@Minya_GG Takeuchi Jun
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日本語全文概訳    何清漣氏 @HeQinglian    ★秘密リークしたスノーデンのイデオロギー的幻想☆ 2013.6.12 

米国の「プリズム計画」の秘密をリークしたエドワード・スノーデンが姿を現し、「一切を犠牲にして真相を世に告げたい」と語った。「米国政府が自分達が秘密に建造したこの膨大な監視装置はプライバシーを侵害し、インターネットの自由と世界各地の人民の基本的自由を破壊する行為で」「良心が不安になるから」だと。

《スノーデンの述懐のいくつかの大きな矛盾》

米国人のある部分には資本主義を批判する事を自分の任務とする理想主義者がいる。多くは左翼か左翼思想の青年で私のところにも郵便物を送ってくる。スノーデンの「世界の人民の自由」と「米国の政治制度への不信」は、この種の人々の日常的な話題である。しかしスノーデンの話の一部にはいささか不安を感じざるを得ないのだ。

例えば彼は「自分がなぜ香港で秘密を暴露して取材を受けようかとおもったかというと、香港は言論の自由と異議申し立てする人の人権を守ることを保証しており、地球上で米国政府に対して抵抗する数少ない所だから」とそして自分は「共通の価値感を持つ国家に庇護を求める傾向があり」、同時に「自分がこういうことをしたのは中国の人権状況に対する信頼からである」とも言っている。

この極めて注意深く準備された言葉はどうしたって疑念を感じざるを得ない。

⑴ スノーデンは香港の法律制度は大変完備しているから、香港に身を隠したと言ってる。この理由はえらいコジツケである。なぜなら1997年に「返還」されて以後、香港住民は英国統治時代の自由がどんどん失われて行くと感じており、このために抗争をおこしそれはすでに香港人の日常にまでなっている。現実に基づいて考えればスノーデンが香港を選んだのは、すなわち香港が中国の管轄下だ、ということだけだろう。6月11日の「衛報」によればスノーデンはホテルの「セキュリティールーム」にいるというが、誰がこの部屋を提供したかは、この事件のカギとなる。


⑵ 中国の人権状況の劣悪さというのは国際社会の公認のことである。いくつもの国際人権組織が毎年中国を「報道の自由の敵」「インターネットの敵」とし、中国政府が異議人士とその家庭を迫害することを批判している。中国の人体臓器移植はさらに強く人道的な見地から批判されている。これらのニュースは英文でもたくさんある。こうした状況の下でスノーデンが中国の報道の自由と人権が米国より優れているというのは彼の自由.人権、世界共通価値に対する考え方が普通とは違っている、ということだ。

⑶ スノーデンは結果がどうなるかを十分承知しており、絶好のチャンスーオバマ・習近平会談の終わった夜(香港時間6月9日午前)を選んだ。記者達に公開取材の形で自分の正体を知らせ、終了後ホテルのセキュリティールームに。この部屋は誰かが準備したものだという。これはオバマと習近平がハッカー攻撃の交渉中に、米国の電話・ネット監視を大っぴらにすることで、米国の民主人権が虚偽であると証明するのにぴったりであった。同時にオバマ政府を政治紛争の泥沼に陥れた。

中国ネット民はここ数日米国のネット監視とコントロールを論じているが、多くの人が「米国も同じ穴のムジナ」とおもってる。中国の国内討論はネット管制の下にあり、ほとんど基本的なある問題に触れる事は不可能だ。それは米中の監視・コントロールの目標が違う、ということだ。米国は公共の安全に対してテロ防止の必要、中国は自らの政権維持のためだということに。

⑷ スノーデンがアイスランド亡命を考えたという話は信じ難い。彼は米国パスポートをもっており、もし本当にそうなら5月20日にハワイを離れた後、最大でも2日間でアイスランドに行けたはず。実際は20日近く香港に留まって全くアイスランド行きの手配をしていない。彼はある決まった時期を待っていた。それは習・オバマ会談の終了したときに自分の正体を明らかにするというタイミングを待っていたのだ。事実上、自分の身分を明らかにした後ではアイスランド行きは大変難しいのに。もうひとつの小さなことだが興味があるのは彼の年収が22万㌦という話だ。会社は6月10日に解雇声明をだしたが、給料は12.2万㌦だといった。この小さな噓の心理的な意味は、自分がこの挙にでたのはお金のためではない、ということ。もし彼の動機が自分でいうような高尚なものなら、このような小さなことで何故、噓をいう必要があったのだろうか?

スノーデンの機密暴露の本当の原因は何かということは、メディアのさらなる追求を待たねば成らない。

《米国の左翼はなぜ中国が大好きか》

「衛報」等おおくの報道を読んで、私はスノーデンがこの人生における重大な選択をしたのはその政治的傾向にある、とおもった。スノーデンは記者に、自分は米国の政治制度を信じておらず、2008年の選挙では「第三党」に投票したと述べている。と同時に彼は「社会主義中国」イデオロギー的幻想をもっている。ここがウィキリークスのアサンジと違っている。アサンジは報道の自由を守ると言ったが、「報道の自由の敵」の所に奔ったりせずエクアドルのロンドン大使館に政治亡命した。
しかしスノーデンはインターネットの自由に極めて高い情熱をもち、ノートパソコンにEFFやTorのネット自由組織のワッペンを貼りながら、年々「ネットの敵」として名をなす中国の管理下にある香港に頭から飛び込んだ。これはネットの自由に対する認識の混乱を表している。


西側左翼の共産主義との抱擁は長い歴史的な源流を持っている。米国左派が中共と抱擁しあったのは前世紀の中共延安時代にはじまる。三十年台から四十年代の初めにかけ、米国の左派記者が起こした「紅色延安旋風」は多くの米国人に「中共こそ中国の未来の本当の希望だ」と思わせ、米国政府が国民党への支持を放棄したのは、この”ブーム”のせいだといわれている。

70年代に中米関係が雪解けしたとき、もっとも熱心だったのは左派で、多くが「68年世代」ー1968年に米国や日本の左派学生運動参加者の自称で、彼らは毛沢東と文革を支持し、毛の世界革命の呼びかけに応じ、米国では反ベトナム戦争に加わった。源流を遡れば「世界を震撼させた十日間」の作者ジョン・リード、「中国の紅い星」のエドガー・スノー、「翻身」のウィリアム・ヒントン、今も健在なシドニー・リッテンバーグ(李敦白)

これら左派人士の共通の特徴は、共産主義イデオロギーに対する幻想から、現実の”社会主義国”への熱烈な抱擁に至り、これらの国の人民が受けている劣悪な人権状態を無視しているということである。

毛沢東の死後、中国は西側左翼の抱擁などもはや重視せず、西側資本家の抱擁を重視するようになった。西側の投資者は中国で金儲けをするために、対中国への態度も利益の変化によって変わって来た。だが、彼らは自分が中共の政治制度を熱愛しているなどとはいわず、「自分達は中国の経済発展を推進して、中国が民主化の道を歩む事を助けている」というふうにキレイ事を言ってるわけ。

私が接触した左翼は(マルクス主義者、トロツキー主義者)からみると、彼らの大多数は大変失望して、苦痛を感じているとおもう。自分達の信仰は欧米の資本主義、特にアメリカのそれを嫌悪し、社会主義制度を標榜する政権と国家を賛美している。そしてその対象は中国である。(北朝鮮は彼らも社会主義国家だとは認めていない)

しかし現実は、改革開放後の中国は政府関係だろうが、学界だろうが大半は左派人士(新左派を除く)達には興味が無い。理由はまず社会主義理念が中国に最早存在しないことと、左派人士は大体社会の中心から外れており、少数の左翼が北京をいくら賛美する本を書いても、中味が空虚で西側に影響力がまったくなく、中共としても利用価値が無いからだ。

スノーデンのような経歴で、おまけに米国政治に反対する態度は、ある種の特別業務に従事するヘッドハンターからみたら、必ずや標的になるだろう。人はどこか弱点が必ずあるわけで、信仰、金銭、勘定、生活の偏好、あるいは重視されているという感覚、すべてヘッドハンターの攻略目標である。

欧米の左傾人士が自分の人生を選ぶのは各自の権利である。しかし、それが生み出す影響と破壊力はその地位によって異なる。思想だけが左傾してるなら、例えばシドニー・リッテンバーグ(李敦白)のように中共の監獄生活を体験して米国に居を定め、かっての栄光と痛苦を自由に懐かしくおもいうかべ、中国大使館の賓客となり「老朋友」の待遇をうけるのもアリだ。しかしスノーデンの踏み出したこの一歩は由々しき一歩であり、彼にはもう戻る術は無い。

19世紀後半から20世紀前半の40年、左翼思想は世界に氾濫し大きな禍いとなった。フランスの著名な政治家のクレマンソーはその時代の青年達の思想をこう総括した。「三十歳以前に左翼思想を信じなければ心が病んでいる。30歳を越しても尚、左翼思想を信じているなら、それは頭がおかしい」と。偶然にも、スノーデンが重大な選択をしたのはまさに彼が29歳のときだったのである。(終)

拙訳御免。
原文は;voachineseblog.com/heqinglian/2013/06/edward-snowden/

 何清漣さんのこれまでのブログ文日本語訳はこちらにあります → heqinglian.net/japanese/


06:32 AM - 16 Jun 13 via Twishort

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