中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

沙保里が残り15秒逆転V 世界大会14連覇へGO

2013年6月17日 紙面から

父の日を優勝で飾り、父栄勝さん(左)とカップを手にする吉田沙保里(岩本旭人撮影)

写真

◇レスリング全日本選抜選手権

 レスリングの世界選手権(9月・ブダペスト)の代表選考会を兼ねた全日本選抜選手権最終日は16日、東京・代々木第二体育館で男女8階級を行い、女子55キロ級は五輪3連覇の吉田沙保里(30)=ALSOK=が決勝残り15秒で逆転勝ち。世界大会14連覇への挑戦権を手にした。女子63キロ級はロンドン五輪以来の実戦となった伊調馨(29)=同=が2年ぶり3度目の優勝。男子は全階級で代表が決定し、女子は51キロ級を除く6階級の代表が内定した。

 残り15秒で4−5。霊長類最強の女が国内で12年ぶりに負ける!? そんな雰囲気が漂っていた。吉田が村田の右足をつかむ。一瞬の攻防。左からバックへ。2ポイントで逆転。勝った。首をかしげ、顔をしかめた女王。その表情が苦しさを物語っていた。

 「忙しさを理由に負けるのは許されない。危なかった。すいません。必死でした。得意のタックルになかなか入れなかった。下の子たちがどんどん強くなってきている」

 昨年9月の世界選手権以来9カ月ぶりの実戦だったが、この間は多忙を極めた。国民栄誉賞受賞に東京五輪の招致活動。さらにはレスリングの五輪除外問題。国内外を奔走する間に体は小さくなり、肌は白くなった。

 「負けて代表になるのは失礼だし、おかしい。負けたら世界選手権には行きません」。大会前、日本レスリング協会の女子強化委員長を務める至学館大の栄和人監督には覚悟を伝えていた。

 負けても代表入りを理事会に諮るつもりだった栄監督は「いろんなことを苦労しながら全部乗り越えられる子。今の吉田は本当にすごい」。教え子に最大の賛辞を贈り、今後は世界選手権に向け、練習に専念させる意向を示した。

 本人もそのつもりだ。「新ルールは常にタックルで攻める状況じゃないとダメ。体力をつけ直して貧血も治して、改善していかないと」。こう言ってさらに続けた。

 「追われる立場は怖いけど、(世界で)14連覇、15連覇していきたいと思っている。まだやるからには負けられない」。10月で31歳。世界のトップに立ち続ける理由を示した辛勝でもあった。 (高橋雅人)

 

この記事を印刷する

PR情報

おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ