選挙:ポスター写真、得票も左右? 髪形と目力重視で撮影
毎日新聞 2013年06月11日 14時50分(最終更新 06月11日 15時33分)
国政選挙や地方選挙で立候補者のイメージを大きく左右するのが選挙ポスター。東京都議選(14日告示、23日投開票)や今夏の参院選の立候補予定者がこぞって撮影を依頼するというスタジオを訪ねた。有権者に好感を持たれるポスター写真のポイントとは−−。
人気のスタジオは東京都文京区の「ディーバ」。フォトグラファーの山口直也さん(59)が19年前に設立し、妻の高木寸子(ちかこ)さん(52)がヘアメークなどをスタッフに指示する。芸能人やキャビンアテンダントを目指す女性の履歴書写真などの撮影が中心だが、ある国会議員に撮影を依頼されたのをきっかけに、口コミで全国から立候補予定者が集まるようになったという。
取材した日は、ちょうど参院選への出馬を決めた女性の撮影があった。メークや準備の間に政策などを聞いて写真のイメージを膨らませ、座ったり、両手を掲げたりとさまざまなポーズを写した。母親の優しさと強さを表現したかったという女性は「これでトップ当選よ」と笑みを浮かべた。
山口さんが選挙写真の肝だと考えるのが「共感と超越」。有権者と同じ目線を持ちつつも、周囲を引っ張れるリーダーシップも感じてもらうことが求められるという。高木さんは「男性よりも、政策の中身や言葉以上に全体の雰囲気で判断するから」と女性有権者へのアピールが大事だとも指摘。撮影では特に髪形と目力(めぢから)を重視する。
時代の流れや風向きで撮り方が変わるのが顔の表情だ。2009年の政権交代時、民主党では定番の笑顔ではなく強さを印象づける硬い表情が流行した。東日本大震災直後も笑顔は「不謹慎だ」と敬遠されたが、今回の都議選や参院選は景気回復のムードが影響してか、穏やかな表情が再び人気だ。ただ、最近やって来た日本維新の会の立候補予定者は、橋下徹共同代表が批判の渦中にいるため笑顔を避けたという。
本人と写真にイメージのギャップが出るのは仕方ないが、山口さんは写真の修整だけはしないという。「候補者が本来、持っているものを引き出しているだけ」と話す。【竹内良和】