小説

◆書きこみ不足

数カ月前に映画『レ・ミゼラブル』を見て即、青空文庫から小説『レ・ミゼラブル』をスマホにダウンロードした。

若い頃に読んだきりだったが、ストーリーは割と細かいところまでおぼえていて嬉しかった。

が、それ以外はほとんど忘れていることに気付いた。

『レ・ミゼラブル』に限らずかもしれないが、ひと昔前のヨーロッパの小説はどれもイヤというほど丁寧に色々なものが書きこまれていることを思い出したのだ。

大昔にトーマス・マンの『魔の山』を読んだのだが、その時は何度投げだそうと思ったかわからないほどしんどかったことなども思いだした。

途中、登場人物同士の哲学的な会話がありえないぐらい長々と続くのが耐えがたく、吐き気さえもよおしたほどだった。

（重度の活字中毒なので何とか最後まで読みとおしたが、さすが名作！最後まで読むと感動します）

『レ・ミゼラブル』の場合は、最初の章がだるくて長い。

映画だと、三分（？）ぐらいしか出てこないミュリエル神父の人生や人柄についての説明が、えんえんと続くからだ。

次の「ファンチーヌ」の章になると、一気に話は展開するのだが、それまでが本当につらい・・・。

で、何が言いたいかというと、私の書く小説は明らかに書きこみ不足だということ。

もちろん、時代は変わった（と思う）。

世の中はスピーディになり、小説の展開もより速さが求められるようになった。

が、やはり私の小説は誰がどう読んでも書き込みが足りないと思う。

特に、人物描写がずさん過ぎる。

これでは、読者に登場人物たちのファンになってもらうことなど、とうていできない。

風景描写なんかはシツコクするとダレるし、昔より少ない目でいいと思う。

しかし、人物描写を怠っているのは、致命的な欠陥である。

登場人物たちがどのような性格であるか、エピソードや記述を重ねながら紹介していかないことには、長編なんか書けるわけがない。

時々「キャラが、勝手に動いてくれました！」という作品紹介を見かけるが、本当にうらやましい。

何故、私のキャラは勝手に動き出さないのだろう？

結局、私自身に人間的欠陥があるからなのか・・・？と考え始めると終わらないので、とりあえずこの問題はペンディング・・・すると、今までと同じかっ！