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【スポーツ】

上武大が初の日本一 清水が代打逆転満塁弾

2013年6月17日 紙面から

◇全日本大学野球選手権<最終日>

上武大−亜大 6回表上武大1死満塁、代打逆転満塁本塁打を放ち、ガッツポーズで生還する清水。捕手・亜大の嶺井=神宮球場で(斉藤直己撮影)

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(16日・神宮)

 上武大(関甲新)が亜大(東都)を6−5で破り、12度目の出場で初優勝を遂げた。関甲新学生リーグ所属校の全日本大学選手権優勝も初めて。上武大は2点差を追った6回、1点を返したあと、清水和馬内野手(4年・甲府工)の代打逆転満塁本塁打で試合をひっくり返した。亜大は東浜(現ソフトバンク)がエースだった前回に続いて2年連続の準優勝、11年ぶりの優勝はならなかった。

 開けてビックリ玉手箱。予想だにしなかったヒーローが飛び出した。控えの4年生で、“バント屋”さんが代打逆転満塁本塁打という離れ業をやってのけて、上武大に初の大学日本一を呼び込んだ。「自分でも驚いています。走るのに精いっぱいで、何が起きたのかわからないままで…」。伏兵の清水は信じられないといった表情を浮かべた。

 2点差を追った6回、中の適時打で1点を返し、なおも1死満塁。ここで代打で指名された清水が亜大の2番手左腕・諏訪から左翼席中段に届くグランドスラム。アッと驚く“劇弾”に神宮球場を揺らした。実は、この一発が大学に入って公式戦2本目の安打。前日(15日)の明大戦でも代打で出場した時には送りバントだった。

 「打った球はたぶん、真っすぐ。真ん中の…。そうじゃないと、ボクには打ててない。あの時と一緒で(スタンド応援組で試合に)出られないやつの思いを背負って打ったのが…」。“あの時”とは今春のリーグ戦の平成国際大戦。この日と同じく代打で起用されて2点打したのが、大学4年目で待望の公式戦初安打。今春のリーグ戦は3試合出場したが、打席に立ったのはその1度だけで、打率10割である。

 3年生まではベンチにはいても、味方選手に声をかけたりするサポートと一塁ベースコーチが主な役目。谷口英規監督(43)は「ずっと裏方をしてきた。満塁という場面で、この子なら(結果が出なくても)諦めがつくと思ったが、まさか、あそこで本塁打を打つとは」と涙まじりに振り返ったが、まさに“縁の下の力持ち”の4年生が勝負どころで見せた衝撃的な一発だった。

 甲府工では主将まで務めたが、上武大では同期の陰に隠れた。同じポジションの遊撃手にプロ注目の三木がいたからだ。「腐りそうになった時期はあったけど、チームの中で自分のできることをやろうと…」と清水は裏方役を懸命にやってきた。その努力する姿に、野球の神様が決勝の大一番で力を与えてくれたのかもしれない。 (阿知波浩二)

 

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