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すさまじきもの、プロの作家!

◆すさまじきもの、プロの作家!

貸出期限が来たので、いったん図書館に返却したが、村山由佳の官能小説「ダブル・ファンタジー」を読んでいる。

昔の勢いはないものの、さすがの迫力。

半自伝的な内容で、けっこう凄まじいです。

デバガメ的知識を披露すると、村山由佳はごく若い頃(二十代半ば)に職業作家としてデビューし、同じ時期に結婚もしており、学校教師の夫とおしどり夫婦として知られていた。

中年期に入り夫が仕事をやめ、夫婦で千葉に広大な土地を買い、農業や牧畜なんかをやっていたらしい。

そういう生活および夫婦の破綻の過程を描いたのが「ダブル・ファンタジー」なのだが、強烈なことが色々書いてある。

例えば「私の性欲は、夫の百万倍強い」とか!

誰が読んでも半自伝だとわかる小説で、この言葉が書けるか?と問われれば、私には今のところ書けない。

こういったことが書けるか書けないかがノンプロとプロの分かれ目だとすれば、私は間違いなく素人だ。

宮尾登美子にも、似たような話がある。

宮尾登美子も若くして懸賞小説に入賞したのだが、その後長いあいだまったく芽が出なかったらしい。

その期間、編集者に言われ続けたのが「もっと自分を出せ!」「良い部分だけ読者に見せようとするな」「自分を隠して、読者の心を打つ話が書けるはずない」というアドバイスだったらしい。

宮尾登美子の場合、実家が娼家だったことがネックだったらしいのだが、見事その業界について書きあげた作品で大ブレークした。

新井素子にも、同様の作品がある。

新井素子夫婦には、子どもがいない。

恐らく…だが、不妊症のようなものではないかと思う。

で、書かれた作品が「チグリスとユーフラテス」。

「チグリスとユーフラテス」は、まったく子どもが生まれなくなった惑星の話なのだが、すごく恐い小説です。

間違いなく、新井素子の代表作と言っていい大作なのだが、家庭内の問題をこんなふうに披露できるって、やはりプロの小説家というのは普通の人ではないと感じます。

更新日:2013-06-09 10:06:52