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ストーリーと文体の関係

◆ストーリーと文体の関係

村上春樹の小説は「平易な文章、複雑なストーリー」などと言われているらしいが、確かに読めば実感できる。

他にも魅力は多々あるにしても、平易な文章は村上の小説の重要な世界戦略のひとつだといえる。

小学生から留学生まで、誰もが気軽に読める文章を書くことで、読者層は確実に広がる。

外国語に翻訳される際にも、有利だ。

日本人が日本語で読んでも難しい大江健三郎の作品とは異なり、村上作品が比較的翻訳しやすいだろうことは想像に難くない。

また、「平易な文章、単純なストーリー」だったら、童話風になってしまう可能性が高いが、童話となるとまた読者は狭まってしまう。

読みやすい平易な文章で複雑な物語を書くことにより、村上は読者層を世界の老若男女に広げたといえよう。

(わざわざ私なんかが言わなくても、誰でも知っていることではありますが)

と、ここで疑問。

なぜ日本の文壇は、村上戦略を真似しないのか?

もちろん、なかなか真似できるものではないのかもしれない。

しかし、村上戦略(?)は、まだまだ大きな可能性を秘めていると(私は)思っている。

自作に自信がない場合は、これを真似しない手はない。

私が比較的短い文章を書くようになったのは、実は村上戦略を真似したのと、翻訳することを意識したからだ。

(もちろん、私の小説を翻訳してくれる人などいないので、自分でするしかないが)

むかし、七歳の男の子が「天才えりちゃん金魚を食べた」というSF小説を書いて著名な賞を取ったが、易しい文章で書かれた抜群のアイディアというのは、もしかするとある種のジャンルでは最強なのかもしれない。

村上作品にもSFっぽいものが多いが、SFは特にこの傾向が強い気がする。

更新日:2013-04-29 10:15:00