韓国銀行総裁は「日韓双方にとって利益になるなら可能」と高飛車な態度を崩さない。
片山氏は断言する。
「『日韓双方に利益になるなら』なんて、とんでもない。日韓通貨スワップの実質は、日本による韓国への経済的支援です。日本から延長をお願いする筋合いはありません」 (安積明子)
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