【スピーカー】西村博之
日本の実業家。有限会社未来検索ブラジル取締役。
インターネットの匿名掲示板である2ちゃんねるの開設者かつ初代管理人。また地域情報の電子掲示板であるまちBBSの開設者でもある。
基本的に自分の必要だと思うものにお金を払うのだと思う。米を食べたいから米を買うとか。浜崎あゆみが好きで、浜崎あゆみにずっと曲出して欲しいから浜崎あゆみのCDを買うとか。 何か自分が欲しい物に対してお金を払うと思う。自分の払ったお金が相手の人に行けば、その相手の人は同じようなものを作ったらお金がもらえるというので、似たようなものを作り続けることになる。そうすると作ってる人も、それを手に入れる人も幸せになれる。
そういう意味でお金をどう使うかって結構重要だと思う。例えば僕はホワイトバンドとか嫌いなのだ。あれにお金を払うことで、世の中がどういう風になるかっていうのがよく分からない。それだったら、農家とか物を作ってる人に払う方が全然いいと思う。そうすれば物を作ってる人たちがそのお金をもらって、新しいものを作ることができる。
あと最近ちょっと気になったのはテレビCM。9時とか10時ぐらいって30秒のCMにだいたい1000万とか2000万とかお金がかかる。でも1000万2000万というお金は、人の人生を変えられる力がある。例えば車椅子は1台20万ぐらいで買えるのだから、それが50台とか買えるわけだ。
そうすると、毎週「冠スポンサーです」って言っている人が、電通とかテレビ局の社員にお金を払うぐらいだったら、日本中に車椅子配れることになる。車椅子はこの会社が供給してるから誰も買う必要がありませんっていうシステムを作った方が、その会社の評価って上がると思う。
サラリーマンの人って同じことを続けても給料が下がることはない。そうすると、営業代理店がいて「こうやったらいいですよ。今までこうだったんですよ」と言って、同じことをやる。しかし、言われて同じことやるんだったら、もうその人ではなくてもよくなる。その人がいなくなって、後任が入っても何の変化もない。でもお金をもらえるから同じことをやる。
結局、給料とかお金とかっていうのは、その人にとってどれくらい大事なのかっていう話になると思う。お金を持って分かったことは、お金を持っても大して人生変わらないっていうことが、他の人に言えるようになった。ほとんど世の中のものって商品で価格がついているのだ。だから価格のついてない商品ってほとんどないし、価格のついてないものはやっぱり買えない。そうするとお金ができることというのは価格のついているものが買うことだけなのだ。
金持ったからって幸せになれるのかというと、やっぱなれない。楽しいかどうかにおいては、金の多寡ってあんまり変わらない。でも結局お金でできることっていうのがこの程度であるっていうことを知ってるかどうかというのは、僕は重要だと思う。
お金ができることとできないことが実感として分かるかどうかって重要な気がする。ただ愛人を作れるから金持ちになりたいと言っても、それでは幸せになれない。お金で買った人であるというのは自分も分かってるし相手も分かってるから、やっぱり幸せにはなれない。自分がなんでその人のこと、相手の人が自分のことをなんで好きなのかっていうと「あ、金だからだ」って分かったら、そこに満足感は得られない。
そんなわけで、金で買えるもので本当に幸せになるかどうかっていうのは、結構少ない。僕が得したと思うのは海外に行けるようになったことくらい。
例えば、5万円払えば東南アジアに行くことができる。そして東南アジアに行ったときに得られる印象は、日本国内のどこかに行くとき以上なのだ。そういう意味で「じゃあ5万円払います」っていうのが言えるっていう所が多少の違いなんだと思う。
でもHISで格安で旅行するのと、ビジネスクラスで自分でホテル予約して20万払うのの何が違うかっていうとほとんど変わらない。少しは快適になるかもしれないが。例えば飛行機に乗る時間はアジアだったら数時間で済む。4時間狭い所に座るだけで15万円貰えますと言われたら僕は狭いところを選ぶ。15万円の差があるってことは、そこに行かなければ15万円貰えるのと一緒なのだ。というのが分かるかどうかというのは重要だと思う。